第5話
「本当にもう…」
放課後。飛鳥と理事長室は『事情聴取』ということで理事長室にいたが、教師が3人も不祥事を起こしていた事に、理事長は頭を抱えていた。
飛鳥「…心中お察し致します」
飛鳥もまさか教師が3名も問題児だったとは思わず、何とも言えない気持ちでいっぱいだった。
飛鳥「…で、処遇はどうされるおつもりですか」
理事長「まず、C先生は懲戒解雇です。A先生とB先生は始末書を書かせたうえで、B先生は旦那さんに連絡致しました。…離婚されるそうです」
飛鳥「そ、そうですか…」
理事長「指導者としてもそうですが、『大人』として恥ずかしい限りです。誠に申し訳ございません…」
飛鳥「…いえ、大丈夫ですよ。それよりもあまり気に病まないでください。今、理事長先生が倒られたら、こちらとしても困りますので」
理事長「…そうですね」
飛鳥が真剣に心配しているのを見て、理事長が口角を上げた。
理事長「ありがとうございました。お気をつけて」
飛鳥「はい。失礼します」
そう言って飛鳥は理事長室を出て帰ろうとしたが、千聖が立ちはだかった。
飛鳥「あなたは…」
千聖「…理事長室に入っていくのを見たのよ。どうかしたの?」
飛鳥「それがですね…」
飛鳥が事情を説明すると、千聖が少し困惑していた。
千聖「事情は分かったのけれど…。理事長があなた一人を事情聴取させるなんて、妙な話ね?」
飛鳥「まあ、教師の腕を捻ったもので…。少々やり過ぎましたね」
この時、千聖は飛鳥がただものではないと感じていたが、飛鳥は千聖がそう感じているのを察知した。
飛鳥(…この人、出来るな)
すると千聖は一息ついた。
千聖「まあいいわ。それよりも貴方、時間空いてるかしら?」
飛鳥「何か用ですかね…」
千聖「相談したい事があるの。一緒に来てもらえるかしら」
飛鳥「相談?」
千聖の言葉に飛鳥が驚いていると、
「待ちなさい」
飛鳥「!?」
千聖「……」
飛鳥と千聖が声のした方を見ると、友希那・紗夜・リサ・燐子がいた。
あこ「あこもいるよ!!」
あこが遅れてやってきた。
飛鳥「Roseliaの皆さん…」
千聖「悪いわね友希那ちゃん。こっちが先約よ?」
友希那「飛鳥を連れ出す理由は分かってるわ。Pastel*Palettesに引き抜くつもりでしょう」
飛鳥「え!?」
友希那の言葉に飛鳥は「え!? マジで言ってんのかこいつ!」という体で千聖を見た。
千聖「引き抜くつもりはないけれど、此間のコンテストで皆スランプ気味になっちゃったのよ。それだけでも何とかしたくて…」
リサ「ス、スランプって…」
千聖「…ちょっと気を悪くするかもしれないけど、私たちは一応『プロ』っていう扱いなのよ。いくらあなた達とはいえ、アマチュアに大敗したとなれば、私たちの面子にも関わるのよ」
リサ「…やっぱそうだよね」
リサだけではなく、燐子や紗夜も千聖の言い分は理解できた。確かにアマチュアに負けるのはプロとしてはかなりまずいのだ…。
友希那「事情はよく分かったけれど、渡すわけにはいかないわ」
千聖「それも分かってるわよ。他のバンドも飛鳥くんの力を貸してほしいって言ってたからね」
飛鳥「…本当ですか?」
飛鳥が困惑しながら千聖に聞くと、
千聖「私が冗談を言うと思っているのかしら?」
飛鳥「はい」
千聖「はいって何よ!!!」
飛鳥が臆さず即答すると千聖がツッコミを入れた。
千聖「…はっ! いけないいけない! と、とにかく! こっちが約束したんだから一緒に来て頂戴!」
友希那「駄目だと言ってるでしょう」
リサ「ちょ、ちょっと2人とも落ち着いて!」
リサが千聖と友希那を仲裁しようとしたその時、他の生徒たちもやってきた。
日菜「どうしたのー?」
彩「ち、千聖ちゃん!?」
千聖「彩ちゃん、日菜ちゃん…」
彩と日菜に見られて千聖はちょっとばつが悪そうにする。
リサ「友希那も落ち着いて!」
紗夜「そうです…」
友希那「……」
そして飛鳥も困惑していた。
「何があったのか説明してみなさい!」
まともな教師が経緯を説明するように要求すると、飛鳥が事情を説明した。
****
「…で、一丈字くんはどうするつもりなの?」
飛鳥「お断りいたします」
日菜「えー! Roseliaばっかりずるいよー!!」
彩「ひ、日菜ちゃん…」
飛鳥が千聖の誘いを断ると日菜が文句を言って、彩がなだめていた。
千聖「理由を説明してくれるかしら?」
飛鳥「それではどこでお話をされるおつもりだったんですか?」
千聖「まあ、喫茶店とかかしら…」
飛鳥「…スキャンダルとか大丈夫ですか?」
飛鳥はスキャンダルについて心配していて、一部の生徒たちも納得していた。
日菜「それだったらいっその事、うちの事務所でいいじゃん」
友希那「そのままマネージャーとかにさせたくないから、私たちも文句言ってるのよ?」
飛鳥「それで…先生はこれについて、どうお考えですかね」
「わ、私に聞かないで! あなた達でちゃんと話し合って決めなさい! あと、下校時間は守るように!」
そう言って教師が去っていくと、飛鳥は無表情になって、理事長室の方を向いた。
飛鳥「理事長先生、あの先生にも処遇をお願いします」
理事長「はーい」
「いや、はいじゃなくて!!!」
教師「理事長ぉおおおおおおおおおお!! 違うんです!! 私は違うんですよぉおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
教師が慌てて理事長室の中に入っていった。
飛鳥「…まあ、お話は戻りますが白鷺先輩」
千聖「!」
飛鳥「お誘いはお断りさせていただきますが、先輩が一番聞きたい事は何ですかね」
千聖「……」
飛鳥の言葉に千聖は口角を下げた。
日菜「あ、そういえば飛鳥くんってミュージカルとかやってたの?」
飛鳥「ミュージカル?」
彩「此間のRoseliaの演奏、なんか皆役に入り切ってたねって話してたんだ。演技の事を勉強してないとできないって千聖ちゃんが…」
飛鳥「…!」
彩の発言を聞いて飛鳥が目を開いた。やはり千聖は只者ではないと思っていたからだ。
日菜「どうなの?」
飛鳥「ミュージカル自体はやってませんけど…まあ、そうですねぇ…。強いていうなら…」
「強いていうなら?」
飛鳥「アメリカに住んでた時に、とっても変わった役者さんと知り合って、その人から演技の事について色々と…」
千聖「ちなみにその人の名前って憶えてるかしら?」
飛鳥「本名かどうかは分からないんですけど、『ミスター・クレイジー』って言ってましたね…。ご存じですかね…」
千聖「知ってるわよ!! あなた、その人から演技を教わったの!?」
千聖がとてつもなく驚いていたが、他のメンバーはそのクレイジーがどれだけ凄い人物か分かっていない為、きょとんとしていた。
飛鳥「教わったって訳じゃないんですけど、一番良く覚えてるのは、舞台に立っている時はとにかく自分に酔いしれることだって言われたことですかね…」
日菜「どういう事?」
飛鳥「まあ、要するに周りの目を気にしないで、自分のなりたいものになりきりなさいって事なんでしょうね…。白鷺先輩はクレイジーの演技見た事あります?」
千聖「あるわよ。とにかく変な役ばっかりだけど、あの人にしかできないって言われてる程完成度が高いわ…」
クレイジーの影響を受けていると知った千聖は更に敗北感に打ちのめされていたが、彩と日菜はクレイジーを全く知らないので、ピンと来ていない。
飛鳥「…最近劇団を立ち上げたって聞いたけど、出世したんだなぁ。昔はボトルの入ったぶどうジュースをそのままがぶ飲みしてるイメージしかなかったのに」
千聖「それ、演技でもやってたわよ…」
飛鳥「…マジっすか。じゃあ脚本も自分でやってるんだな」
クレイジーの事で盛り上がる飛鳥と千聖に周りのメンバーが困惑していた。
飛鳥「まあ、そういう事なので演奏中の演技も勝利の秘訣の一つだという事にしといてください。失礼します」
そう言って飛鳥がスーッと去っていった。
日菜「あの子…思った以上にるんってしてる…」
彩「…クレイジーって人は良く分からないけど、千聖ちゃんをあそこまでにさせるなんて」
千聖「やはりうちに来てほしいわ。こうなったら作戦を立てましょう」
すると友希那は無言で飛鳥にメールを送った。
彩「あれ!? もしかして友希那ちゃん達連絡先知ってるの!?」
友希那「ええ。まあ、当面はしばらくうちにいるように伝えといたわ」
彩・日菜「え~~~~~~~~~~~~~~!!!!?」
まあ、キリがないので今回はここまで。
ちなみにその夜…。
『ファーッファッファッファッファッファッファwwwwwww』
飛鳥はYoutubeでクレイジーの事を検索し、公式チャンネルを見つけて動画を再生していたが、昔と変わってないクレイジーにただただ困惑しかしていなかった。
飛鳥(…ホント好きだなぁ。ぶどうジュース)
ちなみに『酒の力に借りている』と思われたくないから、酒を飲まないのは飛鳥も知らない…。
つづく
第31話のアンケートです
-
戸山香澄
-
花園たえ
-
牛込りみ
-
山吹沙綾
-
市ヶ谷有咲
-
美竹蘭
-
青葉モカ
-
上原ひまり
-
宇田川巴
-
羽沢つぐみ
-
丸山彩
-
氷川日菜
-
白鷺千聖
-
大和麻弥
-
若宮イヴ
-
弦巻こころ
-
瀬田薫
-
北沢はぐみ
-
松原花音
-
奥沢美咲