『ふざけんな!まだガキじゃねぇーかよ!』
『ご安心ください。私達は子供ですが組織の一員としての資格は持っております』
とある世界相。
姿を真似る幻想態に襲われた藍とこはる。
子供に化けた幻想態に藍が不意討ちで倒され、こはるも懸命に戦ったが藍の姿に化けられた事で躊躇し頭を殴られた。
こはるが覚えているのはそこまでだった。
その後に目を覚ました藍が弱った幻想態を撃破、これが現実だ。
こはるが目を覚ますと少し怖そうなお兄さん達と藍が何かを話しているのが見えた。
『あちらに別動隊が動いております。後ろからの追撃がないように私が支えますので』
こはるは大きな勘違いをした。
どうやら藍の姿に化けた幻想態が避難民をどこかへ誘導しようとしているようだ。
周囲を見渡すが藍の姿がない。
どこかへ連れ去られたのだろうか。
それにしても頭がぐるぐる回る、思考が上手くまとまらない。
こはるは頭に喝を入れながら必死に考える。
(うーん、まずはあの幻想態さんをやっつけなくちゃ)
こはるは能力で藍の姿をした幻想態の弱点を確認した。
弱点:腰を突かれる
(…あれぇ!?腰を突かれると弱いの!?)
グルグル頭のこはるには『幻想態さんなのに腰?』という疑問は浮かばない。
こはるはこっそりと藍の後ろに回り、親指で藍の左右の腰を突いた。
『A地区は安全が確保されています。そのために皆さんには私達と一緒にCルートを通り…ひゃぁっ!!』
場にそぐわない声が大きく響いた。
いきなりの大声に罵声を浴びせていたお兄さん達も沈黙し、辺りは一時的に静けさを取り戻した。
(こはるちゃん目を覚ましたんだね、よかった。
でも今はこの人達の避難が先だから少し待っててね。
腰を突いたのは頭を打って混乱してるからだよね、わかってるよ。)
不満が爆発する状況でこはるに説明してる時間はない。
藍は俯き腕をクロスさせ腰を抑えながらも、プルプル震えながら説明を続けた。
『…Cルートを通り、その後はDポイントで味方部隊と合流。その後に…』
幻想態の思わぬガッツにこはるは驚いた。
(凄いよこの幻想態さん!何事もなかったかのように振る舞おうとしてる!)
だが自分も負けるわけにはいかない。
更なる弱点はないかと能力で探ると…
弱点;背中をなぞる
能力で見えた通りに背中のラインを人差し指でなぞる。
『Dポイントでは水や食料などの補給もありいぃぃぃぃ~…』
藍の姿をした幻想態がますます体を丸めてプルプル震えだすが説明は止まらない。
(むむぅ、こうなったら一番弱い所を突いちゃうしかないっ!)
一番の急所を確認すると…
急所:両脇を揉まれる
こはるは躊躇なく藍の両脇に手を突っ込んだ。
『別動隊の到着にはおよそ20分のひぃぁぁぁぁぁ!』
たまらず藍が地面に座り込みそのまま動かなくなった。
(…あれ?そういえば幻想態さんは何で反撃してこないんだろう?…あっ!!)
こはるはここでようやく正気を取り戻す。
幻想態ならそもそも誘導などせずとっくに人に襲っている。
つまり…さっきから私が触りまくっていたのは…
(や、やってしまったよー!)
目の前に座り込んでプルプル震えてる藍を青ざめた目で見つめる。
(やばい。
路上で変な声出させちゃった。
しかもやり過ぎて藍ちゃん座り込んじゃったー!)
とにかく謝らなくてはならない。
『ら、藍ちゃん?ご、ごめんねー』
こはるが藍の期限を伺うように顔を覗き込むが返事がない。
と、こはるが油断した瞬間、藍は素早い動きでこはるに飛びつき脇をくすぐり始めた!
『もぉ!もぉっ!サッサと目を覚ましなさぁーい!!』
『あははははは!ごめ、ごめん!
もう覚めたって、わたしそこダメぇ!こ、こうなったらさらにお返しだー!』
『あははは!そこも苦手!やめてー!』
藍もこはるも互いに全力でくすぐり合う。
しばらく夢中になってくすぐりあっていた2人だったがやがて我に返る。
怖そうなお兄さん達が冷ややかな目でこちらも見ていたからだ。
『…あはは、えっとー…』
『…もういい。大人を連れてこい』
呆れかえるようなため息を吐かれる。
『…はい、ごめんなさい』
しばらくの間、藍とこはるのチームには必ず大人が同伴するようになった。