自称「平凡だけど、どこか神秘的で儚げな……ただの百鬼夜行の一生徒」の妹による曇らせツアー   作:藍終

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よくある思春期のすれ違い?
密談は碌なことにならないってはっきりわかんだね。


人は見かけによらないって誰が言ったんだっけ…

「こうして直接お会いするのは初めてですよね?」

 

 無事に目的の生徒――御稜クユリと対面できた黒服。

 

 これが初めての相対なのだから何を当たり前のことを…と思われてしまうかもしれないが、いきなりこう問うてしまったのには理由があった。

 

 彼女がこちらを見た時の目だ。

 

 自分で言うのも何だが、異形という言葉が一番当てはまるであろう己の容姿―主に顔面を見て、彼女は怯えるでもなく、さりとて奇怪な視線を送るでもない、一瞬にせよ“想像通りだ”と言わんばかりの納得した目を向けてきたのだ。

 

 これでも汚い大人の世界で生きてきているのだから、人の目や視線から感情を読み取ることには慣れている。

 

 そんな疑問をあちらも読み取ったのか、微笑を浮かべながら意味深に頷いた。

 

「はい、はじめましてで合ってますよ。『コッチ』では」

 

 ――――――あぁ、これはとんでもない逸材に目をつけたのだと、黒服の直感はそう告げていた。

 

 “あらかじめ”用意していたのだろう。2人分の和菓子を手に取り、―見る人が見れば恋愛ストーリーのプロローグとでも勘違いしそうな―儚げな微笑のまま、軽く首を傾げる彼女。

 

「こちらこそはじめまして。百花繚乱紛争調停委員会の御稜クユリです。“これからも”よろしくお願いします」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 華の女子高生と長身スーツ姿の大人。デートと言われればそうも見える…かもしれない状況だが、交わされる会話はデートとはかけ離れていた。

 

「少し気になったんですが…、黒服さんここまでどうやって来れたのですか?」

 

「まぁ、少しばかりの細工はしていますから。私達のこの会合は一切“認識”されませんのでご安心を」

 

 今回、アプローチを仕掛けたのは黒服の方だ。前々から気になっていた存在ではあったため、これより以前に機会を設けようとしてはいたのだが、中々望ましい場の条件が揃わなかった。思えば、今までもあからさまに一人になり、黒服の望む状況を彼女も作り出そうとはしていたように思える。

 それでも、明らかに一生徒にかける労力と時間ではない。

彼も研究を志す者の一人。決して暇ではない。

 ――彼女が普通の生徒であれば。

 

「そうですか、それなら良かったです。私も黒服さんと会っているところを見られると困るので…」

 

「……お姉さんの、御稜ナグサさんですね?」

 

 これまで中々対面できなかった理由として、彼女の姉の御稜ナグサの存在があった。傍から見ればシスコンと言われてもおかしくないほど、常時妹の側に寄り添っているのだ。

 クユリもなんとか一人になろうとしていたのだろうが、多少の長短はあれど直ぐに二人になってしまう。

 今回は運がいいのか、彼女が何かしら策を講じたのか。

どちらにせよこの機会を逃す手はなかった。

 

「はい…、そういうことですから早速、お互い本題に入りましょう。」

 

 やはり、彼女もこちらに用があったらしい。会ったこともないのにこちらを認識し、こちらの望むような状況を作ろうと尽力して誘いかけていたのだ。

 

  ―ますます興味深くなってきた。黒服の昂りに比例して、頭部の黒霧の噴出が激しさを増す。

 

「えぇ、そうすることにしましょう。では、単刀直入に申し上げますが……。御稜クユリさん――――――」

 

「黒服さん――――――」

 

 

 

 

「「私と契約を結びませんか?」」

 

 

 

 

 

✵✵✵✵✵ ✵✵✵✵✵ ✵✵✵✵✵✵✵

 

 

 

 

「………ねぇアヤメ?私、重かったと思う?」

 

「これだけ聞いたら、恋愛関係に悩む青春真っ盛りの美少女なんだけどねぇ〜」

 

 百花繚乱紛争調停委員会の管理する建物の中の一室。

 襖や障子、畳に掛け軸といったこれまた和室の典型のような部屋に二人の生徒が何とも言えない雰囲気を漂わせていた。

 

 片や木目の浮いた長机に突っ伏し、ドンヨリオーラを放っている儚げな少女、片やそんな幼馴染を呆れた様子で眺めている黒髪の少女。

 

 二人が笑顔であれば間違いなく絵になるであろうが、生憎とそんな状況ではないらしい。どちらかといえば、突っ伏している方がこの場の雰囲気の8割を形成していると言っていいだろう。

 

 こんなことになった原因はその日の朝、三人で登校している最中の出来事にあった。

 

         〜〜〜〜〜〜

 

「あの…お姉ちゃん?なんでずっと手を握ってるの?しかも、握り方が…」

 

 自分より少し低い位置から声が聞こえてきて、半ばボーッとしていた意識が引き戻される。

 見ると愛しい妹であるクユリが、上目遣いで苦言を呈している。そんな様子もカワイ……ん゙んッ。本心は心の奥にしまっておいて、私は問われたことに答える。

 

「…だってクユリ、最近一人になろうとすることが多いから。その分をこうやって補充してるだけだよ?」

 

「私はお姉ちゃんの充電器か何かなの…?」

 

「そうだけど?」

 

「即答……」

 

 何を言うかと思えば。愛する妹を日常の充電器にしない姉がどこにいようか。まして、以前より触れ合う時間が少なくなるなら、その分をこうして補填したって何も悪くないはず。

 

「って、そうじゃなくて!どうして…恋人繋ぎなの?」

 

「え?何かおかしかった?」

 

「……ゑ?」

 

 常識外の存在を見るような目でこちらを見てくるクユリ。

 確かに私達は恋人ではなくただの姉妹だが、愛しているという観点からは恋人関係とそう大差ないと思う。だから、特にこの握り方に違和感はなかったのだが…。

 

「……お姉ちゃん。私もう一応高校2年生なんだよ?周りの目もあるし…、一旦離してくれると嬉しいかな。ほら!帰ってからでも十分できるし……」

 

 ここら辺で大人しく引き下がっておけばよかったのだ。

 この時の私は朝方ということも相まって何処か浮かれていたんだと思う。

 だからこの時、クユリがだんだんとうっとおしそうな表情を浮かべていたのにも関わらず、繋いでいた手を引き寄せて抱きしめてしまった。

 

「今じゃないとダメなの。クユリは可愛いから、お姉ちゃんがずっと側にいるからね」

 

「……ッツ!」

 

「クユリ?」

 

 クユリがおかしいことに気づいた頃にはもう手遅れ。

 

 次の瞬間、胸のあたりに突き放すようにドンッと衝撃が走った。

 

「いい加減にしてよッ!!」

 

 

 

 

「………………え?」

 

 朝方の登校する生徒達や、店支度を始める住人らの声で賑やかになる街道には似つかわしくない声が響き、辺りが静寂に包まれる。

 

 私は一瞬遅れて、突き飛ばされたのだと理解した。

 

 当のクユリは、周りの目を気にすることもなく溜まっていた不満をぶちまけるように叫ぶ。

 

「さっきも言ったけど!私はもう高校2年生なの!いつまでもそういう対応するのは恥ずかしいし、私だって一人で居たいことも、やりたいこともある!」

 

「あ………それは…………」

 

 今更、今更になって今までの自らの行いを鑑みた。

 もし立場が逆だったら、例えばアヤメからしつこく付きまとわれたら。そんなことを考えてようやく私は原因がなんなのか悟った。

 

 そして、次のクユリの感情を総括した決定的な言葉が私、ナグサにトドメを刺した。

 

「私はお姉ちゃんの物じゃない!!」

 

 そう吐き捨てて、駆け出していくクユリを私は呆然と見ていることしかできなかった。

 

 騒ぎが収まったことで、街中の喧騒が戻って来る。大抵はすぐに興味を失い立ち去り、事情を察したものは憐れみの視線を向ける。

 

 後ろでこれまで沈黙を貫いてきたアヤメが肩を竦める。

 

「だから言ったじゃんナグサ、シスコンだって」

 

 

         〜〜〜〜〜〜

 

 

「あの子もそういう年だからねぇ〜」

 

 結局の所この一言で全て表せる。いくら今までお姉ちゃん大好きっ子でも、高校2年生といったら思春期真っ盛りの時期だ。家族から距離を置きたがったり、反抗気味になったりするのは至って健全なことなのだ。

 

 クユリは何も悪くない。言うなればナグサがクユリの気持ちに配慮出来なかったのが今回の原因だ。

 

 こういう時は、幼馴染としてやることは決まっている。アヤメは一つ溜息をついて、今だウジウジしているナグサの背中を思い切り叩いた。

 

「ウグッ……!な、何するのアヤメ…」

 

「あんたがいつまでもウジウジしてるから、ちょっと喝入れてあげたんだよ」

 

「…ちょっと?」

 

「いいから!ナグサはこのままでいいの?今回悪いのはどう考えてもナグサなんだから、ちゃんと謝って話し合うべきなんじゃないの?」

 

「それは……そうだけど」

 

 正直ナグサの気持ちもわからなくはない。今までの甘えたがりの態度とは一変して拒絶されたのだから、そのショックに頭がまだ追いついていないのだろう。

 この手の拗れは少し時間をおくのがいいが、今はもう夕方だ。クユリの方も頭は冷えている頃だが、私達がこうして話し合っている間も帰って来る気配はしない。手遅れの事態になる前に和解させるのが無難だ。

 ナグサの羽織を引っ張って引きずるようにして外に連れ出す。

 

「ほ〜らッ!お姉ちゃんなんでしょ!?妹のお世話くらいしてみせなさいなッ!」

 

「あ、ちょっと!」

 

 アヤメから外に連れ出された後、ピシャリと扉を閉められる。しかし、それくらい強引なくらいがナグサにとってはちょうどよかった。

 いつまでも踏ん切りがつかないのは私の悪いところだと自戒したナグサは、ゆっくりと立ち上がり愛する妹を探しに足を踏み出した。

 

「ありがとうアヤメ。ごめんね、許してくれるかわからないけど……。お姉ちゃんが行くから…」

 

 

 ナグサが街へ駆けていく様子を窓から見届けたアヤメは、ふぅと一息ついて物思いにふける。

 

 いつかはこうなるんじゃないかとは薄々思っていたし、第三者の立場だったから冷静にナグサを諭すことが出来たが、もし仮に自分がナグサの立場だとしたらショックで3日は寝込む自信がある。

 ナグサは私を慕ってくれるけど、そんな見上げた存在じゃないことくらい自分がよくわかっている。だけど、今回は、ナグサの頼れる存在になれただろうか。もしかしたら、発破をかけずともナグサは立ち上がったかもしれない。あの子は、儚げな見かけによらず強いから…。

 

 そう考えて、ふと今朝のクユリが思い浮かぶ。予想していたとはいえ、あそこまで大きな声で感情を露わにするとは思わなかった。いつもナグサにくっついて、控えめに笑っていたクユリが……。

 

「人は見かけによらないって本当だね〜」

 

 

 

 

 

✵✵✵✵✵ ✵✵✵✵✵ ✵✵✵✵✵✵✵

 

 

 

 

 

「……なるほど。黒服さんは私のその“神秘”?というのを調べたいから、実験をさせてもらいたい。その許諾を私にしてほしいということですか?」

 

「はい、勿論それなりの対価を提供することを約束致しますよ。無論、そちらの要求次第では多少酷な実験になるかもしれませんが」

 

 黒服の持ちかけた契約の内容は、文面は違えど神秘の探究という目的に関しては、以前他の生徒に持ちかけたものと同じだった。まぁ、その契約は例の先生によって失敗に終わってしまったのだが。

 

「…それは、命を落とす可能性もあるということですか?」

 

「いいえ、それは無いとお約束しましょう。優良な被験体を使い潰すような真似は私のポリシーに反しますので」

 

 そう、どこぞの赤い貴婦人のように生徒を無闇矢鱈と使い潰すなどありえない。契約のルールに則り、あくまで合法的に実利はこちらが多く獲得する。その過程がいかに非道で、グレーゾーンであったとしても。それは卑怯であっても、決して理不尽ではない。

 搾取されないための力と知識がなかっただけの事。そういう“大人のやり方”を黒服は得意としていた。

 

 しかも、この御稜クユリという生徒。明らかに異質な存在であることは最早疑う余地もなかった。

 

 こちらを一方的に認識していたこともそうだが、何より彼女の持つ神秘。これは一目見ただけで異質だと感じた。

 暁のホルスや、ゲヘナの風紀委員長のような圧倒的な強度と量の神秘ではないが、質そのものが悍ましい。

 一歩その力の使い方を誤れば、このキヴォトスという箱庭に甚大な被害を及ぼす可能性を秘めている。

 黒服は神秘について探究し、その輝きがもたらすものを観たいのであって、世界の滅亡を望んでいるわけではないのだ。

 

 だからこそ、彼女を実験対象とすることで神秘の探究とするとともに、このキヴォトスに災厄をもたらすことがないかを見極めることとしたのだった。

 

「わかりました。そういうことなら幾らでも実験して構いませんよ。その代わり私の要求も可能な限り呑んでもらいますが…」

 

 やけにあっさりと承諾したものだと、黒服は思った。こういうときは総じて裏があるか、実験台になること自体にメリットがあるかだが、果たして――

 

「私の要求を聞いてもらううえで、黒服さんに尋ねたいことがあります」

 

「何でしょう?」

 

 

「――黄昏って知ってます?」

 

「……何でしょうかそれは?」

 

 確かに今は黄昏時ではあるが、おそらく彼女が言いたいことは違う。ならば、何かの隠語か或いは――――――

 

「色彩とは似て非なるモノといえばわかりやすいですか?」

 

「ッッッ!?貴方は一体……」

 

 

 言葉を失うとはこういうことを言うのだろう。何故生徒の彼女が色彩の存在を知っているのか。アレは観測することが非常に難しく我々ゲマトリアでさえ現時点では、色彩が到来すればキヴォトスは破滅の一途を辿るということくらい。

 しかし、彼女は明らかに色彩について我々よりも深い知識を持っている口ぶり。

 

 いや、これまでの彼女の言動ももしかしたら―――――――――

 

「クユリさん……貴方はもしかして…」

 

「はい、黒服さんの想像通りだと思いますよ。ゲマトリア風に言うなら“観測者”とでも言いましょうか」

 

――あぁ、人は見かけによらないとはよく言ったものだ。

 

 黒服はこれからの前途多難さを想像し、恥も外聞もなく比喩なしに頭を抱えた。

 

 

 

 

 

 

✵✵✵✵✵ ✵✵✵✵✵ ✵✵✵✵✵✵✵

 

 

 

 

 ―――――――――いない。

 

 

 アヤメから叩き出されてだあの後、ナグサは百鬼夜行の敷地を駆けずり回ってクユリを捜していた。

 心の何処かですぐに見つかるだろうと高を括っていたのかもしれない。

 

 校舎にも、よく行く焼き鳥屋にも、クユリの行きつけの“甘味処”にも…。

 

 陰陽部にもあたってみたが手掛かりすら掴めなかった。

 

「クユリ……、どこにいるの……。お願いだから……」

 

 百花繚乱紛争調停委員会の活動で多少なりとも体力は鍛えていたためか、日が完全に没するまで捜し回っても身体の疲労はそこまでだが、精神の方が先に限界を迎えつつあった。

 

 ――もしかしたら、私のことが本当に嫌いになって…、百鬼夜行の敷地の外に出ていったんじゃ…――

 

 そんな想像が頭をよぎった瞬間、ナグサのこれまで何とか抑えてきた不安や焦りといったものが決壊した。

 

「嫌……ツ。嫌だよッ、クユリィ………。いなくならないで…………」

 

 最早歩く気力すらわかない。流れる涙を拭うこともせず、ただその場に膝をつく。辺りはすっかり暗くなっており、人気も殆ど無いなかで泣き声がひっそりと響くなど、気の弱い人であれば心霊現象かと勘違いしそうな光景ではあるが、ある意味ソレよりも恐ろしい事態になりつつあった。

 

 

 ――何が、愛する妹だ。

 

 自分の欲望を一方的に押し付けて、縛り付けることを愛?

 巫山戯るのも大概にしろ。

 

 ――何が、百花繚乱紛争調停委員会の副委員長だ。

 

 自分の家族すら捜し出せない、アヤメの陰に隠れていただけの無能のくせに。

 

 

 

 ――――――何が、お姉ちゃんだ。

 

 

 自分の中のナニカが黒く染まっていくのを感じるが、それを止めることは出来ない。ナグサは気付くわけもないが、この時のナグサの周囲には明らかに不自然な“黒の花”が幾つも咲き誇ろうとしていた。

 

 自己嫌悪につぐ自己否定の繰り返し。このキヴォトスの生徒にとっては劇毒となるその行為が、ナグサを飲み込もうとした時――――――

 

 

 ――おね――ゃん――だ――すき―――らッ!

 

 

 妹の声が聞こえた気がして、ハッとすると同時に辺りを急いで見渡す。

 

 いつの間にか例の甘味処まで戻ってきていたのだろう。見慣れた風景が広がっているが、そこには当然妹の姿はない。

 

 遂に幻聴まで聞こえるようになったのかと、改めて己の醜さに呆れ、負のループを繰り返そうとするナグサ。

 

 しかし、運命の導きか悪戯か。ナグサのポケットから着信を知らせる振動が、またしてもナグサを引き戻した。

 

 電話の相手はアヤメからだった。どうやらあまりにも帰り若しくは連絡が遅いので心配になってかけてきたらしい。

 

 どうしたのか、何かあったのかと聞いてくる幼馴染に、ナグサは堪らず助けを求める。

 

「アヤメッ……。クユリが、何処にもいないのッ……。何処にも!…………………助けて、お願い……ッ」

 

「………マジか…。わかった!キキョウ達にも一緒に捜してもらうから、ナグサも諦めないで!」

 

 ナグサの嗚咽を隠そうともしない声がスマホ越しに聞こえてきて、想像した最悪の事態が訪れてしまったことを察したアヤメは準備を整えながらナグサを励ます。

 同時並行で別の端末で後輩のキキョウ達に一斉メールで連絡を取る。すると、二つ返事で了承の意のメールが返ってきた。日も落ちているというのに、頼れる後輩達を持ったものだとしみじみとしていると…。

 

「でも、もう……。クユリはきっと……」

 

「馬鹿言わないでナグサ!!お姉ちゃんが妹のことを信じてやらないでどうするっていうの!?」

 

「っあ……そ、それは…………」

 

「あぁもう!ナグサ、今どこにいるの!?」

 

「え?か、甘味処…。クユリの行きつけの」

 

「わかった!すぐそっちに行くから、一緒に捜すよ!」

 

「う、うん…」

 

 半ば強引に話をつけ電話を切る。下足を履くのももどかしく、甘味処へと駆け出すアヤメ。今朝の出来事をクユリのためを思って傍観していた私にも責任はある。何より今のナグサを一人にするのは危険だと直感は告げていた。

 

 

 

 

 

 甘味処で無事に合流した二人。座り込んでいたナグサを引き起こし、再び捜索を開始する。

 

 

 

 

 二人が去った跡には、開花寸前だった黒い花が崩れかけていたが、視野の狭窄していた二人が気づくわけもなく、流れていく黒い塵は静かに、しかし確たる意志をもって直ぐ側の長椅子の誰も座っていない空間に吸い込まれていった。

 

 

 




評価バーに色が…!( ゚д゚)→(つд⊂)ゴシゴシ→( ゚д゚)

ちょっと詰め込みすぎたかも?
次回は、クユリの要求と、曇りのち晴れの予定です。
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