自称「平凡だけど、どこか神秘的で儚げな……ただの百鬼夜行の一生徒」の妹による曇らせツアー   作:藍終

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非常に励みになっております。皆さんの期待に応えられるかはわかりませんが、不定期ながらも頑張らせていただきます。

今回は、いろんな意味で前準備回です。


曇らせたいとッ!心の中で思ったならッ!その時スデに行動は終わっているんだッ!

 どうしてこうも学生生活というものは、時が立つのがはやく感じられるのだろうか。

 いくら前世で一度学生時代を過ごしているからとは言っても、もう少し味わっていたかったものだと思ってしまう。

 だって―――――――――

 

 

 

 もう16歳、つまり御稜クユリこと俺は2年生!

 そして、我が最愛の姉の御稜ナグサは3年生というわけでして……

 

 百花繚乱編の物語が遂に産声を上げる年になったということです、ハイ……。

 

 

 コノシュンカンヲマッテイタンダァ!!

 

 いやはや、遂にこの時が来ましたか。こうしてみると、これまでの期間で色々と準備したり、普通に青春したりしてきた事が感慨深く感じる。

 一世一代の大勝負ですからね、ある意味自分がこの物語をかき混ぜているわけですから積み上げる過程も楽しかったですよ。

 

 あぁ、これが風流か……、ハッ!いかんいかん思わず内なる花鳥風月部員が漏れてしまった。花鳥風月部は個人的に同志だとは思っていますからね。自分の思い描く物語を、自らの喜悦の為に為すべきを為す。例えそれが、どのような手段であっても。これの何が悪いのか、これを否定するなら同じ信念でもう一方の物語を潰さなければならない。

 結局は、どちらかの物語しか完成し得ないなら、その座を無理矢理にでも奪うだけ。

 

 

 あなたに言ってるんですよ?この世界の“先生”?

 誰もが、生徒が、苦しい目に遭わないことを望んでいるわけじゃないんですよ。

 人は、十人十色、人それぞれですからね。

 

 

 っと、つい先生に喧嘩腰になってしまいましたが、これから語る計画の一番の不安要素だからなんです。

 

 先生はねぇ…、聖人なんて言葉は生温いくらい『生徒』という概念に対して“善”なんです。前世で、画面を通して見るのとは全くもって感じ方が違う。実際の世界で、リアルタイムで見る先生の活躍は、正直言って狂人の域ですわ。

 メタイ話にはなりますが、まるで世界にそうあるよう『設定』されているように思えるくらいに、行動理念がブレないんですよ。

 

 だからね、考えました。先生を止めることができないんだったら、好きにやらせようと。行動理念がブレないということは、御せなくとも予測しやすいということだから、それを利用してまとめて曇らせてやろうとね。

 

 『最善』をどうぞお選びください。それが『最悪』の結果になってしまった時、どんな反応をするのか……。想像するだけで、ご飯3杯はいける。

 

 

 やっぱ、こうして自らの心の内をまとめてみると、俺ってシュロみたいじゃね?

 

 

 

 

 ハイ、話が脱線し過ぎました。では、改めて大まかな計画の発表と参りましょう。

 

 

 まず、一番の目標は、我が姉、御稜ナグサを曇らせること!そして、あわよくば、それ以外の生徒や先生も曇らせる、まさに曇らせツアーを開催することです!

 

 目標なくして計画は立てられませんからね、受験勉強と一緒です。週間勉強科目カレンダー…うっ、頭がッ…。

 

 そして、具体的にどんな展開を思い描いているのかということですが…。

 

 御稜クユリという存在が大きく変化し始めるのは、例の黄昏によるアヤメ失踪事件からです。

 百花繚乱紛争調停委員会委員長の七稜アヤメ、それを支える副委員長御稜ナグサ、更にそれを支える御稜クユリ。

 百鬼夜行連合学院の中で上位の立場を確立していた3人は、最近手を焼いている花鳥風月部の活動に対処するため、大雪原へとむかう。人質を取られていることから指定された大雪原に急ぐと、そこで現れたのは花鳥風月部のコクリコ、箭吹シュロ、そして、幻魎百物語のクロカゲ率いる付喪神の軍勢が待ち構えていた。

 

 多勢に無勢とはいえ、証である『百蓮』を持つアヤメに、実力自体では既にアヤメを超えていたナグサに、クユリもいるが故に、怪談達は徐々に押されていく。しかし、アヤメの心内は穏やかでない。いつの間にか実力では抜かされている事実をひしひしと感じ、もはやアヤメをアヤメ足らしめているのは『百蓮』だけであった事に気付く。

 雑魚の足止めを御稜姉妹に任せて、遂に張本人達の喉元まで迫った時、花鳥風月部の話術が始まる。遮る者のいない、的確に事実を叩きつける物言いに、アヤメはそれを一瞬とはいえ認めてしまい、胸の内の醜い感情を吐露する。百鬼夜行内で、いつの間にか存在していたウワサも手伝って、アヤメは百物語となり黄昏へと飲み込まれていく。

 

 ようやく付喪神らを全滅させ、姉妹が追いついた頃にはアヤメが黄昏に飲み込まれたその瞬間であった。我を忘れて、黄昏の中へと右腕を突っ込むナグサ。危険を察知し、姉を黄昏から引き剥がそうとするクユリ。

 

 しかし、その過程で一瞬ではあるが、クユリの全身が黄昏に触れてしまう。百物語と化したアヤメの例の言葉に呆然とするナグサを無理矢理引っ張って撤退した後、遂に黄昏の影響が現れ始めるクユリ。徐々に百物語と化していく拷問じみた痛みにもだえる妹を見て、後悔と自己嫌悪を募らせる姉。

 姉に心配をかけさせまいと『事前に』協力関係を築いていた“悪い大人”の力を借り、百物語化の進行を遅らせる妹。それでもいつかは来る限界を悟り、色彩の襲来によるゴタゴタに乗じていつの間にか失踪してしまう。

 百鬼夜行に、ナグサに迷惑をかけさせまいとして……

 

「ナグサ『さん』なんて、お姉ちゃんじゃない」

 

 

 

 

 

 

 とりあえずの所はこんな感じです。

 

 何故こんなに詳しく予想できるかって?伊達に10年以上一緒に生活してるわけじゃないんですよ。

 まぁ、驚いたことと言えばアヤメさんも『コスプレ』してたことですかね。原作のナグサを知ってるからその違和感に気づけましたが、アヤメはナグサの頼れる幼馴染として完璧を演じてたんですね。ある種の庇護欲を掻き立てられ、“守ってあげてる”事に気づかぬうちに満足を感じていたのでしょう。

 だから、守る対象であるナグサに実力では抜かされていることを自覚した瞬間、ドロリとした感情が蓋を開けるということですね。

 

 俺は花鳥風月部を信頼していますのでね、的確にアヤメを貶してくれるでしょう。

 

 百物語化する種となるウワサも既に流していますから、準備万端!

 後は度々湧く付喪神共を処理しながら、その日が来ることを待つのみです。

 

 

 

 まぁ、失踪後に始まるであろう百花繚乱編の方がメインディッシュなので、このチャートもそこへの布石であり前準備なのが、恐ろしいところです。

 失踪後の行動はまた、まとめて紹介するつもりです。

 

 

 

 えっ?“悪い大人”は誰なんだって?

 いやだな〜もう、あの先生大好きクラブの会長を務める

クックックさんに決まってるじゃないですか〜。

 

 

 

 

✵✵✵✵✵ ✵✵✵✵✵ ✵✵✵✵✵✵✵

 

 

 

 

 

 百鬼夜行連合学院の管轄区に斜陽が降り注ぐ時間。

校舎から帰宅してくる生徒が1日の終わりを感じて、身体の力を抜きながら街道を歩く。チラホラと店仕舞をし始める店舗も現れ、少しばかり寂しさの漂う黄昏時。

 

 そんな中、一つの黒い影がさした。

 

「ふむ、直接足を運ぶのはこれが初めてですが、なかなか趣深い」

 

 和の様式と夕陽が作り出す郷愁を感じさせる景色に、一つ頷く人影。

 

 たかが十数年生きただけの若者には出せない、大人特有の威厳と包括力を持つ声音を発するソレは、皺一つないスーツとネクタイ、シャツをピッチリと着こなし、コツコツと革靴の音を鳴らしながら歩き続ける。

 これだけなら、デキる社会人をイメージするだろうが、顔に当たる部分の異質さがそれを許さない。

 

 漆黒の顔全体に亀裂のような筋が入り、右目にあたるであろう箇所からは、得体のしれないガスのような気体が噴出し続けている。また、口に見える曲線を描いた筋が左右に大きく裂けているのはさながら口裂け女のようだ。少し身振り手振りをすれば、余裕の笑みにも嘲笑しているようにも見えるだろう。

 

 

 辛うじて人と認識出来る容姿の彼は、黒服。

 

 

 そのままじゃないかと言われそうな名前だが、これはとある生徒からつけられてから本人が気に入って以降、自称しているだけにすぎず、本名は恐らく彼自身しか知らない。

 

 そしてヘイローを持たない、先生と同じくキヴォトスの外から来た“大人”であり、研究もしくは探究を志す者の集まり―ゲマトリアの一員でもある。

 

 このキヴォトスでは先生や黒服のような人形の大人は極端に少ない。せいぜいが人形ロボットくらいで、他は猫や犬といった動物がさも人間のように歩いている有様である。

 

 そんな状況だからただでさえ目立つというのに、顔面が異形とくれば、道行く人に奇怪な目で見られるのは必至だろう。

 

 しかし、誰も彼もがそんな素振りを見せない。まるで、黒服などそこにいないようにすれ違っていく。これは、彼の神秘の研究の賜物なのだが、そんなことは知りようもなく、誰にも咎められることなく悠々と目的の人物のもとに歩を進めていった。

 

 

 

 

 

 

「クックック……。ようやくお会いできましたね」

 

 不自然に人払いがされた甘味処、本来なら時折吹くそよ風に撫でられながら甘味を味わうことができる木造の長椅子に一人寂しく腰掛けている少女の姿を確認した黒服は、そう声をかけた。

 

 少し肌寒い夕風に銀髪と僅かに混じる黒髪を靡かせ、物思いにふけっている様子だったその少女は、異形の突然の来訪にも関わらず、スルリと身体をこちらに向けた。

 

 何もアポイントメントも取っていないのに、まるでこうして声をかけられるのを待っていたと言わんばかりの様子に、黒服は彼女への興味を一層引き上げた。

 

 

 

 

 

「改めまして。私のことは『黒服』とでもお呼び下さい、

御稜クユリさん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




アヤメと黄昏に関しては特に独自解釈が多くなります。
原作で正式に公開された時は、この小説は、そういう世界線もあるんだな程度に認識していただければ…
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