「...お待たせしました。変動金利等を諸々適用し、利息は788万3250円ですね。すべて現金でお支払い頂きました、以上となります」
目をニコニコさせながらカイザーローンの銀行員は対応する。
「カイザーローンとお取引いただき、毎度ありがとうございます。来月もよろしくお願いいたします」
そうして銀行員は現金輸送車に乗ってアビドスを去っていった。
「...」
「...」
「いやー、ありがとね峯井くん」
「...感謝するなら旅団長にしてくれ、俺は何もしてない」
「何もしてない?おじさんには何もしてない様に見えなかったけどなー」
「...」
「自分の給料削ってくれだとかー、秋長さんに言ってたらしいね?」
「...分かった、分かったからそれ以上は止めてくれ」
「うへ、照れてるねー」
「うるせえ」
ホシノの攻撃に峯井は一方的に翻弄される。
「...ところで、カイザーローンはなぜ現金でしか受け付けないのでしょうね?わざわざ現金輸送車まで手配して...」
「確かにそれはそうだな、現金輸送車なんて襲われるリスクもあるだろうに」
「...」
現金輸送車を見ながら何かを考えるシロコ。
「シロコ先輩、あの車は襲っちゃダメだよ」
「うん、わかってる」
「計画もしちゃダメ!」
「...ほら、こんな近くに一人いるし」
「とりあえず、教室に戻ろうかー」
ーーーーーーーーーー
~対策委員会教室~
「自衛隊からの参加は峯井さんだけですか?」
「ああ。旅団長は忙しいみたいでな」
「わかりました。それでは、全員揃ったようなので始めます。今回は二つの事案についてお話したいと思います。最初に、昨日の襲撃の件です」
「あの、傭兵引き連れて襲ってきた奴らだな」
「ええ、彼女らは便利屋68という部活です。ゲヘナではかなり素行の悪い生徒たちとして知られています」
「そりゃまた、変な奴らに目をつけられたもんだな」
「部活のリーダーの名前はアルさん。自らを社長と称しているようです」
「そういや日野の奴がそんなことを言っていたような...」
「彼女の下には三人の部員がいて、それぞれ室長、課長、平社員の肩書があるとのことです」
「いやぁー、本格的だねー」
ホシノが便利屋68の肩書制度に感心したような様子を見せる。
「あくまでも自称なので...」
「デカい組織、って訳ではなさそうだな。そもそもゲヘナの公認なのか?」
「公認ではなさそうです、勝手に組織したのではないでしょうか」
「あら...校則違反ってことですね。悪い子達には見えませんでしたが...」
「いえ、それがかなり非行の限りを尽くしているようで、ゲヘナでも問題児扱いされているようです」
「ゲヘナで問題児って...相当な奴らじゃないか」
「次来たときはとっ捕まえて取り調べでもするかー」
順調に話し合いは進んでいく。
「では続きまして、セリカちゃんを襲ったヘルメット団の黒幕についてです!先日の戦闘で手に入れた戦略兵器の破片を、自衛隊の方々と共同で分析した結果...現在は取引されていない型番だということが判明しました」
「技研*1の奴らと夜通し調査してたもんな」
「つまり、もう生産されてないってこと?」
「どうやって手に入れたのかしら」
「生産が中止された型番を手に入れる方法は...キヴォトスではブラックマーケットしかありません」
「ブラックマーケット...そういえば、この前の戦車の流通ルートを調査した報告書にそんな名前があったような、なかったような」
「ブラックマーケットというのは、中退、休学、退学...様々な理由で学校をやめた生徒たちが集団を形成し、連邦生徒会の許可を得ていない日認可の部活もたくさん活動している場所だと聞いています」
「便利屋68みたいにか?」
「はい。それから便利屋68も、ブラックマーケットで何度か騒ぎを起こしているとも聞きました」
「なるほど、便利屋68にブラックマーケット...関連性があるにしろないにしろ、調べてみる価値はあるかもな、うちの方からも部隊を出そう」
「よし、じゃあ決まりだねー。早速ブラックマーケットを調べてみよう」