第一実験旅団inキヴォトス   作:シベリアのハスキー

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※注意:これは原作改変なのですが、vol.1の4話「委員会の事情」と5話「セリカの平凡な一日」の間は一日ぐらい空いてるってことにしています、今回はその一日の話です。なのでよろしくお願いします。







アビドス出兵

「いやー、副旅団長」

「どうしたんですか?旅団長」

 

旅団長は事務作業をこなしながら副旅団長に話しかける。

 

「部隊を動かすのにわざわざ上の了承が要らないのは良いものだな」

「...確かにそうですね」

「幕僚長もそう思うだろ?」

「ええ、こちらとしても作戦などを迅速に立案することが出来ますので」

「マジで部隊動かすのに一か月待たされたことあったからな、あれだけは一生許さん」

「ところで話は変わるのですが、派遣部隊は上手くやれるんでしょうか?」

「...正直なんとも言えん、本当に未知の世界だからな。でもアビドス廃校対策委員会?っていう心優しい人達がいるらしいし、何とかなるだろ」

「旅団長?あまりそういう希望観測的なことで部隊を動かしたりするのは良くないっていつも言ってますよね?」

「まあまあ...ゆ、許してくれ幕僚長。確かに安全かどうかもわからない場所へと赴かせていることは分かっている、だけどあいつらなら上手くやってくれそうな気がするんだよ」

「...まあいいでしょう、私も何故かそう思いますしね」

 

ーーーーーーーーーー

~アビドス高等学校~

 

基地では先ほどの会話が繰り広げられている頃、ここアビドス高等学校では朝からヘリコプター三機が校庭にやってきて、隊員が荷物の下ろし作業などをしていた。その音で眠りから覚めたホシノが、様子を伺いに校庭に出る。すると、丁度良いのタイミングでヘリコプターから一人の男が降りてきた。

 

「よお、ホシノさん」

「あれ~?峯井ちゃんじゃん。久しぶりー...って、ヘイローなんでついてるの?」

「えーっと...話すと長くなるからまたの機会で良い?」

「そういうことならいいよー」

「ありがとう。あとちゃん付けは止めてくれホシノさん」

「えー、それなら峯井ちゃんも、さん付け止めてくれないかなー」

「そうかい、なら...よお、ホシノ」

「久しぶり~、峯井くん」

「そこは、名前だけじゃないのかよ。別にいいけど」

「で、朝から忙しそうだね」

 

ホシノの目線の先には荷物の下ろし作業をしている隊員がいる。

 

「ああ、菜園に使う用具類を下ろしてるんだ」

「へえ~...じゃあ、あのテントは?」

 

校庭の隅っこに建てられている数個のテントを指さす。

 

「そういえばまだ言ってなかったな。カタカタヘルメット団の存在を受けて、一部の部隊がこの学校を防衛するためにここに拠点を置くことにしたんだ」

「そうなんだ~、規模はどのくらい?」

「120人だな」

「...めちゃくちゃ多いねー」

「アビドスが特段少ないだけだと思うんだが...」

「それもそっか」

「それじゃ、そろそろ俺は戻るから」

「じゃ、頑張ってね。おじさん応援してるよー」

 

ーーーーーーーーー

~アビドス別館~

 

一方その頃、ここでは使用されていない音楽室や化学室などが隊員たちによって次々と片付けられて、菜園をするための部屋に改装されている最中であった。

 

「アヤネちゃん!こっちの部屋は?」

「使っても良いですよ!」

「アヤネちゃん!この楽器どうしたらいい?」

「楽器ですか?良ければ体育館に運んでもらえれば!」

「分かった!」

 

廊下や階段を沢山の隊員たちが右往左往する。今までのアビドスでは考えられなかった光景だ。校庭でもヘリコプターから荷物の下ろす作業が終わったのか、ヘリコプターが次々と離陸していく。

 

「えーと、次は正午に3機ですね」

「ヘリコプターによるピストン輸送。なかなかに上手くいってるじゃないか」

「そうですね峯井隊長、アヤネちゃんたち対策委員会の協力もありますしね」

「別館の方で指揮を取ってくれてるんだってな?ありがたい限りだ」

「本当にそうですね」

「......にしても、下ろし作業終わったら暇だな」

「私たちの仕事下ろし作業の指揮ですし、次来るまで3時間ですからね」

「あー...ホシノと雑談でもしてくるか」

「じゃあ私はテントで休んでます」

 

ーーーーーーーーー

~対策委員会部室~

 

ガラガラガラ

 

「あらあら~、ようこそ☆」

「ん、おはよう」

 

ホシノと雑談をするために対策委員会の部室へと訪れた峯井。だが、部室にはぱっと見シロコとノノミの姿しか見当たらなかった。

 

「おはようノノミさん、シロコさん」

「おはようございます峯井さん!ノノミと呼んでもらったらいいですよ!」

「私も、シロコでいいよ」

「シロコで良いよ」

「...じゃあノノミにシロコ、ホシノは居るかい?」

「ホシノ先輩ですか?」

「さっき、何処かで寝てるのを見た」

「寝てるって...昼寝してるのかよ」

「ホシノ先輩、気付いたらお昼寝してますからね☆」

「うん、それより峯井さん、そのヘイローはどうしたの?」

「え?ああ、これか。これはなーーー」

 

~~~~~~~~~

「ーーーってことがあったんだ」

「そんなことが...変な人だけど、でも大発明」

「人間にヘイローをつけることが出来るなんて!聞いたこともありません!」

「まあそういうことがあったんだ」

「私たちの常識では、考えられない話、ヘイローの後付けなんて」

「ってことは!戦闘に参加しても大丈夫なんですね☆」

「ん?…あー、そういうことになるのか…そういえば話は変わるが、セリカと先生はどうしたんだ?」

「先生はシャーレに、セリカはどこかに出かけて行ったよ」

「シャーレ、連邦捜査局だったか。またの機会に訪れたいな。セリカは行き先分かってないのか?」

「うん」

「出かけてくる、って言ってちょっと前にね!」

「そうか。シロコとノノミは仕事とかないのか?」

「今は無いですね!」

「借金返済も…あ、言わない方が良かったかも」

「借金返済?」

「ん、さっきのは忘れて」

「え?気になるんだが」

「別にいいんじゃ無いかなー、先生にも言っちゃったしね」

 

突然の声に全員が扉の方を向く。そこにはホシノが一人立っていた。

 

「ほ、ホシノ…居たのか」

「ホシノ先輩、気配すら感じなかった」

「流石ですね☆ホシノ先輩!」

「…まあいいか、で、借金返済ってなんなんだ?」

「大丈夫なんですかホシノ先輩?またセリカちゃん拗ねちゃいません?」

「大丈夫大丈夫。それに隠すようなことでもないし、いつかは話さなきゃいけないしね」

「…重い話なのか?」

「ま、重い話なのかな?簡単に言うと、この学校、借金を背負ってるんだー。何とその額9億円」

「返済できないと、学校は銀行の手に渡って、廃校になる」

「でも、完済できる可能性なんてほぼ0%でね」

「そして、私たちだけが残った」

「生徒数が少ないのも、街がゴーストタウン化しつつあるのも、全部それのせいか。どうしてそうなったんだ?」

「理由?そうだね、先生にもこの話はしたんだけどー...数十年前に、この学区の郊外にある砂漠で、砂嵐が起きてね。その地域では以前から頻繁に砂嵐が起きていたんだけど、その時の砂嵐は想像を絶する規模のやつでねー。学区のいたる所が砂に埋もれて、砂嵐が去ってからも砂がたまり続けちゃってね。その自然災害をどうにかするために、多額の資金を投入せざるを得なかったんだ。でも、こんな片田舎の学校に、巨額の融資をしてくれる銀行なんてなかなか無くてねー」

「結局、悪徳金融業者に頼るしかなかった」

「最初のうちは、すぐに完済できる算段だったんでしょうね」

「でも、砂嵐はその後も毎年更に巨大な規模で発生した」

「そのせいで学校の努力も虚しく、学区の状況は手が付けられない程に悪化しちゃってー。ついにはアビドスの半分以上が砂に呑まれて砂漠化、借金もみるみる膨れ上がっていったんだー」

「...」

「おじさんたちだけだったら、毎月の利息を返済するので精一杯ってわけー」

「...大変なことになっているんだな、セリカが拗ねるって話は?」

「それはね~、対策委員会だけでどうにかしてきたこの話に、大人が首突っ込んでくるのが嫌みたいでねー」

「これまで誰もこの問題にまともに向き合わなかったから。話を聞いてくれたのは先生と峯井だけ」

「...まあ、そういうつまらない話だよ。今は、先生のおかげでヘルメット団の問題は解決したから、借金返済に集中できるようになったねー、って段階。峯井くん達には校舎を貸し出してるとはいえ、別に借金の事は気にしなくていいからねー。話を聞いてくれるだけでありがたいし」

「貸し出してる校舎も、今は使ってない部屋ばかりですしね!」

「...いや、そういうことで困ってるなら手を差し伸べるのが道理ってもんだろ?」

「へえ、峯井くんも変わり者その二号だねー。こんな面倒ごとに自分から首突っ込もうなんて」

「でも!力になってくれるなら助かります☆」

「シャーレに自衛隊、二つの組織から援助を得られるなら、今まで以上に希望が見えてくるかもしれない」

「...じゃ、そういうことで。上にも話通しとくよ」

「ありがとう、峯井」

「ありがとうございます!アヤネちゃんにも言っておきますね!」

「セリカちゃんはおじさんが説得しておくよー」

「それじゃ、俺はそろそろ仕事に戻るよ」

「ん、またね」

「いってらっしゃーい☆」

「ありがとね」

 

三人を後に部室を出る。

 

「...どうすっかな」

 

廊下で一人ボソッと呟く峯井だった。

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