アビドス土着企業『アーキバス・コーポレーション』   作:V,うんこ

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faを闘い抜いたリンクスの皆さんも同じように処理落ちに悩んでたのに光明を見ました。
私だけでは無かったのですね……


ミレニアムのムードメーカー担当、黒崎ナツキと申します。

その後は消化試合であった。

ナイトフォールが倒されるのを見た便利屋は撤退する素振りを見せたが、ACを相手に生身での逃走など無謀極まりない。

あっという間に四人とも簀巻きにされ戦闘で半壊したアビドス校舎から見える崩落した教室に転がされ、そんな状況に陥ったアルはと言えば…

 

(こ、これって映画でよくある負けた敵が拷問されて情報を吐かされるシチュエーション!?

でっでも負けないわ!これで情報を漏らしたら三下の悪役になっちゃう!どんな目にあっても依頼主の情報は話さないわよ!)

 

などと慌ただしい内心で状況を見守っていた。

 

「で、こいつらどうするんだ?」

 

「どうしましょう…」

 

一方、こちらは戦闘が終わったアビドス勢+ライアである。

乗ってきたロックスミスは校舎近くに片膝立ちで待機させており、半壊した校舎にトップランカーのACが寄り添う構図は何とも絵になるものであったが、アリーナに潜っている連中*1からすればこれ以上ない虫除けになるだろう。

 

『それなら決まってるよ』

 

ガション、ガションと駆動音を響かせながら一機のAC─ホシノの駆るハルポクラテスが校庭に現れる。

ハルポクラテスはコクピットハッチが開けっ放しで、そこから無線と肉声の混ざったホシノの声が辺りに木霊していた。

 

「くっ!依頼主の情報は話さないわよ!?」

 

『それはいいんだよ、君たちも仕事でやってるんだろうからね』

 

「えっ…?」

 

内心で拷問に耐える覚悟をしていたアルは意表を突かれる。

だが、次に続いた一言はある意味拷問と言えるだろう。

それ(拷問)はアル個人に対してではなく、便利屋全員へのものだった。

ホシノは確かな怒りの感情を乗せて便利屋に告げる。

 

『校舎の修繕費』

 

「!」

 

その一言で、便利屋の四名─特にアルの顔は強張る。

何故なら便利屋は万年金欠で、今回の依頼を受けたのも依頼主が報酬に大金─それもとんでもない

額─を約束してくれたからである。

依頼を失敗したうえ、更にとんでもない額の借金を被るなど勘弁してほしかったのだ。

 

『周辺の整備費』

 

だが、アルのそんな気持ちとは裏腹にホシノの言葉は止まらない。

 

『ACと皆の弾薬費』

 

『ピッタリ揃えて払ってもらうから、覚悟しといてよね』

 

「…………」

 

それを聞いた便利屋の面々は苦々しげな顔をしながらアルに視線を向ける。

踏み倒さんと暴れるか、大人しくそれを受け入れるかはアルの─便利屋の社長の判断に委ねられた。

目の前にいるAC、コクピットから睨むホシノの眼光。

便利屋の今後……自分たちの弾薬費……滞納に滞納を重ねている現事務所の家賃……一向に上がらないアリーナランク……今日の夕飯……様々な思考がアルの中で入り乱れ、それは壮絶な苦悶の感情として彼女の表情筋を通し顔に出力される

苦悶に悶々とした末、震える口を開こうとした次の瞬間─

 

『おや、もう終わっていましたか』

 

「!!」

 

校庭にもう一機のACが降り立ち、その重量二脚パーツの重さを感じさせないスムーズなホバー機構で静かに着地する。

右手に持つのはベイラム製重ショットガン『ZIMMERMAN』、左手に見えるのはアーキバス先進開発局の新製品のVE‐67LLA(レーザーランス)、カタツムリの殻のような印象を受けるVvc-70VPM(垂直プラズマミサイル)が左肩にマウントされているが、何よりも目を惹くのは右肩武器の威容だ。

 

便利屋やアビドス勢の知る由のないことだが、これはV.Ⅶスウィンバーンの情報提供によりアーキバスが極秘裏に進駐した旧技研施設地跡…通称『技研都市』において今後の調査の重大な障害となりうる自立兵器()の一つを破壊するためだけに作り出された兵装『VE‐60SNA(スタンニードルランチャー)』というもの。

 

アビドスの日の光を受け鈍く輝くその特徴的な形状に便利屋が見惚れていると、そのAC─『オープンフェイス』から一人の少女が降りてきて─その人物を見たアルは一瞬苦悶を忘れ驚いた声をあげる。

 

「え!?アーキバスのお偉いさんじゃない!?」

 

「お久しぶりです、便利屋68の皆さん、前回の依頼振りですね」

 

少女…小鳥遊マヨイは眼鏡の奥の目をにこやかに緩めながら、簀巻きにされた便利屋の面々の前に歩を進める。

 

『……知り合いだったの?マヨちゃん』

 

意外そうな声でマヨイに問いかけるのは妹のホシノだ。

すると暇そうにしていたノノミ達と話し込んでいたライアも声をかけた。

 

「久しぶりだな、対面で会うのは初めてだったか」

 

「!…その声…もしかして」

 

「ハルカのお察しの通り、前に協働させてもらったV.Ⅳラスティだ」

 

『ライアちゃんも知り合いなの!?』

 

「あぁ、金さえ払えばなんでもやってくれるのが彼女ら便利屋…当時は新興の組織だったが故に舐められがちだった彼女らの実力をあえて信用し、依頼をしたのは第二隊長殿だったか」

 

意外な情報に、ホシノ達アビドス生は驚きの表情を浮かべた。

だが、そのアーキバスの構成員がここにいる理由が分からなかった便利屋の四名は怪訝な表情を浮かべマヨイに尋ねた。

 

「アーキバスコーポレーション代表の小鳥遊マヨイはアビドス生でもあったというごく簡単な事実ですよ…まぁ、以前はヴェスパーの情報は秘匿されていましたからね、V.Ⅱスネイルと代表の小鳥遊マヨイが結びつかないのも無理はありません」

 

そこについては申し訳ない、とマヨイは謝罪した。

そして、そんなのアリなの!?みたいな反応をするアル達に対し、

 

「しかし、あなたたちがアーキバスにとっては有用だったとしても、今のアビドスにとっては侵略者以外の何者でもないという点をよく理解してもらいたい」

 

企業としては有用な戦力と認識しているが、アビドスに対する所業はまた別だと突き放したマヨイはホシノに処遇は一任すると目で訴え、ホシノもそれに真剣な表情で頷いた。

それを見たセリカはと言えば…

 

(…双子ってテレパシーが基本スキルなのかしら?)

 

アーキバスからのバイト(依頼)を通して仲良くなった双子だという()()()()()()()()()を思い浮かべながら、疑問符を浮かべていたのであった…

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『はーはっはっはっは!アタシの『フライヤー』の前にひれ伏すがいいさぁ!!』

 

所変わってここはミレニアム自治区。

ミレニアムに正義実現委員会や風紀委員会などの治安維持に特化した部活はない。

何故ならミレニアムの代名詞とも言えるその技術力で生み出されたMTやオートマタが自治区内を巡回しており、大半の事象はそれで事足りるため治安維持に人員を割く必要が無かった故にである。

 

「ははっすげぇや!アネゴのナパームであんなに怖かったMT共が機能停止してやがる!」

 

「よくも今まで痛い目に遭わせてくれたなぁポンコツ共ォ!!」

 

だが、ACが普及したことによりその前提も崩れてきている。

アーキバスが齎したACという新製品は、MTやドローンなどの既存製品に対しても更なる革新を起こしたのだ。

ACにいち早く目を付け、更にその技術を他に転用できると気づいたある企業─ミレニアムが学園としての枠組みを整える以前の古い時代からMTや攻撃ドローンなどを制作・販売していた自動機械の老舗─により、MTなどもACのように巨大化・高性能化していった結果、裏に流れたそれを手にする不良も強大になってしまったのだ。

 

逃げ惑う群衆を尻目に、不良達は暴れ続ける。

ここがルビコンならドーザーがただ暴れているだけの日常風景と流されてしまいそうなものだが、生憎彼女たちはコーラルをキメていないし、キヴォトスも荒廃していない。

フライヤーのナパームによって業火に包まれるミレニアムの市街地を、件の老舗企業─最近『BAWS』と名を改めた─製の大型MTのグループが好き勝手に暴れまわる。

むやみやたらにグレネードやミサイルをぶっ放すはた迷惑な二脚MTもいれば、未だ抵抗を続ける巡回MTを両手のマシンガンでハチの巣にする四脚MTもいた。

まさしく混乱という言葉が似合うその状況に、どこからか一投の爆弾が投げ込まれ─

 

ボガァァァァァァァン!!!!!!

 

『おわぁっ!?』

 

「うわああああああ!?」

 

唐突な大爆発に、わらわらと群がっていた多くの二脚MTが爆破炎上し沈黙する。

四脚MTは持ち前の堅牢性で持ちこたえ、四脚パーツ特有のホバリングをしていた唯一のAC『フライヤー』は爆炎に多少動揺した程度だが、操縦が荒くなるのは避けられなかった。

 

『……隙発見』

 

そして、その爆炎に真紅の機体色を紛れさせ接近する一機のACがいた。

煙の中から、そのACの真っ青なマニピュレーターが未だ動揺の中にある四脚MTに伸ばされ─

 

ボゴン!

 

『!?』

 

ボゴン!!

 

『ッ…まさか…そんな!?』

 

ガシュッ!!

 

『……あ……ありえな─

 

 

 

ベッシャァァァァン!!

 

 

 

 

『……BASHOの耐久性が成せる荒業だよ』

 

その四脚MTは()()()()()()

装甲のあちこちはボロボロで、コクピットブロック周辺に至っては引き裂かれており、それを成した不明ACの膂力が伺える。

不明ACは、引き裂いた四脚MTの装甲を投げ捨てると、その状況を見て完全に固まっているもう一機の四脚MTにアサルトブーストで接近し、勢いの乗った右ストレートを装甲にめり込ませる。

 

ボゴンッ!!

 

『ひぃ…!』

 

赤を基調に塗られているコアパーツや脚部パーツとは裏腹に、緑色に塗られた右腕の装甲が未だ燃え続ける炎に照らされ煌めいていて、そのACのパイロットは一瞬見惚れるが、すぐに意識を敵の撃破に切り替えた。

 

バゴンッ!

 

右と来たら次は左ストレートである。

こちらは腕部装甲が桃色に塗られており、青色のフレームパーツと相まってどちらかと言えば紫っぽい印象を受ける。

まぁ、色だけ見れば優しくても実際の光景は暴の塊であるのだが。

その後間髪入れずに左足での蹴りが入り、さながら格闘ゲームの敵のように吹っ飛んだ四脚MTは、誰がどう見てもACS負荷限界に達しており、それを理解したパイロットは左肩部ラックにマウントされている武装─『HI-32:BU-TT/A(パルスブレード)』を左腕に装備し─

 

『く、くるなぁ!』

 

搭載しているブースター(AB-J-137 KIKAKU)の恐るべき加速力により接近したそのACは、パルスブレードの共振をMTに叩きつけ─そのまま沈黙させる。

 

『話が…違ぇよぉ…』

 

『っっクソが!』

 

あっという間に仲間が大勢やられ、それを見ていることしかできなかった生き残り─AC『フライヤー』に乗り込んでいる不良は、不明ACに向かってナパームとミサイルのフルバーストを放つ。

 

『チィッ!COM!こいつぁナニモンだ!こんな奴の情報が無いわけないだろっ!』

 

その全てをアサルトブーストで躱し、右肩装備を光らせて迫ってくる不明ACを、『フライヤー』が解析し終わるのは早かった。

 

『戦闘映像からACの情報を検索……ヒットしました』

 

『AC『ローダーワン』、識別名『UZQueen』…アリーナ中位ランカーです』

 

 

【挿絵表示】

 

 

『UZQueenだぁ!?一週間でランカーにまで上り詰めたバケモンじゃ─っちぃ!』

 

『ローダーワン』の放った蹴りを、浮遊しながらのクイックブーストで回避するフライヤー。

だが回避した先にはローダーワンの右肩装備─『Vvc‐700LD(レーザードローン)』の子機がいつのまにやら展開されており、じわりとAPを削っていく。

 

『この距離なら躱せねぇだろ!』

 

だがフライヤーも負けじとリロードの終わった両肩のBML‐G1/P20MLT‐04(四連装ミサイル)を一斉斉射する。

だが、自分のほぼ数メートル先に出てきたにも関わらずローダーワンはクイックブーストで難なく回避、返しにパルスブレードを振りかぶりフライヤーに大きな衝撃とダメージを与える。

 

『うぐぅ!…アレを避けるのかよ!?』

 

『軌道が見え見えすぎるし…』

 

驚く不良にUZQueenはオープン回線で返事をした。

するとその言葉に気を悪くした不良が、再び全弾フルバースト─ミサイルはリロードが間に合っていなかったが─を行う。

 

『うるせぇ!アタシのフライヤーが負けるわけないだっ!?』

 

突然フライヤーが大きく体勢を崩す。

その隙を見逃すUZQueenではなく、四脚の足部分を豪快に殴り飛ばす。

 

(ナイスアシスト…)

 

フライヤーが体勢を崩した理由とは、UZQueenの友人による遠距離からの狙撃だ。

ローダーワンに釘付けになっているフライヤーが、武器を発射する際の一瞬の硬直を見抜き、後脚に搭載されているホバリング時の姿勢制御用スラスターを撃ち抜いたのだ。

その後ローダーワンにより残ったスラスターも潰されたフライヤーはそれが引き金となってACS負荷限界に達する。

 

『うっ動け!動けよぉ!』

 

必死な声音がオープン回線で垂れ流されるが、それに頓着することなくローダーワンはフライヤーを蹴り飛ばし、とどめにパルスブレードを振りかぶって─

 

『私は…天下無敵の…アブソリュート様だぞぉ……』

 

『ごめん、全然聞いたことない』

 

二重の意味での無慈悲な()り捨てを喰らったフライヤーは、大きな爆発を起こし機能を停止する。

残心をしてコクピットで一息ついたUZQueen─花岡ユズのもとに、支援していた友人からの通信が入る。

 

『お見事でした、ユズ』

 

「ナツキちゃん、ナイスショットだったよ」

 

『あの程度私のバイト先の先輩方に比べれば霞んでしまいますよ』

 

「………そうかなぁ」

 

『そんなことよりセミナーへの被害報告です、ユズ』

 

「うん、了解」

 

そしてACのスキャン機能を利用し、未だ燃え盛る市街地から負傷者などがいないかを探し始めるユズをアシストするため、ナツキ─黒崎ナツキは通信の向こうで思考を巡らせながら指示を出す。

 

(今回はたまたまランカーであるユズが暇だったから良かったものの…)

 

(不良への対応に本腰を入れなければ、いずれゲヘナのような治安になりかねない…)

 

(しかし私のACはあくまでV.Ⅷとしての任務に使用するもの…機密解除されたとはいえ、不用意に使えばマヨイ先輩に迷惑がかかるかもしれない…)

 

(…………作らねばならない)

 

(トリニティの正実やゲヘナの風紀委員会に負けず劣らずの組織を…)

 

(ミレニアム…セミナー専属AC部隊の設立を…!)

 

密かな決意を抱きながら、黒崎ナツキは乗っていた四脚MTを操縦しユズの元へと向かうのであった……

 

 

*1
AC持ち不良やスケバンはやることがない時はアリーナに潜っている者が多い、大半はFランク上位で詰まってしまう程度の腕前だが




ACの腕前に関しては、メタ的な視点はさておきAC6作中だと大勢のMTを問題なく殲滅できる時点で『当たり』と言われる(グリッド135掃討にて)程で、四脚MTは明確にACより上の扱いっぽい(輸送ヘリ破壊にて)のでMT軍団を難なく倒せる時点でランカー級だと私は解釈しています。
ちなみに途中に出てきた不良ちゃんのAC『フライヤー』は足が重四脚でその他は全部芭蕉(コア以外はジャンク品(ジェイルブレイク))、両手にナパーム両肩に初期ミサを積んだ(襲撃後の処理的な意味で)害悪極まりない機体です。
ブースターがKIKAKUで内装は初期ジェネとファーロンのバランス型第二世代FCSです。
ぜひ再現して殴り倒されてきてください(?)


V.Ⅷペイター=黒崎ナツキ

黒崎ナツキにはある特徴がある。
それは異能とも言えるレベルの暗号解読能力だ。
彼女の前ではあらゆるパスコードやセキュリティは意味を成さず、まるで路傍の石ころかのように蹴飛ばされ無へと還る。

その『異能』は双子の姉である黒崎コユキにも備わっていたが、ナツキとコユキの決定的な違いは、その『異能』を『異常』と認識しているか否かという一点であった。
『異常』を『通常』と認識する姉は多くの問題を起こし学園内で実質的な軟禁状態であるのに対し、『異常』を『異常』と認識している妹はただの一般的なミレニアム生であり、アーキバスのヴェスパー部隊の末席に座るというダブルフェイスを難なく成している。

アーキバスに入社した方法もその『異能』を存分に利用したものであったが、そもそもアーキバスに(バイトとして)入社した経緯とは、生まれて初めて心の底から尊敬できる人物を見つけ、その人物がヴェスパー部隊の五番手を務めていたからである。





ARCHIVE
バイトリーダー達

「しかし、ヴェスパーの番号付きをバイトリーダーのようなものだと言い切ったスネイルもアレだが、それを信じるナツキも大概変人だな」

「まぁいいんじゃないかい?オキーフ長官、彼女もよく頑張っているよ、学園所属だから振る仕事は選ばないといけないがね」

「ホーキンスか…まぁ、やる気を出してくれるなら構わんが…」

「………しかし何度見ても慣れませんね、学生時代は鎬を削った者同士が同じ空間で和やかに話しているこの光景」

「メーテルリンク君か…そんなにかい?」

「まぁ、元雷帝の懐刀と元サンクトゥス派代表だからな…百合園はうまくやっているだろうか?」

「フフ…羽沼くんも元気にしているかな?今度行ってみるか…」

「…良い後輩に恵まれたようで何よりですよ、お二方…」
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総合評価:12333/評価:8.89/連載:22話/更新日時:2026年02月25日(水) 19:12 小説情報


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