研究所生活はホワイトだけど、外の世界の方はブラックだ。 作:フォールンフロア
目が覚めると知らない天井だった。
往年の漫画やアニメにありがちな展開であったが実際その通りなのだから仕方がない。
神座研究所内にある居住区。その内の空いていた一室にフォールの部屋が割り当てられていた。
因みにその区画はほぼ全員、フォールと年齢が近い少女達で埋まっており部屋割りの配置を見れば見事なハーレム状況だが、当人は困惑以外の感情が浮かんで来ない。
「……あ、起きたわね。寝過ぎは身体に良くないわよ?」
そして、視点を下に向ければ其処にはカウスが布団の上から寝そべる形で覗き込んでいた。
「……昼夜逆転生活だったんだよ。察しろとは言わないが、何しに来たんだ?」
「何って、朝這い」
「……」
「って、コラ‼︎ 狸寝入りに入るんじゃないわよ⁉︎」
起こされて双方に二度寝したくなって来た。夜這いならぬ朝這いとはコレは如何に……。と言うか、それは本来男が女に向かってやる行為だと言うのに、神座研究所では年端も行かない娘がするとは思っても居なかった。
「二度寝もしたくなるわ⁉︎ 何、朝這いって⁉︎ 初耳だぞ、そんな言葉‼︎」
「別に良いじゃない、そんな事。アンタの臍曲がりは1日で改善されるとは思っても居なかったから数日分くらいは用意していたわよ。でも、まさかカペラが説得に成功するだなんて思っても居なかったわ」
「君も同じオチかァァァァァァァ‼︎⁉︎ 在庫一掃セールかよ⁉︎」
「っと‼︎」
思わず飛び起きた。どうやらカウスも同じノリだったらしい。本当に身体を張り過ぎである。その反動で乗り掛かっていたカウスを吹っ飛ばす形になってしまったが、当人はその直前で後方に飛び退いて華麗に床の上に着地した。
「……って」
その時、初めて彼女の服装が昨日、着ていた黒と赤が印象的な制服では無い事に気付いた。白衣と緋袴、俗に言う巫女服と呼ばれる清廉さが漂う衣をその身に纏っていた。
「どう? 似合っているでしょ? 黒い制服ばかりじゃアレとの事で、色んな服をコスプレ感覚で着回す事にしているのよ」
「……つまり、他の面々も今日は皆、それらに近い服装と言うワケか」
「そう言う事。流石にアンタでも巫女さんの服装位は知っているでしょ?」
「んー、まぁ……だとしても、巫女服を着ているのに朝から夜這いに来るのは流石にどうかと思うのは俺だけか?」
「アンタだけよ。今更、気にするんじゃないわよ。見っともない」
常識が音を立てて崩れて行く感覚がした。もはや、『此処ではそうなのだ』として無理矢理納得するしか無かった。
「あ、イザルからアンタの服を預かって居たんだったわ」
「昨日の今日だぞ? もう見繕ったって言うのか?」
「彼女は思い立ったら吉日と言わんばかりにのめり込むタイプだから。それよりも其処に置いておくわね」
カウスはそう言うと同時に部屋にある机の上に光の量子が収束し1つの箱が形成され顕現した。
「あ、ああ……んじゃまぁ、着替えるから外で待っててくれ」
「え? 如何して?」
「……」
フォールは無言でカウスを部屋の外に放り出した。
フォールは着替えて部屋の外に出る。部屋の外では膨れ面を浮かべたカウスが待って居た。
「いきなり外に追い出す必要は無いじゃない」
「君達は少し位、羞恥心を持った方が良いぞ……」
アルフェルグと言い、カノープスと言い、この研究所の娘達はどうしてこう、距離感が近いのか……。間違いが起きてしまいそうで不安になる。
「何の事かしら? そんな事よりもその服、良く似合っているわよ」
イザルがデザインしたと言うフォールの制服。黒と赤を基盤にし和装の構成。
梵天まで備わっている事からイメージ元は天狗や山伏と言った修験者だと思われる。本場よりもかなりカジュアル寄りのデザインだが、見方によってはやはり修験者に見えるだろうか。
「煩悩に悩まされる、か。いや、何でも無い」
イザルはフォールが天狗のイメージに引っ張られたのか、変な意味で皮肉られたのかも知れないが、その点はやはり本人のみぞ知る事だろう。
「生意気そうな所や、いざと言う時は容赦は見せない所がアイディアに響いたんじゃない?」
その様なデザインになった理由をカウスが憶測込みでそう答えた。
「……とても褒めているとは思えないな。まぁ、良いさ。服を届けに来ただけかい?」
「ふぅん? なら朝這いの続きでもする?」
「しねぇよ。冗談は程々にしてくれ」
「……
そう言われてカウスはフォールの腕を手に取り、食事場へと向けて歩き出して行った。明らかに聞き逃して行けない言葉が交ざっていたが気の所為だとしたい。
敢えて選ぶならば⁉︎
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巫女服
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メイド服
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魔女のローブ