コハルちゃんに沢山オトモダチがいるお話   作:コハルママの人

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掲示板の方で投稿した8番目のお話です


8.【救護さん】救

Jさんという方がいます

いわゆるヤンキー、あるいはスケバンといえばいいでしょうか

喧嘩なんかを良くしている生徒です

トリニティと呼ばれていた学園で起きたような陰湿なものではなく、殴り合いです

夕方の河原で殴りあってお互いに称えあうような感じです、今時珍しいですね

ただまぁ、実際のところ彼女は根が素直な生徒で、喧嘩もなぜか吹っ掛けられたので対処をしてただけです

気が付いたら舎弟っぽいのもいたりしましたが本音を言えば彼女からすれば迷惑なだけです

いつもどうしてこうなった、と頭を抱えています

 

その日、彼女は舎弟になりたい生徒や喧嘩を吹っかけてきた生徒から逃げて保健室にやってきました

学校の保険医はよく怪我をするJさんとは仲良しです

Jさんの事情を察した保険医はJさんを匿ってくれました

しかしJさんからすれば保健室でやることはありません

保険医もほとぼりが冷めたら帰るようにと言って外へ出ていきました

どうやら外で何かあったようです

一人保健室に残されるJさん

しかたなく、ベッドで寝ることにします

 

目が覚めるとすっかり外は暗くなっていました

だいたい18時ごろでしょうか

保険医はまだ戻ってないようです

お礼の手紙だけ書いておいて、Jさんは保健室をでます

昇降口まできたところで、ふと気になることがありました

今現在、保健室は無人です

鍵を当然Jさんは持ってません、なので締めることはできません

もしJさんのようにまだ残っている生徒がいて、保健室に入ったなら

その生徒が悪意ある生徒ならば、あるいはよく聞く不審者が来たならば

そこまで考えるとッチと舌打ちしてからJさんは引き返します

どうせ自分は不良扱いされてるのだ、遅くまでのこったところで大丈夫だろう

それよりも保健室が荒らされて使用禁止になる方が嫌だ、とJさんは言い訳します

これはツンデレですか?

さて、保健室の前にたどり着くと灯りが付いてました

Jさんが帰った時には灯りを消しておいたので誰かが中にいるのでしょう

カーテンが閉められた保健室の向こうには人影が見えます

保険医が戻ってきたかもしれません

そっと、扉に手をかけると鍵はかかっていませんでした

 

「おーい、保険医ーいるかー?」

 

そういいながらJさんが扉をあけるとそこには

やたら胸の大きい包帯まみれの人と

ナースキャップをつけた顔色の悪い生徒と

なぜか盾を持っている生徒がいました

 

「・・・」

 

【どうかされましたか?】

 

思わず固まるJさんに盾をもった生徒が問いかけます

 

「なん………でこの短時間で不審者が入ってるんだよ!?」

 

Jさんが叫びます

数分しかたってないのに戻ったら保険医じゃない包帯まみれの生徒とナースキャップを被った生徒と盾をもった生徒がいたらそういう反応になりますよね

 

【不審者…?どこですか?】

 

「お前だよ!!」

 

きょろきょろと周りをみる盾をもった女性にJさんは思わず突っ込んでしまいます

ナースキャップを被った生徒が苦笑いするように口をゆがませます

 

「お前ら、ここでなにやってんだよ!」

 

【救護ですが?】

 

「救護ぉ?」

 

【えぇ、救護です】

 

何言ってんだ、という反応のJさんに盾を持った女性がうなずきます

 

【我々救護騎士団は日々救護を行っています】

 

自分のことを騎士団を名乗っているのを聞いて思わずJさんはやべぇと思いました

仕方ありません、Jさんからしたらコスプレした生徒か不審者が保健室を占領して騎士団を名乗っているようにしかみえないのですから

ここで教員を呼びにいくのは簡単でしょう

しかし下手に騒ぎにして保健室が使えなくなるのは困ります

正直このまま回れ右して帰りたいですが、保険医はまだ来ないようですし、救護騎士団というごっこ遊びをしている連中に荒らされては困ります

Jさんはため息をつくと、救護騎士団へ声をかけます

 

「なぁ、ごっこ遊びをするのはいいだけど学校の施設使ったらダメだろ、つーかそこのナースキャップ顔色わるくねーか?あと包帯女はなんなんだ?」

 

【彼女たちは救護騎士団の団員ですが?】

 

「ナースキャップはともかく包帯女が団員…?」

 

Jさんが怪しむように包帯が巻かれた女性を見ます

その視線に気が付いたように、女性がJさんの方にいきます

 

「な、なんだよ」

 

思わずファイティングポーズを取るJさんに女性が声をかけます

 

【救護といってください!】

 

「救護ぉ?」

 

聞き返したJさんに包帯が巻かれた女性は満足げに頷くと先ほどの位置に戻りました

 

「いやだからなんだよ!?」

 

全力でJさんは突っ込みますが包帯が巻かれた女性は反応しません

馬鹿にされてるのかと思いました見た限りそのような様子もありません

 

【ところで貴女は何の御用ですか?】

 

「あ?」

 

【怪我はあるようですがすでに治療されています、ならばここには用事はないはずです】

 

「あー…」

 

【用がないならば救護の邪魔です、出て行ってください】

 

盾をもった女性がそういってぐいぐいとJさんを押します

Jさんは抵抗しますが、そのまま女性ごと外にだされました

 

「おい、お前ら…」

【セリナ!ハナエ!救護が必要な気配を感じます!現場に向かいますよ!】

 

Jさんが何か言う前に盾をもった女性が中の二人にいいます

そして女性はJさんを無視して二人をつれててどこかへ行きました

 

「…なんだったんだ?あれ…?」

 

それに答える人はだれもいませんでした

 

 

 

そんなことがあってしばらくたったある日のこと

Jさんは不注意で怪我をしました

手をざっくり切ってしまったのです

 

「やっちまったなぁ」

 

喧嘩のし過ぎで痛みにはなれているのか、慌てることなくJさんは保健室にいきます

が、保険医がいません。どうやら今日もまた出かけているようです

 

「せめて鍵ぐらいかけろよな…」

 

ため息をつきながら適当に傷薬をぬって、包帯を巻きます

ちゃんとした治療はできないがしないよりはましだろう

そのままJさんは保険医がくるまでベッドで寝ることにしました

 

「んぁ…」

 

【目が覚めましたか】

 

思わず熟睡してJさんが目を覚ますと、いつぞやの救護騎士団の盾をもった女性が覗き込んできました

 

「おま…!また保健室に…!!」

 

【救護しましたが傷は痛くありませんか?】

 

「は…?」

 

声をかけられ、手を見ます

自分でやった時とは違い、しっかりと包帯が巻かれていました

痛かった傷も不思議と痛くありません

 

「あんたはやってくれたのか?」

 

【えぇ私がしました。問題はありませんか?】

 

「いや、全然」

 

【そうですか、それはよかった】

 

盾を持った女性はそういうと、立ち上がり、どこかへ行こうとします

「どこいくんだ?」

 

【救護対象がいないかどうか見回りをしに行きます、貴女は休んでいて大丈夫ですよ】

 

「…いや、私も帰るよ」

 

【そうですか、無理はされないように】

 

Jさんはベッドから出てきて、背伸びをします

そして鞄を持つと、盾をもった女性と一緒に外へでました

そのまま二人で一緒に歩きます

 

「…なぁ」

 

【なんでしょうか】

 

「救護騎士団…だっけ?なんでそんなことやってるんだ?」

 

【単純なことです】

 

盾を持った女性は、Jさんをまっすぐ見て言います

 

【私は、私が救える者を救護したいのです。二度となくしたりしないためにも】

 

これは本物だと、Jさんは思いました。本当に本気でそう思っているとわかりました。

なぜ、保健室を根城にしているかわかりませんが、彼女がいるなら特にひどいことにはならないだろう

「そっか、頑張れよ」

 

【言われるまでもありません、それではお大事に】

 

盾を持った女性が、Jさんとは別の道を歩きます

Jさんはそれを見送りました

 

「そーいえば、名前聞いてなかったな」

 

ま、もう会うことはないだろうけども

Jさんはそう呟くと、寮へ帰っていきました

ちなみにその後、幾度となく盾を持った女性とJさんは遭遇するのですが、それはまた別の話

 

・・・

・・

 

【そういえばコハル、知ってるか?】

 

「なにかしら?」

 

【最近ミネに友人ができたらしい】

 

「そうなの?」

 

【Jというのだが、たまにしゃべってるのと見かけると噂があった】

 

「へぇ」

 

【この状態になっても友ができるということは良いことだな】

 

「この状態って別にお友達ができるのは普通じゃない?」

 

【…そうだな】

 




8.【救護さん】『救』護騎士団長に話し相手ができた話 完
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