~対策委員会教室~
「...それでは、アビドス対策委員会の定例会議を始めます」
そうアヤネが言って、定例会議が始まる。場にいるのは、対策委員会のメンバーに、先生と峯井、それと対策員会の皆には見覚えがない男が一人いた。
「本日は先生と峯井さんに、あともう一人の方もお越し頂いているので、いつもより真面目な議論ができると思います。一応、皆さんは初対面なので自己紹介をお願いできますか?」
「ああ、了解した」
アヤネに促されて、その男は対策委員会のメンバーに向けて自己紹介を始める。
「どうも、初めまして。第一実験旅団の旅団長を務めている、
「よろしくー」
「よろしくお願いします!」
「宜しく」
「よろしくね」
「...では、早速議題に入ります。本日は、私たちにとって非常に重要な問題...「学校の負債をどうするか」について、具体的な方法を議論します。ご意見のある方は挙手をお願いします!」
アヤネが挙手を求めると、セリカが食いつくように手を挙げる。
「はい!はい!」
「はは、元気なこったな」
「はい、一年の黒見さん。お願いします」
「...あのさ、まず名字で呼ぶの、やめない?ぎこちないんだけど」
「いや、意見じゃないのかよ!」
「せ、セリカちゃん...でも、せっかくの会議だし...」
「いいじゃーん、おカタ~い感じで。それに今日は珍しく、先生も峯井も自衛隊トップの秋長さんもいるんだし」
「...普段の会議の雰囲気がどんな風なのか、旅団長としては気になるところだ」
「少なくとも、厳格な雰囲気ではない」
「私はイイと思いま~す☆なんだか委員会っぽい感じで!」
「はあ...まあ、皆がそう言うなら...って、そうじゃなくて!」
話がかなり脱線してしまったので戻すセリカ。...脱線させたのはセリカのような気が...
「とにかく!対策委員会の会計担当としては、現在我が校の財政状況は破産寸前としか言いようがないわっ!このままじゃ廃校だよ!みんな、わかってるよね?」
「うん、まあねー」
「毎月の返済額は、利息だけで788万円!私たちも頑張って働いてはいるけど、正直利息の返済も追いつかない。これまで通り、指名手配犯を捕まえたり、苦情を解決したり、ボランティアするだけじゃ限界があるわ」
「...ねえ旅団長」
「うん、俺もわかってる。でもいきなり9億は向こう側が怪しむだろ?だから利息の788万円ぐらいは...」
セリカが話しているのを横目に、峯井と秋長旅団長の二人はヒソヒソと話をする。
「だから何かこう、でっかく一発狙わな...」
「あのー、話してる途中で悪いんだが...俺らの方から一つ良いか?」
「...どうしたのよ。これから良い話をするところだったんだけど」
話を遮った峯井に、セリカは不機嫌そう視線を向ける。だが、次に来る彼の発言でその視線は驚きのものに変わる。
「えーっと、借金の利息788万円...うちの方で払うっていうのはどうかな?」
「...え、ええええっ!?」
「み、峯井さんに秋長さん...よ、よろしいのですか?」
「お金?大丈夫なんですか?」
「先生まで心配しなくても...なに、校舎を貸し出してもらってるんだから、その代金と言うことにでもしておいてくれ」
「いやいやいやいや!!毎月788万円だよ?わかってる!?その全額を負担しようっていうの!?」
「旅団長の俺が言ってるんだ、信用ならないか?」
「...えっと...ううっ...!!」
「いやはやー、まさか全額負担なんてねー。おじさんも流石に予想できなかったよ」
「疑うわけじゃないけど、本当に払えるの?」
余りにも無茶苦茶すぎる話にシロコがそう聞いてくる。
「...現在の自衛隊の保有資金は詳しくは言わないが、10億は優に超えている。払おうと思えば借金本体もすぐに払える」
「「「「...」」」」
秋長のいうことに対策委員会のメンバーは唖然とする。自分たちが必死に向き合ってきた借金の額を、軽く超える資金量を自衛隊は誇っているのだから。...そこで、先生の頭に一つの疑問が浮かぶ。
「それなら、どうして利息だけ払うんですか?」
「た、確かに先生の言う通りです。自衛隊が利息だけ負担するのは理由が...?」
「理由...ね」
秋長はそう聞かれて、少し声のトーンを下げる。
「...簡単な話なんだが、もし君たちが銀行を営んでいたとして、今まで788万円の利息を返済するのに精いっぱいだった人達が、いきなり9億円を返済してきたらどう思う?」
「そ、それは...」
「不自然、としか言いようがない」
「そういうことだ。だからこっちの方で利息は負担するから、君たちは余った金でラーメンでも食いに行くなり、校舎を改修するなり、ヘルメット団のバックの組織について調べるなりすればいい」
「ま、そういうことなら仕方ないねー。それに、利息を負担してくれるだけでもこっちは神様と崇めたいぐらいだよー」
「とにかく!感謝しかありません!」
「...では、議題の「学校の負債をどうするか」、これ解決したということで、これで定例会議を終了します!みなさん、ありがとうございました!」
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~紫関ラーメン~
定例会議の後でも、いつも通りバイトに行っていたセリカ。
「じゃあ、利息の返済に追われることはなくなったって事だね!」
「うん、そうなるわね」
彼女は、今日の定例会議であったことをお客さんの一人に話していた。そのお客さんとは、「セリカの平凡?な一日」で登場したラーメンズの構成員の日野である。ちなみに今日はラーメンズの集まりではなく、個人的に食べに来た。
「でもバイトは続けるんだね」
「あー...まあ、それが働くのを止める理由にはならないし、借金本体は残ったままだしね」
「ははは、セリカちゃんは働き者だなあ。それじゃ、お仕事頑張ってね」
その言葉を聞くとセリカは少し照れた様子で、「は、働き者なんかじゃ...ま、まあ頑張ってくるわ」と言って席を去っていった。
(...娘にするならああいう子が良いんだろうなあ)
「じゃ、頂きます、と」
頭の中でそんなことを考えながらラーメンを食べ始める。
「...うん、マジ美味い」
日野がそう言ってラーメンを堪能している時...
ガタッ、ガララッ
「...あ...あのう...」
店を訪れたのは紫髪のかなり内気に見える少女であった。
「いらっしゃいませ!何名様ですか?」
「...こ、ここで一番安いメニューって、お、おいくらですか?」
「580円の紫関ラーメンです!看板メニューなんで、美味しいですよ!」
「あ、ありがとうございます!」
ガララッ
それを確認した少女は一度店を出る。
「?」
ガララッ
セリカが疑問に思っていると、少女はもう一度店に入ってきた。...前回に登場した、白髪と黒髪が特徴の、身長が低い白髪の、ピンクと赤色の中間のような髪色の少々目つきの悪い、それぞれ三人の少女を連れて。
「えへへっ、やっと見つかった、600円以下のメニュー!」
「ふふふ。ほら、何事にも解決策はあるのよ。全部想定内だわ」
「そ、そうでしたか、さすが社長、何でもご存じですね...」
「はあ...」
「4名様ですか?お席にご案内しますね」
「んーん、どうせ1杯しか頼まないし大丈夫」
席に案内しようとするセリカに身長が低い白髪の少女...そろそろ名前で呼んだ方が良い気がしてきたから名前で呼ぼうか。では改めて、席に案内しようとするセリカに白髪の少女改めムツキはそう言って遠慮する。
「一杯だけ...?でも...どうせならごゆっくりお席へどうぞ。今は暇な時間なので、空いてる席も多いですし」
「おー、親切な店員さんだね!ありがとう、それじゃあお言葉に甘えて...あ、わがままついでに箸は4膳でよろしく。優しいバイトちゃん」
「えっ?4膳ですか?ま、まさか1杯を4人で分け合うつもり?」
「ご、ご、ごめんなさいっ。貧乏ですみません!!」
「あ、い、いや...!その、別にそう謝らなくても...」
セリカが紫髪の少女改めハルカの謝る姿に動揺しているところへ、日野がやってくる。
「...えーと、お困り?」
「あ、日野さん」
「え...あ...あ、あなたは...?」
いきなり現れた日野に、ハルカはビクビクしながらそう聞く。
「...さっき君たちの話は聞いててね...俺はただラーメン好きだよ。それより...」
スッ
日野は、お金をその場に置いてこう言った。
「お金が必要ならそれをあげるよ」
「「「「!?」」」」
いきなりの日野の行動に全員が驚愕する。
「い、いいの...?」
「いいのいいの、どうせ給料もらってもあんま使い道ないから、皆で美味しいラーメンをたらふく食べな」
「...なんか妙な勘違いをされてるみたいだけど?」
「私たちそんな貧乏ってわけじゃないんだけどね。しいて言えばお金遣いの荒いアルちゃんのせいだし」
小声で、ムツキと白髪と黒髪が特徴の少女改めカヨコがそう話し合う。そんなことを言われているとも知らずにピンクと赤色の中間のような髪色の少々目つきの悪い少女、改めアルは計算通りと言わん限りの顔をしてこう言った。
「...お金をくれるのはありがたいのだけど、あなたは?」
「俺は...自衛隊の隊員兼ラーメンズのメンバー、とでも言っておこうかな。名乗る程の者じゃない」
「そう、じゃあ自衛隊の隊員さん。メンバーを代表して感謝するわ!ありがとう!」
「ん、どうしたしまして。それじゃ、俺はここらへんで。はい、セリカちゃん。これラーメン代」
「え、ああ...確かに受け取りました、またのご来店をお待ちしております!」
「ん、じゃあまたね」
そうして、ラーメン代を渡した日野は颯爽と店を去っていった...
「...ふう、良い人に出会えてよかったわ!ご厚意に甘えて美味しいラーメン食べるわよ!」
「う、嬉しいです...!」
日野が去った後の店内で元気よくそういうアル。だがムツキとカヨコの二人は...
「...ねえ、さっき自衛隊って」
「うん。どうやら社長気づいてないみたいだね。伝える?」
「いや...面白そうだし今はほっとこうか」
そんなやり取りをしているのだった。
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~帰り道~
「...なんかお金が無くて困ってると思って、その場のノリでやっちゃったけど...大分痛いことしちゃったなあ...」