コハルちゃんに沢山オトモダチがいるお話   作:コハルママの人

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3.【ハス尺先輩】撲

Cさんという生徒がいました

彼女は食に我慢できない生徒でした

これが食べたいから食べる、あれが食べたくなったから食べる

特にデザートの類が大好きで、ご飯の代わりに食べてることも多々ありました

あの日も、急に冷え込み、暖かいものが食べたくなったCさんはサツマイモを購入して焼き芋にして食べようとしました

朝に購入した焼き芋、お昼休みに事前準備して、放課後に焼いて食べる

そんな計画でしたが、職務に熱心な下江コハルさんに止められてしまいました

反省しろといわれたが、自分は食べたいものを食べようとしただけです

反省する理由などないのです

悪いのはそれを止める風紀委員なのです

だから彼女は反省することなく、その場から逃げ出ました

 

次の日、焼き芋を返せと風紀委員の部屋に行こうとしましたが、見つかりません

何処を探しても、だれもに聞いても見つからないのです

ならば風紀委員の人間に聞こうとしましたがそれも中々見つかりません

Cさんの知ってる風紀委員は誰もかれも個性的なはずなのに、みつからないのです

そもそも同学年にいるはずなのに、だれがどのクラスわかりません

でもCさんは諦めませんでした

食べ物は恨みはおそろしいのです

だから、探して、探して、探して

探して探して探して探して探して探して探して探して

下江さんを見つけました

早速Cさんは下江さんに文句を言いに行きます

急に声をかけられた下江さんは驚いて挙動不審になります

でもそんなの関係ありません

早口で文句を言って、下江さんがなにか反論しようとしてもそれを遮ります

文句の中身は「焼き芋を返せ」という内容でしたがそれを言うのに10分以上マシンガントークをし続けます

そしてさんざん文句をいったあと、下江さんに改めて「焼き芋を返せ」と言おうとしたところで

 

【焼き芋ならもうありませんよ】

 

のっそりと、背の高い女性が現れました

体つきの良い、黒い長髪の女性です

急にでてきた女性にCさんは一瞬怯みますが、すぐさまキッと女性をにらみます

 

「焼き芋がないってどういうことよ!」

 

【ナマモノでしたので悪くなる前に処分しました】

 

「はぁぁぁぁ!?」

 

【美味しかったですよ】

 

ふざけんな!とCさんは怒ります

ハスミ先輩、押収品の焼き芋食べてツルギ先輩に怒られたのよねと下江さんは女性に隠れながら考えます

 

「焼き芋を返せ!今の気分はパフェにして返せ!」

 

Cさんはわりと無茶苦茶なことをいいます

でも学校で焚火する方がわるいんじゃないかな、と下江さんは思います

女性は、少し思案してから

 

【確かに勝手に焼きいもを食べたことはいけないことでしょう、しかしその焼き芋はもうありません、そしてあなたは今はパフェを食べたいと】

 

「そうよ!」

 

【では食べにいきましょう、食堂でスイーツフェアがやっているはずです。支払いますよ】

 

え?と困惑した顔で下江さんは女性を見ます

Cさんは女性の提案に頷きます

 

「参ったっていうぐらい食べるから覚悟しなさいよ!?」

 

【えぇ、望むところです…ということでコハル、ツルギには焼き芋の件で弁償しにいったと伝えておいてください】

 

いいのかなぁ、と下江さんは思いましたが敬愛する先輩のいうことなので頷きました

同じ風紀委員がいたら突っ込んでたでしょうが覗き見をしてる最中なので下江さんの視界にはいません

そうして二人は食堂へいき、下江さんはそれ見送りました

その後、なぜかしばらく女性とCさんは一緒にパフェを食べるということになったらしいです

二人が一緒にパフェを食べ始め、一週間がすぎました

夜、寮の中をCさんの悲鳴が響きます

Cさんの足元には体重計が

数値は明らかに増えてます

女性と張り合って毎日デラックスパフェ(複数種類あり)やらホールケーキを食べてたのが原因のようです

好きなものを食べる性格のCさんでしたが流石にこれはやばいと思いました

だから次の日、女性にもういいと断りました

そう宣言したとたん、女性から表情が抜け落ちます

 

【何故?何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故?】

 

美人が怒ると怖いとはこのことでしょうか

見開いて目でCさんをジッと見つめるその顔が、恐ろしく感じます

Cさんは「もういいものはいいのよ!」といってその場を立ち去ります

その背中を、女性はずっと見つめ続けました

 

その日の夜のことです

夜中、寝ようとしているとコンコンと扉がノックされました

 

【お菓子をつくったんだけど作りすぎちゃって…】

 

友人の声です

ダイエットし始めたと知ってるくせに…そう思いながら、今はお菓子はいいと、いって追い払おうとします

しかしノックは止みません

 

【開けて、顔を見せて】

 

何度もノックされるものだからいい加減うるさくなって扉を開けて文句を言おうとして、携帯がなります

病室つまらなくてピエン という内容に思い出します、そういえば友人は今日の夕方、盲腸で入院したと

では今扉の外にいるのは…?

ノック音はまだなります

 

【お菓子たべよう】それは教員の声でした

【パフェを食べよう】それは部活の先輩の声でした

【ケーキを食べよう】それは後輩の声でした

 

【だから扉を開けて】それは全員の声がかさなった声でした

 

Cさんは悲鳴をあげて後ずさります

何かが、扉の前で自分を誘っているのです

Cさんは嫌だ嫌だと首を横に振ります

 

【なんで?なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで?】

 

狂ったように扉が叩かれます

Cさんは口ごもります

 

【あんなに食べたのに】

【美味しそうに食べたたのに】

【お金の心配はだいじょうぶですよ】

【私が支払いますから】

【だからさぁ、食べにいきましょう】

【扉を開けて、夜の街へ食べに行きましょう】

 

この一週間、デザートをおごってくれてた女性の声です

コンコンとなっていた音は今はガンガンという音に変わっています

Cさんは泣きそうな気持で叫びます

食べ過ぎで太ったから、しばらくデザートは食べたくないと

 

【あぁ、なんだ、それなら】

 

窓から声が聞こえます

そういえば、窓は開けたことをCさんは思い出して、でもここは2階だからだれもいないはずで

 

【一緒にダイエットもしましょうか】

 

2階のはずの部屋の窓から、女性が顔と手を出してCさんを外へ引きずり込みました

 

・・・

・・

「そういえば最近、ハスミ先輩がまたダイエット始めたっていってたの」

 

【これで何度目でしたっけ?】

 

「わかんない、でも今回は一緒にダイエットしてくれる人がいてくれるっていってた」

 

【それなら続きそうですね。具体的にはどんなダイエットしてるんですか?】

 

「鬼ごっこだって」

 

【鬼ごっこ】

 

「夜の校庭でダイエット相手を追いかけるんだって、捕まえたら交代するっていってた」

 

【…それは、ダイエットなんですか?】

 

「カロリーはたぶん消費できてるし、いいんじゃないかってツルギ先輩が」

 

【そうですか…】

 

「今夜もたぶん走ってると思うわよ」

 

【痩せれるといいですね】

 

「そうね」




3.【ハス尺先輩】過剰摂取したカロリーを『撲』滅するために鬼ごっこを始める話
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