バッセSSまとめ   作:アフロダイB

31 / 34
アザラシさんブームに乗って勢いで書きました。
アザラシさんのキャラに解釈不一致があると思いますが、そこはご容赦ください。


アザラシさん

『…多摩川じゃん。ここ東京?』

 

のどかな川のせせらぎに囲まれ、凛が唖然としながら立ち尽くす。

 

ダーザインの戦闘員が窮地に陥っている。

司令部に指示されて指定されたポイントに空間転移でやってきた藍達だったが

そこはTVで何度か見た事がある多摩川だった。

 

『指定ポイントがズレてたのかな。』

 

杏樹は座り込んでいる。

敷き詰められた草の感触が心地いい。

 

『いやぁーその辺はミスのないプログラム仕掛けでしょ。

なんと言ってもダーザインなんだし。』

 

那由多が伸びをしながら答える。

 

『そうですよね。

アフロはどう思う?』

 

那由多に同意して藍はアフロダイBに尋ねる。

アフロは高度文明の生き残りなので未来技術の不具合に詳しいと思ったのだ。

 

『那由多ちゃんの言うようにプログラムで制御されてるからミスはない。

ただしこの世に絶対もない。

とはいえ、普通に考えたらここで合ってるんだろうね。

間違ってたら連絡が届くよ。』

 

アフロダイBの言葉を聞いて全員が納得する。

とりあえず二手にでも別れて探索しようと意見がまとまったその時だった。

 

『おーい、ここや!ここやー!』

 

東京では使われていないはずの関西弁が川の方から聞こえる。

川に目を向けてみるが、人らしき影も船さえも見当たらない。

 

『ここや!ここぉー!』

 

よく見ると水面がヤケに乱れている場所がある。

その中心にいるのは、アザラシであった。

 

『…なんでアザラシ?』

 

『しかも喋ってるねぇ、関西弁を。』

 

凛が脱力した声で呟き、那由多も唖然としている。

 

『昔は多摩川にもアザラシがおったんや!

そんな事よりはよ助けてくれー!!

ダーザインの子なんやろー!?』

 

『あ、今2004年だって。』

 

アフロダイBが時間軸を確認する。

自分達の世界だと思っていたが時間軸が違うらしい。

 

『そんな事よりダーザインと言ってました!

アザラシさんが追われている戦闘員なのでは!』

 

藍が川を指差す。

よく見れば水面を乱す影はいくつもある。

アザラシは何かに追われているようだ。

 

『水の中に入るの嫌だから岸まで来て。』

 

『ばっかお前っ、そんな助け方があるか!』

 

杏樹がやる気なさげに無情な言葉を投げ付ける。

アザラシはツッコミを入れながらも必死に岸に向かう。

アザラシがペタペタと浅瀬までたどり着くと藍が駆け寄ってアザラシを抱き上げた。

 

『まともなのは嬢ちゃんだけかいな。』

 

『ごめんなさい。

でも水中で戦うのは不利なので助かりました。

後はお任せください。』

 

藍はアザラシを岸に置くと刀に手を置いて迎え撃つ。

水中から現れたのは異世界からの何かが変質した存在、変異体であった。

 

『よう見たらみんなガキやんけ!

おうおうおう、小娘なんかにワシを守れるんかいな?

揃いも揃ってお子様パンツ履きおってからに!』

 

低い位置から汚い罵声を浴びせるアザラシ。

凛が割と大きめの石が投げつけ、アザラシの頭に命中した。

ちょっと血が出た。

 

『やるよ、みんな!』

 

凛の声で全員が戦闘態勢を取る。

 

『しゃーないな!

ワシが後ろで指示を出したる!

ワシの言う事をよう聞くんやで!』

 

ダーザインの戦闘員に選ばれている以上は何かが出来るんだろう。

戦闘力は無いようだから、アザラシの力は恐らく指揮能力だ。

全員は頷いてアザラシの指示に従う事にした。

 

『まずは金髪の姉ちゃん、午後ティ買ってこい!』

 

『あいよ!』

 

凛が自販機に向かう。

 

『銀髪のお嬢ちゃんはワシを膝枕!』

 

『え?あっ、はい?』

 

藍は座り込んでアザラシを膝枕する。

 

『桃色の髪のお嬢ちゃんは団扇、扇いで!』

 

『へ、あ、うん?』

 

那由多はアザラシに団扇を仰ぐ。

 

『ウェーブ髪のお嬢ちゃんは煙草に火ぃ付けて』

 

『死ね』

 

杏樹はライターを受け取ってアザラシの頭を炙る。

 

『あっつぁ!!

で、デッカイのは敵に攻撃!!』

 

『くらえっ、うどんのようにしなる耳アタック!!』

 

アフロダイBが耳を振り回して単敵を攻撃する。

 

『ふははは!

ペチペチと叩かれて痛いだろう!

このまま死ぬがいい!

あ、耳を掴まれたっ!!』

 

耳を掴まれて顔をグーパンされるアフロダイB。

 

『アイツあかんな、よっしゃ逃げるで!!』

 

凜がアザラシの顔を殴った。

 

『もういい、普通に戦えーっ!!』

 

藍達が突撃すると変異体達は次々と倒されていく。

 

『え?え?めっちゃ強いですやん…。』

 

藍達の戦闘力にアザラシは呆気にとられる。

 

『アカン。

このままやとワシの立場がない。

そや!』

 

このまま勝利するかと思われたが、アザラシが予想だにしない行動を取った。

 

『あぶなーい!アァァーーーッ!!』

 

アザラシは何故か戦闘に割り込んで敵の攻撃を受けて倒れた。

 

それからどれだけの時間が流れたのだろう。

アザラシはわずかに意識を取り戻す事が出来た。

 

(あぁ…ワシは死ぬんかな。

死ぬ前にせめて腹いっぱい食べたかったなぁ…)

 

そう思い最後の力を振り絞って目を開けると眼前には巨大なアフロダイBの顔が迫っていた。

 

『うわぁああああああ!

なんやなんや!!こっわ!!』

 

アザラシは飛び起きた。

 

『なにって、もちろんマウス・トゥ・マウスだ。』

 

アフロダイBが当然のように答える。

 

『そういうのはこう、展開的にお嬢ちゃん達の誰かが優しくするもんちゃうんか。』

 

『はぁ?なんで私達がそんな事するのよ。』

 

『あっ、そうですよね。

ホンマすんません。

みなさんのことなめてました。』

 

いきなり低姿勢になるアザラシ。

強い者には媚び諂うようだ。

 

『訳の分からん事を言うんじゃない。

大体アザラシが人間のメスに興味があるわけではないだろう。』

 

『それはそうなんやけどな。

獣臭いよりはいい匂いの方がええやん。』

 

『獣臭いと言ったか貴様!!許さん!!

くらえ、うどんのようにしなる耳アタック!!』

 

『なんややるんかザコが!おらおらっ!』

 

アフロがアザラシを耳でペチペチと叩き始め、アザラシも手でペチペチと耳を叩いて応戦する。

 

『…あの、関西弁で喋るアザラシを保護しましたが…合ってますか?』

 

『合ってる。帰還したまえ。』

 

通信で確認するとダーザインから短い回答が戻ってくる。

 

『…とりあえず、尊い命が守れてよかったですね。』

 

『普通さ、動物一匹のために世界を飛ぶかしら?』

 

このアザラシは何なのか。

世界を飛び越えてまで助けるほどの価値があるのか。

 

それはこれからのアザラシ次第である。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。