アビドス土着企業『アーキバス・コーポレーション』 作:V,うんこ
ヤッターマンを見て懐かしい気持ちになったね。
AC『オープンフェイス』
それはアーキバスコーポレーションの実働部隊の一つ『ヴェスパー』の第二隊長が駆るアーマードコアの機体名を指す。
しかしヴェスパー自体が秘密裏に設立・運用されている部隊な為、公に出回っている情報は一切存在しない。
故に今までは話題に上ることは無かった。
しかし此度の連邦生徒会長失踪に伴い、ヴェスパーひいてはアーキバスを取り巻く事情は大きく転換することとなる…
『あの連邦生徒会長の推薦らしいな』
『私はアーキバスのAC部隊『ヴェスパー』の第4隊長を務めている、コールサインは「ラスティ」だ』
『これも何かの縁だ、先生、そして生徒諸君』
『共に防衛戦と行こうじゃないか』
『先生』着任と同時期に起こったシャーレビル防衛戦において、ACの試運転中に偶然通りかかったV.Ⅳ『ラスティ』と、彼女の駆る愛機『スティールヘイズ』が先生達への支援を表明。
こうして、アーキバスのヴェスパー部隊は輝かしい名声と共に人々の認知するところとなった。
曰く有事に備えて厳しい訓練をしている特殊部隊だとか、曰くアーキバスがキヴォトスを征服する為に作り上げた軍隊だとかの蛙鳴蝉噪が飛び交いつつも、アーキバス本社は『今後も我々アーキバスをよろしくお願いいたします』的な内容の声明を発表し、キヴォトスにはひとまずの平穏が戻ってきた…
『アビドスを穢す害獣共め……』
怨嗟の通信がその四脚ACから響く。
通信越しとは言え、その感情の強大さは聞いた全員が理解せざるを得ないだろう。
直接向けられていない者ですら身震いするであろうソレを向けられた者は一体どうなるというのだろうか。
「ヒエッ」
「ひゅぅ……」
答えは恐慌状態に陥る、というものだ。
彼女ら─『カタカタヘルメット団』は、ここ数年の間アビドス高校を襲撃してくるようになったごくごく一般的な不良勢力の一派である。
その割には武装が妙に充実していたり、ジャンク品とはいえACを運用するほどの規模を誇るなど、不可解な点は多いが──そんなもの、身体に聞けば分かる。
小鳥遊マヨイは般若ですら泣いて逃げ出すほどの形相を浮かべながら、愛機『オープンフェイス』の操作を行う。
普段は重量二脚だが、今日は気分を変えて四脚にしてみたという今朝の出来事を思い返しながら、ヘルメット団が妙に密集している地点をサーチし、トラックの中に雑に詰め込まれている生体反応──誘拐された黒見セリカと思しきものを確認すると、四脚特有のホバリングを開始、両腕に装備したガトリング─暴徒鎮圧特化型の新製品─を乱射し、ヘルメット団員の意識を容赦無く刈り取っていく。
いくら弾丸に耐性のあるキヴォトス人と言えど、ACほどの兵器に搭載されるレベルのものになるとよっぽど神秘が溢れる者でもない限り意識を刈り取る程度の芸当は容易く可能だ。
『害獣は害獣らしく無様に這いつくばっていろッ!!!』
更に追い打ちの垂直ミサイルが入り、ヘルメット団は完全に沈黙。
せっかくのジャンクACも、乗り手がダメならただの粗大ごみである。
『…………ふん、もし貴様らがカイザーの手の者だったら全員再教育センター送りにしてやるところだ…』
掃討も終わり、砂の大地を四脚で踏みしめたオープンフェイスからヘルメット団へ聞かせる気のないオープン回線が垂れ流される。
無論のことこれを傍受されるようなことは無いのだ、無いと分かっていてマヨイは─V.Ⅱスネイルは吐き捨てる。
『だが、所詮貴様らとて良い様に手綱を握られている駄犬の群れにすぎん、もうじきその手綱も引きちぎれるだろうが…』
『我々には何ら関係の無いことだ』
ゾッとするほど酷薄な声音からは、マヨイにとってカタカタヘルメット団は取るに足らない塵芥であり、羽虫以下の存在だと思っているのがわかる。
そんな罵倒を垂れ流しつつも、マヨイはセリカ救出のために動いている─トラックから引っこ抜いてコクピットに収めるだけの簡単なお仕事である。
「セリカ、大丈夫ですか?」
「う~ん………え!?マヨイ先輩!?何で!?」
驚愕の表情を浮かべ己の名を呼ぶセリカを見て、マヨイは簡潔に事情を説明する。
「ホシノから来客があったと聞きましてね、それが最近話題の人物ともなれば顔を出さざるを得ません」
「あ~…」
「それに加え、うちの第四隊長がもうお世話になっていますしね」
「そういえばそうだったわね…映像見た時はびっくりしたわよほんと」
「私もびっくりでしたよ」
マヨイは一応転生者でもあるが、そもそも自分がACを持ち込みアーキバスを設立した時点で原作通りに出来事が起こる可能性を排除しているため、原作の出来事にアーキバスが、しかも『ラスティ』が関わったと聞いて未だに驚きを隠せないとセリカに言う。
ひょんなことからスネイルになってしまったが、転生者らしいミーハー精神も少しは持ち合わせている、というか
「あれ?というかマヨイ先輩が来てるってことはカナ先輩も来てるの?」
「バカフロイトは既に合流していますよ……そういえば貴女が誘拐されたのはいつ頃ですか?」
「えっと…多分昨夜ぐらいだと思う…」
「ならまだ間に合いますね、さっさと何事も無かったかのように登校するとしましょう」
「そ、そうね!」
誘拐されたという事情はどうにもならないが、できれば皆を不安にさせたくないセリカはマヨイのその提案に乗ることにしたのである。
少し遡って、ここはアビドス高校。
来訪してきた先生も交えホシノ以下三名のアビドス生は適当な空き教室に集まって駄弁っていた。
「にしても『スティールヘイズ』本当にかっこいいよねぇ」
「ん…いい…」
「んむむ……しかしこれではアビドス外にもラスティさんの夢女子が増えてしまいます…」
「夢女子って……大げさですよノノミ先輩」
「残念だったねノノミ、私はもう手遅れだ」
「先生っ!?」
アーキバスなどの存在により大幅に原作から逸脱したこの世界においても、先生とアビドス生の初対面は滞ることなく行われた。
唯一の違いとすれば、マヨイ率いるアーキバスが実質的な後ろ盾となっているためにホシノがいらぬ警戒を働かせることもなくお気楽に構えていることだろう。
どれほどお気楽かと言うと、アヤネは言わずもがなノノミにも若干苦労人な気配が立ち込めている、と言えばその程度が分かるだろうか。
その関係かどうかは分からないが、ノノミはまるで本物のラスティの様に爽やかに励ましてくれるこちらの『ラスティ』にご執心のようだ。
「っく!先生は既に堕ちていましたか……でも分かりますよその気持ち」
「分かる……爽やかかっこいいよね……あの子が男なら女としてヤバかったかもしれない…」
「分かります…」
「先生…」
「うへへ~あの子ってば大人気だね」
そうする内に、話題はヴェスパー部隊のことに移っていく。
先述した通りシャーレの先生は先に『ラスティ』の洗礼を浴びているため、同類であるノノミと話が合うようだ。
何よりロボ好きな彼女がスティールヘイズとラスティという名コンビを見逃すはずも無かったのである!
「それよりアレだよ!!アーマードコアって言うんだっけ!?すごいね!!」
「うへへへへへへ……すごいでしょ~?アレを作ったのは私の双子のお姉ちゃんでねぇ…」
「すごいお姉さんだね!?双子ってことは18歳!?」
「うへへ…私たちはまだ17だよ?」
「17歳であんなものを設計したの!?」
「それだけじゃなくて何と会社を立ち上げちゃってねぇ……」
「えぇぇ!?!?!?」
「ん…ACやアーキバスの話になるとホシノ先輩は途端に饒舌になる」
「まぁ、そうなっても仕方ないぐらいに多才ですからねマヨイ先輩は…」
「嘘でしょ!?じゃあ学生の身で社長さんってこと!?」
「そうそう……いやぁ~あんなすっごいお姉さんを持てておじさんとぉっても幸せだよぉ…」
「ほんとすごいね…私が17の頃なんて高校でへぇこら言ってた苦学生だったのに…」
「うへへ、先生も苦労してたんだね~」
「…………アレは若干シスコン入ってませんかね?」
「「それはそう(です)」」
そうして愉快に雑談していると、教室のドアがガラリと開かれた。
一行は待ち人たるセリカが来たのかと思いドアの方に目を向けると、そこにいたのはセリカではなく、腰まで伸びた白い髪と巨大な鉤爪が特徴的な羽を持つ大柄な少女であった。
「すまない、遅れた」
「「カナちゃん!?」」
「あっ、カナ」
「カナ先輩!?」
扉から現れたのは、アビドス高校二年生『空崎カナ』である。
カナは遅れたことに謝罪しつつ扉を閉めると、次に感情の読めない表情で先生を見据え「ほう」と納得したような呟きをする。
「え?私がどうかした…?」
「映像を見た」
カナが見た映像とは、シャーレビル防衛戦──プロローグに当たる戦闘を収めた映像だ。
ユウカ、ハスミ、チナツ、スズミと言った読者諸兄にとってはお馴染みのメンツの奮闘に加え、この世界線では『スティールヘイズ』と巡行戦車の怪獣対決が収められることとなった迫力満点の映像である。
実際、このインパクトのおかげか原作より『シャーレ』の知名度は高くなっており、それに伴い先生の指揮力に注目する者も増えたというささやかな原作改変を引き起こしている。
「面白い動きだった、今度アンタの指揮下でスネイルの『オープンフェイス』と
「え…えぇ?まぁ生徒の頼みなら…?」
「カナちゃんカナちゃん、まず自己紹介しよう?」
「ん、それもそうか」
「俺は空崎カナ、スネイル…マヨイの誘いでゲヘナからアビドスに転校してきた」
「そして──ヴェスパーの第一隊長を務めてもいる」
「え!?じゃあ貴女がヴェスパーのボスってこと?」
「…………確かに俺は第一隊長だが、雑務は基本的にスネイル…第二隊長……つまり小鳥遊マヨイに一任しているからな…事実上のボスは第二隊長だ」
「そ…そうなんだ」
「……正直、苦労を掛けているとは思っているんだ…だが俺が
カナは顔に罪悪感を滲ませながらそう言った。
これはこの世界のアーキバスにおいてはそう珍しいことではない。
『フロイト』のコールサインを持つ彼女だが、オリジナルのフロイトのような傍若無人さなどは持ち合わせておらず、多すぎるマヨイ(とミシガン)の仕事を手伝おうとする気概はある。
しかし彼女が手伝うと必ず何かしらの問題が起きて結果的に仕事が増えてしまうため、マヨイは目元をヒクつかせながら『フロイト、あなたは実働関連でよく働いてもらうことにします、ですから絶対にオフィスに近づかないでください』と言い放ったという経緯がある。
マヨイ自体は
「ゲヘナにいた頃はそうでもなかったんだがな…」
「まぁまぁ~その気持ちだけでもありがたいってマヨちゃん言ってたから元気出してよ~」
「そ、そうか?…それならいいんだが…」
そんな会話を挟みつつ、カナもアビドス組に合流した。
その後も取り留めのない雑談をして時間を潰していたのだが、いつまで経っても来ないセリカに一同は疑念を深めていくこととなる……
マヨイちゃんの容姿は二年前ホシノを目つき悪くして眼鏡をかけたものを想像してください。
カナちゃんは大柄(身長176)なシロモップです。
『V.Ⅰフロイト』=空崎カナ
かのゲヘナ風紀委員長『空崎ヒナ』の実の妹。
基本、受動的な態度の彼女が唯一興味を示すことがらは──闘争である。
幼い頃からある時は不良に、ある時はヘルメット団に、またある時は矯正局を脱獄した生徒に突撃しては傷だらけになって帰る生活を繰り返していた。
いつしか傷を負わなくなった彼女はより偏執的に闘争を求めるようになり、ゲヘナ高等部に入学する頃には姉ですら抑えがきかない存在へと変貌しつつあった。
そんな折に、当時秘密裏に活動していた『オープンフェイス』を偶然目の当たりにし、ACに更なる闘争の可能性を感じた彼女は困惑するマヨイを押し切りアーキバスに入社。
入社条件として冗談半分で提示された『アビドスへの転校』という条件も律儀に守りアビドス生となる。
マヨイの頼れる相棒であり、頭痛の種でもある。
再教育センター
一度入った者は例外無くアーキバスに忠実な
その運用方法はAC6本編と大差ない。
マヨイの気に入らない者がぶちこまれたり、産業スパイがぶちこまれたりしている。
スネイルのような嫌味なメガネになってしまったが、スネイルのような非道では無いマヨイは滅多に使うことは無い。
つまりマヨイが再教育センター云々言い出すのはかなり精神的に(怒りが)キている状況という訳だぁ!(パラガス)
ファクトリー
ファの字も無い。
コールサインに関する懸念
カナは元々クールなボクっ娘だったのだが、『フロイト』のコールサインをもらってから言動や性格がオリジナルの『フロイト』に似通ってきた。
それはヴェスパーの他の隊長やレッドガンの面々も同じことで、