スーパーロボット大戦 未知なる宇宙ヘ   作:島田愛里寿

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今回はそこそこ長くなりました!


第九十四話

桜組の協力を取り付けたカヤの指揮の下、三大レジスタンス連合は釧路市の鎮圧に取り掛かっていた。

 

 

 

 

 

元々、街の保全など考えずに猛撃を掛けていたこともあってか、降魔の数は襲来時の八割を殲滅していた。

 

 

 

 

残りは空にいる奴か、洋上にて重原子力ミサイル巡洋艦『ピョートル・ヴェリーキー』旗下、スラヴァ級ミサイル巡洋艦『スラヴァ』・クリヴァク型フリゲート『ピトムニク』・ソヴレメンヌイ級駆逐艦『グムラク』・超甲巡『吾妻』等の洋上艦隊による対空砲火にさらされている物、そして市街地残存していた50体前後のみであったので対処は容易であったと言えよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

釧路市 市内

 

 

 

 

 

「おらあ!!」

 

 

 

そう言いながら片手で『ディープ・ブルー』の名前を付けて愛用している対戦車ライフルを降魔にぶっ放すのは『S.H.A.R.K.S』リーダーである蒼海(そうみ)マコである。

 

 

彼女は軌道エレベーターから異世界の宇宙艦隊生存者を下ろしてきた直後に総動員命令がかかった為に『S.H.A.R.K.S』の面々全員を引き連れて釧路市内の市街地鎮圧作戦に参加していた。

 

 

 

「ったく。宇宙から帰ってきたと思ったら、いきなり市街地戦とはなぁ」

 

 

 

 

『申し訳ありません(-_-;)しかし、手が足りなかったので‥‥』

 

 

 

 

「分かってるよ。カヤの嬢ちゃん」

 

 

 

『あの‥‥嬢ちゃんは辞めてくれませんかね!?一応あなたより少しは年上*1な上に上官なんですけど!?』

 

 

 

「あんたは威厳が感じられねえからなぁ?」

 

 

 

『そんな!?』ガーン!!!

 

 

 

 

現場指揮を取っていたカヤはマコにいじられており、『S.H.A.R.K.S』の面々や同行していたサオリらアリウス連隊は笑いをこらえながら戦っていた。

 

 

 

 

 

 

Mi-24ハインド隊やその改良型のMi-35スーパーハインド隊による強襲作戦やキヴォトス出身者たちによる火力は降魔であっても流石に抗しきれず、桜組の協力も相まって早々に残存していた降魔は殲滅されることとなったのは言うまでもない……………。

 

 

 

 

 

 

数日後…

 

 

 

札幌市 日本民族解放戦線軍病院

 

 

「まったくもう!絶対安静って言われていたじゃないですか!!」

 

 

 

「ああ、書類が…」

 

 

 

軍病院では見舞いに来たあかりが病室のベットで書類処理をしていたゆかりを見て書類を取り上げていた。

 

 

 

「しっかし、ゆかりんてばいつの間にそんなにワーカーホリックになったのさ」( ̄▽ ̄;)

 

 

 

マキはその光景を見ながら苦笑いしている。

 

 

 

 

「仕方ないじゃないですか。最初は私も安静にしていようとは思いましたよ?しかしですね?来週、世界に向けて発表予定の新国家の政治体制のあれこれがありますし‥‥」

 

 

 

そう。ゆかりが悩んでいて書類処理をして気を紛らわせていた理由は、国家方針のことだ。

 

 

 

元々、民主体制の復活を主張していた大和解放軍の幹部は文民統制下の旧日本軍や旧日本政府にて要職についていた経験を持つ方々だ。

 

 

その意見は重要だし、参考に値する。

 

 

 

 

しかし、今の情勢下で民主体制はいささか不安が大きい。

 

 

 

 

そもそも、政治家や高級官僚、各地の政治を担当する地方政治家・議員等の人材が極東事変の際に全滅するかほとんどいなくなってしまった上に、現在の三大レジスタンス連合の影響下にある地域の住民たちは政治を三大レジスタンス連合の首脳陣に任せきりにしていた。

 

 

 

その為、国民の政治に対する実務的経験値も低下したこの状況下で無理に民主体制に戻したら混乱が広がるか、枢木家のような連中や黒の騎士団にとってかわられる可能性があったのだ。

 

 

 

 

 

 

とはいえ、ゆかりとしても民主体制にいずれは移さないといけないと言うのは理解していた。

 

 

 

 

 

 

軍事独裁と言うのは、今はよくても後を引き継いだ者は?さらに次の者は?本当に国や国民の為に身を削る信念を持った者が権力を握るのか?という不安がある。

 

 

 

 

結局、政治体制に正解はない。

 

 

 

 

現実世界の第二次世界大戦時にイギリスの首相であった『ウィンストン・チャーチル』はこう言った。

 

 

 

 

『民主主義は最悪の政治形態といわれてきた。他に試みられたあらゆる形態を除けば』

 

 

 

 

と。

 

 

 

 

 

民主主義では少数意見の尊重が重要とされているが、多数派が数に物を言わせて意見を押し通す可能性がある。かといって少数派の意見ばかりを聞くと一部の派閥の暴走を招く可能性もある。その為、国民一人一人が政治に参加するという意思を怠ることが無いようにしないと民主政治が崩壊する。

 

 

 

とはいえ、上手く機能すれば独裁政治よりは国民の意見を上手く反映することが出来る。

 

 

 

かといって独裁政治でも上手く機能すれば、民主体制よりも機敏に動くことが出来る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゆかりもその両方の利点は理解していた。かといって現実問題、民主体制に戻したところで政治を担当できる人材がいない、もしくはあまりにも少ない。かといって軍事独裁をいつまでも続けていいわけがない。

 

 

 

その点で揉めていたわけだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結局、あかりとマキや他の日本民族解放戦線幹部一同*2がゆかりの病室に揃ったタイミングで、同じく見舞いに来た博麗霊夢総帥が、自分たちの大和解放軍とゆかりたちの日本民族解放戦線、島津妙高の九州解放戦線、三勢力の意見をまとめて折衷案を持ってきた。

 

 

 

 

 

 

※大和解放軍としては以前の核攻撃の一件や、ヘラクレスを御前会議に呼んでしまった件で負い目があったことや、このくそ忙しいときに政治関係で内輪もめをしている時ではないという意見がまとまり、三大レジスタンス連合内での関係性修復の意味も含めて、妥協案的に折衷案を考えたのだ。

 

 

 

 

 

『しばらくの間は三大レジスタンス連合による政治運営を行い、主権国家として必要な法整備を行うとともに各種政治家や官僚になることが出来る人材を育成。時期を見計らい、民主体制に段階的に移行していく。』

 

 

 

 

 

 

 

要は初期の明治政府のような感じで行こうと言ってきたわけだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

特に異論もなかったのでそれで同意したが、ゆかりとしては別の懸念事項があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あと、黒の騎士団に動きがあったんですよ‥‥」

 

 

 

 

「「動き?」」

 

 

 

ゆかりの言葉にあかりとマキ、そして同じく見舞いに来ていた日本民族解放戦線幹部一同と博麗霊夢は頭を傾げた。

 

 

 

 

 

「さっき諜報部門の担当者が血相を変えて報告に来ましてね?どうもゼロと他数名の有力戦力を追い出したみたいなんですよね‥‥」

 

 

 

 

 

「「「「「はぁ!?」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

三大レジスタンス連合において黒の騎士団はそこまで良い扱いではない。

 

 

 

 

 

大和解放軍内では『不遇な人達ではあるかな…一応支援はしたげるね…出来たらだけど……』という意見が幹部では一時期あったが、超合衆国の宣言があってからはそこまでいい印象はない。

 

 

 

日本民族解放戦線は言わずもがな。

 

 

 

九州解放戦線は眼中においてすらなかった。

 

 

 

 

とはいえ三大レジスタンス連合内では一目置いていたのは事実である。

 

 

 

その理由はゼロと他数名の実力と政治力である。

 

 

 

 

その点だけは評価していたのだが、扇派閥に関しては論外という扱いであった。

 

 

 

 

 

 

 

なんせ、超合衆国宣言の際に合衆国日本代表兼超合集国最高評議会初代議長として勝手に皇神楽耶を就任させた挙句に

 

 

 

『三大レジスタンス連合は合衆国日本の指示に従ってほしい』

 

 

と扇らが連絡してきたのだ。

 

 

 

その電話を受けた当時の外交担当者が‥‥

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はぁ‥‥!?馬鹿モーン!!!貴様ら天皇陛下の許しなく何勝手に国際組織に日本を参入させたばかりか代表を勝手に決めているんだ!!マジキレだからな!!!政治的成果が何だーー!!

 

 

 

 

 

 

と電話越しにキレる事態に発展したほどだ。

 

 

 

ヘラクレスを相手にした方がまだマシとまで言われる始末。

 

 

 

 

 

それでも外交チャンネルを維持していたのは、現天皇である煌武院悠陽が『ゼロと電話越しに直接話してみましたが、なかなか面白い男ですね?あと正体にも心当たりがあります』と言って多少は態度を軟化させていただけであり、そのゼロを追い出したとあれば、対応方針を変えざるを得ない。

 

 

 

 

 

 

「り、理由は!?」

 

 

 

「ギアスという力をゼロが使っていたとシュナイゼルから言われたそうです」

 

 

 

 

「「はい?」」

 

 

 

そこでまた見舞いに来た一同は頭を傾げた。

 

 

 

確かにギアスは脅威となる力だ。

 

 

 

しかし、ゼロの場合は目を直接見なければ影響がないと三大レジスタンス連合の各諜報部門から結論が出ていたし、ギアスで結成したとは思えない組織規模だからだ。

 

 

 

 

おまけに敵国の宰相の言葉を鵜呑みにしたのか?という疑問が出る。

 

 

 

 

「シュナイゼルの口車に乗せられたようでしてね?音声だけの証拠を鵜呑みにした上に『日本を返す』という口約束でゼロを追い出したそうですよ?」

 

 

 

 

「「「「「「はあああああああ!?」」」」」」

 

 

 

 

あまりにお粗末を言わざるを得ない。

 

 

 

 

 

そこに‥‥

 

 

 

 

「き、緊急事態です!!」

 

 

 

 

釧路市の後始末で見舞いに来るのが遅れていた不知火カヤがメモを片手に駆け込んできた。

 

 

 

 

「か、神根島に!シャルル・ジ・ブリタニアが来ています!!ナイトオブトゥエルブ及び護衛と共に!!」

 

 

 

 

 

 

「「「「「「「「「何ィ!!!!?????」」」」」」」」」」

 

 

 

 

 

 

その報告の後、ゆかりは寝込んでいる場合じゃないと即時退院。

 

 

 

 

残存していた海軍主力と大隅型戦術機母艦全艦、そして近衛師団所属にして皇居守備の為に温存されていた近衛第一戦術機甲大隊と凄乃皇・弐型(すさのおう・にがた)を神根島に急行させた。

 

 

 

 

 

命令はただ一つにして単純明快。

 

 

 

 

 

『シャルルの首を切り落としてここにもってこい!!』

 

 

 

 

 

 

ただそれだけであった。

*1
カヤはこちらの世界で五年ほど過ごしているので少し年上

*2
カヤを除く




次回 神根島
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