って、ひとり悶々としちゃってることねが見たかった。書いた。
最近学マス始めてやっとことねを親愛度10にした初心者です。勢いで書いたんだ、許して。
人は、ふと気付いてしまう時がある。
それは先の見えぬ人生の中で、急に前触れも無くやって来るものだ。何気ない日常の中だったり、特別馬鹿みたいに忙しい日々の中だったり。授業を受けている時だったり、仕事をしている時だったり。或いは親しい友人、そうでない他人と接している時。金持ちだろうが貧乏人だろうが、優れていようが劣っていようが、ふと自らの本心に気付く。一般人であろうが、アイドルであろうが……だ。
(……あたし、プロデューサー好きじゃん……)
今日も一日、目が回りそうな程に忙しい時間を過ごした藤田ことねは「明日も早いし、そろそろ寝るかぁ……」と、布団に入った。部屋の電気を消して、真っ暗闇の中で意味も無く天井を見上げて、疲労から産まれた睡魔に身を委ねようとしてきた時に、ふと……気が付いてしまった。
(えっ、ちょ……っ。無い無い。無いって! そりゃまぁ、色々お世話になってるし? 尽くして貰ってるし? でもだからって、プロデューサーに惚れるなんて流石にさぁ……!)
ふと、本心に気が付いてしまった藤田は慌てて体を起こす。結構勢い良く。掛け布団が吹っ飛びそうなぐらいに。気付いてしまった本心を、眉を顰めて疑う。アイドルが恋愛をすること。それは何時の時代だって、世間様に忌避されているご法度だ。ステージに立って夢を見せる商売をしている以上、夢を醒まさせるような真似は許されたものじゃない。藤田自身、幼い頃だったり学園生活を送っていく中で恋愛沙汰で炎上したアイドルがどうなったのかを知らない訳ではない。それを末恐ろしく感じるようになったのは、初星学園に入ってからの事だ。
だから彼女は、そんな風にはなりたくない。なれない理由が藤田にはある。炎上して仕事を失うなんて真っ平ごめんだ。母親の為に、ちび共の為に、今更炎上なんて決して出来ない。
だから。
(……無い無い。疲れてるだけだっつーの。そりゃ、プロデューサーを信頼してるよ。凄く頼りにしてる。嫌いじゃないよ。むしろ好ましいかも? あんなに面倒見てくれる人なんて、他に居ない。あんなに優しくしてくれて、あたしを助けてくれる人なんてどこ探しても見付かんないかもだけど。
でも、だからってさぁ……)
「恋なんて、無いっしょ。な~んでこんな事考えてるんだか……」
気付いた本心を放り投げて、再び横になる。強く瞼を閉じて、極力何も考えないように思考を空にする。明日も早い。明日も忙しい。くだらない事を考えてないで、直ぐにでも寝なければならない。……なのに。
(……プロデューサーは、あたしを助けてくれた。お先真っ暗で、どうしようもなくなってたあたしを選んで、それからはずっと支えてくれて。ひとりじゃどうしようもなかった事を、どんどん解決してくれてさー。体調管理までしてくれて、仕事もしっかり持って来てくれて。感謝してもしきれないっつーか、もうとっくに足向けて寝れないレベルでさぁ。
そんで、あたしの事が大好きで。可愛いって言ってくれて、沢山褒めてくれて。たまに上げて落とすけどよー、まぁそれも……そんな悪くねーって思うし。信頼は滅茶苦茶重いけど、無理! ってほど嫌なわけじゃ……)
瞼を閉じたまま頭を空にしようと努めても、プロデューサーの事を考え始めてしまって。何度か寝返りを打って、直ぐにでも寝れないかと体を丸めて。だけど、どうしても。どうしても、藤田ことねはプロデューサーについて考え始めてしまって。一度考え始めたら、思考が渦となって落ち着かない。これ以上ない大渦だ。脳裏に浮かぶのは、プロデューサーの事ばかり。自分にしてくれた事や、自分と一緒に居る時のこと。何気ない会話の中で見た些細な動作とか、仕事中の真剣な顔付きとか。たまに廊下で見る後ろ姿とか、よく見る横顔とか。時折見せてくれる、笑顔とか。……彼の事を、彼がしてくれた事を、色々と思い出してしまって。
―――不意に、心臓が跳ねた。
「〜〜っっ、や……っばぁ……」
丸くなったまま胸を掴んで、悶える。掛け布団をこれでもかと抱き寄せて、何とか落ち着こうと画策する。……が。
「あたし、プロデューサーのこと……っっ」
本心は、自覚すると漏れ出そうになってしまうもので。咄嗟に口を噤んで最後の一線は越えまいと抵抗したものの、だからって芽生えてしまったものが胸の内から消えてくれるわけではない。むしろ、抑えつけようとすればする程に強くなってしまって。
「ぁ、明日からどんな顔して会えば良いんだよぉ〜〜っ!?」
―――翌日。藤田ことねは寝不足のまま登校する羽目になってしまった。厄介な本心に気づいてしまって、まったく寝付けなかったからだ。その挙げ句が、この日はプロデューサーの一挙一動に過剰に反応しそうになって。それでも何とか、自制心を最大限に働かせて無事に乗り越えたのであった。
……まぁ。寝不足を見破られて保健室行きになったことを「無事に乗り越えた」と言えるのであれば、の話なのだけれど。