不敗の魔術師と夜天の主   作:サーフ

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魔術師と先輩

 その日の夜

 ヤンは、時空管理局の代表者としてはやてを連れ、ユリアンとフレデリカと共に、アレックス・キャゼルヌの家を訪ねた。

 

 ユリアンはインターフォンを鳴らす。

 

 しばらくすると神妙な面持ちのキャゼルヌが扉を開けた。

 

「あぁ……来たかユリアン……その……気を確かにな……」

 

「え?」

 

 キャゼルヌの第一声に面食らうユリアンを尻目に優しい口調で続ける。

 

「いや、良いんだ……私達大人がお前に無理をさせてたな……アイツの後継者とはいえお前はまだ子供だ……そんな子供を担ぎ上げて……あまつさえここまで追い詰めてしまうなんて……」

 

「え? ちょ、何のことです?」

 

 目頭を押さえるキャゼルヌの態度にユリアンは困惑していた。

 

「キャゼルヌ先輩。ユリアンが困ってますからその辺にしてもらって……」

 

 見兼ねてユリアンの背後からヤンが助け舟を出す。

 

 そんなヤンの姿を見てキャゼルヌは唖然とした。

 

「お、お前まさか……本物か? 特殊メイクじゃなく?」

 

「ええ、本人ですわ。妻である私が保証します」

 

 フレデリカがヤンの横に立ちキャゼルヌの一礼する。

 

「あのー立ち話もなんですからお邪魔しても?」

 

「あ、あぁ! とにかく入ってくれ」

 

 ヤン達はキャゼルヌに迎え入れられ玄関をくぐった。

 

 最後に入ったフレデリカが扉を閉めたのを確認してキャゼルヌは声を発した。

 

「お、お前本当にヤンなのか? 他人の空似じゃなくて」

 

「そうですよ。色々ありましたが生きていました」

 

 ヤンは頭を掻きながら苦笑いする。

 

「最初ユリアンから、お前10歳年を取ったが生きて帰ってきたから今夜一緒に食事に伺うって聞いた時は……正直ユリアンの心が限界を迎えたかと思ったぞ」

 

「アハハ〜私が先輩の立場だったとしても同じように考えたでしょうね。余りにも荒唐無稽すぎる」

 

「ちょっと……そんな風に捉えたんですか?」

 

「あぁ、だから今日はユリアンを励まそうと思っていたが……まさか本当に生きていたとはな。何があった? それに後ろの彼女は?」

 

「彼女は私の連れです。まぁ詳しいことは後ほどゆっくりと」

 

「あぁそうだな。取り敢えず奥へ来てくれ。妻が食事を用意して居るんだ」

 

「すみません急にこんな大人数で」

 

 フレデリカが謝罪をする。

 

「なぁに、足りない分はデリバリーでも頼むさ」

 

 キャゼルヌは小さく笑いながら全員をリビングへと招いた。

 

 リビングに入ったヤンを見てキャゼルヌ夫人は両手で口を塞いだ。

 

「え……え? この人って……」

 

「あぁ! ヤンの奴生きていたんだ!」

 

 キャゼルヌは嬉しそうに夫人に言う。

 

「あら、それはおめでたいですわね」

 

「あぁ、それとヤンの連れも居るようでな。用意を頼む。後このことは他言無用でな」

 

「はい。わかっていますわ」

 

 キャゼルヌ夫人は奥のキッチンへと消えて行った。

 

「私も何か手伝います」

 

「えぇ私も」

 

 はやてがそう言うと、フレデリカも後に続こうとするがキャゼルヌが引き止める。

 

「いや、客人は寛いでくれ」

 

 キャゼルヌが全員を食卓に座らせた。

 

 その後、キャゼルヌ夫人が料理を運び食卓に並べた。

 

「取り敢えず話は食事の後で」

 

 キャゼルヌがヤン達に食事を勧めた。

 

 

 

 

「さて、何があったか話してくれるか」

 

 食事を終えた所でキャゼルヌが口を開く。

 

「そうですね。まずあの時は私が襲撃されたのですが、その時、足を撃たれましてね、出血多量で意識を失ったんです。そのまま死ぬものだと思いました」

 

「あぁ」

 

 キャゼルヌは相槌を打ちながら話を聞く。

 

「その時、時空震だったかな……それに巻き込まれて私は、時空を飛び越えてこの子……はやてに召喚されたんですよ」

 

 ヤンははやてを見据える。

 

「召喚された時、私は死ぬ寸前でしてね……まぁ荒唐無稽な話で信じられないでしょうが私を救ってくれたのは魔法の力ですよ」

 

「召喚に魔法だって? そうなると彼女達は魔法使いか何かか?」

 

 キャゼルヌは訝しんだ表情をはやてに向ける。

 

「疑う気持ちはわかりますよ。そうだな実際見てもらったほうが早いでしょう。はやて頼めるかい?」

 

「え!?」

 

 突然話を振られたはやてが混乱する。

 

「何も難しい魔法じゃなくて良い……簡単なのを頼むよ」

 

「いや、おじさん……簡単に言うけど私の魔法は室内向けじゃ……」

 

 はやてに全員の視線が集まる。

 

 その時、リビングのソファに座っていたキャゼルヌの二人娘がはやてに駆け寄る。

 

「お姉さん魔法使いなの?」

 

「魔法見てみたい!」

 

「せやで、うーんそうやな」

 

 はやては立ち上がるとリビングの中央に移動し、デバイスを手に取る。

 すぅっと一呼吸するとはやてが目を閉じる。

 すると、はやての身体が一瞬光りに包まれると次の瞬間には白と黒のバリアジャケットに身を包んだ。

 

「うわぁ! すごい!」

 

「変身した!」

 

 キャゼルヌの二人娘ははやての変身を見てはしゃぎ始める。

 

「アハハ……これで魔法使いって信じてもらえましたか?」

 

「そうだな……手品やその類には見えないし……信じるしかないな」

 

「ありがとうございます」

 

 礼を言ったはやては変身を解除し時空管理局の制服に戻る。

 

「えー変身辞めちゃうの?」

 

「もっと色々みたい!」

 

「アハハ、また後でなぁ」

 

 はやてがそう言うと二人娘は残念そうな表情で元の位置に戻っていった。

 

「しっかし、お前が魔法使いに助けられたとは……不思議な話もあるものだな」

 

「先輩の言うとおりですね」

 

 ヤンは小さく笑う。

 

「まぁ、そんなこんなで命拾いした私はこの子達に10年程生活の基盤をお世話になってましたね」

 

「昔からユリアンが居なければ生活もままならなかったからな。それで……なんで戻ってきたんだ? 唯の帰還というわけでも有るまい。理由があるのだろ」

 

「流石キャゼルヌ先輩。鋭いですね」

 

 ヤンはキャゼルヌ夫人が出してくれたワインをグラスに注ぐと飲み干した。

 それを確認したキャゼルヌ夫人が再びワインを注ぐ。

 

「実はこの子達と一緒に向こうの時空にある組織に所属してましてね」

 

「その組織とは?」

 

「あっ、えっと時空管理局といいます」

 

 ヤンの代わりにはやてが答えた。

 

「時空管理局……聞いたこと無いな……その時空管理局が何故この時空に?」

 

「私達が居た時空で麻薬が蔓延してまして、その発生源がこの時空だったんです。それでその調査で」

 

「麻薬……まさか」

 

「はい、サイオキシン麻薬で間違いないです」

 

 ヤンはため息混じりに答えた。

 

「それでこの時空へやって来た所運が良いのか悪いのかカイザーが乗っていたブリュンヒルトに見つかって……その後なんやかんやあって私の存在を認知してもらい、一緒にイゼルローンに……とまぁそんな所です」

 

「そうか、大変だったな」

 

 キャゼルヌもワインを一口飲んだ。

 

「ん? 待てよ……今の話からすると……カイザーがこのイゼルローンに今も居るってことか?」

 

「そう……なりますね」

 

「はぁ~……まさかあのカイザーがこのイゼルローンに……」

 

「えぇ。先程イゼルローンの通信設備で帝国に迎えの連絡を入れたようですし、今頃は用意した上客用の部屋で寛いでいる頃でしょう」

 

 キャゼルヌは顔を片手で覆い天を仰ぐ。

 

「はぁ~……安全面は大丈夫なんだろうな? カイザーが居ること知っている奴は?」

 

「シェーンコップが護衛しているので大丈夫かと……カイザーの存在を知っているのはアッテンボローを始め一部の人間ですが、そのアッテンボローが箝口令を敷いています」

 

「それなら良いが……万が一にもイゼルローン内部でカイザーの身に何かあっては大ごとだぞ」

 

「そこは抜かりなく。ふぅ~さて……食後に1杯の紅茶でも頂こうか」

 

 ヤンが呟くとユリアンとはやては同時に立ち上がった。

 

「ミンツ中尉殿。先程は貴方が淹れたのだから今回は私がやりますよ」

 

「いえいえこの様な雑用で態々八神中佐のお手を煩わせる事もありません座っていてください」

 

「……」

「……」

 

 二人は無言で睨み合う。

 

「はぁ~どっちでも良いから紅茶を淹れてきてくれるかい」

 

 二人は同時にキッチンへ向かった。

 

「まさか、あのユリアンが嫉妬してるとはな。それにはやてと言ったか、あの子もユリアンに嫉妬しているようだな」

 

 先ほどの二人のやり取りを見てキャゼルヌは小さく笑った。

 

「嫉妬……ですか? あのユリアンがはやてに? それにはやてがユリアンに? 何故です?」

 

 ヤンの言葉を聞いてキャゼルヌはため息を吐いた。

 

「全くお前というやつは……敵の心は怖いくらい読めるのに自分の事になると駄目になるな」

 

「そうですかね?」

 

 キャゼルヌの言葉にフレデリカが小さく笑う。

 

「あぁ……お前は知らないだろうが、お前が失くなってから今までユリアンはヤン・ウェンリーの後継者として敵味方問わず重圧に晒されていたんだぞ。まぁ……これは憶測だがユリアンからすればそんな気を張った状態で死んだはずの父親が生きて帰って来たはいいものの、見ず知らずのあの子を引き連れていた。まるで父親を取られたと思っているのかもな。それにあの子もお前さんが元の世界に帰ったら父親を取られてしまうと感じているんだろうな」

 

「ユリアンは養子縁組していますからまだ分かりますが、はやては私を父とは……」

 

「思っていないと言い切れるのか?」

 

「いいえ……心当たりがないこともないですが……」

 

 ヤンは闇の書事件の事を思い起こす。

 リインフォースに取り込まれた際、確かにはやてはヤンのことを父と慕っていた。

 その出来事がヤンの中で思い起こされる。

 

「今のお前さんの年齢ならばあの子達くらいの子供が居たっておかしくない。それに、お前はあの子に10年位お世話になったのだろ。見ず知らずの他人を10年も面倒見れるものか。ユリアンからすればあの子は自分より長くお前さんを知っているという事になる」

 

「だからと言ってユリアンがはやてに嫉妬するという訳ではないでしょう」

 

「話を聞く限り、お前さん向こうの時空じゃ軍務には携わってなかったんだろ」

 

「はい、時空管理局では軍務というのは無くあくまでも治安維持組織という建前ですね。結局雑用でしたね」

 

「つまりあの子はユリアンが知らない平時のお前さんを知っている。逆にユリアンはあの子が知らない戦時のお前さんを知っている事になる」

 

「そう……なりますかね?」

 

「それにあの子は中佐らしいな。ならばあの子も元帥のお前さんを知っているユリアンに嫉妬してもおかしくは無いだろう」

 

「そんなものですかね? 私としては年が近いので良き友人になってもらえればと思ってますがね」

 

「ふむ……お互い嫉妬が解けたら良き理解者になるかもな」

 

 キャゼルヌはグラスに残ったワインを飲み干す。

 

「それで……お前は今後どうするんだ?」

 

「そうですね……私の生存は伏せたままにしたいですね……以前の私なら生きている事を……蘇った事を布告して民主政治の復権を宣言する選択肢もあったかも知れませんが、平和な時代を生きて……思ったんですよ。このまま復活を布告すれば民主政治復活の象徴として利用されて戦火が広がるのだろうと。それならばカイザーの庇護のもと、イゼルローンを共和政府か自治区として数十数百年後に民主主義の芽を残して後世に託すのも良いのではないかと思うのですよ」

 

「なるほど……つまりお前が生きている事はひた隠しにすると?」

 

「そうですね。先日カイザーに謁見した際にこの事は話をして意図は酌んでくれたと思いますよ。それに……こんな世界です。私が表舞台から退場するには1度死ぬしか無いですよ」

 

「それもそうだな……辞表を出したって周囲がお前を辞めさせはしないし、辞めたとて政治屋共が不安がって政界に入り込むんじゃないかと暗殺の対象になるのは見えてるな」

 

「一体何度辞表を出そうと考えたことか……実際一度、イゼルローン攻略後に辞表を出したことがあるんですが……当時本部長だったシトレ元帥が受理してくれなくて……結局はシェーンコップが私の辞表を破り捨てましたが、後で聞いた話ですとあのまま辞表を突き付けたとして私の辞表を食べてまで隠蔽する腹づもりだったとか……」

 

「食べてって……シトレ元帥ならやりかねないな。それで……お前の今後の身の振り方だ。どうするんだ?」

 

「そうですね……」

 

 ヤンは少し頭を掻く。

 

「私としてはこの時空に帰りたいのです。家族が居ますから……ですが、今はまだ時空管理局預りですので、サイオキシン麻薬の一件を解決させたら時空管理局を脱局してから……ですかね。そうすれば向こうから少ないながらも年金がおりるかもしれませんし」

 

「それは良いとして、あの子達との関係はどうするんだ?」

 

「時空管理局とカイザーがどの様な関係性になるかですね……友好的な関係を築けるのならばそれで良し。はやてが向こうの時空に帰っても定期的には会えるでしょう……ですが時空管理局と帝国が敵対するようなことになったなら……イゼルローン軍は静観に徹したほうが良いかと。義理立てて時空管理局の味方をすれば一緒に滅ぼされる可能性があります。そうなると、やはりはやての身の振り方次第ですね……もし時空管理局を見限りこの時空に逃げるというのであるならば私は用いる全ての手段で彼女達を保護するつもりですよ。しかし、もし時空管理局側に付くと言うならば……説得はしますがあの子の意思を尊重します」

 

「保護というがな、どうするつもりだ?」

 

「それは……」

 

 ヤンが顎に手を置き考え始める。

 そんなヤンを見兼ねてフレデリカが口を開く。

 

「その場合はあの子をユリアンの様に養子にしてはいかかです?」

 

「はやてを養子に……か。あの子がそれを望むならそれも良いかもな」

 

「まぁ……養子の話はその時になったら考えたら良い。手を回してやる。それで、その時空管理局の戦力はどんなもんなんだ?」

 

「正直に言ってしまえば時空という障害さえ取り除いてしまえば戦艦の性能差もあります。艦隊での防衛戦だけを考えるならばイゼルローンの駐留艦隊でどうにでもなるかと。時空管理局では補給線もままならないでしょうし」

 

 ヤンはそう言うとワインを口に含む。

 

「だが向こうは一方的に時空と言う壁を越えられるのだろ?」

 

「えぇ。確かにそこは優位性がありますが、時空を越えても正面から撃ち合っては艦隊戦では勝ち目がありません。もし仮に艦隊の中央に時空管理局の艦隊が突如として現れたとしても同士討ちを狙う撹乱か至近距離から主砲を斉射しても精々数隻落とせたら良いほうですね」

 

「それならば単艦での一撃離脱を繰り返せば……」

 

「確かにそれをやられると鬱陶しですが、ワープアウトの反応までは隠せないでしょう。そこを狙い撃ちすれば同士討ちも避けられるでしょう」

 

「では、艦隊の前後左右や上下など包囲するように時空を飛び出して展開すれば?」

 

「こちらの艦隊を包囲するだけの数を用意することがまず不可能ですが、もし仮にその策で来られると最初は驚くかもしれませんが、何度と使える手ではありませんね。艦隊を包囲するように時空を超えて現れるなら、前方に火力を集中させて正面を撃破しつつ死角に機雷とゼッフル粒子を敷設しておけば……時空を超えた瞬間」

 

 ヤンは小さく手を叩き爆発を表現する。

 

「なるほどな……相手からすればゼッフル粒子は未知の存在だからな」

 

「そうです……数と総合的な性能に差がありますから」

 

「そうなのか? 艦隊性能ではこちらが上でも向こうは魔法とやらを使うんだろ?」

 

「えぇ。確かにひとりの人間でビル一つ壊したりする魔法を撃てる人物も居ますが……あくまでもそれは個としての能力であって、時空管理局と言うのはその個の能力に依存している部分があります。確かにはやてが魔法を全力で使えば1対1でもシェーンコップに勝てるでしょう……ですが、はやて一人でローゼンリッター全員は相手できません。彼女の護衛、ヴォルケンリッターを総動員すればローゼンリッターにも勝てるでしょうが、他の部隊を逐次投入すればいずれは……つまり数の差があります。時空管理局に勝ち目があるとすれば魔法を使って、地球教の様に信者を増やし奇跡を模倣し民衆を味方につけてクーデターでも画策させるくらいですか?」

 

「そうか、魔法というのを詳しくは知らないがまさかあの子がシェーンコップより強いとは……見かけによらないな……確かにこの時空の人間は魔法について明るくない。それならば魔法を使ってカイザーを暗殺したり洗脳したりも出来るんじゃないか?」

 

 キャゼルヌは首を傾げる。

 

「その可能性も十分ありますが、ソレをやるにはカイザーを始め極めて少数の一部の人間しか時空管理局の存在を知らない今この瞬間がベストタイミングでしょうね。今ならカイザーの暗殺容疑を地球教、もしくはイゼルローン軍に擦り付けられますが、時空管理局の存在を公表されてから暗殺なんてしたんじゃ悪目立ち過ぎますからね。それに、今この時空に居る魔法使いは、はやて達だけですし……もし仮にそんな命令が下ったとしてもはやて達はそんな事はしないでしょうし、きっと私に一言言うはずですよ」

 

「あの子を信頼しているんだな」

 

「あの子は大局を見れる子ですよ。それに優しい子ですからどうすれば一番流血が防げるか考えるはずです」

 

「なるほど……つまり軍としての能力……そして帝国軍との物量差を考えれば……」

 

「えぇ。だからこそそうならない為にもはやてには上手いことカイザーと時空管理局の橋渡しをやってもらいたいですね」

 

「なるほどな。まぁ取り敢えずはカイザーの機嫌次第ということか」

 

「そうなりますね」

 

 ヤンが小さく笑みを浮かべる。

 

 その時。

 

「お待たせ、おじさん」

「提督。ご用意できました」

 

 はやてとユリアンがほぼ同時に紅茶をヤンの前に置いた。

 

「えっと……」

 

 困惑するヤンを尻目にユリアンとはやては笑顔で睨み合う。

 

「えっと……その」

 

 ヤンは困った表情でキャゼルヌに救いを求める。

 

 キャゼルヌは無言肩を竦める。

 

「……」

 

 ヤンは仕方なく、無言で2杯の紅茶を飲んだ。

 

 

 余談ではあるが、今後の生涯においてヤンはユリアンとはやてが居る場においては2杯の紅茶を飲み続けたという。

 

 

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