第18話
飛鳥がパスパレの事務所を訪ねたその日の夜…。
『本当にごめんね飛鳥くん』
飛鳥「いえいえ…」
飛鳥は自宅である人物と話をしていた。
『千聖ちゃんから話を聞いたときは驚いたよ…』
飛鳥「ええ…。本日は色々ありがとうございました。亘さん」
電話の相手は亘というパスパレの事務所の社員である。地味で目立たないが、仕事は普通に出来る。妻と幼い娘がいる。
亘「…それはそうと、学校の方はどう?」
飛鳥「ええ…。それが思った以上にひどくて、特に教師が…」
亘「そ、そうなんだ…」
飛鳥「まあ、それを炙り出すのが私の『仕事』なんですけどね…」
飛鳥が真剣な顔でそう言い放った。
飛鳥「そちらは如何ですか?」
亘「うん…パスパレに限らず、他の子たちも色々迷惑行為を受けてるみたい」
飛鳥「そうですか…」
亘「もしかしたら社長の方から正式に依頼が来るかもしれない」
飛鳥「了解しました。では…」
そう言って飛鳥は電話を切って、一息ついた。
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翌日、飛鳥が登校すると…。
「おーい」
飛鳥「ん?」
モカ、りみ、つぐみの3人がやってきた。
飛鳥「青葉さん、それに羽沢さんに牛込さん」
りみ「お、おはよう…」
飛鳥「おはようございます。珍しい組み合わせですね」
つぐみ「うん。偶然一緒になったんだ」
と、普通に話をしていた。
モカ「それはそうと聞いたよ~。昨日パスパレの事務所に行ったんだって~?」
飛鳥「…ええ」
モカの言葉に飛鳥は困惑しながら答えると、りみとつぐみも驚いていた。
つぐみ「…パスパレの事務所で何をしてたの?」
飛鳥「えーと…劇の練習相手をさせられましたね」
モカ「本当にそれだけ~? ベースを教えてたんじゃないの~?」
飛鳥「教えてはいませんけど、楽器を演奏はしましたね」
りみ「…楽器は?」
飛鳥「まあ、色んな楽器を…」
飛鳥は言葉を濁すと、モカはじっと飛鳥を見つめた。
モカ「例えば?」
飛鳥「ギター、ドラム、キーボード、それから…」
飛鳥の言葉にりみとつぐみは驚いていた。実績はあるのであながち嘘ではないと思っていた。
モカ「ふ~ん」
飛鳥「普通に終わってしまいましたが…」
つぐみ「ドラムも出来るの!?」
飛鳥「まあ、宇田川さん程ではないんですけど…」
「じゃあやって貰おうじゃねーの!!」
飛鳥「……?」
どこからかガラの悪いヤラカシ達がやってきた。
飛鳥「どちら様ですか…?」
「誰でもいいだろ。そこまで言うならやって貰おうじゃねーか!」
飛鳥「…どこでです?」
「オレ達が場所を用意してやるから、そこでやれ!!」
そう言ってヤラカシ達が走り去っていくと、飛鳥達は困惑していた。
飛鳥(…そんなにオレが嫌いか)
モカ「……」
******
そして…。
『放課後に1年3組の陰キャくんがドラム演奏をするから、特設ステージに集合!』
という校内放送が流れた。
飛鳥「せめて名前言ってよ…」
飛鳥は呆れながらそう呟くと、クラスメイト達は飛鳥を見た。
「一丈字くんなの!? 陰キャって!」
飛鳥「あ、はい」
「本当に大丈夫なの!?」
飛鳥「まあ、問題なのはちゃんとしたドラムを用意してくれるかどうかなんですよね…」
「え、心配するところそこ?」
そんなこんなであっという間に放課後になると、ヤラカシ軍団がやってきた。
飛鳥「どうかされましたか?」
「決まってんだろ。お前が逃げないようにする為だよ」
と、下衆な笑みを浮かべるヤラカシ達を見て、飛鳥は本当に呆れていた。
「何だその顔は!!」
飛鳥「いや…私に大恥をかかしても、あの人たちは振り向きませんよ?」
「うるせえな!!」
「百歩譲って振り向かなくても、お前の鼻をへし折らねぇと気が済まねぇんだよ!」
「いいからさっさと来い!」
そう言ってヤラカシの数人が飛鳥を無理やり連れて行くと、クラスメイト達は困惑していた。
*****
そして特設ステージ前。いたって普通のドラムが置いてあったが1人もいなかった。これには飛鳥もヤラカシ達も困惑していた。
ヤラカシA「おい! なんでこんなに客いねーんだよ!!」
ヤラカシB「ちゃんと声をかけたのかよ!?」
ヤラカシC「うるせえな! いきなり声をかけていく訳ねーだろ!!」
ヤラカシD「お前はどうなんだよ!!」
飛鳥「……」
これには飛鳥も困惑していた。名前も言ってないし、1年生の陰キャって言ったらただのいじめと思われてもおかしくはないからだ。
飛鳥「…ちなみにあのドラムってどこから用意したんですか?」
「あ? そんなの音楽準備室から持ってきたに決まってんだろ」
飛鳥「やっぱり…」
「もういい! こうなったらオレ達が見ててやるからやれ!!」
飛鳥「あ、はい…」
こうして飛鳥は困惑しながらもドラムをたたくことにした。
飛鳥「えー。なんか思った以上にお客さんが少ないですけど、一応ドラムを用意してくれたのでやります」
「イエーイ!!」
「ヒューヒュー!!」
ヤラカシ達が寂しい観客席からはやし立てた。
飛鳥「あーありがとうございます。ありがとうございます。ですが、やっぱり何か寂しいですね」
「うるせえな!!」
「さっさとやれや!!」
飛鳥「まー。ちゃんと音が出てくれればいいのですが」
と、飛鳥が簡単にバスドラムをやってみせる。
飛鳥「あ、出るわ」
「……!」
飛鳥「で、これにスネアを重ねて…」
飛鳥がスネアも重ねると、ヤラカシが驚いていた。
飛鳥「で、ハイハットで…そのうちこうなります」
すると飛鳥が高速ドラミングをすると、ヤラカシ達が驚いていた。
ヤラカシ「うまいっ!!!」
そして鳴らし終わるとヤラカシが思わず唸ってしまった。
飛鳥「あ、もういいですか?」
「いや、まだこれで終わりじゃねーぞ!!」
「何か一曲やってみせろよ!!」
飛鳥「やっぱりボーカルがいるよな…」
「音源使っていいから!!」
飛鳥「え…」
何か変なところで優しいヤラカシに飛鳥はまた困惑していた。
飛鳥「じゃあサカナクションの『アイデンティティ』やります」
そして飛鳥がドラムカバーをやってみせた。イントロで最初にシンバルを叩くところからスイッチが入り、ドラムを激しくたたく部分では頭も激しく揺らして叩いていた。演奏する前とは別人になっていてヤラカシは絶句していた。
そしてドラムの音にひかれて、生徒たちがやってきたが、その中にはガールズバンドもいた。
あこ「やっぱり飛鳥くんすごい…」
友希那「思った通りだわ」
友希那は当然だと言わんばかりに静観していた。そして2番のサビが終わって、飛鳥が自信満々にドラムの音をかきならせば、客はもっと引き寄せられていく。
りみ「ドラムも本当に叩けたんだ…」
沙綾「流石Roseliaをパワーアップさせただけあって上手い…」
巴「こんなにうまいなんて…」
つぐみ「うん…」
モカ「知ってたけどね~」
こころ「凄いわ飛鳥!!」
花音「ふぇえええ…!」
美咲「…本当に何でもできるんだね」
そしてパスパレはというと…
麻弥「にしても本当に凄いですね…一丈字さん」
彩「うん…」
日菜「やっぱりるんってするね!」
飛鳥の演奏に驚いていたが、千聖のみいなかった。
イヴ「…あれ? チサトさん?」
そして演奏が終わると、遠い所から大歓声が上がった。
「なっ…!!」
飛鳥「あ、どうもどうも」
飛鳥も観客に気づいたのか、お礼をしていた。
飛鳥「で、もういいですかね」
「ああ、もういいよ!!」
「クソ!! やっぱりドラムに細工しておくべきだった!」
と、ヤラカシ達は自暴自棄になったその時だった。
千聖「飛鳥くん」
ベースを背負った千聖が現れた。
つづく
第31話のアンケートです
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戸山香澄
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花園たえ
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牛込りみ
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山吹沙綾
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市ヶ谷有咲
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美竹蘭
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青葉モカ
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上原ひまり
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宇田川巴
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羽沢つぐみ
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丸山彩
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氷川日菜
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白鷺千聖
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大和麻弥
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若宮イヴ
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弦巻こころ
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瀬田薫
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北沢はぐみ
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松原花音
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奥沢美咲