異世界の英雄がダンジョンにいるのは間違っているだろうか   作:熱々ミカン

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時系列としては原作より前です。


剣姫と訓練

 

「ん……ここはどこだ?」

 

 青年は目を覚まし自分の装備を確認した後、周りを見ると家や建物がずらっと建っている。しかし人は一人もいなかった。

 

「人工物はこれだけあるのに人はいない。一先ず人を探すか」

 

 青年は上から探すため、家の屋根へ跳んだ。周りを見ると遠くの方に人が集まっていた。

 

「人はあっちにいるな。行くか……まぁ何かあっても大丈夫だろう」

 

 その言葉通り、青年は自分の強さがあり、絶対の信頼を置いていた。

 屋根を跳び移りながら移動すると、はっきりと人の姿が見えた。言葉も聞こえる程になり少し耳をすませてみる。

 話を聞いてみると炊き出しをしているようだ。その場所とは他の所から人が来ていた。

 

「あいつら、殺人鬼みたいな気配してるな。しかもピンク髪の奴まぁまぁ強い」

 

 ピンク髪のいる集団は気配を消しながら、炊き出し場所に襲撃しようとしている。

 

「あいつら負けそうだし助けるか」

 

 青年はそう呟くと同時に集団は民衆へ襲い掛かった。

 青年も飛び出し、民衆とそれを守るように構えていた少女達を守るように前へ出てクレイモアで集団を切り裂いた。

 

「大丈夫か。助けに来たぞ」

 

 一人の英雄が世界を越え、英雄の都でまた英雄になる瞬間だった。

 

 

 

 

 【ロキ・ファミリア】のホームである、黄昏の館の訓練場に二人の男女がいた。その二人は稽古しているようだ。 

 

 風切りの音や金属音が鳴り響いてた。男は少女の猛攻を難なく防いでいた。

 一方、少女は息を切らしながら苦し気な表情で攻撃していた。

 

「アイズ、俺が右手でクレイモアを持ってるから、それに対応しにくい所を狙え」

 

「わかっ、はぁ…はぁ…、た」

 

 アイズと呼ばれた少女。アイズ・ヴァレンシュタイン。

 都市最大派閥の一角である【ロキ・ファミリア】に所属するヒューマンの少女。オラリオでも数少ない第一級冒険者でL()V().6()の実力者だ。二つ名は【剣姫】。

 容姿は長い金髪と金眼が特徴の女神にも引けを取らない美貌の持ち主。

 

「よし、一旦休憩するか」

 

「アル、まだまだできるよ」

 

 彼の名前はアルエラ・レイア。

 アルエラは【ロキ・ファミリア】に所属してないが、ある事情でファミリアの団長、主神の許可を得てかなり自由に出入りできる。

 彼は天使の輪が出る程の綺麗な黒髪、ただ見ているだけなのに情熱的に見られているような眼。

 装いは膝宛や肘宛などの軽装の防具を着けており、右手に50kgはありそうなクレイモアを片手で持っている。

 

「いやダメだ。アイズは気付いてしないかもしれないがかなり体に負荷が掛かっているからな」

 

「………わかった。じゃあ一緒に話そうよ」

 

「あぁ、いいぞ」

 

 アルエラは日陰に座ると、アイズはその隣に座った。

 

「アルって普段は優しいけど、戦いの事になると厳しい」

 

「まぁ、戦いは真剣になるな。これでも英雄って呼ばれたからな」

 

「それって、オラリオに来る前の世界の事?」

 

 アルエラは元々この世界の住人ではなかった。

 前いた世界では英雄と呼ばれていた。

 

 ゴブリンを狩り。

 

 ミノタウロスの倒し。

 

 ゴーレムを壊し。

 

 サイクロプスを首を落とし。

 

 悪魔を滅し。

 

 ドラゴンの心臓を貫き。

 

 ■を殺した。

 

 前の世界での出来事をアルエラは思い出す。アルエラにとってあの事は楽しい日々ではなかった。でも自分にとって必要な事ではあったと思っている。

 

「あぁ、大変だったぞ。最初はそこまで強くなかったしな」

 

「……そうなんだ」

 

 アイズは言葉では驚いていないが顔は驚愕していた。アイズにとってアルエラとは自分の知っている中で一番強く、負ける姿が想像できない英雄だからだ。

 誰であっても最初から強くないのは自分が一番知っている。アイズ自身戦い始めた時、弱かった。でもアルエラが弱い姿は想像できない。

 

「俺に仲間はいなかったしな」

 

「どうして?」

 

「自分で言うのも何だけど俺の成長スピードは異常だった。その早さに誰も着いて来れなかったんだ」

 

 アイズは自分の幼い頃の事を考える。大好きだった両親をモンスターに奪われ復讐に取り憑かれていた。でもファミリアの皆が自分を支えてくれた。

 でもアルエラはどうか。アイズにとってアルエラは自分の英雄だ。そのアルエラが孤独だった事を聞いて何だか無性に寂しくなった。

 

「ははっ、そんな顔しなくても大丈夫だぞ。それに今は俺にも仲間はいるしな。アイズも大切な仲間だ」

 

 アルエラはそう言うとアイズの手を取って握る。

 

 アイズはその事に驚いて顔が熱くなった。でも自分がアルエラにとって支えになってる事嬉しくなった。アイズも手を離さないよう強く握った。LV.6の力だと一般人の骨が砕けるぐらいの力なのだが、まぁご愛嬌だろう。

 

「アイズは最近何かあったか?」

 

「う~ん……」

 

 アルエラから、話をするのが気まずい父親からのような言葉を投げ掛けられる。

 アイズは考える。最近アルエラとは話していなかった。久しぶりのだから色々話したいが毎日同じような事しかしていない。これの気に戦い以外も色んな事をしようと意を決した。そんな事を考えていると一つハマッている事を思い出した。

 

「あった」

 

「何があったんだ?」

 

「じゃが丸くんに新しい味ができたんだ。小豆クリーム味って言うんだけど凄い美味しい。小豆は極東の方で作られてる物なんだけどかなり甘い。クリームも甘くてすっごく甘いんだ。でも甘いだけじゃなくてじゃが丸くんとの相性も良くて何個食べても飽きない。アルエラにも食べて欲しい」

 

 目を輝せて早口で言われる。神達が俗に言う“オタク”を連想させた。

 

「じゃあ今度また食べてみるか」

 

「うん、それがいい」

 

「あーーー!!アイズとアルエラが手を繋いでる!ずるいよアイズ~!」

 

 訓練場の入れ口には短髪、褐色肌の少女が立っていた。

 アイズがその事に気付くと恥ずかしくなり繋いでいた手を離した。

 

「ティオナ、ちょっとは空気を読みなさいよ。久しぶりねアルエラ」

 

「久しぶりだな。ティオナとティオネ、二人はどこ行ってたんだ?」

 

「服見てきたんだよ。アルエラはアイズと戦ってたの?」

 

 元気な少女の名前はティオナ・ヒリュテ。

 【ロキ・ファミリア】所属のアマゾネスだ。LV.5の第一級冒険者

でファミリア内の幹部。

 性格は天真爛漫で自分では気付いていないがアルエラに好意を持っている。

 

 もう一人の褐色の少女はティオネ・ヒリュテ。

 ティオナの姉であり、彼女も第一級冒険者でありファミリア幹部である。

 性格、一見冷静に見えるが【ロキ・ファミリア】の団長であるフィン・ディムナに想いを寄せており、その事になると感情が豊かになる。

 

「さっきまでな。今は休憩中だったんだ。アイズ、もうそろそろ再開するか」

 

「うん。そうしよ」

 

「私も混ざっていい?」

 

「俺はいいぞ。アイズはどうだ」

 

「いいよ」

 

「じゃあ私も混ざろうかしら」

 

 ヒリュテ姉妹は部屋から自分の武器であるを持って来た。

 ティオネの武器はククリナイフ。【ゴブニュ・ファミリア】が作製された。銘はゾルアス。

 ティオナの武器は大剣型のダブルブレード。こちらも【ゴブニュ・ファミリア】が作製した。銘は大双刀(ウルガ)

 

 ちなみにアルエラの持ち武器はクレイモアであり銘はクンツァイト、アイズの武器はサーベルであり銘はデスプレートである。

 

「三人とも本気で来ていいぞ」

 

「うん」

 

「じゃあ本気で行くよ!」

 

「後悔しても恨まないでよ」

 

 戦いの合図はアルエラが銅貨を地面に落としたと同時だった。アイズは持ち武器であるデスプレートを構えた。

 

 最初に跳び出して来たのはティオナだった。アルエラの右側から大双刀を振り回した。それをアルエラはクンツァイトで軽々受け止めた。

 

「【アイスランス】」

 

 アイズに牽制するため、空いている左手で槍の形をした氷の魔法を放った。

 ティオネはその隙に飛び跳び出すと身体を屈め、アルエラの腹をゾルアスで狙った。アルエラはクンツァイトを持っている右手に力を加えティオナを自分とティオネの間に動かしながら距離を少し離す。攻撃できないと判断するとティオネは左側に移動する。

 

 アイズは【アイス・ランス】を避けるとティオナがいなくなった右側に動い走り出す。

 アルエラから見ると右側にアイズ、正面にティオナ、左側にティオネの形になる。

 

「【目覚めよ(テンペスト)】」

 

 デスプレートに風を纏わせると右腕を狙う。

 アルエラは剣身が当たった瞬間力の抜きながら身体を後ろに引いたくとアイズは行き場を失った力がそのまま進む力に変わり、アルエラの隣を進んでしまう。その隙を見逃さずアイズの背後を蹴った。

 アイズは壁に激突した。

 

 ティオナとティオネは背を見せているアルエラの右足と左腕切りに行く。

 

「おらァああ!!」

 

「ふっ!」

 

「ガハッ……」

 

 アルエラは左側のティオネに身体を向けクンツァイトを振った。ティオネは受け止めるが力の差で吹き飛ばされる。

 

(きたっ!)

 

 ティオナはアルエラの背を見てチャンスだと考え、腕を注意しながら大双刀を振るう。

 腕ばかりを気にしていたからかアルエラの右足に気付かなかった。アルエラの右足はティオナの腹に直撃した。

 

「うっ!!!」

 

 そこで模擬戦は終了した。

 

「【エリアヒール】 大丈夫か、三人とも」

 

 アルエラは魔法を使うと周りに少し風が吹き、黒髪が揺れ、体と服の間に空気が入る。辺りは目を癒すような緑に光った。すると三人の怪我が治った。

 

「大丈夫」

 

「治ったよ!」

 

「大丈夫よ」

 

「アイズ。休憩前に言った通り対処しにくい、クンツァイトを持っている右手を狙ったのは良かった。でも相手が引いて来る事もあるからフェイント関係も頭に入れる事」

 

「うん。わかった」

 

「私は?」

 

「ティオナもか。最後の所。隙を見たとしてもできる限り身体全体を見ておく事。ティオネは最後、ゾルアス両方で受けるんじゃなくて片方で受けてもう片方で俺を狙ったらダメージが入ったぞ。

じゃあ今日はこれで終わりだ」

 

 アイズは残念がりながら、アルエラとの訓練は終わった。

 

 




 アイズの主人公への呼び方をアルエラからアルに変えました。

べルの性別をどっちにするか

  • べル・クラネル君(男)
  • べル・クラネルちゃん(女)
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