バッセSSまとめ   作:アフロダイB

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藍と栄心と葵

ある日の昼下がりのこと

 

早めの任務を終えた太刀花藍、高山葵、高山栄心の3人は

ダーザイン支部に戻るため現代文明に似た、とある異世界の街を歩いていた。

 

自分達の世界に似ているがやはり異世界。

様々な物に目移りしてしまうのは自然な事であり3人は街を散策し珍しい品々を物色しながら進んでいた。

 

だが異世界は2人を見逃さない。

 

小柄ながら姿勢が良く育ちの良さが出ている少女の藍と

背が高くスラリとした印象を受ける中性的な顔立ちの葵はあからさまに目立っていた。

 

逆に栄心はこの世界においてはそうでもなかった。

この世界の男性は相対的に背が高く作務衣がデフォルトの服だったからだ。

 

『そこのお2人!デートにうちの店はどうかな?』

 

『え?デートですか?』

 

声を掛けられた藍の戸惑う姿を見て呼び込みの男が自分の過ちに気付く。

 

『あっ、背の高い方も女の子…!ご、ごめんなさい!!』

 

慌てて頭を下げる男を片手のジェスチャーで制止ながら2人は歩いていく。

 

『あはは!藍ちゃんが可愛すぎるから私が彼氏と間違えられちゃったね』

 

『そんな、葵さんがカッコよすぎるからですよ』

 

そう言って笑う2人の後ろを真顔で付いていく栄心

 

(拙僧ナチュラルにスルーされたなぁ…)

 

確かに葵は可愛い。

あらゆる世界相を含めても一番の美少女と言ってもいい。

藍ちゃんもどこに出しても恥ずかしくない美少女だと思う。

だから2人が目立つのもわかる。

 

『そこのお2人さん!あ、女の子…!?』

 

(すぐ真後ろを付いてるんだから普通は関係者だと思うだろ?)

 

そんな栄心のモヤモヤした気持ちを逆撫でする様に少年達が2人に声を掛ける。

 

『君達ー!女の子同士で遊んでないでさー!俺達と遊ぼうよ!』

 

『すぐ後ろにお兄さんがいるんだがっ!!』

 

『うわぁ!男がいたのか!!』

 

栄心の悲しみを帯びた声に恐れをなして少年達が慌てて立ち去っていく。

 

(何で女の子の2人がカップルに見えるんだ。

せめて拙僧と葵か拙僧と藍ちゃん。なんなら2人連れの伊達男でもいいだろ?)

 

『そこの君達、芸能界に興味は…ってヤベェボディガード付きか』

 

『お兄さんだっ!!』

 

藍ちゃんがお嬢様だからか!?

どうして兄のはずの拙僧がボディガード扱いなんだ!?

拙僧は2人に比べてそんなに格落ちなのか!?

 

その後も様々な理由で2人だけが声を掛けられ栄心はスルーされていく。

 

(なんてことだ…!

2人のすぐ後ろを歩いているのに!

拙僧は!

完全に!

背景と化している!!)

 

辛い。

己の存在が認識されないのが辛い。

 

(今拙僧は3人で歩いているはずなのに世界に1人だ!)

 

栄心は一気に心細くなる。

 

(別に美女のお姉さんに『アラあの男ちょっとイケてるじゃない』とか言われたいわけじゃない。

拙僧はただ2人と対等の存在だと思われたいだけなんだ!)

 

栄心の精神が乱れていく。

認められたい。

世界に己の存在を認めさせたい。

そんな栄心の怨念にも近い精神が彼を異様に目立たせたのかもしれない。

 

『よっ!そこのモテモテのお兄さん!カラオケとかどうだい!?』

 

ついに2人こそが栄心のツレなのだと認識された。

その言葉を聞いて栄心の顔が一気に明るくなる。

 

『いやったぁぁぁああああああ!

聞いたか2人とも!今の聞いたか!?

拙僧が君達の恋人に見えるんだって!やったぁあああーーー!!』

 

高山栄心、21歳は後にこう語る。

 

『いやぁ…まぁ…実の妹や妹のそのまた妹みたいな女の子とカップルに間違えられて

兄があんなにも大喜びするのは…それはまぁ理解に苦しむでしょうね。』

 

栄心は遠い目をしながら語った。

 

『女の子が心の底から理解できない物を見る時、あんな目をするんですね。』

 

高山栄心は心に傷を負った。

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