Iさんという方がいます
Hさんだと下江さんがダメ!っていうのでIさんです
彼女はオカルトの類が大好きです
だから日々、そういうのと遭遇する機会を探っています
まぁ、遭遇できるのは変質者がほとんどなのですが
さて、話は変わりますがこの学校には不思議なルールがあります
ハロウィンの夜には学校には行ってはいけないというものです
なんでも、ハロウィンの夜、やんちゃした学生が学校に侵入して大暴れしたのが原因だとか
しかし本当は別の理由があると聞きます
なんでも、ハロウィンの夜は本物のオバケがでるのだとか
それが本当ならばIさんとしては是が非でもいかないといけません
なのでIさんはハロウィンの夜に学校に忍び込むことにしました
目的は七不思議のひとつである【シラスアズサ】
彼女と会うために【シラスアズサ】の噂を聞きまくりました
具体的にはクラスメイトにお願いして【シラスアズサ】の噂を聞いてもらってそれを話してもらいました
作戦決行の日
学生寮でのハロウィンパーティーを抜け出してIさんは校舎へきました
夜の学校はどことなくひんやりしており、不気味な空気が流れてるようです
思わずゴクリ、と喉がなりました
Iさんは意を決して校舎の中に入ります
玄関の扉は幸いにして鍵はかかっていませんでした
Iさんはゆっくりと中に入って、噂のある場所へ向かいました
校舎の中に入った後、ガチャリと音をたてて校舎の鍵がかかったのをIさんは緊張のあまり聞き逃していました
さて、向かうのは3階のトイレ
ここには【ハナコさん】という存在がいる、と噂にきいたことがあります
Iさんは夕方、一度いってみましたが誰もいませんでした
でも今日の夜はハロウィン、きっといるでしょう
…ところで先ほどからどこからか視線を感じるのは気のせいでしょうか
後ろを見ますが誰もいません
やはり気のせいだったようです
でもまだ視線は感じます
Iさんは逃げるようにトイレに向かいました
途中、【存在しない委員会】が見つかればいいな、と思ってましたが残念ながら見つかりませんでした
そういえばふくよかなCさんが最近やせてるそうですが、噂ではその委員会がかかわってるとか
なんの委員会何でしょうか?体重撲滅委員会?とか
まさかね?
そんなことを考えていると3階のトイレにつきました
深呼吸して、意を決して三回ノックします
「あそびましょう」
・・・返事がありません
どうやら誰もいないようです
残念なのかほっとしたのか
Iさんは少し悲し気にトイレから離れました
これも緊張してたIさんはきづいてないのですが
トイレの個室の扉は普通、全部空いている状態です
それが今は全部しまっています
【うふふ、惜しかったですね♪】
Iさんがノックした隣のトイレの個室からピンク髪の水着の女性がでてきて、くすくす笑いながらトイレからでていきました
各教室をのぞきながらIさんは考えます
この学校には急に体がおかしくなったり、行方不明になったりする人がいます
例えば、Bさんという方は自室に自分そっくりな人形をのこして行方不明になったとか
Bさんは今も見つからず、人形もBさんの友人が持ってたのですが何日かたつと異臭がして捨ててしまったとか
食べ物に卑しいCさんもある日を境にすっかり食欲がなくなって痩せこけています
昨日見た時は骨と皮だけかと間違えてしまうような姿になってました
人が変わったといえばEさんもそうですね
ある日を境に急に良い人になったらしく、朝の清掃を自主的にやってるとか
Dさんはまだ入院しています。お見舞いにいった人が言うにはいまだ叫んでるらしいです。
Gさんも入院してますが病院が違うので会うことはないそうです
「それにしても何もないわねぇ」
せっかくパーティーをぶっちしてまで来たのだから、何かいてほしい
そう思いながら歩いていると後ろからひたひたと足音が聞こえました
やば、見回り!?
最悪忘れ物をしたといえばにげれるだろう、そう思いながら後ろを振り返ります
そこには、マスクをつけた学生が歩いていました
自分よりも年上だろうか、ゆらりゆらりと歩いていています
Iさんと同じでハロウィンの幽霊を探しにきたのでしょうか、それとも忘れ物でしょうか
Iさんは声をかけようとして
【なぁ】
マスクをつけた女性に声をかけられました
【私ってかわいいか?】
そしてなんかかわいらしいことを聞かれました
「どちらかというと綺麗系かと…」
【そうか…】
女性がなぜかしょんぼりとしてきた道をもどっていきました
なんだったのでしょうかあれは?
「…なんだかやる気なくしちゃった、もう帰ろうかな」
今ならまだパーティーに参加できるかもしれません
名残惜しげに玄関までいって、外にでようとして
「あれ…」
鍵がかかっています
ガチャガチャと音を立てますがまったく開く様子がありません
内鍵を回してもなぜか開きません
「やだ、なにこれ…」
まさか、閉じ込められた?
「どうしよう…」
窓ならあくでしょうか、そう思い扉から離れようとして
【トリックオアトリート】
声をかけられました
誰かいる…?でもこの場には誰も
【ばぁ】
「ぴゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
扉のスキマから腕が伸びてきてIさんを捕まえようとします
Iさんは必死になって逃げだしました
後ろから【悪戯成功】という女生徒の言葉はIさんには届きませんでした
走って、走って、気が付くと二階の廊下の端まできてました
「な、なんなのよあれは…!!」
隙間からでてくる女生徒とかIさんは聞いたことありません
「あれにつかまっていたらどうなってたのかしら…」
腕を引きちぎられていたかもしれない、そう思うとIさんは身体を抱いて身震いします
【シラスアズサ】どころではありません、早くここからでなければ、でもどうやって?
玄関はあきませんでした、1階には先ほどの腕が伸びてくるかもしれません
「2階なら飛び降りれるかしら…」
窓は問題なく開きましたので、飛び降りようと思えば降りれるでしょう
Iさんは少し考え、飛び降りようとして
【危ないですよ】
「ぴゃぁ!」
またしても変な声がでました、今日はよく後ろから声をかけられる日です
後ろを振り向くと背の高い女性がいました
【あぁ、すみません、なにやら飛び降りようとしてたように見えて…
せっかくのハロウィンに事故があればあの子が悲しむかもしれないので声をかけさせていただきました】
「あ、ごめんなさい…じゃなくて!」
どうやら普通の生徒のようです
あわてて女性に近寄ります
「なぜか1階から出れないんですけど!何か知りませんか!?」
【出れない…?あぁ、はしゃいでるのでしょう】
「え…?」
【トリックオアトリートって聞かれませんでしたか?】
そういえば、はじめに言われたような気がしなくもありません
【おそらくマシロですね。悪戯されたのでしょう】
「で、でも腕が扉からのびてきて!!」
【それも込みの悪戯です。今日はハロウィンだからはしゃいでいるのでしょう】
…聞く前に悪戯されるのはルール違反では?とは思わなくもありませんがそういうものなのでしょうか
【さて、ところで貴女はお菓子をもっていますか?】
「あ、はい」
【それはよかった、ダイエットを続けててお腹が空いてたんです】
え…?と女性を見上げます
女性の元々高かった背が伸びいていきます
【ぽぽっぽ ぽぽ ぽぽーぽ】
見上げるほどたかくなった女性はIさんを恐ろしい声で問いかけます
「ぴゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
Iさんは寮を出るときにロールケーキ恐怖症を発症したFさんからもらったかぼちゃのロールケーキを女性になげつけてその場から走って逃げます
後ろから【ぽぽー!】という歓喜の声はきこえませんでした
「逃げ場を失った…!!」
Iさんが気が付けば3階にいました
2階には先ほどの生徒、1階には隙間からでてきた生徒
流石に三階から飛び降りる勇気はなく、さてどうしようかと頭を悩ませます
「…あれ?」
どこからか声が聞こえてきます
どうやらトイレ近くの教室から聞こえてくるようです
まさかまた何かいるんじゃあ…そう思いつつ好奇心に勝てず覗き込みます
そこには
「もう、なんでみんな変な恰好なのよ!」頭に羽をつけた生徒と
【あはは…今日はハロウィンですから】紙袋をかぶった生徒と
【つまりどんな格好をしても許される日ですね♡】水着姿の女性と
【あまり薄着だと風邪をひくぞ、ハナコ】ガスマスクをつけた生徒が机を並べて椅子に座っています
机の上にはお菓子と飲み物、どうやらハロウィンパーティーをしているようです
ガスマスクや紙袋、羽をわかるとして水着は果たしてハロウィンのコスプレになるでしょうか?
「…ハナコ?もしかして【ハナコさん】?あと羽をつけてるのは下江コハル?」
Iさんは学校の七不思議のひとつを思い出します
クラスになじめない一人ぼっちの下江コハルちゃん、でもクラス外にはお友達がいっぱい
不思議なことにどこのクラスの生徒かは誰も知らないけど、いろんな人と仲良し
みんなみんな下江コハルちゃんのことが大好きだから、イジメたら大変なことになっちゃうよ
そんな噂、在校生なのになぜか七不思議になっている生徒
Iさんはそっと、観察をし続けます
【しかし、久しぶりに集まれましたね】
【コハルちゃんやヒフミちゃんはともかく私は基本離れられませんしアズサちゃんはなかなかでてこれませんもんね】
【あぁ、だから今日という日を楽しみにしてた】
「もっと集まれたらいいのに…」
ぶーたれる羽をつけた生徒を水着の女性が頭を撫でます
【私ももっとコハルちゃんと一緒にいたいんですけどね】
【そうですね…、私ももっと人前に出やすいのなら一緒にいられるんですけどね】
【私は噂が立たないとまず出てくることもできないからな、なかなか難しい】
…なんだかしんみりしているようです
Iさんは正直、ここからの脱出方法を聞きたいのですが割って入れるような状況ではありません
【でも、こうなった後悔はないんだ】
【そうですね、私もコハルちゃんと再び会えたのだから後悔はありません】
【アズサちゃん、ハナコちゃん…、そうですね、私も後悔はありません!さ、暗い空気はここまでにして、せめて今日は楽しくいきましょう!】
【そうだな】
【ふふ、そうですね。それはハナコ脱ぎます♡】
「エッチなのは駄目!」
4人とも楽しそうです
話を聞いてる限り、きっとガスマスクをつけているのは【シラスアズサ】なのでしょう
もう一人も、きっと怪異に違いありません
…怪異とは怖いものだと思ってました
でも彼女たちは仲がよさそうに、まるで親友であるかのように騒いています
「…なんかむかついてきた」
自業自得なのはわかってます
でも自分は怪異を求めてパーティーをぶっちしてきたのに、目的の怪異はこうして和やかにしている
そりゃ、急に生えてきた腕やデカくなった女性は怖かったですが、今ななぜか失望感が大きいです
ふと、Iさんに悪戯心がわきました
いけないことだとはわかっています
でも今日はハロウィンなのです、だからこれはきっと許されるでしょう
鞄から教師に見つかった時に逃げるためにもってきていたかんしゃく玉を取り出します
扉の前にたって、深呼吸して
3・2・1
【トリック・オア・トリート?】
「え?」
扉を開ける前に背後からまたしても声をかけられました
振り向くと、教室にいたはずのガスマスク…いえ、【シラスアズサ】が彼女の背後にたっています
手には、見たことのない物騒なものが握られて、その先がIさんに向けられています
「ひっ…」
思わず悲鳴がでます
それに構わず、【シラスアズサ】は続けます
【聞こえなかったか?トリック・オア・トリート、お菓子をくれないと悪戯をさせてもらう】
「お、お菓子ね?お菓子を渡せばいいのね!?」
おびえながら鞄をあさりますが、見当たりません
【シラスアズサ】がお菓子を欲しがるとは思ってなかったのと、持っていたロールケーキを2階で投げてしまっていたのでお菓子どころか食べれるものは何もないのです
【…そうか、お菓子はないのか、それなら悪戯をしないといけないな】
「まって、探せばあるはずだからぁ!」
Iさんは悲鳴のような声をあげます
しかし【シラスアズサ】は止まりません
【本当なら簡単な悪戯にとどめようと思った、けど私たちのパーティーを台無しにしようとした
…私のことを望んでいたんだろう?なら私に対する注意事項もしってるのだろう?】
「そ、それは…」
当然、知っています
【シラスアズサ】の質問にちゃんと答えないといけない
じゃないと何かを奪られる
【ただ今日は補習授業部のみなが集まった大事な日、コハルも近くにいるのにひどいことはしたくはない。コハルにバレたら怒らせてしまう】
「じゃ、じゃあ…」
【あぁ、だから私はこれだけ奪うとするよ】
そういって【シラスアズサ】はIさんに手を伸ばし
そのままIさんの視界は永遠に真っ暗にそまったのでした
7.【シラスアズサ】奪取 完
ねぇしってる?あの話
Iさんだっけ、昨日の夜に校舎に忍び込んだ生徒
寮のハロウィンパーティーに参加せずにいたんだけど、今朝校舎で見つかったらしいよ
ゾンビみたいにふらふら歩いているところを発見されたんだって
…でね、そのIさん、目がなくなってたんだって
そう、目玉がくりぬかれていたの
可哀そうに、Iさんオカルトが好きで探してるとかいったけど、あれじゃあ一生見れなくなってしまったね
しょうがないね、ハロウィンの夜に校舎に忍び込んだんだから
しょうがないね、【シラスアズサ】を怒らせたんだから
しょうがない
しょうがない
しょうがない