北へ 作:遠藤オブ遠藤
記録―――2019年3月北海道
北旭川中学校にて同級生4名からの執拗な嫌がらせが誘因となり、首謀者含む6名の生徒が死亡。
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人外魔境の新宿決戦から、3か月がたった。転入生として来栖華を迎え入れ、任務をこなしながら平穏な日々を送っていた。
そんな、進級も間近に迫ってきたある日のことだった。
「虎杖悠仁。任務の終わりですまないが着いてきてもらう。」
任務が終わった後、伏黒たちとだべっていると、突然楽巌寺が教室に入ってきた。
「えー!俺疲れてるんすけど!!」
出会った当時こそ虎杖の刺客だった楽巌寺だったが、虎杖の人懐っこさ、両面宿儺との戦いを通して冗談を言える程度には仲良くなった。
しかしこの会話において冗談は失敗だったらしい。楽巌寺の顔は真剣そのもので、圧を放ちながら虎杖に対して命令した。
「早くしろ。お主のせいで人が死にたくなければな。」
「…は?」
突然死ぬなどと物騒な言葉が出てきてあっけにとられる虎杖に対し、楽巌寺はこう続けた。
「お主にしかできないことだ。頼む。着いてきてくれ。」
「了解っす…」
伏黒たちも場の雰囲気を読んで、虎杖を止めなかった。
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「まずはこの写真を見ろ。」
「...っ。これは...!!」
一枚の写真が手渡される。それは、学生複数名が脳漿を飛び散らせて死んでいる写真だった。
虎杖悠仁は、この現象を誰よりもよく知っている。
「真人...っ!!!!」
半年前とは比べ物にならないほど練度の上がった呪力操作が、少しばかり緩む。
「違う。これは人から生まれた特級呪霊による被害ではない。」
「お主は一度秘匿死刑を受けた身。そして、この術式を誰よりもよく知っているはずだ。だからこそほかでもないお主を連れてきた。」
扉が見える。
「ここじゃ。入れ。」
「ここって...」
その場所には見覚えがあった。かつて、自分が秘匿死刑を受けたところそのものだった。
「彼の術式は無為転変。そして。羂索による呪術テロの被害者で、半呪霊の人間じゃ。」
「...なるほど。俺は...何をすれば。」
「それは自分自身で考えろ。しかし、このまま何もなければ秘匿死刑は確実じゃ。」
秘匿死刑。虎杖悠二は一度殺されたからこそ知っている。その苦しみを。様々な人から向けられる呪力を。
だからこそ。
そんな虎杖悠二だからこそ。かつての恩師のように。まだあったこともない少年を救ってあげたかった。
「俺。行ってきます。秘匿死刑になんてさせません。絶対に、楽巌寺先生を納得させてみせます。」
「うむ。」
そういって、虎杖は始まりの場所に足を踏み入れた。