アビドス土着企業『アーキバス・コーポレーション』 作:V,うんこ
久しぶりにプレイしてみたら空力に導かれて気が付けばアセンがシュナイダーで固められてました。
逆関節で飛び回るのほんと楽しい。
「ほら、とっとと吐きなさい」
「全て吐けば楽になりますよ、もし吐かなかったとしても…まぁキヴォトスの治安上昇の礎となるだけで済みます」
アビドス高校、校舎前。
そこにはマヨイとセリカが運んできたカタカタヘルメット団の構成員が無造作に並べられ尋問されていた。
先ほどマヨイが叩きのめした方とは別の部隊らしい。
本編と違いACという機動兵器を擁していたためか、そのACを使ってアビドス高校へ襲撃する腹積もりだったようだ。
だが、ボロボロのジャンクACとオープンフェイスでは乗り手の技量を含めてもマヨイに軍配が上がり、今に至るというわけである。
セリカが団員の目に銃を突きつけ、マヨイが凄むことで彼女は震えあがって声も出せない状況だった。
「だめね先輩、完全に怯えきってるわ」
「そうですか……あまりこの手は使いたくなかったのですが」
そう言うと、マヨイは携帯端末を何やら操作し耳に当てる。
どうやら誰かを呼び出しているようだが……
「V.Ⅶはいますか?」
『スウィンバーン隊長は現在再教育センターですが…』
「あぁ、それならちょうどいい、堪え性の無い不良共をそちらに送るので面倒を見ろとお伝えください」
『了解しました!』
「……あとそうですね、彼女らはカリキュラムβでお願いします、いくら不良とはいえこんなつまらないところで一生企業の飼い殺しルートに入るのは少々……不憫だ」
『そちらも了解しました、第二隊長殿の慈悲に彼女らも泣いて喜ぶことでしょう』
「御託はよろしい、さっさと行きなさい」
『はっ!』
通話を切り、マヨイはセリカにヘルメット団員をぐるぐる巻きにするように指示する。
そうしてまるで薪か何かのように一まとめにされた構成員を、オートパイロット状態の『オープンフェイス』が手に持って運んでいく。
その光景にBGMを付けるとするなら『ドナドナ』であろう、何とも哀愁漂う光景である。
「……これであいつらの裏にいる誰かが分かればいいんだけどね」
「決まっているでしょう、カイザーですよ、奴らは決定的な証拠を残していないだけです」
「そうかしら…」
「そうですとも、いつか目にものを見せてくれる…」
「……その時は絶対に呼んでね?先輩」
「都合が合えば、ですね」
朝日をバックに語り合うマヨイとセリカは、しばらくオープンフェイスの向かった方向を見ていたが、やがて振り返り校舎へと歩を進める。
「重役出勤の気分はどうです?セリカ」
「なんかソワソワするわ…」
「私も最初はそうでしたよ」
「えぇ!?噓でしょ!?あのマヨイ先輩が!?」
「私だって一応学生ですからね?」
「えぇ~…マヨイ先輩は生まれたころからそんな感じだと思ってたのに…」
「さすがにそれは…いや、思い返せばホシノやあの先輩に振り回されてばかりでしたね…」
「でしょ?ユメ先輩はあんなんだし、ホシノ先輩だって似たようなもんだし…あれ?そうなると先輩って結構苦労人?」
「何を分かりきったことを…」
そうしてぺちゃくちゃと雑談しながら登校し、先生達の待つ教室へ向かう二人。
教室の方ではあまりにも遅いセリカを心配してすわ誘拐か拉致かと騒ぎになっているのだが、二人が知る由も無かった。
「……先生って、信用できる?」
「信用はできるでしょう、前評判を聞く限り生徒のためならどんな無茶もするとんだお人よしですよ?」
「……でも、私は信用できない」
「……」
「今まで見向きもしてこなかった癖に急に助けるって言われて信用できるわけないでしょ?」
「一理ありますね」
「でしょ?……でも、そんなこと言ってる場合じゃないのも分かってる……」
「……心配はいりませんよ、セリカ」
「先輩…」
「もしも彼女がアビドスに仇名す害獣だったのなら……共に闘いましょう、大丈夫『ヴェスパー』も『レッドガン』もいます、ホシノもいます、私もいます」
「先輩…」
「連邦生徒会から独立してアーキバスによる新しい統治の枠組みを作るのも悪くないかもしれません」
「……」
「しかし、それは先生が害獣だったらの話、今は少なくともアヤネの出した要請に律儀に答えてくれたという事実のみを考えればいい」
マヨイは迷う後輩に向けて彼女なりの言葉で激励する。
その甲斐あってか、不安げに揺れていたセリカの表情は幾分も和らいでいた。
マヨイは内心では(心配するだけ無駄なんですけどねぇ)などと考えながら、目的の教室を見つけ、扉に手を掛けると
ガラリ
「!?」
急に扉が内から開き、マヨイとセリカは全身を使って驚きを表現する。
その扉の先にいたのは──
「ッスネイル!セリカは……無事だったみたいだな」
V.Ⅰフロイトこと空崎カナであった。
だが、いきなり180近い巨体に圧倒されることになったマヨイの恐怖は大きかったらしく
「あっ…あなたねぇ!ただでさえデカいんですから扉開ける時ぐらい周囲を確認しなさいよ!?」
と口元を引きつらせながら怒鳴った。
対するカナはというと…
「見えないものをどう確認するんだ?」
天然!天然だよこの子!すっごい天然だ!
不思議そうに首を傾げる表情はどことなく姉のヒナにそっくりなのだが、それはさておき。
「それにしても無事で良かった、中々来ないから誘拐でもされたのかと話していたところだ」
「う…あはは…迷惑かけてすみません…」
「正確には誘拐されかけていたのですがね」
「ちょっちょっとマヨイ先輩!」
「私が通りかからなかったらどうなっていたことか」
「うぅ…」
マヨイが呆れながら補足すると、カナは複雑な表情を浮かべてセリカに体を向けた。
そしてごく自然に彼女を抱き寄せると、無事でよかったと頭をわしゃわしゃしながら言う。
「よかった…本当に良かった…」
「わ、分かった!わかりましたから!心配かけて悪かったですから!離してくださいカナ先輩!」
「そうだな、先輩やノノミ達に譲るとしよう」
「へ?」
その後、セリカは先生含む面々から無事で良かったともみくちゃにされたらしい…
「……第二隊長閣下も人使いが荒い…」
V.Ⅶスウィンバーン。
このキヴォトスにおいてその名を持つ彼女は、現在アーキバス本社に存在する再教育センターで業務に当たっていた。
『オープンフェイス』が運んできたカタカタヘルメット団員を雑に
「しかしカリキュラムβとは本当に珍しい…そもそも閣下が再教育センターを使用する判断をした時点でも相当だが」
スウィンバーンはカタカタヘルメット団の面々を見まわし、この再教育センターのざっくばらんとした説明を行っている。
彼女らは一様に怯えているが、それをスウィンバーン含む再教育センターの職員の誰も気に留めていないのがこの施設がどういった場所たるなのかを雄弁に語っている。
「要するに、社会の底辺たる貴様らを再教育し我がアーキバスの有望な社員として加える、と普段なら言うところなのだが…」
「今回は別だ、カリキュラムβとは基本的な教育を施すプログラムのことを指す」
「これを熟した者には我々アーキバスが保証する証明番号などの……あ~まぁ、そうだな、分かりやすく言えばちゃんとした身分が手に入る、という訳だ」
これを聞いたヘルメット団のメンバーは一様に驚く。
それもそのはずだ、彼女らが今までこういったうまい話に釣られて痛い目を見た回数は数えきれない。
だがしかし、今の彼女らにはその話の裏を考慮するような暇は無かった。
「まぁ、カリキュラムβにはそうキツい内容は無い、気楽に構えてくれ」
『スウィンバーン』は事務的にそう言い放つ。
未だ困惑の渦から抜け出せない団員達は、さした抵抗もなく職員に連行されていった…
「……はぁ……」
『スウィンバーン』はそれを見送ると、憂鬱そうにため息を吐いた、スネイルに限らずアーキバス社員は多くの仕事を抱えている故に皆光の無い目で各々のタスクをこなしているのだ、大体は新興のクセにデカい顔してるアーキバスが気に入らないカイザーとかカイザーとかカイザーのグレーゾーンを最大限利用した妨害への対応である。
「マヨイちゃんの言う通り、
苦々しい表情で『スウィンバーン』は呟く。
先ほど書いた通り、カイザーは法のグレーゾーンを付いた妨害をアーキバスに度々仕掛けており、対応に追われるのは一般社員やスネイルにスウィンバーンなどの面々で、毎度毎度うんざりしているのだ。
「…………そんな産廃マシーンだからこそ、『我々』の実験体として気兼ねなく消費することができる」
そのうんざりした表情を一転、怖気すら感じるほど冷たい声音でスウィンバーンは言葉を続ける。
カイザーの『妨害』に関わった者は一人残らず再教育センター送りとなっているのだが、その中にはうっかりカイザー本社との繋がりを示してしまった哀れなカイザー社員だっている。
そんな社員がどのような末路を辿るかと言えば……
「…………今に見ていろ連邦生徒会…貴様らが見捨てた仲間の分までたっぷりと焼き尽くしてやるぞ…」
「
「フフッ……所長のあの狂気じみたアイデアがこうも早く実用化を迎えるとは思いもしなかった」
言いながら、『スウィンバーン』は─
「当時は非人道的だと反対したものだが……そんな汚名を背負うだけでみんなの復讐ができるなんて安いモノだよ、本当に」
「『コーラル』による人間の感覚の強化……通称『強化人間計画』」
「手始めに命ある者にコーラルが及ぼす影響を把握するところからだったが……アーキバスという絶好の環境を得たおかげで成果は鰻登りだ」
「『
「一般的なオートマタをコーラル駆動にすると、一体どんなことになるんだろうねぇ…?」
ブツブツとそう言った後、ミアは楽しみで仕方ないと言ったように歓喜の表情を浮かべ哄笑した。
その耳障りな笑い声はいつまでも廊下に反響していた…
V.Ⅶ『スウィンバーン』=
かつて連邦生徒会とミレニアムによって設立された通称『技研』と呼ばれる組織の生き残り。
『技研』に関しては今後明らかになっていくだろうが、彼女らのやっていた研究内容を聞いたマヨイの胃は犠牲になったことをお前に教える。
『技研』で起きた出来事について連邦生徒会に多大なる恨みを抱いており、いつかサンクトゥムタワーで大規模爆破テロをするのが当分の目標。
必死に抑えようとするマヨイの心労は計り知れない。
行間を詰めて会話を書いてるところは小気味いいマシンガントークを表しているつもりだけど見にくかったらやめます。