『後5分で援軍が来る!持ちこたえろ!』
とある世界相。
突如現れた幻想態に対応した現地兵は苦戦を強いられていた。
だが勝機はある。
本部からの指示によれば、あと少しでとっておきの援軍が到着するのだ。
『くそったれ、もう弾がない!ここまでか!』
『いや、あれを見ろ!どうやら俺達の勝利だ!』
部隊長が指を差す方から何かがこちらに向かってくるのが見える。
あれこそが援軍に違いない。
援軍の到着に安堵する現地兵達だったが、その影が近づくにつれて表情が困惑気味に変わっていく。
こちらに向かっている影は自転車だった。
『いよぉっし!ヒーロー参上だぜ!』
キキーッと音を鳴らし自転車が停止する。
赤い髪の学生服を着た少年、アクトが立ち漕ぎのような状態のままで片足だけ地面につけて元気な声で叫ぶ。
『後はおれ達に任せて~』
赤い髪の少年?の影から左側にサドルに座ったダンサーの様な少年、天灯がヒョコッと顔を出す。
『みなさんお怪我はありませんか?』
その更に後ろから荷台に座ったセーラー服の少女、藍が右側に顔を出す。
…なんだこの子たちは?
『き、君たちはいったい…?』
現地兵の当然の質問をアクトは静かに笑うと名乗りを上げる。
『俺達!』
『私達は』
『おれたちは~』
それぞれが一言ずつ喋り…
『バースセイバー!!』
自転車に乗ったまま3人同時に名乗りをあげる。
ようやく現れたのは援軍ではなく迷子の少年少女だった?
絶望する現地兵達だったが、3人は意気揚々と自転車を降りると
ハンドルをまっすぐにし、しっかりスタンドを立て、自転車に鍵をしっかり掛けて、敵に突撃していった。
『いっくよぉ~!』
赤い髪の少年が突撃するのかと思いきやマイペースそうな天灯が一番に突っ込んでいった。
そのまま強烈な蹴りを浴びせると幻想態の身体が大きく揺れる。
『太刀花藍、続きます!』
続いて見るからに後方支援担当のような線の細い少女が刀を持って敵に斬りかかった。
大きく体を揺らした幻想態に藍の居合切りがまともに入り幻想態は消滅する。
『よぉっし!行くぜ!魔法少女変身!!』
見るからに元気そうな赤い髪の少年アクトが魔法少女に変身する。
(お前が変身するんかーい!)
(さっきの女の子が変身せんのかーい!?)
現地兵達のツッコミはとても真っ当だが現実はそうはいかない。
魔法少女に変身したアクトが呪文を唱えると強烈な一撃が幻想態達に放たれた。
『お疲れさまです。続いてBポイントに新たな幻想態が出現。至急援護に向かってください!』
敵を倒して安心するのもつかの間、すぐに少年少女達の持つ端末から声がする。
3人はお互いの顔を見合わせ決心したように頷くと…
やはり自転車に向かって走り出した。
『あ、今度は私が運転するよ』
『え、藍大丈夫?』
立ち漕ぎ:藍
サドル:アクト
荷台:天灯
の布陣で自転車が発進するが…
『んんんんんんん~~~~!!』
藍が身体を大きく伸ばし顔を真っ赤にしてペダルを踏むが進まない。
自転車はフラフラと蛇行運転し、やがて転倒する寸前で少年2人が片足ついて立て直した。
『藍、やっぱ俺と交代!ほいヘルメット!』
『ご、ごめんね。2人に漕いで貰ってばっかりで…』
『アクト足踏んでいい?2人でペダル漕いだ方が速いと思う』
『なるほど!それなら2倍の速さになるな!』(注:ならない)
『わぁっ、流石は男の子だね。全然フラフラしない』
現地兵達は心の中で突っ込む。
いいから早よいけや!
ただでさえお前らチャリ移動なんやぞ!
自転車はそれなりのスピードでBポイントへ向かっていった。
もちろんバイクや車には到底及ばない。
だがそれは仕方の無い事なのだ。
だって3人はバースセイバーである前に中学生なのだから!!