アビドス土着企業『アーキバス・コーポレーション』   作:V,うんこ

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エクドロモモイという謎概念を受信しました。



ホルスの子(ハルポクラテス)

「お~!」

 

「はしゃがないでよもういい歳なんだからさ」

 

ある日、アーキバスの保有するACの部品製造工場内にマヨイとホシノは訪れていた。

如何にもと言ったメカメカしい様子に目を輝かせて大興奮するホシノと、呆れながらそれを諫めるマヨイの構図は、この双子が世に生まれ落ちてから変わらぬ風景である。

 

「うへへ…だってこんなとこ来た事なかったからさぁ」

 

「はぁ……」

 

「ご、ごめんってば、謝るから機嫌直してよぉ~」

 

「…まぁ、いいけどさ」

 

「!…わぁ~い♪」

 

「いきなり抱き着かないで!?」

 

そんな感じでじゃれあいながら進み、たどり着いた先はガレージ…生産した部品の動作確認などを行う施設である。

 

「余談だけどね、うちの系列のシュナイダーの新装備は大概ここでストップ喰らうんだ」

 

「あぁ~…シュナイダーの子たちがよくこっちに来て愚痴ってるよ」

 

「じゃあスネイルが空力から離れろって言ってたって言っといてくんない?」

 

「言っても聞かない人種だよあの子達は、ほら、なんかより質の悪くなったユメ先輩が群れを成してるというか」

 

「あの能天気先輩が会社単位で……?うそだ…」

 

「まッマヨちゃん!気をしっかり!」

 

肉親の手前、丁寧語を崩して会話するマヨイの姿に普段の『スネイル』をよく知る社員たちは目をひん剝いて驚いているのだが、それはさておき。

 

「というか!いい加減離れてってば暑苦しい!」

 

「うへへ~マヨちゃんやわらかくて気持ちいいもん~」

 

姉妹(きょうだい)でもセクハラって成立するんだよ?」

 

「あぅぅ…マヨちゃんがつれないよぉ」

 

「やぁ、第二隊長殿に…その妹さんも一緒か」

 

「「!!」」

 

じゃれついているホシノとそれを迷惑そうにあしらうマヨイの攻防がひと段落した頃を見計らったようにして、二人に声をかける影が一人。

キリッとした顔つきに、すらりとした体形で身長(タッパ)のでかいその少女こそ…

 

「V.Ⅳ?」

「ライちゃん!」

 

そう、彼女こそ『ヴェスパー』の第四隊長にして多くのキヴォトス人の脳を焼く罪な女…コールサイン『ラスティ』こと『清澄(きよす)ライア』である。

二人が話を聞いてみたところによると、ライアはインスピレーションを求めてガレージに訪れたらしい。

ヴェスパーの四番手でありながら現役のワイルドハント生である彼女にとって、創作活動は欠かせないもののようだ。

 

「しかし双子揃ってこちらにいるのは珍しいな、アビドスに関することで何か話し合いか?」

 

「そう大したことではありませんよV.Ⅳ、アーキバスは企業という体裁をとってはいますが、元々組織として貧弱な対策委員会のバックアップをするために立ち上げた、いわば裏アビドスといっても過言ではない組織です、そんな組織が対策委員会の特記戦力(エース)であるホシノに対して支援をするというのは…」

 

「要するに!私専用のACを組んでもらったんだ!!!!」

 

「専用AC…私のスティールヘイズのようなものか」

 

「そうそう!!!!」

 

「……」

 

滔々と順序だてて事の次第を語ろうとしたマヨイを遮り、ホシノは待ちきれないと言った様子でライアに要件を告げる。

若干不満げなマヨイであったが、いつものことなので普通に流すことにした。

 

「……まぁ、そのACの調整が漸く終わりましたので、正式に譲渡しようとここを訪れた訳です」

 

「うへへ、早く見せてよ、おじさんもう我慢できないなぁ!」

 

「はいはいわかりましたから」

 

急かすホシノ、呆れ気味なマヨイ、それを見て微笑ましく思うライアと社員たち。

どうやらこの世界のアーキバスは割とマジでアットホームな職場らしい、カイザーの妨害に目を瞑れば。

そして、三名は何とはなしにホシノのACがあるガレージまで向かっていたのだが、その途中ホシノの携帯が慌ただしく震え始めたためにその歩みは中断される。

画面を見てみると、かけてきた相手は同じ対策委員会のアヤネである。

 

「もしもし?どうしたの?」

 

「ホシノ先輩!襲撃です!相手は便利屋68!」

 

「「「!!」」」

 

アヤネが切羽詰まった様子で告げた単純且つ明快な状況報告は、近い距離にいるライアとマヨイにも聞こえていた。ホシノが二の句を継ごうとしたのと、マヨイがホシノの手から携帯を掠め取ったのはほぼ同じタイミングである。

 

「そちらにはフロイトがいたはずです、彼女で何とか対応できませんか?」

 

「マヨイ先輩!?持って数十分です!敵には『レイヴン』とそのAC『ナイトフォール』がいます!」

 

「レイヴンだと…!?」

 

意表を突かれたようなマヨイのその言葉にホシノは狼狽えた。

いつも余裕の表情で大概の面倒ごとをどうにかしてきた(マヨイ)のそんな表情を見るのは随分と久しぶりだったからだ。

 

「レイヴン…流石に『ロックスミス』無しではフロイトでも分が悪いですか…」

 

「……ん?待ってくれ第二隊長、その文脈だと第一隊長殿は生身か?」

 

「えぇ、生身でもACと渡り合えるバケモノです、本人曰く遮蔽があればもっと楽だそうで」

 

「えぇ…」

 

「そんなことより対応です、ホシノはそのまま『ハルポクラテス』に乗って現場まで急行しなさい、座標データは今送りました」

 

「う、うん!」

 

「私も『オープンフェイス』で出ます、ヴェスパーが公の部隊になったからといって全ての情報を公開するような真似はしていません」

 

「ありがとっ!じゃあ行くね!」

 

「ガレージはあっちだからね、こんな時に迷わないでよ?」

 

「もちろん!」

 

言うが早いが、ホシノは一陣の風となりガレージの奥へ消えていった。

残されたスネイルとラスティは、後詰の算段を着々と立てていく。

 

「V.Ⅳ、『ロックスミス』で出なさい」

 

「……いいのか?」

 

「チンタラ輸送する手間が惜しい、動かすくらいなら柴大将だってできますよ」

 

「成程、了解した」

 

ラスティもまた駆け足でガレージの奥へと消えていく、ちょうどロックスミスはオーバーホールを受けており、偶然このガレージに運び込まれていたのだ。

 

「……『レイヴン』と来ましたか」

 

マヨイもまた駆け足で愛機の元へ向かいつつ思案する。

原作の始まったこのタイミングにおいて、レイヴンが出てくるとは…と転生者並みの感想を抱きながら思案を続ける。

 

「……確か、G1はSRTでレイヴン小隊なるものを率いていたらしいですね」

 

G1ミシガン、『渡利レイ』の名をもつ彼女は、かつてのSRTにて『キヴォトスの歩く地獄』として恐れられた凄腕の生徒だった。

その異名こそマヨイが『ミシガン』の名を充てるのに相応しいと思った故に勧誘したが、かつての小隊のメンバーは今何をしているのだろうか?

 

「……ふむ、蒙が啓く感覚とはこう言うのでしょうか」

 

「…もしもし?こちらスネイル、事情は後で説明するのでG1を出してくれませんか?」

 

「ミシガン…もしかしたら思わぬ再会があるかもしれませんよ?」

 

メインシステム、戦闘モード起動。

COMの無機質なアナウンスがコクピットに響き。

オープンフェイスのセンサー類が格納庫の中で妖しく輝いた

 

 

 




V.Ⅳ『ラスティ』=清澄(きよす)ライア

多くのワイルドハント生がそうであるように、彼女も芸術を追い求める学徒の一人であった。
インスピレーションを求めて立ち寄ったブラックマーケットで、当時結成されて間もない部隊であったヴェスパーの『オープンフェイス』とレッドガンの『ライガーテイル』の作戦行動を目撃したことは彼女にとって人生の転換点と言っても過言ではないだろう

シュナイダーのパーツを好んで利用することや、普段の言動やワードセンスから頭が空力に侵されているのではないかとマヨイは心配している。




AC『ハルポクラテス』

マヨイがホシノの為に誂えた専用AC。
諸事情により二年以上にも及んだ調整期間を経てロールアウトされた本機は、ホシノが乗ることでもはや強化人間が動かしていると言っても過言ではない程の動きを見せる。
ホシノの希望によりシュナイダー社のパーツを主体としており、高機動戦を行う。


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