異世界の英雄がダンジョンにいるのは間違っているだろうか 作:熱々ミカン
ヘスティアに
ファミリア登録は先程、済ませていた。担当の受付嬢である眼鏡を掛けたハーフエルフはとても驚いていた。それもそうだ。今までアルエラは大規模ファミリアから零細ファミリアまで勧誘されていた。が、その全ての提案を蹴っていた。そんな人が今、一人もいないファミリアに入るとは予想もつかない。
そんな事もあり、アルエラは散歩している。ダンジョンに行こうにも気分が乗らなく、私服姿だ。ホームに置く家具も必要な分は買ったのでやる事がなかった。
「あっ」
アルエラはある事を思い出した。昨日、ヘスティアのファミリア
に入る候補を連れて来ると言っていた事だ。
今は昼時だ。その
◆
「ミア、久しぶりに来たぞ」
「久しぶりだね。アンタは一杯食って、お金落としてくれるから大歓迎だよ」
アルエラは酒場に来ていた。そこは豊穣の女主人と呼ばれる店で冒険者だけでなく、神や一般市民などにも人気な酒場だ。
ミアと呼ばれた人はこの酒場の女主人であるミア・グランドだ。店員や馴染みの客にはミア母さんと呼ばれている。強さはLV.6でオラリオの冒険者の中でも上澄みだ。
「あぁ、腹も減ってるから今日はめっちゃ食べるぞ!」
「あっはっは。一杯食べておくれよ」
「うにゃー!ミャー達の仕事が大変になるにゃー!アルエラのバカ~」
「そんなアーニャにこれをやろう!」
「おお!それはちょー美味しい!と評判のまたたび酒じゃないかにゃー!アルエラ、大好きにゃー!」
今、アルエラに抱き着いた
「はい、ミアにこれな」
「おぉ!火酒かい。こいつは嬉しいね」
火酒を置くとアルエラはカウンター席に着き、メニュー表を手に取る。アルエラがメニュー表を見ていると誰かが一人近付いてきた。
「いらっしゃいませ、アルエラ様!来て頂いて嬉しいです!」
「やっぱり春姫のメイド服は可愛いな」
「そんな……///可愛いだなんて……///」
アルエラに褒められ、顔を赤く染めているのは
春姫は元々奴隷であったがアルエラに引き取られ、今ではミアの元で働いている。
男神や男性の客から人気があるが見てわかる通りアルエラ一筋だ。その事からアルエラは理不尽な嫉妬、恨みを買ってるらしい。
「///……あっ、ご注文をお聞きしますね///」
アルエラの所に来た目的を思い出した、春姫は恥じらいを隠すように注文を聞かれる。
「じゃあ、ビーフステーキとライス特盛とエビフライとオムレツとパスタとスープとエールで」
「はい、かしこまりました。アルエラ様?たくさん食べるのはいいですけど野菜も食べないとダメですよ?」
「わかったよ。じゃあサラダも追加で」
「わかりました!すぐにお持ちしますね!」
春姫は元気良く返事をすると軽やかな足どりで厨房へ入っていった。
少しすると一足先にエールが運ばれきた。そのエールは冷えているが魔法でさらに冷やすとアルエラはぐいっと呷った。美味しいそうに飲んでいるとトレンチを持って歩いて来る春姫が見えた。
「お待たせしました。ビーフステーキとライス特盛とサラダです。他の物はもう少しお待ち下さい」
「ありがとう。所で春姫は今日、いつまで何だ?終わった後用事があるんだ」
「お昼過ぎまでですからその後でも大丈夫ですか?」
「急に悪いな」
「そんな事はありません!それにアルエラ様と一緒に居れるのは嬉しいですから」
力強く春姫は話した。
アルエラはその可愛らしい姿の春姫を見て笑みが溢れる。
その後、アルエラはカウンターに届けられた料理を食べた。途中に残りの料理も食べる。その料理達は他の料理店と比べてもどれもこれも美味しく、ぺロリと食べてしまった。
食べ終わり、水を飲みながら待っていると私服姿の春姫が来た。オラリオでは珍しい紅色の和服だ。
「お疲れ様、春姫」
「お待たせ致しました」
「お腹空いてないか?」
「賄いでサンドイッチを貰いました。今日は4つも食べちゃいました。ふふっ」
「サンドイッチ美味いよな。よし行くか。じゃあミア美味かったわ」
「お粗末さま。また食べに来てくれよ」
「お疲れ様でした」
アルエラと春姫は挨拶をすると酒場を出た。
春姫はさりげなく自分の腕をアルエラの腕に絡ませる。
「旦那様。春姫に用事とはどのような事でしょうか?」
春姫は顔を軽くかしげた。その姿は庇護欲を掻き立てられる。呼び方も店員の時とプライべートと違うようだ。
「実は俺、ファミリアに入ったんだ。だから春姫に紹介しようと思ってな」
「えっ!そんなんですか!?旦那様はファミリアに入るのが嫌だと思ってたんですけど……そこまで魅力的な神様なんですね?」
「そうだぞ、可愛い女神だ。春姫も入るかは入らないかは自由にしていいぞ」
「ありがとうございます。でも旦那様と一緒のファミリアになりたいので入ろうと思います。ところでファミリアってどこのファミリアですか?」
「あー。団員が一人もいなくて俺が第一眷属なんだ。だから団長も自動的に俺になってる」
歩きながら、ファミリアや主神の話をしていた。春姫は興味津々にアルエラに質問している。
そんな話をしているとホームが見えた。
「ここが俺の所属しているファミリアのホームだ」
「ここ、が……何ていうか凄いですね……」
「わかるぞ。まぁ近い内になんとかするから。取り敢えず入って来て」
春姫はアルエラに案内され教会に入り、べッドがある部屋まで移動する。目を光らせワクワクしている。おそらく秘密基地のような雰囲気が好きなのだろう。
「ソファか新しい方のベッドに座ってくれよ。もう一つのベッドはヘスティアのだから使っていいかわからないんだ」
「はい。わかりました!」
春姫はソファではなく新しいベッドに座った。様子はどこかソワソワしている。
アルエラは魔石を使用している冷蔵庫からリンゴジュースを出し、二つのコップに入れ片方を春姫に渡した。
「ありがとうございます」
春姫は喉が乾いていたのかコップのジュースを飲み干した。
「旦那様……その、暇です、ね……」
春姫は隣にいるアルエラに身体を預け、惚けている。目は潤みながらトロンとなり、頬は赤ピンクに染め、口も寂しく少し開けている。
「ん……ちゅ……だんな、さま………んッ」
アルエラは春姫の顔に手を軽く添え自分に向ける。目を閉じた、春姫に応えるようにキスをする。
触れ合うだけのキス。でも愛情を確かめ合うように何度も何度もしている。
「ちゅ……ちゅ、ん……れろ……ん……すき、ん……なんです」
触れ合うだけのプレッシャーキスに飽きたのか唇や舌を使い、より官能的な雰囲気になっていく。
10分か30分か1時間かそれ以上の時間、キスをしていた。唇を離すとアルエラは和服の中の下着に手を伸ばした。静まった部屋に濡れた布の音がする。
「ん……旦那様…………………」
その時、入れ口の方から物音がした。
「ただいま~!アルエラはいるかい~」
その音を鳴らしたヘスティアだった。アルエラは春姫から手を引き、水の魔法と風の魔法で手を綺麗にする。
春姫は慌ただしく服を整え、緊張した面持ちだ。
「おかえり、ヘスティア。バイトお疲れ様」
「今日は結構大変だったぜ。それより凄いね、冷蔵庫とか色んな家具があるじゃないか!……でそっちの子は誰だい!?」
アルエラは普段通りに対応している。
ヘスティアは家具に驚き、ホームにいる知らない子────────春姫により驚く。
「あぁ、この
「おぉーー!!とうとうアルエラ君以外の眷属がボクにできるのか!」
「御紹介に預かりました。サンジョウノ・春姫です。旦那様と一緒のファミリアに入るために応募させてもらいます」
「だ、だ、だ、旦那様!?どう言う事だい!?アルエラ君、君は結婚してるのか!?」
ヘスティアはアルエラの肩を揺らして驚いている。顔は驚きだけでなくショックや悲しみ、喜びなど色んな感情が混ざっているような感じだ。
「いえ、違うんです。旦那様、アルエラ様に助けて貰いそう呼ばさせてもらうようになったんです」
「ん?助けてもらう?どう言う事だい?」
春姫は今までの自分の起こった事を掻い摘みながら説明した。その話を聞いたヘスティアは春姫に抱き着いた。
「うわぁーん!大変だったね春姫君。でも良かったよ今が幸せで!」
「はい、今ではそのおかげで旦那様にも出逢えたと感謝している程です。なので是非ヘスティア様のファミリアに入れて欲しいです」
「いいよ!いいよ!ボクも是非ファミリアに入って欲しいよ」
そこからはとんとん拍子に進んだ。ベッドに寝転んだ春姫にヘスティアが
「おわぁ!これは……また凄いのがでたね」
サンジョウノ・春姫
LV.1
《基本アビリティ》
力:I0
耐久:I0
器用:I0
俊敏:I0
魔力:I0
《発展アビリティ》
《魔法》
【ウチデノコヅチ】
・位階昇華
・発動対象は個人
・発動後、一定時間の要間隔
・術者本人には使用不可
・詠唱式【──大きくなれ。其の力にその器。数の財に数多の願い。鐘の音が告げるその時まで、どうか栄華と幻想を。──大きくなれ。
《スキル》
【主人捧愛】
・主人はアルエラ・レイアとする
・主人の魔法効力を上げる
・スキル保持者の愛が強まる程、高補正。愛が無くなるとスキル【主人捧愛】が消える。
「おぉ、魔法、強いな。スキルは……春姫、照れるな」
「恥ずかしいです///」
アルエラは春姫の事を軽く抱きしめる。春姫も力は弱いがしっかりと抱きしめ返している。
「春姫君はボクのライバルか!絶対に負けないぞ!!!」
ヘスティアが春姫の事をライバルと認識して、何歩も先にいる姿を見て決意した。
少しするとアルエラとヘスティアはある事を考え始めた。
「でも、これがバレたら戦争遊戯になりそうだな」
「そうだね……」
「そんなに凄い魔法なのでしょうか?」
春姫はそこまでステータスに詳しくないので質問する。
「あぁ。この魔法があればファミリアを一段階上のレべルに押し上げれる。だから半分、いやそれ以上のファミリアが欲しがるな。まぁでも戦争遊戯に関しては俺がいるから安心してくれ」
「頼もしいね!まぁこれからの方針としてはこの魔法は秘密で行こうか」
「そうだな。一応、俺の魔法を譲渡しておこう」
「えぇ!でもそれ使ったら魔法使えなくなるじゃないかい!?」
「あぁ、でも春姫の方が大事だ」
春姫は今聞いた話を察したのか申し訳無く、でもそこまで大事に思って貰える事に嬉しくなった。
「俺の魔法は8つ。【ファイア】【ウォーター】【サンダー】【ウィンド】【アース】【ダーク】【ライト】【ヒール】魔法だ」
「かなりあるんですね」
アルエラが普段使っている魔法はこれらの魔力エネルギーを想像した形にし、結晶化させる事で発動している。なので“アイスランス”と言う魔法は存在していないので譲渡できない。その魔法を使いたいのなら【アイス】魔法自体を渡さなくてはならない。
「まぁな。で【ダーク】と【ライト】は操作が難しいから除外して。【ヒール】は身を守る事ができないし、少し特殊だから譲渡もできないから除外。だから残りの5つから選んでくれ」
「なるほど」
春姫は悩む。どの魔法が自分が使えてアルエラの役に立てれるか。そしてどの魔法を選ぶか決めた。
「【アース】をくれませんか。春姫は自分だけではなく旦那様やヘスティア様にも役に立ちたいんです!」
「なんていい子なんだ!!」
ヘスティアは春姫に対してハグをした。
「わかった。じゃあ渡すぞ。【我が身を渡せ】」
アルエラが詠唱を完了した瞬間、茶色のふよふよしたエネルギーが春姫の中に入った。
「春姫君、何かあるかい?」
「特には?」
「まぁ、その辺りはダンジョンで検証するしかないか。【アース】って唱えながら魔力を籠めると発動するから、一応言わないでおいて」
「わかりました──」
その時、ぐぅ~と言うが鳴った。
「いや、照れちゃう~………言い訳を言うけどお昼何も食べてなかったんだよ……」
「そうだな、俺もお腹減ったしご飯食べるか。冷蔵庫に肉と野菜を入れといたからそれを焼いて食べるか」
「いいね~!最近じゃが丸くんばっかだったから嬉しくなるね!」
「わたくしもお手伝いしますね」
その後、三人は美味しくできた肉野菜炒めを食べたり、談笑したりと滑り出し好調にファミリアの結束が強くなったのだった。
ちなみにヘスティアは寝坊せず、バイトに間に合った。
1話、2話の主人公の口調を若干修正しました。
アルエラと春姫はちょこちょこシてます。
べルの性別をどっちにするか
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べル・クラネル君(男)
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べル・クラネルちゃん(女)