自称「平凡だけど、どこか神秘的で儚げな……ただの百鬼夜行の一生徒」の妹による曇らせツアー   作:藍終

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レンゲ先輩回です。

ユカリの心ポキポキターンがまわってきます。
みんなの心に御稜クユリ。一家に一台、いかがです?

最後は、ちょっと意外な縁が……?




離れゆく想い〜赫〜

 

「ふんふふんふん〜♪」

 

 

 誰がどう見ても、ご機嫌のよろしいことで……と苦笑するような鼻歌を奏でながら、スキップ混じりに街中を進むユカリ。

 

 いかにも、ルンルンというオノマトペが似合いそうな彼女の様子には相応の理由があった。

 

 

「陰陽部……それにシャーレの先生からもお力添えをいただけるのなら、勝利は約束されたも同然です!ここからはユカリ快進撃の始まりですの〜!!」

 

 ……そう、少し前まで陰陽部の屋敷にいた私たち。

 

 忍術研究部が謎のエージェント扱いになっていたり、百花繚乱には下剋上上等の制度がある事を知ったり、とユカリが乱入してきてから話はトントン拍子に――というよりも濁流のように進んでいった。  

 

 そんなあまりの急展開に半ば置いていかれ気味だった私も、取り敢えずの目標を把握することは出来ていた。

 

 なんでもユカリやニヤによると、百花繚乱式下剋上制度……もとい“継承戦”には、公平性を担保するために外部から一人、そして百花繚乱幹部から一人ずつ立会人が必要とのこと。

 

 そこで、外部の立会人はシャーレとして私が担当することになり、さらに代々立会人を務めてきた陰陽部の代表として、カホも来てくれることとなった。

 

 ニヤはサボっていた分の業務が嵩んでいるとか何とかで立ち会えないと話していた。

 

 その時のニヤの様子に、僅かな違和感を覚えなくもなかった……けれども、あまり心内に踏み込みすぎるのもよろしくないと思い、気にすることはなかった。

 

 ……というわけで、残るは肝心のもう一人の立会人――基準が正しいかを判断するための百花繚乱の幹部。

 

 その一人を見つけるために、心当たりがあるらしいユカリに同伴する形で、こうして百鬼夜行の街中を歩いているのだけれど――

 

 

“ねえユカリ、百花繚乱ってどんな委員会なの?”

 

「へ……?どんな、と申しますと……」

 

“継承戦の前に、百花繚乱がどんな委員会なのかちゃんと知っておきたくて。”

 

「なるほど、たしかに……」

 

 継承戦という正式な行事に関わる以上、生半可な気持ちで臨むわけにはいかない。

 

 クユリの事もあって――ニヤの言う噂は一応心に留めてはいるものの、信じるつもりは毛頭ない――今後、百花繚乱に深く関わっていくためにも、部員であるユカリの口からその実態を聞いておきたかった。

 

 そんな私の考えをユカリも汲み取ったらしく、納得の頷きを返した……までは良かったのだが……。

 

 

「ううむ…………」

 

 何か言い辛い事でもあるのか、黙り込んでしまう様子を見て、私はあたふたと両手を振った。

 

 

“あっ、もちろん無理にとは……!”

 

 思えば、クユリについて尋ねたときも、ユカリは話し辛そうにしていた。

 もしかしたら、百花繚乱そのものがデリケートな話題なのかもしれない。

 

 そんな私の心配の念は――

 

 

「ふふっ、いえ!百花繚乱いちのえり〜とであるこの身共にお任せください!」

 

 ――よくぞ聞いてくれた!と言わんばかりに目を輝かせる彼女によって、すぐさま杞憂と化した。

 

 

「百花繚乱……正式名称は、百花繚乱紛争調停委員会。身共の口から言うのは少々照れくさくもありますが……百鬼夜行連合学院の中でも、優秀なえり〜とだけを集めた委員会ですのよ」

 

 何処からともなく取り出した本の頁を繰りながら、余程委員会に興味を持たれたことが嬉しかったのか、嬉々として語り続けていく。

 

 

「その成り立ちは、百鬼夜行が連合ではなかった時代にまで遡るほど由緒ある委員会で……。主な活動は学院内で発生した派閥・委員会同士の対立や紛争の仲裁です」

 

“風紀委員会みたいなものなんだね。”

 

 流石に、治安という文字から最も遠いゲヘナほど過酷ではないにしろ……重要かつ大変な役割だ。

 

 ――ヒナ、シナシナになってないといいけど……。

 

 

「ええ。“大預言者”から問題児の逮捕や教導く役割を任されたのも事実ですが……。身共たちが一番大切にしているのは、罰を下したり導くことではなく、仲裁です。連合内で発生する対立のほとんどは、両者に非があります。なので、お互いの思いをくみ取って架け橋となり、納得できるように仲裁する。

 

 ――それが、身共たちの役割です」

 

 そこまで言い切って、ふぅと一息つくユカリ。

 

 まさしく理想的な治安維持組織というところか。

 

 逆に考えれば、こんなに良い組織が必要にならなくなることは早々ないはず。

 ますます、解散令を出した理由が気になってきた。

 

 

“……とても、大変そうだけど。”

 

「大変なこともありますが、だからこそ皆様の助けとなれるのですわ!ゆえに身共は、百花繚乱をとっても誇らしく思うのです!」

 

 よくある額面上、建前だけの決まり文句ではなく、心からそう思っていることがひしひしと伝わってきて、不本意ながら我が娘を見るような穏やかな気持ちになってしまった。

 

 

“ユカリは本当に、百花繚乱が好きなんだね。”

 

「ええ!百花繚乱は――身共にとって、憧れの存在ですから」

 

 

 そこからユカリは懐かしむように目を細め、百花繚乱に助けられた思い出を語り始めた。

 

 とある日、金魚すくいのポイがしょぼいとイチャモンをつけて迷惑をかけているチンピラを咎めたこと。

 逆上したチンピラ集団にあわや袋叩きにあいそうになったこと。

 

 そこに颯爽駆けつけてくれたナグサに助けてもらったこと。

 それがきっかけで、百花繚乱に入りたいと思ったことを……。

 

 そして――回顧の念にとらわれて半ば無意識だったのかもしれない――クユリとの出来事についてもユカリは紡いでいった。

 

 

「本日、先生に助けていただいた事がありましたでしょう?実は身共、同じような状況に遭遇しておりまして……」

 

“……そういえばたしか、以前にも財布を盗んだとか言ってたよね。”

 

 もしかしたらあれは、ユカリの咄嗟の機転だったかもしれないと思っていたのだが、どうやらちゃんと言葉通りらしかった。

 

 

「はい。身共は今も昔も変わりませんから、見て見ぬ振りなどできず……それ自体後悔などしておりませんが、圧をかけられて身共は竦んでしまいました……」

 

“……そこで、クユリが助けに来てくれたんだ。”

 

 話の流れ的にそうなのではないかと感じていたが、果たして――

 

 

「ええ!その通りですの!目にも留まらぬ速度で一閃!でしたの。お姿が似ていらしたので、ナグサ先輩と勘違いしてしまったこともありましたが……。ともかく、身共が今回の騒動で動けたのは、クユリ先輩のおかげでもあるのです」

 

 ぴょんぴょんと子犬のように飛び跳ねる言葉の節々から、ユカリの純な憧れがこれでもかと溢れてくる。

 

 たしかに、ユカリは偶然とはいえ、御稜姉妹に助けられたことになるのだ。

 

 私がユカリの立場でも惚れ込んでいたのは想像に難くない。

 

 

「身共が、初めて自ら選択した居場所……身共もいつかは、先輩方のように……。こ、こほん!ともかく、身共は今の百花繚乱を放ってはおけないと強く思ったのです!」

 

 話が逸れかけていると感じたらしい彼女は、ふと我に返ったようにやや語気を強めた。

 

 ――私としては、いくらでも話してもらって構わなかったのだけれど……。

 

 

「また、あの頃のような……百花繚乱を取り戻したくて。えり〜とである身共の手で継承戦に勝利し、委員長としての資格を手に入れてみせますの!」

 

 そう考えていると、どうやらここでその結論に結びついたようだった。

 

 もとより、他ならぬ生徒からのお願いなのだから断る選択肢などなかった。

 

 けれども、ユカリの話を聞いて、より百花繚乱に向ける思いが固まってきた気がする。

 

 クユリをはじめ、解散令についても解決できるトラブルがあるのなら、出来る限り助力してあげたい。

 

 そう志を新たにする過程で、新たな疑問も湧いてでてくることになる。

 

 

“そういえば、証を受け取るって言ってたよね。証って具体的にどういうものなの?”

 

「そうですね……。百花繚乱の委員長には代々、大預言者から継承される“資格の証”というものがございまして……。その証を引き継いだ者が、委員長の座につけると言われているのです。継承戦はそれを継承するための行事、なのだそうです!」

 

 陰陽部の屋敷の時も感じた疑問を尋ねてみる。

 やはり、証明書とか……或いはバッジのようなものなのかな、と考えていると――

 

 

「証を実際に目にしたことは……ありませんが」

 

“あ、実際に見たことはないんだね。”

 

 軽くずっこけてみると、ユカリは困ったように笑いながら、中々衝撃的な一言を口にした。

 

 

「はい……身共が入ってからは目にする機会がなく……。ですが、証がどのような物なのかは、百花繚乱の広報用サイトで見られますので……」

 

“広報用サイトまであるんだ……。”

 

 古風な雰囲気とは裏腹に、しっかりと現代技術を活用しているらしい。

 

 勝手に感心するのも束の間、ユカリがスマホの画面を私に向けてきた。

 

 

「証は……こちらですわ!」

 

 そこにはなんと、堅苦しい書類でもなく、弁護士や検察官みたいなバッジでもなく――

 

 

“これは、銃……?”

 

 銃社会キヴォトス面全開の“証”が、そこには表示されていた。

 

 

「ええ、そうですの。代々の委員長だけが手にできる、大預言者クズノハから引き継がれた……『幽霊を捕らえることができる銃』ですの!」

 

“幽霊を捕らえる……?銃……?”

 

 オカルティックな方向へ急旋回し始める情報に、私はオウム返しするしかなかった。

 

 情けなくぽかんとする私を面白がるように、ユカリはくすくすと笑う。

 

 

「ふふっ、驚くのも無理はありません。“百花繚乱の委員長はクズノハ様と会える”というお話と――“百花繚乱の委員長は、幽霊を捕らえられる!”というお話は、百花繚乱でも一部の者しか知らない、極秘事項なのですから!」

 

“……それって、もはや都市伝説では……?”

 

 いや、同じく都市伝説めいた花鳥風月部も実在するらしいし、あながち間違ってはいない……のか?

 

 現実味のない話に思わずそう口に出してしまうと、ユカリは、心外だ!という様子で仰け反った。

 

 

「な、なんて事を仰るのですか……!?そんな……ひどいですの!委員長に受け継がれる特別な銃……これほど心躍るお話は他にありませんのに!」

 

“う、うん………。”

 

「まぁ……あくまでも伝聞ですので、結局のところ噂です。ただ、身共が継承戦で無事に勝利し、その銃を手にできたら……」

 

“……出来たら……?”

 

「――夜道も怖くありませんわ!」

 

“あっ……うん、そうだね。良い目標だと思うよ、うん…。”

 

 

 天然……とはまた違う、純粋すぎるドヤ顔を決めたユカリに、私はカクカクと頷くことしか出来なかった。

 

 

 

 

 

 そんな雑談を交えつつ、ユカリについていく最中も、私はニヤに頼まれた通り不審な人物がいないかを、それとなくチェックしていた。

 

 とはいえ、一大イベント開催直前という事もあってどこもかしこも人混みでごった返していた。

 

 そもそも花鳥風月部が何を仕掛けてくるか未知数なため、注視しようもないのだけれど……。

 

 やがて両目を動かし続けて、人酔いを起こし始めた気配を察知した私は、気分転換もかねてユカリに目的地を尋ねてみることにした。

 

 

“ユカリ、継承戦に私は立ち会うとして…。百花繚乱のメンバーの方は心当たりはあるの?”

 

 すると、やや前を歩いていた彼女の長髪がふわりと翻る。

 

 

「ええ、二人ほど心当たりがありますわ。百花繚乱の切り込み隊長、レンゲ先輩。そして、寡黙な参謀として活躍されていたキキョウ先輩。お二人はナグサ先輩の失踪時に、一番腹を立てておりましたので……きっと力になってくださります!」

 

“その二人は今、どこに居るんだろう?”

 

「んー……キキョウ先輩なら、百花繚乱の調停室にいると思いますが……。ここからでしたら、レンゲ先輩のご自宅が近いので向かっておりますのよ。あ……そう話していたら」

 

 気づけば百鬼夜行の居住区だったらしく、足を止めると、とある一軒家が目の前に建っていた。

 何の変哲もない、ただの木造住宅。

 

 ユカリにとっては慣れたことなのだろう。

 そのままの勢いで玄関口に走っていき、軽く戸を叩いた。

 

 

「ごきげんよう、レンゲ先輩!ユカリですの!」

 

 

“……反応がないね。”

 

 返ってきたのは、し〜んという音が何処からともなく聞こえてきそうな静寂だけ。

 

 留守なのかな?と思い、同時にそういうこともあると納得しかけた時だった。

 

 何気なく見渡した視界の中に一枚、さっきまで気が付かなかった張り紙が目に入った。

 

 

“待ってユカリ、何か張り紙が……”

 

「張り紙……?ええと、どれどれ……」

 

 雑にテープで固定されたそれを慎重に引き剥がし、文面に目を落とすユカリを見守っていると……。

 

 

「…………はい?」

 

 あまりの驚きに裏返った声を発するユカリ。

 

 何か不穏な事でも書かれていた……というよりは、本当に意味が分からないという反応だった。

 

 

“なんて書いてあったの?”

 

「えっと、その……。こちらですわ」

 

 戸惑った表情のユカリから渡された紙にさっと目を通す。

 

 

『アタシに用があるヤツへ

 

 

 青春を取り戻す旅に行ってくる!

 

 しばらく帰ってくる予定はない!』

 

 

“………………んん?”

 

 

 ……何だかとっても、癖の強そうな子な気がする。

 

 まだ見ぬレンゲという名の生徒のイメージが勝手に作り上げられていき、この先一筋縄では行かない予感をひしひしと感じざるを得なかった。

 

 

 

 

 

✵✵✵✵✵ ✵✵✵✵✵

 

 

 

「ヤッベ……ちょっと目を離したらすぐこれだよ。やっぱ祭りが近いと人多いなぁ……」

 

 ガシガシと頭を掻きながら、資材の運搬やら屋台の準備やらで入り乱れる人波をアタシはゆっくりと進んでいく。

 

 ついさっきまで、青春探しの旅の一環として修行部に体験入部をし、一緒に巡回を行っていたのに……。

 

 きっかけなんて些細も些細。

 

 忙しなく行き交う人や屋台を眺めていると、ふと……記憶の水底から、かつての懐かしい憧憬が泡のように浮き上がってきたからだった。

 

 百花繚乱“だった”頃も、同じようにお祭りを荒らすような輩――主に、魑魅一座とか魑魅一座とか――を取り締まるために、警備活動をしたものだ。

 

 ほぼ毎回、懲りずに現れる魑魅一座を恒例行事のように撃退し、その他揉め事があれば仲裁して――。

 

 そんな事をしていたら、大抵は気づけば日が暮れていて、提灯の明かりが幻想的に輝いていたりする。

 

 そこまでいけば、アタシたちの仕事も大詰め。

 

 普段から、鍛錬鍛錬……月月火水木金金で、碌な学生らしい青春を過ごせない中での、数少ない青春。

 

 他愛もない会話に華を咲かせて、目についた屋台で焼き鳥とか焼きそばとか、フランクフルトとか……適当な食べ物片手に、他愛もない会話に華を咲かせるのだ。

 

 

『ナグサ先輩……あんた、それ何本目……?』

 

『んぐっ……?えっと、たしか―――』

 

『お姉ちゃん、それで十本目だよ……』

 

『……はぁ?』

 

『ははっ!ナグサ先輩の焼き鳥好きは今に始まったことじゃないだろ?』

 

『好きなものを極めんとする姿勢……身共は感動しておりますわ!』

 

『……いつかほんとに、焼き鳥を焼く側になりそうね……。ナグサ先輩』

 

 

 腹が満ち、手元も空けば次は―――

 

 

『――っし!クユリ、あそこの金魚すくいでアタシと勝負だ!』

 

『金魚すくいかぁ……。それならまだ勝ち目はあるかな…?前に射的やったときなんかは……』

 

『お得意の制圧範囲攻撃で、まとめて撃ち落としたんだよね』

 

『あれは、私も同情したよ。射的の趣旨もへったくれもないじゃない……。何気、あまりに理不尽すぎて、クユリは泣きそうだったし。ナグサ先輩を止めるの、大変だったんだから……』

 

『何事にも全力を尽くす!それがアタシの信念だからな!そうと決まれば、おっちゃん!一回やらせてくれ!』

 

『……やるからには、勝つ気でいくからね!』

 

 

       

 

 

『負け……たぁ……』

 

『よっしゃ!戦闘では勝てなくても、お祭り行事なら勝てる!』

 

『……レンゲは一度処さないといけないかな…?』

 

『まぁまぁ、落ち着いて。この私、百花繚乱委員長の七稜アヤメが仇を取ってしんぜよう!』

 

『おっ!相手にとって不足なし!屋台の継承戦、いざ尋常に勝負!』

 

 

 

『――んなのアリかよ……。やっぱアヤメ先輩には勝てないかぁ……』

 

『ふふん!この私に勝とうなど、百万年早いわぁ!』

 

『流石アヤメだね。ポイが破れても、外枠だけで金魚を掬っちゃうなんて……』

 

『屋台のおじさんも唖然としてましたわ!』

 

 

 お祭りの終盤は、腹に響くような音とともに開花する花火を見上げて締める。

 

 

『――こんな青春がいつまでも続けばなぁ……』

 

『どうしたの?レンゲ。あんたらしくもない…、しんみりとした顔して』

 

『なっ!別にいいだろ、たまには!』

 

『おやおや〜?そんなに私に負けたのが悔しいので?』

 

『勘弁してくださいよ……アヤメ先輩』

 

『ふふっ。アヤメが言いたいのは、レンゲは元気過ぎるくらいが丁度いいってことだと思うよ』

 

『うん、私もそう思うかな。切り込み隊長様がそんなんじゃ、士気も下がるってものだし』

 

『そういうことですの!』

 

 

 こんな幸せがいつまでも続くと……昔の私は呑気に考えていたんだろう。

 

 それが今はどうだ?

 

 委員長も副委員長も居なくなって、全体の士気はだだ下がり。キキョウに至っては、思い出すのも腹立たしいあの推測を信じて――そして、あろうことか、ナグサ先輩もそれを認めたというのが、アタシには受け入れられなかった。

 

 しかも、それを裏付けるようにクユリは一向に帰ってこない。

 以前に、置き手紙を残していなくなった時とはわけが違うと、嫌でも現実を突きつけてくる。

 

 もう、あの頃の百花繚乱は戻ってこないのだと。

 

 

「――あ〜っくそ!余計な事ばかり考えるな!とりあえず、修行部のみんなを探して――」

 

 迫ってくる過去から目を背けて、逃げるように思考を切り替えようとしたその瞬間だった。

 

 何の前触れもなく、爆発音が街道に轟いた。

 

 

「なんだなんだ!?こんな時に……」

 

 黒煙が立ち昇っている場所はここからそう遠くなく、駆ければ数分といったところ。

 

 それを認識した時には、身体は勝手に動いていた。

 

 百花繚乱の頃の習慣か、青春活動を邪魔されることへの八つ当たりか。

 

 何かに駆られるように走ったその先には、もうもうと上がる爆煙に紛れた人影が大勢立っていた。

 

 一番近いやつは……よく見なくてもわかる。魑魅一座だ。

 しかもリーダー格のアラタとかいうやつもいる。

 また懲りずに、お祭り会場を荒らしに来たらしい。

 

 そして、その魑魅一座と対峙しているのは――春日ツバキ部長に、水羽ミモリに勇美カエデ……探していた修行部のメンバーだった。

 

 あと二人分の人影はここからではよく見えないものの、荒事なのは間違いない。

 

 今のアタシは百花繚乱ではない……けれど、仮修行部としても一人の生徒としても見過ごすことは出来なかった。

 

 偶然にも背後を取る形になったのを利用して、不意から五人程を一息に撃ち倒す。

 

 

「なっ!だっ、誰だ!」

 

 アラタたちが一斉にこちらを振り向く。

 

 余裕を持って装填しながら歩を進め、互いの顔がはっきり見える距離で対峙する。

 

 ――今のアタシは、ちょっとばかし気が立ってるんだ。

 

 

「ちょっと目を話した隙に、何の騒ぎかと思えば……それ以上暴れるってんなら、覚悟はできてるな」

 

 ――お前らに罪はねぇ……いや、あるか。けど、八つ当たりはさせてもらうよ。

 

 

「アタシの青春活動を邪魔する気なら、この不破レンゲが相手になってやる」

 

 一瞬、アタシの名を呼ぶ懐かしい声が聞こえた気もするが、それには目もくれずに、蹂躙を果たすべく集団の中に切り込んでいった。

 

 

 

✵✵✵✵✵ ✵✵✵✵✵

 

 

「……レンゲ先輩!?」

 

 ユカリがそう呼んだ人物――突如として現れ、修行部とともに魑魅一座と戦い始めた赤髪の少女がどうやら、先まで探していたレンゲという生徒らしかった。

 

 その暴れっぷりたるや凄まじく、火を噴くような攻撃の数々が魑魅一座を薙ぎ払っていき、最終的にはほとんど一人で制圧しきってしまっていた。

 

 

「く、くそっ……!!い、今に見てろよ百花繚乱め!!」

 

 小悪党らしいセリフを、泣きべそとともに吐きながら撤退していく魑魅一座。

 

 その小さな背中にカエデの甲高い声が追い打ちをかける。

 

 

「ふんっ!私たちを甘く見るとこうなるんだから!」

 

“みんな大丈夫?怪我はない?”

 

 念の為、ユカリや修行部のみんなに確認をとってみるも、彼女たちはぴんぴんしているようだったのは一目見てわかった。

 

 

「わ、私は大丈夫です。カエデちゃんとツバキちゃんは……?」

 

「うん!全然平気!」

 

「私もだいじょうぶ〜」

 

「身共も無事ですの!修行部の皆様の流れるような連携……すごかったです!そして――」

 

 ユカリはそこで言葉を切り、件の先輩へと向き直った。

 

 

「流石はレンゲ先輩!素晴らしいご活躍ですわ!」

 

 一方、レンゲと呼ばれる少女はそこで初めてユカリに気がついたのか、へっ?と素っ頓狂な声を上げた。

 

 

「……あれ?………ユカリ?なんでここにいるんだ?」

 

「身共はレンゲ先輩を探して、文化部を回っていたのです!ですが、まさか修行部の皆様とご一緒だったとは……」

 

 そう、あの謎の置き手紙を読んだ後、過去の発言から文化部の何処かにいるのではと見当をつけて探し回っていたその途中だった。

 

 カホからまとめてもらったリストをもとに、クロレラ観察部やら多面指し将棋部やらを回っているうちに、レンゲの全力かつ破天荒な行動をよく耳にしたけれど……。

 

 確かに考えてみれば、文化系の部活に修行部も含まれる……かもしれない。

 

 そのユカリの呟きに、ミモリたちがわけを話してくれる。

 

 

「レンゲちゃんは、以前から修行部を体験してみたいと言っていたので」

 

「ふぁああ〜……それで今……体験入部中、なの……すぅ……」

 

「これはアレだ!私が撮った修行部の宣伝映像が役に立ったってことだね!」

 

「お二人はお知り合いだったんですね。そういえば、同じ水色の羽織……」

 

 ミモリの視線を辿ると確かに、レンゲもユカリと同じ羽織を身に纏っていた。

 

 

「あ!本当だ!レンゲ先輩も百花繚乱なの?」

 

「あぁ……そう、だよ。いや、隠そうとしてたわけではないんだけど……」

 

 どこかぎこちない、絞り出すような声に首を傾げる。

 

 私の直感では、ただの気まずさ、では片付かないような感情が見え隠れしているような気がしてならなかった。

 

 

「青春活動のために様々な部活の体験入部をされているのですよね?」

 

「ま、待て。ユカリ、なんでそれを……!」

 

「レンゲ先輩を探すためにご自宅に伺いまして、そこの張り紙に――」

 

 すると、ユカリはなんの気負いもなく、張り紙の内容を白昼街道の中心で、大声で話し始めてしまう。

 

 年頃の……若気の至りで張り紙を貼ったのだとしたら、それを路上で公開されるなどどんな処刑だろう。

 

 私だったら到底耐えられる気がしない。

 

 青春!青春!と連呼されるレンゲの心境を察して、私は心のなかで合掌した。

 

 

「ちょっ……まっ…!そんなに連呼しないでくれ!誰だってそういう置き手紙を残したくなる時があるだろ……」

 

 頬を赤く染めてそう呟くレンゲに、私は深く頷いた。

 

 見て欲しいけど、それを大っぴらに公開されるのは恥ずかしいっていう、思春期特有のアレだ。

 

 ――レンゲ、私はそういうのも青春だと思うよ…。

 

 そんな風にしみじみと己の過去を照らし合わせながら、感慨に耽っていると、レンゲはレンゲで吹っ切れたようだった。

 

 

「……そうだよ。ユカリの言う通り、アタシは青春を送るために修行部に入ったんだ。今までの鍛錬の日々で失ってきた青春を……アタシの青春を取り戻すために!……だからユカリ、なんでアタシを探してるのかは知らないけどもう決めたんだ。今日のところは大人しく帰っ――」

 

「修行部での青春活動がどのようなものなのか、身共も気になりますわ!」

 

「アタシの話、ちゃんと聞いてたか!?」

 

 ……それも、ユカリの無邪気な猪突猛進ぶりに粉砕されたようだった。

 

 それから、ユカリとレンゲのやり取りを黙って見守っていれば、レンゲは“熟睡レディーファイター”なるものを目指しているという、新たな黒歴史を自白する羽目になっていたりと……一言で言えば、面白い会話が溢れてきていた。

 

 これ以上喋っていては傷口が広がるだけと判断したのか、レンゲは大きな咳払いとともに話題を強引に切り替えた。

 

 

「そ、それより!アタシに何か用なのか?」

 

「……へ?」

 

「へ、じゃないだろ……。そもそも、百花繚乱の活動は休止中だろ?それに、ユカリは今お祭りの準備で一番忙しいんじゃ……」

 

「わーわー!!!」

 

 レンゲがそう言いかけると、ユカリはこれまたベターな身振り手振りで遮りの声を挟んだ。

 

 ――何か聞かれたくないことでもあるのかな?

 

 修行部と私が目をパチクリさせる中、ユカリも咳払いをし、レンゲをまっすぐに見据えた。

 

 

「こほんっ!レンゲ先輩を探していたのにはもちろん理由がありますの。身共はこれより、ナグサ先輩に百花繚乱継承戦を申し込もうと思っております。ですから……レンゲ先輩のお力をお借りしたいのです!」

 

「………は?継承戦?一体……どういうつもりだ?」

 

 先程までの和気藹々?とした雰囲気は一変して、固く刺々しい冷気に包まれていく。

 

 主にそれはレンゲから放たれていて、一段低くなった声色からは少なくとも好意的な感情は感じられない。

 

 言葉に詰まってしまったユカリの隣に立ち、レンゲと初めて言葉を交わす。

 

 

「……あんたは?」

 

“はじめまして。シャーレの先生……って言ったらわかるかな?”

 

「あぁ……あの噂の…。それで?」

 

“私からも説明しようと思ってね。”

 

 陰陽部であったこと、委員長になって百花繚乱の現状を打破し、クユリを含む全ての問題を解決してみせるというユカリの考えを話す。

 

 

「――クユリ先輩はまだ、情報はありませんが……。少なくとも、ナグサ先輩は大雪原におりました……!ですから、身共は百花繚乱を元に戻すべく、継承戦でナグサ先輩を倒し――委員長の座を受け継いでみせますの!」

 

 意気揚々と語るユカリとは対照的に、レンゲは何も返さない。

 

 唖然とした表情で、こちらを見つめている様子は……まるで、子供の根拠のない夢物語を聞いているような感じだった。

 

 心底、呆れているような……冷たい視線。

 

 ユカリはそれにも気づかず、レンゲに手を差し伸べる。

 

 

「レンゲ先輩、一緒に帰りましょう。キキョウ先輩のいる百花繚乱に!そして継承戦の証人として―――」

 

「ユカリ……。お前はまだ……まだそんな―――

 

 

 

 

 

 ――そんな戯言を言ってるのか」

 

 

 私の直感は、どうやら当たってしまったらしかった。

 

 

「……えっ」

 

「お前も知っての通り、百花繚乱にはすでに解散令が出されている。キキョウ自ら、参謀の権限を使って決断したんだ」

 

「そんな……百花繚乱が解散令を……?えっと、それは……」

 

“ミモリ、これにはちょっと複雑な事情があって……”

 

 何も知るはずのないミモリをはじめ、修行部にはそう言う他ない。

 

 そんな私たちを傍目に、二人の熱量はさらにヒートアップしていった。

 

 

「そんな……そんなはずありませんわ!解散令など、実は全て間違いで……!」

 

「間違いなんかじゃない。思えば、アヤメ委員長が姿を消したあの日から……いつかはこうなる運命だったんだよ。ユカリも何となく感じてたんじゃないか?ナグサ先輩やクユリも

大怪我を負って、二人とも後を追うように居なくなって……しまいには……」

 

「………!」

 

「座を受け継ぐべきナグサ先輩は、残されたアタシたちには目もくれずに消えてしまった。あの時点で、百花繚乱は終わってたんだ」

 

「そんなこと……ありませんわ!」

 

 ユカリにも思い当たることはあったのか、どもりながらも、必死に言い返していく様子はついさっきまでとは真逆の構図だった。

 

 

「そ、それに……レンゲ先輩ご自身が、百花繚乱はまだ終わっていないと証明してくださってじゃないですか!先程の魑魅一座との戦闘……あれは、百花繚乱としての責任を……」

 

「それはユカリの勘違いだ。あれはアタシの青春を邪魔しようとしたヤツらをしばいただけ。アタシはアタシのために戦った」

 

「レンゲちゃん……」

 

 すっぱりと否定の刀を振り下ろすレンゲの言い様に、修行部の面々も眦を下げる。

 

 

「そ、それでは……百花繚乱がいなくなってしまったら、百鬼夜行の平和は……」

 

「ハッ……それこそ自惚れだったんだよ」

 

“どういうこと……?”

 

 ついに我慢しきれなくなった私は疑問の声を投げる。

 

 ギロリとこちらを睨みつけたレンゲだったが、肩をすくめて続きを語り始める。

 

 

「空が赤くなった日の事を覚えてるか?百鬼夜行がめちゃくちゃになった時、委員長も副委員長も不在のアタシたちは、目の前の人を助けるだけで手一杯で……それ以上何も出来なかった。キキョウも必死に指示を出して対応した結果、後から分かったのは、助けられたのは人口の二割にも満たないってこと」

 

“……それは……”

 

 この人口の多い百鬼夜行でそれだけ出来たのなら十分。

 

 そう言いかけた言葉はすぐさま遮られた。

 

 

「十分だって、よくやったってか?……あんたがそれを言うなんてな。先生ならわかるだろ。百花繚乱がいなくたって問題は解決した。――百鬼夜行に、百花繚乱は必要ない。委員長が居なかろうが、副委員長が居なかろうが……解散したところで何一つ変わりゃしない」

 

 悲痛な独白は、この一言で締めくくられた……ように思えた。

 

 

「――とまあ、長々と語ってきたのは、たぶんほんの一部の理由にすぎない。実際のところは――

 

 

 

 ――ナグサ先輩がクユリを殺したことが理由だろうな」

 

「――っ!?そ、それは……!」

 

「レンゲ……ちゃん……?」

 

“レンゲ、それはただの噂なんじゃ……”

 

 一同が動揺するのもお構い無しに、せきを切ったようにレンゲの言葉は次々と詳細を詳らかにしていく。

 

 

「……アタシも信じたくはなかったさ。でも、他ならぬキキョウが言ったんだよ。物証もあるし、状況も動機も見当がつく。何より……ナグサ先輩自身が……!その事を肯定しやがったんだって……!」

 

 奥歯が欠ける音が響く。

 

 

「それきり、ナグサ先輩が帰ってこないのも。極めつけは、アレを返却しようとしたのも……もう、言わなくても分かるはずだ……」

 

 怒りと表現するにはチープな激情が私たちを叩きつけ、反論の意思を吹き消してゆく。

 

 

「こんな……こんな風になっちまったなら……帰ってこない委員長たちを待ち続けて苦しむ必要も……ないだろ?」

 

 しかし、ユカリだけは嗚咽混じりながらも、逃避とも捉えられるようなしがみつきを見せる。

 

 

「そ……それでも……!レンゲ先輩だって、ナグサ先輩や、クユリ先輩……百花繚乱での活動が好きだったじゃないのですか!?」

 

 

「知るか!結局アタシたちは見放されて、全部壊れちまったんだよ!」

 

 血を吐くような怒声が、ついにユカリの心にヒビを入れたように感じた。

 

 

「身共は……継承戦を通して、ナグサ先輩に帰っていただければ……委員長になれれば、もう一度、あの日々を……過ごせる一歩になると、思って……」

 

「過去は過去だ。事実は変えられない。それに、“人殺し”を百花繚乱に帰せば、それこそユカリの思い描く百花繚乱から遠ざかるんじゃないか?」

 

「…………っ………」

 

「レンゲちゃん!」

 

“レンゲ、さすがに言い過ぎだよ。今の言葉は撤回して。”

 

 先生として、今の言葉は看過出来ないものだ。

 

 たとえそれが事実だとしても、生徒が口にしていい言葉ではない。

 

 語気を強めた私たちの咎めに対し、レンゲは一つ息をついて、膝をつくユカリに落ち着いた――しかし変わらず冷たい声音で締めくくった。

 

 

「これで分かっただろ。アタシは帰らない。百花繚乱は、アタシたちは……もう戻れない」

 

「…………」

 

「でも誤解しないでくれ。ユカリはアタシらとは違うんだ、百花繚乱に帰る必要も、しがみつく必要もない。お前には、帰るべき場所が――」

 

「……………それはっ……!」

 

 ユカリの喉から、掠れた空気が漏れ出す。

 

 それが何を意味したのかは分からないまでも、断絶しかかっている絆にせめてもの起点を作るべく、宥めるように割り込む。

 

 

“ユカリは、レンゲなら助けてくれると信じてここに来たんだ。もう少しだけ、話を聞いてくれないかな?”

 

 その言葉に、レンゲは一瞬逡巡する素振りを見せたものの、やがて力なく首を振った。

 

 

「いや……もう何も言うことはない。あるとすれば……。ユカリ、無駄なことはやめておけ。過去にしがみついても、時間が無駄に過ぎるだけだ。………それだけ、じゃあな」

 

 有無を言わせず、長銃を担いで走り去っていく赫い龍の背は見た目以上に小さく見えてしまった。

 

 

「……先生、私たちはこれで」

 

“うん、みんなレンゲをよろしくね。”

 

 終始、黙して状況を見極めていたツバキが、いつもの気の抜けた声をまったく感じさせない……まさに部長然とした様子で二人を連れて去っていく。

 

 

 気づけば日もすっかり暮れ、夜風が火照った身体を心地よく冷やしていく時間帯。

 

 虫のさえずりくらいしか、音を出さない静寂の中、動けずにいるユカリのもとに寄り添う。

 

 

“ユカリ、少し休もうか。”

 

「……はい。承知、しましたわ……」

 

 そう返す彼女の表情は、垂れた紫の髪に隠れてしまって見えない。

 

 それでも、とにかく今は落ち着く時間が必要だと……そう思って、適当なベンチでも探しに歩く。

 

 開幕の出会いがこれほど不透明な結果に終わってしまったことに、私も少なからず焦りを感じていたせいか……。

 

 

“………ん?”

 

 チラリと、ほんの一瞬。

 

 視界の端に、幻覚とも……光の反射とも、いくらともとれるほど僅かに、白いなにかが見えた気がした。

 

 反射的に首を向けるも、ただ変わらぬ百鬼夜行の夜闇が広がるだけ。

 

 気の所為、それ以上でも以下でもない。

 

 間もなくそう判断した私は、ユカリを支えながら先の暗い道を進み始めた。

 

 

 

 

 

       〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 ――あれ……?私は、何を……?

 

 ――痛い、身体が痛い。足が、痛い。

 

 ――たしか、私は………。

 

 ――そう……、クユリちゃん。クユリちゃんを探して……。

 

 ――刺さってた管を引き抜いて、白衣のまま……。

 

 ――歩いて、歩いて、あるいて、アルイテ。

 

 ――それから……?

 

 

 ――眩しい。診療所は、こんなライトは使ってない。

 

 ――木の匂いもしない。

 

 ――程よく、柔らかいベッド?で……。

 

 

 ――ここは……どこ?

 

 

 

「――!!気がつきましたか!?大変……団長!ミネ団長!

セリナです!患者が目を覚ましました!」

 

 

 




*前話後の陰陽部でのくだりは原作と同一なので、カットしました。(それでも、最大文字数……)

 先生が見たのは、フラフラモブちゃんだったのです。
 意外と重要ポジションのトリニティ……。
  
次回は、ナグサとクユリ回の予定です。
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