選ばれし者   作:HMMLER

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第二話

 

 

エグゼクター艦橋

 

 

 

ヴェイダーは艦橋の窓から目の前にある惑星を眺めていた。

 

霞んだ緑に大陸の大半が覆われているその惑星はどこか通常の惑星とは違う、異様な雰囲気を醸し出していた。

 

そしてそれはヴェイダーにとっても同じであった。いや、ヴェイダーだからこそむしろ彼はよりこの惑星を奇妙に思ったのかも知れない。

 

彼のフォース感知能力はこの惑星の前にきてからずっと反応し続けていた。彼がその惑星から感じたフォースは今まで訪れた様々な惑星の中でもかなり強大なものであったのである。

 

彼は思った。なぜここまでこの惑星は有りあまんばかりのフォースを有しているのか?なぜ?シスやジェダイとも関係のなさそうな惑星がなぜ?

 

フォースのパワーに貪欲な彼はますますこの惑星に惹かれるようになっていた。

 

 

 

 

 

 

 

「ヴェイダー卿」

 

ふと、彼は後ろから自分の名前を呼ばれた。

 

振り返るとそこにはピエット提督が立っていた。

 

「ヴェイダー卿、彼の惑星の事前探査が終了致しましたので、報告に来ました。」

 

 

「うむ、そうか。では、早速探査してわかったことを報告してくれたまえ。」

 

 

「はっ。まず、彼の惑星ですが…一部の地域を除くとほとんどの地域で大気が毒性の強い有害物質に汚染されています。現在物質の詳細を調査中ですが…高濃度の場合、吸い続けると3分から5分ほどで死亡してしまうとのことです。」

 

 

「ホウ…。」

 

 

「地質や動植物の状態も調べましたが…通常の惑星には見られない特徴があります。まず、地質の方ですが惑星のほとんどでセラミックと酸化鉄などの有害物質のかけらが土壌を覆っており、非常に土壌が汚染されています。それだけならまだしもさらに奇妙なことに、汚染されているにもかかわずそれらの土壌に植物と思しきものが数多く植生しています。付け加えて言うならば彼の惑星を覆うくすんだ緑の正体がそれです。」

 

 

「汚染されているにも関わらずここまで生息域を広げていると言うのか…?驚異的な生命力だな…。」

 

 

「さらに奇妙なことに…ドロイドの探査によれば…先ほども言った大気中の有害物質を放出しているのがそれら植物であるとのことです。」

 

 

「何…?植物が有害物質を撒き散らしているというのか…?」

 

 

「現在詳細を調査中ですが…ドロイドが直にそれら植物が有害物質を放出しているのが確認したとのことです。ドロイドの探査結果から科学者の中には有害物質を栄養としているのではないかと言う見解を示している者もいます。」

 

 

「………今まで多くの惑星を訪れたがこんな奇妙な植生の惑星は見たことがないな…。」

 

 

「一方惑星に生息する動物ですが…その大半が昆虫などの節足動物から進化したと思しき巨大な虫に似た生物が多くいます。これはあくまで一例ですが…惑星を探査したプローブ・ドロイドがそれら動物を撮影したものです。」

 

 

ピエットはそう言うとホログラムでドロイドが撮影したそれら動物…すなわち「蟲」を映し出した。

 

そこには此の惑星の住人が「王蟲」や「ダイオウヤンマ」などと呼ぶ蟲の姿が映し出された。

 

(異形の姿の虫共だ…。)

 

 

「どうやら少なくとも住むのには非常に適さない惑星のようだな…。これでは仮に拠点にするにしても碌に船外活動も出来んだろう…。」

 

 

「はい、ヴェイダー卿。しかし一部の地域はそうとも言えません。」

 

 

「ん?どう言うことだね…ピエット提督…?」

 

 

「まず最初にこの地図を見てください。」

 

 

そう言うとホログラムで地図が映し出された。

 

 

「これは彼の惑星のある地域を示した地図ですが…これら地域には我々がよく知るタイプの植物や動物が多く住んでおり…さらにはある我々と比べて低レベルではあるものの、文明もあることがわかりました。」

 

 

「ん…?と言うことはこの惑星には人なりなんなりの知的種族がいると言うのかね?」

 

 

「はい、ある一機のプローブ・ドロイドに関してはその文明の主体の種族と思われる人型種族の撮影に成功しました。」

 

 

またもやホログラムに別の写真が映し出された。そこに映っていたのは

グライダーに掴まってこちらを見ている全身青色の服を纏った人型種族の姿であった。

 

 

(………?フォースが反応している…。ただの写真を見て…。)

 

 

ヴェイダーがこの奇妙なフォースの反応を訝しく思っている中、ピエット提督は続けた。

 

「ただこれら地域にも低濃度ではあると言え、有害物質が大気中に存在します。短期間ならともかく長期間であれば確実に我々の健康を害するでしょう…。ですが実はこれよりももっと着陸地点に相応しい場所があります。」

 

 

「ん…?」

 

 

「実は…探査ドロイドによる探査で大陸の奥深くに一切大気が汚染されていない清浄な地域が発見されたのです。そこには先ほどの有害物質を放出する植物や異形の動物もなく、あるのは通常の惑星によくあるタイプの植物と、動物のみがあるばかりで、我々の生存に最も適していると言えるでしょう。」

 

 

「そこにも文明はあるのか…?」

 

 

「いえ、それがかなり清浄かつ豊かで、害をなす病原菌などもなく、人が住むのに申し分ない地域にも関わらず、全くと言っていいほど人がいません。おそらくは此の惑星の種族もそもそも認識していないのではないかと…。この点に関してはさらなる調査及び探査が必要になるかと…。」

 

 

「フム…そうか…だがそこは少なくとも我々が拠点にするのには申し分ない地域なのだろう…?ならばそこで決まりだ。ピエット提督、探査の件よくやった。ただちにそこに全艦隊を降下させよ。」

 

 

「はっ、ヴェイダー卿。」

 

 

 

 

 

命令一下、ただちにヴェイダーの乗るエグゼクターを含む死の小艦隊は全艦惑星への降下を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同じ頃

 

 

風の谷にて

 

 

 

「大ババ様にもわからんと言うのならば一体その物体は何なんじゃろう?」

 

 

 

風の谷の城の一角でそんな会話がなされていた。その一角に集まっていたのは風の谷の主、ジルとその娘ナウシカ、そして城オジ達と大ババ様と呼ばれる老婆であった。

 

 

「ナウシカが見たと言うその物体…、他の国でも見られたと言うがどう言うことじゃ?」

 

 

そう言ったのは腐海の毒で侵され、寝たきりの状態となってしまっていたジルであった。

 

それに城オジの一人、ミト爺が答えた。

 

「はっ、先日この風の谷に、交易船が来たことはお覚えでしょう。その話はその時にその交易船の乗組員から聞いた話なのですが…なんでもエフタルの多くの都市で姫様が見たような黒い謎の物体が飛んでいるのが目撃されたとか…、加えて言うならばその交易船も我が風の谷に来る際にそれを目撃したと…。」

 

 

「なんじゃと…?」

 

 

「その者共が言うに、腐海の近くを通る際に一機の黒い物体が船に並行して飛んでいたと…、最初は新種の腐海の蟲かと思って見ていたもののよく見れば姫様が言うように機械的な見た目をしていたとの事…しばらくしてその物体は空に飛んで行ったそうですが…。」

 

 

「…………やはり、正体はわかりそうに無いな…。」

 

 

 

「せめて蟲であるのならばまだ対処のしようもありそうなんじゃがなぁ。」

 

「蟲だったとしても対処は難しいぞう。」

 

城オジ達はそういった。

 

 

 

「全く未知な物を見ると人はどうしたら良いかわからんもんじゃなぁ。ユパ様がいれば何か助言を与えてくれそうなもんじゃが。」

 

「あの人は滅多にここには来ない人だよ。わしらだけで対処せねば…。」

 

 

城オジ達の会話を見て大ババ様と呼ばれる老婆が口を開いた。

 

「全く弱気になりおるのう…。男とあらばどんなものがきても胸をはって対応すべきじゃろう…。」

 

 

「大ババ様にそう言われると敵わんなぁ…」

「ハハハ…」

 

 

「じゃが未知の物に目の当たりにして不安がる気持ちもわかる…。いっそのこと未知のものとして割り切るのもありじゃが…そう言うわけにも行かんのじゃろう…のうジル様…。」

 

 

「あぁ…。ともかくこの事はしばらく口外せんように…。谷の者どもが不安がると良かんからのう…。」

 

 

「ハハっ…」

 

 

「それとナウシカ…。」

 

 

「はい…。」

 

 

「これからお前にはよく風の谷の周りの見回りを頼む…黒い物体が見つかったとあればすぐに谷に伝えるように…。」

 

 

「はい…。」

 

 

 

その後も城オジ、大ババ様とジル、ナウシカの会議は続き、今後の食料配分の問題や風の谷の外交について話し合った。

 

だが…そんな中でナウシカの心中ではずっと引っかかったものがあった。

 

 

彼女の中では、あのドロイドを見て以来、常に何か漠然とした不安があった。それは、トルメキアの命令による出陣に対する不安と似たものであったがどこか違うものであった。

 

 

彼女にとってみてもその不安の正体ははっきりとわからなかった。だが、彼女にとって何か大きなことがおこる予感がどこかあった。

 

 

彼女が見たあの物体━帝国軍のプローブ・ドロイド━…これが後に彼女に大いに意味をもたらすことは此の時誰も知らなかった。

 

 

 

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