魔法科高校の劣等生~魔王と剣士の血を引きし天災~(現在一時凍結中) 作:B.Raven
今回でやっとオリジナルは終わりです
今回初出のキャラ多めです
道場から居間に戻った由烏虎は、待機状態になっている回線を繋げてディスプレイを見る。こちらは相手を待たせた側なのでまず謝っておくことにした。
「待たせてしまって申し訳ないな、愛梨。第三高校入学おめでとう、あの二人にも伝えといてくれ」
『いえ、気にしないでください、稽古中だったのでしょうし。ありがとうございます、ちゃんと伝えておきます。由烏虎さんも第一高校ご入学おめでとうございます』
「ありがとう、まぁ二科生なんだけどね」
『えぇっ!?由烏虎さんが二科生って、おかしくありませんか!?』
「まっ、
『そ、そうでしたか…。それならば、あの方とも同じクラスなのかもしれませんね』
「あの方って言うと、確か、『西城レオンハルト』だったか、愛梨の婚約者の」
『えぇ、レオさんも二科生とお聞きしましたので』
愛梨は中学一年の冬頃、冬休みに入り、一色家の別荘でちょうど一人でいるところを外国人数名に拉致、山奥に監禁されたらしい。そこを三陸に登山しに来ていたレオに助けられたのだそうだ。
その時レオは全身ボロボロになりながらも犯人を全員叩きのめし、愛梨は見ず知らずの自分を助けるためにそんなにも必死になってくれるレオに惚れたという。
「(あの事件の犯人の外国人はその年の夏の沖縄戦の残党だったし、こちらとしてはやはり申し訳ないな)」
と、考えていると表情に出てしまったのだろう、
『あの時のことで私は由烏虎さんを恨んでなどいませんよ?』
思わず、えっ、と声に出してしまった。
『拉致されて、ひっそりとしたところに監禁された時は、誰も助けてくれなかったらどうしよう、このまま殺されたくなんかない、とか思ってはいましたけれど、レオさんが助けてくれましたし、そもそも、あのことが無ければ、私がレオさんのような素晴らしい方と関わることなどほぼなかったのですから』
こんなことをさも当たり前のように言われてしまっては、たとえ自分の弟子であろうと頭が上がらない。本当に良い弟子を持ったものだと常々思う。
「ありがとう、そう言ってもらえると助かる」
『いえ、こちらは指導してもらっている側なのですから、気にしないでください。っとすみません、そろそろ他の方々にも挨拶をしなければなりませんので』
「やはり一番最初に連絡をくれたのか、時間を取ってすまないな。次会えるのは九校戦か、腕が上がっているのを期待しておくぞ。二人にもよろしく」
『いえ、私は由烏虎さんの元気そうな姿が見れればそれで満足ですから。二人にもしっかり言っておきますね。エリカと紗耶香さんにもよろしくお伝えください。それでは』
と通話が切れる。それを確認すると、由烏虎は急いでシャワーを浴びて汗を流し、黒のスーツに着替え、千葉家を出てFLTに向かう。
半月分の溜まった仕事を終わらせ、開発中のマルチキャスト専用特化型CADをデスクの上に出し、作業を進める。
自分はトーラスシルバーのような最新技術の開発をしようとは思わない。ただただ魔法というものを使いやすくするためのものを作り、魔法師にかかる負荷を減らせれば、それで良い。
それによって救うことの出来る人がいたのだから。
◆ ◆ ◆
さて、と調整を終わらせた由烏虎は、試作CADを装着してほとんど何も無い部屋にいた。CADが正しく動くかを試すための部屋だ。勿論由烏虎以外に人なんていない。
「朱雀」
と由烏虎が口にすると、加速魔法(正確には自己加速術式)と振動系加熱魔法がマルチキャストされる。自己の周囲の水蒸気を加熱させることによって一時的に上昇気流を作り出し、少しだけ床を蹴れば進行方向への高さ約二メートル程の跳躍が可能となる。性能を確認した由烏虎は次の魔法へと移行させる。
「白虎」
加速魔法と放出魔法のマルチキャストで、自己や対象に対して風を纏わせたり突き付けたり出来るため、障壁としたり、相手の行動を制限することが出来る。朱雀のようなことも出来なくはないが、サイオンを大量に使ってしまうため朱雀の方を使用するのが良いのだろう。
「青龍」
収束魔法と放出魔法のマルチキャストで、周囲の空気中の水分を収束させて水を液体化させ、水流として放出させるのだが、この魔法が一番効率が悪い。どうしようかと悩んでいると、扉が開いて由烏虎の上司が入って来た。
「新作ですかい?何か思い悩んどるみたいですけど、協力しますか?」
「牛山主任。マルチキャスト専用CADなんですが、どうも効率が悪いので内容変更しようか悩みどころなんですよ」
と言い、もう一度青龍を発動させる。牛山は、少し唸って考えていたが、どうやら思いついたらしい。
「それは、収束魔法と放出魔法をほぼ同時に行使しとるからやないですかい?収束魔法を発動して時間差をつけて放出魔法が発動するように設定すれば、問題ないと思いますね」
「なるほど、ぞれは盲点でした。ありがとうございます。ところで、ここって下がコンクリートじゃなくて土だけのところってあります?」
「土のところっていうと、外ならありますが…」
「ちょうど良かった、主任、実験台になっていただけますか、最後のマルチキャストが拘束するものなので、動くことが出来るのかどうか試さないといけないので」
「それを自分が、ですかい?」
「えぇ、お願いしますね」
「まぁ分かりましたが、痛覚を刺激するのはやめてくださいね」
「善処します……」
という会話をしながらも、目的地に着いてしまったので、始めますねと牛山に伝えてから魔法を行使した。
「玄武」
加重魔法と硬化魔法のマルチキャストで、対象となる相手に上方から圧力をかけて動きを止め、土を相手の四肢に纏わりつかせて相対位置を固定して完全に身動きが取れないようにすることが出来る。現に、今牛山は全くもって動けないらしい。早急に魔法を解除し全身土まみれの牛山のほうへと向かう。
「すみません、土まみれにさせてしまって」
「気にしないでください、それよりこれからどうしますか?戻って調整しますかい?」
「いえ、今日はもう帰ることにします。お疲れ様でした」
急いで帰らなければ、今日は連絡を入れてないから迎えに来るかもしれない、それだけは避けておきたい、そんなことを考えながら研究所の入口へ向かった由烏虎は、入口付近で人だかりとその中心で非常に目立っている人が誰かを理解して、うなだれた。
紫がかったシャツに濃い紫のネクタイ、その上から黒のスーツをピシッと着ていたその人は、由烏虎の婚約者である桜井穂波だった。三年前のあの時とほとんど変わらない格好だが、右小指に嵌めてあるアメジストの指輪をちょくちょく見つめて穏やかな笑顔をしているのだから目立たない訳がない。由烏虎も流石に耐えかねて穂波のもとへ向かった。
「穂波、少し遅くなることを伝えていなかったのは悪かったが、指輪を見つめてニコニコするのはやめてくれ、俺が恥ずかしい」
「えっ、あぁはい。でも、アナタがいけないんですからね、折角ご飯作ったのに少し寂しかったんですから…」
「ごめん、次からはきちんと連絡する。じゃあ帰ろうか」
「そうですね、帰りましょう」
二人はしっかりとお互いの手を握り合って家へと帰った。お互いの手を離さないように、お互いが離れないように……
一色愛梨、牛山主任、桜井穂波がやっと出せました。愛梨も主任も口調難しいです。
というか、穂波さんキャラ壊れすぎですね、すみません
ちなみに、穂波さんは専業主婦です、由烏虎の収入とか普通にありますしね!!
相も変わらず超不定期亀更新ですが、温かく見守っていただきたいです
あ、感想や評価は待ってます