黄金の聖杯に願わくば   作:絶望する推しもまた美しい

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私は眠る

故に、いつか私が奪ってしまったその幸福を皆に返す


なに、褪せ人ひとり消えたところで何も変わりはしない

どうか

どうか

幸せになっておくれ

狭間の地で無駄な血を流すことなく、ただただ平穏たるを望むのだ



エルデンリングに栄光あれ


___『黄金新王の言の葉』最終ページより









カルデアとエルデ

「藤丸君、ちょっといいかな?」

 

 

ストームボーダー、放送から直接指名を受けた人類最後のマスター「藤丸立香」は管制室へ訪れていた。

後輩であるマシュとワンセットであるのは言うまでもなく。

 

彼らの到着を確認したダヴィンチは一つのモニターを指示した。

 

 

「あれを見てごらんよ」

 

「? あれは…」

 

「ああ。新しい特異点のようだ。でもちょっとおかしいんだよ」

 

 

珍しく真剣な面持ちのダヴィンチに、藤丸は剣呑を隠せない。

 

 

「魔力が溢れすぎているんだ。通常よりもね。濃度が高すぎる」

 

 

これまで数多くの特異点を渡ってきた一行ではあったが、そのどれもがその名に恥じぬ特異さを持っていた。

ある特異点ではあらゆる時間が捻じ曲がり、そのまた別の特異点では地形がぐちゃぐちゃであったり…様々であったのだが。

しかしこれはおかしいとダヴィンチはさらに語る。

 

 

「どちらにせよ新しく発見した特異点は調査しなければならないから、任されてはくれないかな?」

 

「うん、わかった」

 

「出発は明日にしよう、今日は前回回収した聖杯を使って誰かを強化___」

 

 

 

 

 

 

 

 

ダヴィンチが全てを話す最中、ストームボーダーに強い衝撃がはしった。

室内の灯りは全てが赤色に変わり緊急事態を告げる警報がけたたましく鳴り響く。

 

 

「し、襲撃です!」

 

「何!? 一体どこから…!」

 

「分かりません!」

 

「むぅ…!!」

 

 

新所長ゴルドルフは唸る。

このタイミングでの襲撃ともなれば、その元凶など考えうるに容易いというもの。

 

 

「あそこか…!」

 

 

新たに発見した特異点、まさにそこからであった。

ボーダー内への侵入者がいるという情報は入ってはきていない。つまりは襲撃、もとい狙撃であったのだ。

しかしながら地表からはるか高い標高を浮かぶ空の船へそれほどの衝撃を加えられるものといえばかなり限られはするが、しかしながらその物証が何もない。

 

この高さから墜落すれば確実に全員死亡。

まさに絶体絶命の大ピンチ。

 

 

「仕方ない、海に不時着しよう!」

 

 

皆、どこかに掴まってくれ!!!

 

誰が叫んだか、その言葉が放たれてから数分後、窓から見える景色は水の中となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「飛行中の空船の撃墜に成功、標的はリムグレイブの海に墜落した模様です」

 

 

広々とした円卓。

元は人もおらず寂れていたその場所には、今や多くの人員で埋め尽くされていた。

 

部屋の中央に輝く大きな祝福と、それを飾るような円状のテーブル、そしてそれを囲むように椅子が設けられている。

依然と違うのは部屋が以前のそれよりもかなり広くなったことと、その椅子に座る者がいることであろうか。

 

 

「うむ、ご苦労であった。引き続き監視せよ」

 

「はっ!」

 

 

そう命じたのは最初のエルデの王。

皆が皆、一様に神妙な面持ち。

 

 

「ついに来たな、これで我らが悲願が達成されるの…!」

 

「気が早いぞモーグ。見立てによれば、奴らは我らのそれとは系統の全く違う魔術を用いると聞く、油断は禁物だ」

 

「しかしながらどうする。奴らを仕留めるのであればやはり主から狙うべきであろう」

 

「僕のマレニアなら負けないよ。ね、マレニア」

 

「勿論です兄さま、このマレニアは兄さまの期待に応えてみせます」

 

 

そして彼らを束ねる長、どのデミゴッドですら及ばない実力を備えた二人の英雄は彼らの視線を受け口を開いた。

 

彼ら二人もまた、新王たる褪せ人の輝きに触れ、新たな可能性という名の光を見出したもの達。

数多の血肉を被り、残酷なトレイルをひとり歩んだその背中の小さきことを今でもよく覚えている。

かつて笑い合ったとて次に会えば敵同士に成りえていたあの狂気の時代。倫理をはかる天秤自体が壊れたように、どんな貴人の命とて刃の一振の前では紙屑も同然だった殺伐の時代。

 

褪せ人が黄金樹を間近に捉えたその時、最後の敵の二大巨頭として名を連ね、暴力を交えた間柄。

思惑が違えども、操られていようとも、あの輝きを忘れたことは一度たりともなかったのだ。

 

 

「これまで多くの世界が奴らの手に落ち、滅ぼされている。我らが黙って居ればいずれそうなっていたやもしれぬ」

 

「……その前に手を打つ。新王が自らを犠牲に直したこの黄金を穢すことはさせん」

 

 

黄金の獅子王は歴戦を積んだ強者が現れ、嬉々狂々として迎え撃つべく立ち塞がるも、宰相セローシュを剥がした全力を以てしても勝利すること叶わず。

 

赤髪の英雄は黄金律に囚われ自我を失うも、褪せ人の願いにより永遠の女王から完全な独立を果たした個人としての顕現を赦された。

 

 

「だからこそ、」

 

 

先々代、そして先代の黄金樹の王は言葉を放つ。

 

 

「新王を取り戻す」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

斯くして異聞帯は確立した。

 

 

 

それはかつて輝きを失った狭間の地。

戦乱などでは到底及ばぬ狂気の箱庭。

 

外界の者よ、とくと見るがよい。

我らが黄金の輝き、そして

 

 

 

永久輪廻黄金樹__エルデンリング




褪せ人(※登場頻度ほぼ皆無&性別不明&砕け口調)が狭間の皆から愛されてます。

オチ相手はラダゴン。推しなのでガッツリ贔屓します。
ラダレナもだいすこなんですがラダ褪せも見たいんだよなあって。
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