研究所生活はホワイトだけど、外の世界の方はブラックだ。   作:フォールンフロア

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色々と面倒をかけた

 

 

 

「うむ? イザル君にフォーマルハウト君かね?」

 

 イザルからジャバウォックが普段居ると言う研究室へと案内され断りも無く入室した。

 

「あ、あはは……博士、ごめんなさい。フォール君が……」

 

「いや、構わないよ。急用は済ませたからね。

 して、フォーマルハウト君。如何したのかね? 見た所、随分と落ち着いてきたと見受けするが?」

 

「両断者。当初、死に急いでいるだの、何だの吐かしてくれたな……」

 

「ああ。今もその考えに変わりは無いかね?」

 

「いや……。俺は自分が考える以上に無知であった様だ。……俺の見ている現実と君らの現実は大きな差異があった」

 

「……‼︎」

 

「それにカペラだったか? 随分な事を言ってくれやがったよ。しかし、事実だった。俺には生きる理由が無い。如何すれば見つけられる?」

 

「……それは難しい問題だね。君は何も感じられない空虚の中で廃人の様に生きていたみたいだからね。困惑するのも無理は無いだろう。

 だが、焦る必要は無い。コレから見つければ良い」

 

「……成程。畢竟、己で悟る他に道は無い、か。兎も角、両断者。いいや、Dr.ジャバウォック」

 

「んむ? 急に改まって如何したのかね?」

 

 フォールの態度がかなり軟化している事にジャバウォックは敢えて問う。

 

「…………疑って悪かった。君らも所詮は外の(・・)世界の連中と大差ない存在だと考えていた。貴方の言葉は正に真実で〈現実〉だった」

 

 ジャバウォックは最初、フォーマルハウトに自身を苛む〈現実〉は存在しない。故にその幻影を直視する必要は無い。と語った。

 

「それに、イザル。あと……扉の奥で隠れているアルフェルグ達か?」

 

 

「え⁉︎ バレていたの⁉︎」

「尾行及び隠密は完璧だった筈が、見破られるとは」

「ん、ん……」

「どんな耳してんだ?」

「ウッソでしょ……何時、気付いたってのよ」

「素でステルス感知とか、マジヤバいっスよ」

 

 

 研究室の扉の奥で聞き耳を立てていたアルフェルグ達が雪崩れ込む様に研究室に入ってきた。イザルは気付いて居なかったのか普通に驚いていた。

 

「普通にバレバレだったぞ……まぁ、それは兎も角。……結構、手荒な態度をとって、悪かった」

 

 フォールはアルフェルグ達に対して中々、酷い言動をした自覚があった。故にその件に関して謝罪した。

 

「気にしていないわ。納得したくれただけでも充分‼︎」

 

「色々、策を考えていたがよもやカペラが決め手になるとは、流石に予想外だった」

 

「失礼な、カペラさんもやる時はやるんスよ」

 

「ふふ、やはり私の見立ては正解であったようで何よりだよ」

 

 当初のフォールの認知では如何しても誰彼問わず軋轢が生じかねない状況だったが、想定よりも早く雪解けを迎えた事にジャバウォックも思わず笑みが浮かぶ。

 

「本音を言えばもう暫くは膠着状態が続くであろう事が予想はしていたのだよ」

 

「……」

 

 フォールは何も言わなかった。事実、あり得た未来であるのは確かだからだ。

 

「さてと、コレからの話をしようか。先ず、君がやる事……それは、食事を摂って入浴して寝る事だ。最初に言った通り……焦る必要は無いのだからね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ドクターよ。どうやら、ボウヤの態度が随分と軟化したみてぇだな。何があったんだ?」

 

「今更、蒸し返す必要は無いだろう。彼は今、生きる理由を模索しているのだ。きっと彼ならば見つけられるだろう」

 

「そうかい。ま、自殺ばかり考えている奴の腑抜けた面構えじゃなければ良いさ。それに、どんな選択を選ぼうがボウヤの人生だしな。水を刺す真似はしねぇよ。……外の環境は黙っちゃ居ないだろうがな」

 

「……そう言う意味ではフォーマルハウト君の言葉もまた正論ではあるな。だが、子供を大人の食い物にしてはならない」

 

「……悪いオトナが多い事を早いウチから知っていたのは良い事だな。最も、この世界(・・・・)にゃ、ちと多過ぎな気がするぜ?」

 

「その点に関しては本当に情けない限りだよ。きっとフォーマルハウト君の様に自暴自棄となって暴走する少年少女達が多数、居ても不思議では無いだろうね」

 

「そうだろうな。同情はするが、構い切れないのが本音だな。で?首尾はどうなんだ?」

 

「表向きのカバーストーリーは研究所内で当たり障りない生活を送っていると公表する。外出は難しい為に職員と一緒に電子ゲームをしていたり、勉強していたりと言った形にね。ダミーの研究所は用意しているが、隠し通せるモノでは無いからね。ならば情報を小出しにして印象操作する方が健全だ」

 

「ハハっ、随分と舐めたストーリーだな? 非難殺到しそうじゃないか? 男性操縦者なのにその研究は疎かにしていると、言われかねないぞ?」

 

「理論武装は既に用意してあるとも」

 

「なら、良いさ。……さてと、ボウヤの心の準備が整ったら……『敵対者』の自覚を持って貰わねぇとな」

 

「…………。そうだな……」

 

「きっと気にいるだろうさ。死んで空虚な神様になるか、生きて魔王になるか……。やるなら愉しく行こうぜ?」

 

「…………一考しようか。或いはその方が彼にとって良い傾向になるかも知れない」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

報告メモ

 

該当者:フォーマルハウト

 

 当初は境遇も相俟って頑な態度であったが、アルフェルグ君達の尽力により態度が大幅に軟化。舌鋒もそれなりに鈍くなった事を確認した。非常に好ましい傾向と言えるだろう。

 ただ、生きる理由を模索して迷いが見られる。迷う事、悩む事も人生の一過程だ。其処の点は温かく見守る事にしよう。

 ベロニカ君の報告によると味覚障害や栄養失調を発症している為に食事内容には考慮する必要があるとの事。

 愛知県にあるダミーの神座研究所の表向きに公表する彼のプロフィールを作成した。男性操縦者の肩書故に外出は難しいが研究所内で職員達と電子ゲーム等に興じたり、勉学したりと言った当たり障りの無い内容を経過情報として公表する予定だ。

 そして、彼の使用する武装に関してはまだ案が纏まっていない。此処は彼の■■■■としての能力次第か。

 

 追記:シニョーラ君の話では研究材料として人体実験等の扱いをした後の末路を聞いた時、やはり人道的には受け入れ難い。人間の持つ悪意とは醜いモノであると改めて感じた。

 

 追記:研究所内での衣服はイザル君がデザインするそうだ。彼女の作品ならば問題は無いだろう。彼が気にいるかは別問題だが。

 

 追記:神か魔王か、願わくば魔王であって欲しい。そう願うのは外道なのか?

 

作成者:ジャバウォック

 

 

 

 

 

 

 

 

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