コハルちゃんに沢山オトモダチがいるお話   作:コハルママの人

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7.【シラスアズサ】

例えば教室の中で

例えば図書館で

例えば下江さんの尾行中のトイレで

『シラスアズサ』の噂をよく耳にする

曰く生前は氷の魔女と呼ばれていた

曰く大けがをしてもなお戦いをやめなかったゲリラ戦のプロ

曰く死してなお今もなお何かを探してさまよい歩く亡霊

曰く『シラスアズサ』の話を聞くと近いうちにその人の元に現れる

元々学校の七不思議のひとつだったそうだが、あまり知られた噂ではなかったのだが、ここ最近急激に話されるようになった

まるで誰かが噂話を広めてるように

思い浮かぶのはこのまえ盗み聞きした下江さんとフォックス様の会話

フォックス様を媒介にして噂が広まってるのだろうか

 

噂話ばかり聞くそんなある日のこと

図書館から帰ろうとして忘れ物に気が付いてそれを取りに戻っている

今日は下江さんの尾行をしていない

尾行のしすぎてストーカーみたいになってると気が付いてしまったのだ

そろそろ自重したほうがいいかな

そんなことを考えなているといつの間にか教室の前についていた

最近みなくなったクラスのいじめっ子がいたら怖いので、そっと窓を覗き込む

教室の中にはなぜか下江さんが一人机に座っていた

何をしてるんだろう…?

せっかくだから声をかけて少しおしゃべりできないかな

そう思って扉に手をかけ

 

【コハル】

 

下江さん以外のだれもないはずの教室から、声が聞こえた

思わず隠れて、様子をうかがう

下江さんは顔をあげて、それからパッと明るい表情になって目線を前に向ける

 

「アズサ!」

 

下江さんの視線の先をみると、フリルのついたスカートをきた、どこかでみたような制服をきた

ガスマスクをつけた下江さんと同じぐらいの背の生徒がいた

また危ない人だぁぁぁぁぁぁぁぁ!!

アズサって紙袋を被ったヒフミさんと水着を着たハナコさんの共通の友人の人だよね!?

下江さんの友人は変な人しかいないのだろうか

そういえばマリーさんもシスター服だった…

 

「久しぶりじゃない!どうしてたのよ!」

 

【すまない、最近私の話をする生徒がいなくて出てこれなかったんだ】

 

「なによそれ」

 

私の困惑をよそに、二人は楽し気に会話する

 

【ヒフミやハナコが元気だっただろうか】

 

「元気よ、ヒフミは相変わらず紙袋被ってて、ハナコは水着でトイレにいた」

 

【そうか、いつも通りみたいだな】

 

なんて嫌ないつも通りだろうか 

 

「アズサは?変わりない?」

 

【そうだな、私も変わりはない】

 

「そ、よかったわ…今日はおしゃべりできるのよね?」

 

【あぁ、少なくとも彼女がいる限りは】

 

そういって、アズサさんがこちらを一瞬見たようなきがする

まさかバレてる…!?

隠れるのは得意だからばれないと思ってたのに…!!

 

「彼女…?まぁいいわ、せっかくだし色々お話しましょう!」

 

【わかった、コハルの話をきかせてくれ】

 

そういって、二人は話始める

テストでいい点とったとか、ハナコさんが変なこと言ったとか、委員会でこんなことあったとか

アズサさんは下江さんの話に相槌をうったり、たまに頓珍漢なことを言ったりして下江さんを突っ込ませてる

時間を忘れて話す二人にを見ながら私は教室に入ることができずに困ってしまう

下手に動くと下江さんにバレてしまいそうなので動けない

ただただ二人の話を眺めていると、チャイムの音が鳴り響く

どうやら下校の時間の用だ

 

【コハル、時間の様だ】

 

「…みたいね、ねぇ、次は…」

 

【もうすぐハロウィンだから、その時にまた会える。私以外のみんなにも】

 

「…うん、わかった。またね、アズサ」

 

【うん、コハルもハロウィンまで元気でね】

 

寂し気に手を振って、下江さんが教室から出る

アズサさんは、まだ教室にのこったままだ

 

【さて…役目をはたそうか】

 

そういってアズサさんはこちらに歩いてきて

あ、やばい、と思った時には、教室の中に引きずりだされてしまった

 

【盗み聞きはよくないな】

 

あははは…すみません

 

【構わない、おかげでコハルと話せたのだから】

 

あの、見なかったことにするので教室にある忘れ物だけ回収して帰らせてもらえないでしょうか?

 

【忘れ物はとってもらってもいいが、質問に答えてほしい】

 

嫌な予感しかしないんですが

 

【簡単な質問だ…。忘れ物を探しながら答えてくれ】

【まず…手が必要か?】

 

(モノを探すのに)今使ってます

 

【下江コハルは友人か?】

 

現状、ただのクラスメイトです

 

【自分の正体には気が付いているか?】

 

…正体?

 

【学校の外にでたことないだろう?】

 

・・・あれ?

 

【お前も私と同じ存在だよ】

 

何を言って…

 

【コハル以外の人間と話した記憶はしっかりと思い出せるか?】

 

もちろん、私には友人がいて…あれ、なんで…?

 

【普通の人間は、扉のスキマには入れないんだ】

【今のお前は隙間から覗き込む、そんな存在なんだ】

【マシロ】

 

アズサさんの言葉に何かが崩れる感覚がする

存在しない記録がきえていって、記憶が頭の中に入ってくる

私は…

 

【正義実現委員会…いや、風紀委員には入ってないのか?】

 

だって正義の名ではなくなってしまったから

 

【ハスミやツルギ、イチカがきっとお前を待っているぞ】

 

そうでしょうか…?

 

【あぁ、お前がいればコハルもきっと喜ぶ…またみんなで風紀委員会という名の正義実現委員会をやればいい】

 

・・・わかりました

 

【うん、私の質問は以上だ】

 

なんで…

 

【うん?】

 

なんで、私は、忘れてたんでしょうか?

 

【マシロだけじゃないよ、忘れているのは】

【それに、それぐらい長い時間がたったんだから、しょうがないよ】

 




下江さん、ちょっといいでしょうか?

「な、なに?」

実は風紀委員会に入ろうと思うんですが

「え?本当?」

はい、よろしければ案内してほしくて…

「任せて!きっと先輩たちも歓迎するわ!」

そうだと嬉しいんですが

「それじゃあ、放課後、案内するわね!」

はい、わかりました

「これからよろしく、マシロ!」

はい、ずっとよろしくお願いします、コハルさん
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