Roseliaをたおせ!   作:ダシマ

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第17話「飛鳥 芸能事務所に行く」

第17話

 

 その日の放課後。飛鳥は千聖の元に向かっていた。

 

飛鳥「お待たせしました」

千聖「来たわね」

 

 飛鳥は千聖が待つ正門前にやってきた。

 

千聖「もうすぐ事務所の車が来るわ。一緒に乗って頂戴」

飛鳥「事務所?」

千聖「…ちょっと確かめたい事があるのよ」

 

 そんなこんなで飛鳥は千聖と一緒に事務所の車に乗り込んだ。

 

「えー!? あたし何も聞いてないよ!?」

「自分もです…」

 

 その頃友希那達は日菜たちから何か聞いてないかを確認していたが、日菜と麻弥も初耳だった。

 

 そしてまた彩とイヴも千聖が飛鳥に声をかけていた事など全く知らなかった。

 

***********

 

 車の中では飛鳥と千聖が事務所に着くのを待っていた。

 

千聖「ごめんなさいね。急に来てもらって…」

飛鳥「いえ…。ですが、事務所の車を使って大丈夫なんですか?」

千聖「勿論よ。あなたの事はうちの事務所のスタッフたちも知っているわ」

 

 芸能事務所のスタッフ達に目をつけられているのは、飛鳥もちょっとまずいと思っていた。あまり目立つことをすると色々厄介な事になるからだ。

 

飛鳥「それで…私に一体何の御用でしょうか。音楽関係ならちょっと…」

千聖「まあ、それもあるのだけど、私が元々『女優』だったのは知ってるかしら?」

飛鳥「あ、はい。存じ上げておりますよ。ドラマも見た事あります…」

千聖「嬉しいわ。どのドラマを見てくれたのかしら?」

飛鳥「見た事あるのは『はぐれ剣客人情伝』と…『ママはロボット』の2つですね」

 

 飛鳥の言葉に千聖がちょっと恥ずかしそうにしていた。

 

千聖「…よりにもよってそれらを見てたのね」

飛鳥「え、とても良かったですよ?」

千聖「私としては黒歴史なの…普段とキャラが違うでしょ?」

飛鳥「あ、ああ…」

 

 千聖の言いたい事が分かって、飛鳥は察した。あまり触れてほしくなかったのだと…。

 

飛鳥「申し訳ございません…」

千聖「いや、見てくれたことはいいのよ。ただ、もうちょっと別のドラマを見てほしかったというか…」

「千聖ちゃん。贅沢言わないの」

 

 運転していたスタッフが苦笑いしながらもツッコミを入れた。

 

**********

 

 そして事務所にたどり着いて、飛鳥達は車から降りた。そして千聖の案内で飛鳥はパスパレが普段使っている楽屋へと通された。

 

千聖「そういえば芸能事務所に来た事ってあるかしら?」

飛鳥「…ないですね」

 

 そして飛鳥と千聖が話をしていた。

 

千聖「…さて、改めて今日は忙しい中来てくれてありがとう」

飛鳥「あ、はい…」

 

 千聖が改まったので飛鳥はイヤな予感がした。

 

千聖「今日あなたをここに呼んだのは、改めてあなたの力を見せてほしいからなの」

飛鳥「力?」

 

 千聖の言葉に飛鳥が驚いた。

 

千聖「…私も立場があるから、あまり特定の人に肩入れするのは良くないのだけれど、此間のコンテストがあったでしょう?」

飛鳥「ええ、まあ…」

千聖「Roseliaを大幅にレベルアップして優勝に導いたのが最初のきっかけ。そこであなたの事を今まで観察させて貰ったのだけど…」

 

 千聖の言葉を聞いて、飛鳥はやはり千聖は危険人物だと判断した。

 

千聖「ちょっとだけテストさせて頂戴」

飛鳥「テスト?」

 

 すると千聖は飛鳥に台本を渡した。

 

千聖「少しだけ時間を上げるから、この台本を見てあなたなりに演じてみなさい」

飛鳥「…分かりました」

千聖「先に言っておくけれど、私も芸歴は長い方だから手を抜いているかどうかはある程度は分かるわよ」

 

 千聖がけん制を仕掛けると、飛鳥は納得したようにうなずいた。相当自分の腕を見込んでいるのはそうだが、ここで手を抜いて信頼をなくすマネは避けなければならなかった。

 

 そして数分でセリフを覚えると、飛鳥は千聖にOKを申し出た。

 

千聖「…早いわね」

飛鳥「まあ、私なりのイメージですが…お相手をお願いできますか」

千聖「分かったわ」

 

 すると飛鳥と千聖はお芝居を始めた。渡された配役は冷徹な殺人犯だった。そして演技が始まったが、飛鳥の表情が本当に冷徹になり相手役の千聖を本当に殺そうとしていた。

 

飛鳥「動くな」

千聖「ひっ!!」

 

 あまりにも怖すぎるので千聖は思わず声を漏らしてしまった。

 

飛鳥「お前はもう死ななきゃいけないんだ。そうでもしなきゃ…オレが殺したお前の家族に申し訳ないだろう? …っははははははは!!!!」

千聖「も、もういい!! ストップストップ!!」

 

 本当に人を殺したことがありそうな顔をしている飛鳥に千聖は思わずストップをかけた。

 

飛鳥「あ、もう大丈夫ですか?」

千聖「よ、良く分かったわ…」

 

 千聖は本当に泣きそうになっていて、飛鳥は困惑していた。

 

飛鳥「…すいませんね」

千聖「…それもクレイジーに習ったのかしら?」

飛鳥「いえ、自己流です。最近色々ありましたからねぇ…」

千聖「……」

 

 自分にちょっかいかけてるヤラカシを想像してやっているとしたら、もう本当に怖すぎると千聖は思っていた。

 

千聖「え、演技はもういいわ…」

飛鳥「そうですか」

千聖「今度はベースを聞かせて頂戴」

飛鳥「分かりました…。あ、でも楽器は…」

千聖「貸してあげるから…」

 

 そう言って千聖は予備のベースを貸してあげた。

 

千聖「自由に弾いて頂戴。音源を使いたかったら…」

飛鳥「じゃあまずは簡単にスラップやります」

 

 そう言って飛鳥はスラップを高速で弾いた。これを見ただけで千聖が驚いた。

 

千聖(…まるで日菜ちゃんを見てるようだわ)

 

 と、同じバンドメンバーで才能マンならぬ才能ガールである氷川日菜を見つめた。

 

飛鳥「で、ここからサザエさんのED行きます」

 

 そして飛鳥がベースでサザエさんのEDを引くと、千聖は思わず噴き出した。原曲よりもメチャクチャ高速なのに正確でスラップしてくれるので、それがまた面白かった。

 

 曲が終わると飛鳥がふとカメラの方を向いた。

 

飛鳥「どうでしたか?」

 

 すると千聖は息を整えて飛鳥の方を向いた。

 

千聖「…上手すぎ」

 

 

 ちなみに夕方になったら無事に家に帰れたそうです。

 

 

つづく

 

第31話のアンケートです

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