前回、日野に貰ったお金を使って紫関ラーメンを堪能した便利屋68のメンバーたち。あの後セリカともトークを繰り広げ、満足げに店を出ていく。
「それじゃ、気をつけてね!」
「あはは!了解!あなたも学校の復興頑張ってね!あと、日野さんにもお礼言っといてくれる?」
「分かったわ、しっかりと伝えておくわね!」
「ふふ、感謝するわ!じゃ、応援してるからね!」
そうしてアルたち便利屋68は柴関ラーメンを後にする。
「ふう...ラーメン代も頂いちゃったし、ここら辺の人は良い人たちばかりね!」
「「...はあ」」
アルの発言にカヨコとムツキの二人はため息をつく。
「社長。あの子と話してて気付かなかったの?」
「えっ?何が?」
「...あの子に、ラーメン代を頂いた日野って人、どっちも今回のターゲットだよ」
「...」
ムツキがそう言うと、アルは状況が呑み込めないのかちょっとの間フリーズする。
「...なななな、なっ、何ですってー!!!???」
そして、言ったことを理解したのか大声をあげる。
「あはは、その反応うけるー」
「はあ...本当に全然気付いてなかったのか...自己紹介の時に自衛隊って言ってたし、なんならあの子との会話中でも言ってたでしょ」
「え?じゃあ、わ、私が今からでも始末してきましょうかっ!?」
「あははは、大丈夫、大丈夫。どうせもうちょっとしたら攻撃を仕掛けるんだし、その時暴れよっ、ハルカちゃん」
「う、うそでしょ...あの子が、日野さんが?今回のターゲットなんて...う、うう...なんという運命のいたずら...」
アルはまだショックを受けている様子で、独り言を呟き続けている。
「何してんの、アルちゃん。仕事するよ?」
「バイトの皆が、命令が下るのを待ってる」
「本当に...?私、今から...あの子を...あの子の仲間を...日野さんに、その仲間たちを...」
「あはは、心優しいアルちゃんに、この状況はちょっとキツイねー。「情け無用」「お金さえもらえばなんでもやります」がうちのモットーでしょ?今更何を悩んでるの?」
「そ、そうだけど...」
(これ、完全に参ってるね...)
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その後、数分を要したが何とかいつもの調子にアルを戻すことに成功した。
「ら、ラーメンを奢ってもらったり、お話をしてもらったりとはいえ、仕事は仕事!このままじゃダメよ、アル!一企業の長として、このままじゃ!」
自分に言い聞かせて、気持ちを落ち着かせる。
「...それじゃあ、行くわよ!バイトを集めて!」
「あはは、何とか戻ったみたいだね」
「社長、了解」
「が、がんばりますっ!!」
こうして、便利屋68と彼女らに雇われたバイト達は、アビドス高等学校を目指して進軍を開始した。
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~対策委員会教室~
「校舎より南15km地点付近で大規模な兵力を確認!」
『こちらでも確認した、自衛隊はこれより防衛戦へと移行する』
「了解しました!」
自衛隊の方は慌ただしく防衛戦の準備を始める。
「まさか、ヘルメット団が?」
「この前俺らが殲滅したはずだが?」
「ち、違います!ヘルメット団ではありません!」
「じゃあ一体どこの輩だ?」
「...傭兵です!おそらく日雇いの傭兵!」
「へえー、傭兵かあ。結構高いはずだけど」
「と、とにかく私たちも出動しないと!先生!」
「分かった、出動するよ!」
「俺も隊の奴らの指揮に行くか!」
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「前方に敵集団を発見!」
望遠鏡を覗きながら、敵を発見したことを報告する大橋。
「...ちょっと望遠鏡貸してくんね?」
「ん?別にいいけど、どうしたんだ?」
大橋の隣で敵集団を見ていた日野は、集団の中に見覚えのある顔がある気がして、大橋に望遠鏡を貸してもらい確認する。
「...やっぱり、あの子達じゃねえか。...まあ、事情は後でも聞けるか」
「何の話だ?」
「いや、こっちの話だ」
「...?」
防衛線の一部分でそんな話が行われている一方、最前線の方では...
「あれ...あ、あなた達は!!」
「ぐ、ぐぐっ...」
「セリカちゃん知ってるの?」
「昼間にラーメン食べに来た人達だわ。一体何をしに来たの!!日野さんにもラーメン奢って貰ったくせに、この恩知らず!!」
「あははは、その件はありがとうと思ってるよ。でも、それはそれ、これはこれ。こっちも仕事でさ」
セリカの言葉に、ムツキは言い聞かせるように冷静に言う。
「残念だけど、公私はハッキリ区別しないと。受けた仕事はきちんとこなす」
「...なるほど、その仕事っていうのが!便利屋って訳ね!」
「もう!セリカちゃんから話は聞いたけど、学生なら他にもっと健全なアルバイトがあるでしょう!なのに便利屋なんて!」
「ちょ、アルバイトじゃないわ!れっきとしたビジネスなの!肩書だってあるんだから!」
そう言うと、アルは胸を誇って、
「私は社長!」
次にムツキの方に近づき、
「こっちが室長で」
今度はカヨコの方へ、
「こっちは課長...」
そんな感じで紹介をしていると、カヨコがそれを止める。
「はあ...社長。そんな風に言っちゃうと、余計薄っぺらさが際立つ...」
「そ、そんな事言わないでも...!あ、最後に平社員ね!」
「は、はい!平社員です!」
「...誰の差し金?...いや、答えるわけがないか」
アルが最後に平社員のハルカを紹介するが、そんなことなど聞いておらず、シロコはそう言って銃を構える。
「力尽くで口を割らせるしか」
「ふふふ、それはもちろん企業秘密よ」
だが流石社長。銃を向けられても余裕の表情でそう言って見せ、満を持して。
「総員!攻撃開始!」
バイト達にそう命令する。
「よし!やっちまうぞ!」
「お仕事お仕事!」
ダダダダダダダッ!!
アルが命令した瞬間、バイトの傭兵達は対策員会のメンバーに向けて発砲し始める。対策員会のメンバーたちも、遮蔽物に隠れたりして、傭兵達に射撃をする。それを後ろで見ていた峯井は、
「...発砲を確認、これより防衛のため、銃器・火器類の射撃を許可する。総員!打ち方始め!」
そう部下達に告げた。
ダダダダダダダダッ!!!
これと同時に、傭兵達より数倍はあるであろう弾幕の雨霰が彼女らに襲い掛かる。
「うわっ!?な、なんだこの弾幕!!」
「しゃ、遮蔽物に隠れろ!!た、ただ者じゃないぞ!!」
傭兵達は、すぐ弾幕の異常さに気付いて、各々が弾幕から身を隠せるところへ移動する。これは便利屋たちも同じであった。
「社長?なんかヤバくない?」
「だ、大丈夫よ。傭兵達もいるし、それに遮蔽物に身を隠しておけばひとまず安心。相手の弾幕が弱まったタイミングで攻勢をかけるわよ!」
ドカーーーーン!!!
「「「うわあああぁ!!」」」
その時、遮蔽物の後ろで密集していた傭兵が爆発で一気に吹き飛ぶ。
「...これ、大丈夫?」
「...」
(や、ヤバいわよー!!!???じ、自衛隊がここまで強いなんてっ!!!)
その光景を見たアルは、自身らが交戦している相手の強さを大きく見誤っていたことを知る。自衛隊と言う謎の組織がアビドスに味方していることは依頼主から聞いていたのだが、まさかここまで強い存在だとは思わなかったのだろう。現に、傭兵の数も気持ち多いくらいに雇ったくらいだった。
「迫撃砲!距離120mに敵が3人!あの車の後ろだ!間違っても対策委員会の子には当てるなよ?頼むぜ!」
「了解...照準完了だ」
「おっけー、お前ら耳塞げよ!発射!」
ボン!ドカーーーーン!!!
「...効果を認める!敵3人沈黙!」
「よしこの調子で...」
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「おいおいおいおい!不味くないか!?」
「て、撤退するか?」
「ば、馬鹿!!撤退してどうするんだよ!!」
「で、でも勝ってこないぞ!?」
「...残念だけど、二人とも撤退は許さないよ」
「お、お前は!!」
ダダダダダダッ!!
「ぐはっ!!」
遮蔽物の後ろで身を守っていた二人の傭兵を、シロコが颯爽と現れて殲滅していく。
「殲滅完了、次は?」
『右斜め前方15m先の建物の後ろです!』
「わかった」
アヤネの指示を受けて次の場所に移動しようとしたシロコだったが、『待ってください!』というアヤネの一言で移動を止める。
「どうしたの?」
『自衛隊の方から、火力支援をするので防衛陣地の方へ帰還して欲しいとの連絡がありました!』
「ん、わかった。今から戻る」
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~基地~
便利屋たちとの戦闘が行われている最中、基地では彼女らにさっさと止めを刺すために、ある兵器の発射準備が淡々と進められていた。
「よし、これで発射準備はオッケーだ」
「目標地点の味方部隊はもう撤退を完了したとのことです」
「分かった。それじゃあ、“試製長距離親子型誘導弾”発射!」
そうして基地から一本の煙がアビドス高等学校の方へと向かっていく。
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「...そろそろじゃねないですか?」
「そうだな...と、言ってる間に見えてきたぞ」
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「あ、あれは何かしら...?」
「社長、あれって...」
「み、ミサイルですっ!?」
「あー、不味い感じ?」
四人はこちらへと向かってくるミサイルを眺める。
「あ、ありゃなんだよ!」
「み、ミサイルだ!巨大なミサイルだ!」
「わっ!く、空中で分離したぞ!」
「な、なんだと!?ち、小っちゃいなんかがいっぱい降ってくる!」
「よ、避けろー!!」
「無理に決まってんだろ!!どうやって避けるんだよ!!」
「に、逃げろー!!」
一方で、傭兵達は先ほどからの自衛隊の攻撃も相まって士気はボロボロ。逃げ出すものまで現れた。
「うーん、想定外すぎる強さだね。自衛隊」
「これは...負け、かな?」
「しゃ、社長は守ります社長は守ります社長は守ります...!!」
ドカーーーン!!ドカーーーン!!
ミサイルから分離した小型の爆弾があちらこちらで爆発を始め、その度に傭兵達の体と意識が吹っ飛ぶ。運よくアル達は爆弾に当たらずに済んだが、周りは穴だらけで数えきれないほどの傭兵達が横たわっている。
「...この威力、こりゃヤバいね、アルちゃん?どうする?逃げる?」
「あ...うう...」
そんな話し合いをしている間もなく、対策委員会と自衛隊による細かい掃討が始まり、四人はすぐに発見される。
「...やあ」
「あ、あなたは...!」
そして、よりにもよって第一発見者は日野だった。
「...まさかこんな形で再開することになるなんてね、それに思ったより早く」
「あ...あの...えっと...」
アルがあたふたして対応に困っているところに、セリカもホシノもノノミもシロコも、全員が合流する。
「さあ、追い詰めたよ」
「...まあ、さすがに事情ぐらいは聞きたいかな」
「えと...あっと...」
「さあ、理由を言って。どうして私たちを攻撃したの。誰の差し金?」
「...」
「...言わないなら」
シロコは銃を向ける。
「そっ、そんなことはさせません!!」
それに反応してハルカが社長を庇って前に立つ。
「...シロコちゃん」
その光景を見て、日野がシロコの銃口を降ろさせる。
「どうして?」
「もともと、こういう争いごとは好きじゃないしね。それに彼女たちは悪い子達じゃない」
「...え?」
「あはは、もしかして、情けのつもり?だとしたら、お兄さん甘すぎるよ?」
「...甘くてもいいの、争いごとが収まるなら」
ムツキは予想外の返答にちょっと不機嫌そうな顔をする。
「...なら、私達は逃げ...撤退してもいいのかしら?」
「社長、この状況でその言い回しは無理がある」
「ま、いいんじゃない?逃げてもー。おじさん追う気はないし」
「...じゃ、じゃあお言葉に甘えて撤退させてもらうわ!で、でも!これで終わったって思わないことね!アビドス!!...それに自衛隊!!」
「あはは、アルちゃん、それ完全に三流悪役のセリフじゃん」
「うるさい!なら、逃げ...じゃなくて、退却するわよ!」
そう吐き捨てて便利屋たちは退却していく。
「うへー、逃げ足速いね、あの子たち」
「あとは、この傭兵の子達はどうしましょうか?」
「自衛隊の方で対処しておくよ」
ノノミが辺りを見回しながらそう言うと、峯井が現れる。
「あ、み、峯井隊長...!」
「やあ日野君、先ほど見ていたが、おめおめと敵の頭の逃走を許したように見えたんだが...?」
「え、あっ。そ、それは...」
怒ったような表情を見せる峯井に、日野は怯えながら答える。
「...はは、言ってみただけだ。何も言及はしないさ」
「え?あ、そ、そうですか...ははは、あ、安心しました」
「その代わり、あの子達との話を後で聞かせてもらうか」
「...え?」
そうして、便利屋68の襲撃、自衛隊の呼称で、“アビドス高等学校防衛戦”は幕を閉じたのであった。
☆武器・兵器紹介のコーナー☆
・試製長距離親子型誘導弾
地下第七試製兵器制作室の