イヌバラの思い出   作:ローズヒップティー

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/Galvanism Addiction


二十二話 呉越同舟

 

 

 

 しとしと、というほど弱くもなく、

 ざあざあ、というほど強くもない。

 

 細い雫の糸がツゥーと雲から伸びている。まるで天上から大地を吊るしているかのようだ。

 

 音は遠く、稲妻が走らずとも疼くだけで掻き消される。あまりに存在感の無さに、きっと誰も彼も忘れてしまって、耳に残ることもない。

 

 "死せし人の閉されし眼より落つる涙の如く(Comme les pleurs tombant de l’œil fermé des morts)"とは誰の言葉だったか。

 

 まさにそれだった。誰もが気にも留めず、滴る音はおろか、その姿さえ誰の記憶にも残らない。

 

 この雨は、ただのBGMに過ぎない。

 

 雑音にもならない零雨(れいう)の中、二人の人影を見やる。

 

 黒色の男と灰色の少女。アンバランスなようでいて、妙に様になっている。そのうちの男の方の言葉を受けて、こちらも口を開いた。

 

 

「──解決。それは俺にとっても歓迎することですが、出来るんですか? 犯人は魔術師。しかも()()()()()()()()()()()()()()()()()()。証拠になるようなものなんてないですよ」

 

 

 我ながらよく回る口である。しかし事実はともかくとして、状況だけを見れば俺の言葉通りであるのは間違いない。

 

 真相に辿り着くための道筋は長い。

 

 まず先ほどの"状況"をひっくり返し、黄金姫とカリーナの殺人が別々のものであると気付かなくてはならない。

 

 その上で、誰一人として口を割ることのないディアドラとカリーナの入れ替わりを見抜き、それを明確な証拠を以て周囲に示さなくてならない。

 

 まず、不可能だ。

 

 だが────、この際これら全て問題ではない。

 

 蒼崎が忘れていることとか、俺がした偽装工作とか、時間稼ぎにはなるだろうが、逆に言えばその程度にしかならないものである。少なくとも、彼にとっては。

 

 この男──ロード・エルメロイⅡ世には、あらゆる障害を乗り越えて事件を解き明かすだろうと予感させる『スゴ味』がある。

 

 ジクリ と雨ではない液体が背筋を濡らす。この感触を握りつぶして、少女を伴った黒い男を見つめる。

 

 

「──ある程度は。あくまで推測に過ぎないがね」

 

 

 雨の中、葉巻の煙が雲に向かって伸びていく。

 

 湿気ることもないところを見るに、何かしらの魔術品のようだった。上等なものではないことはわかるが、先ほどの蒼崎の煙草の惨状を見ているからか、少しばかり驚嘆するものがあった。

 

 もっとも、俺の心は別の感情が渦巻いていたが。

 

 それはもちろんⅡ世の言葉を受けてのもの。"推測"などと述べていたが、まったくこの男は冗談が上手い。自分のことを分かっているのかいないのか。

 

 とはいえ、いずれにせよ自惚れないのも強みではある。

 

 慢心とは、王を討つ毒の名だ。

 

 イスカンダルとの出会いはウェイバー・ベルベットにとってこれ以上ない霊薬だったらしい。正直、クソガキ時代を知っている分、苛立ちや驚愕よりも感心が勝ってしまう。

 

 あの聖杯戦争は視たが、確かに彼に影響されるのも分かる。仔細詳しく視れたわけではないので、今回の聖杯戦争こそはしっかり視たいものだ。けどまあ、難しいだろうなぁとも思う。

 

 第三魔法(ヘブンズフィール)は是非とも手に入れたいが、マキリが俺を冬木の土地に入れさせてくれる未来(ビジョン)が見えない。外からの観測も防いでくるだろう。『開眼』すれば問題なく貫通するが、そこまでの力の行使はロード・ブリシサンに止められる。

 

 ……思考が逸れたな。

 

 閑話休題。

 

 とかく、運命は既定路線を辿ることとなった。もはや分岐点はない。よほど強い干渉をしなければ、このまま『解明者』の運転する列車は一直線に終着駅(ゴール)へと突き進むだろう。

 

 邪魔できるとすれば、俺や蒼崎、あるいはロード・バリュエレータか。

 

 しかし、いずれも運命力の行使はしない。

 

 俺はすでに眼を閉じた。蒼崎も俺の瞑目を以て手を止めた。イノライ刀自にいたっては始めから静観の構えだ。

 

 ──然るに、"目の前の男を殺せ"と叫ぶこの肉体を、"衝動に身を任せろ"と囁くこの魂を、どうにか押し留める他にない。

 

 死徒ヴィジリア・ロサ・カニナではなく、ただ一人の、一介の『秘匿者』として、解が導かれるのを待つとしよう。

 

 

「さて、では三つ目だが、先ほど私の生徒たち──フラットとスヴィンの名前を出していたが、二人が今どうしているか知っているのかね?」

 

「…………さぁね。少なくとも、まだ戦っているんじゃないですかね。ほら、雷がまだ鳴っているでしょう?」

 

 

 森の向こうを指し示す。

 

 ゴロゴロと低い唸りをあげたかと思えば、ドォンと霹靂が猛り立つ。そんなことが未だ断続的に鳴り響いていた。

 

 ロボへの魔力提供は途絶えたが、契約が切れているわけではない。そのため分かるが、彼は現在でも奮闘しているようだった。

 

 正直申し訳ない気持ちでいっぱいだが、もう戻っていいという念話を無視しているあたり、久しぶりの戦いを楽しんでいる節もあるので、まあイーブンということで流そう。

 

 

「そうか。どうもありがとう。聞きたいことはこれで以上だ。……本当はもっとあるが、生憎と私は生徒たちを迎えに行かなければならない。これで失礼させてもらう」

 

 

 死徒だの謎の怪物だの、面倒なことに深く関わる気はないのだろう。要点のみを聞き、それで終わりらしかった。

 

 彼は、彼の生徒の安否の方が、そんなことよりも大事なようだ。

 

 

「こちらこそ。──いやはやそれにしても、君主(ロード)自らとは、現代魔術科(ノーリッジ)は博愛に溢れていらっしゃる」

 

「……褒め言葉、と受け取らせていただく」

 

「いや褒め言葉ですよ」

 

「──。……では、これにて」

 

 

 一瞬の硬直。しかしすぐさまロード・エルメロイⅡ世は背中を向け、雷鳴の在処へと向かっていった。

 

 伴った灰色の少女も、こちらにペコリと一礼してから彼を追うようにして森の向こうへと消えていった。

 

 両者とも、最後まで、こちらと僅かでも目線を合わせない徹底ぶりだった。

 

 ノウブルカラーに満たない弱い過去視だと伝えていた筈だが、それにしては警戒度が────いや、吸血鬼と目を合わせないのは基礎中の基礎か。

 

 

「……。はぁーあ……」

 

 

 長いため息。

 

 落胆を含むものではない。

 

 どうしたものか、という未来への展望を問うものだ。

 

 もはや道は定まった。定まってしまった。あとはどれだけ(ダメージ)を減らせるかというところ。

 

 

「──ま、なるようになるか」

 

 

 随分と楽観的な言葉が出てきて、自分でも驚く。

 

 蒼崎の良くないところが移ったようだった。

 

 

 

 

 

  *

 

 

 

 

 

 ────少しだけ時間を(さかのぼ)る。

 

 

 大狼(ロボ)の攻撃を辛うじて防ぎながら、スヴィンは苦しみの中でもがいていた。

 

 早急に打ち倒さなければこの狼の契約者が現れるかもしれないというのに、一向に決め手を欠いている。

 

 もちろん、魔術師よりも呼び出した使い魔の方が強いことなどザラにある。少し違うが、ライネスよりも月霊髄液(ヴォールメン・ハイドラグラム)であるトリムマウの方が戦闘面で優れているように。

 

 得てして魔術師とは研究者であり、こと戦闘に於いては礼装や使い魔に頼ることが多い。そのため本体は貧弱であることも少なくないのだ。

 

 だから、例え劣勢になったとしても、魔術師が姿を現さない可能性の方が高い。

 

 だが、スヴィンの考えはこうだ。

 

 ──いや来る!

 

 そして、

 

 

(コレを召喚できる奴が、()()()()()()()()()()!)

 

 

 強さ。戦闘能力。そういったものではなく、厄介さ。ぬるりと足元に絡みつく蛇のような……。

 

 スヴィンの思考。それは、これほどの召喚術を使う者が戦況に加わった際に対応できるとは思えない、という確信。なかば"勘"とでも呼ぶべきもの。直感。

 

 スヴィンは戦いの中でフラットの様子を確認しようとする。

 

 だが、すぐに不可能と悟った。

 

 目の前の狼は、例え刹那の一時であろうと目を離すことをすれば致命傷となる。そういう相手だ。現に、先ほどは手痛い攻撃を食らってしまった。

 

 あと何分で解析が終わるのか。解析が終わったとして、すぐに退去させられるものなのか。どちらもスヴィンには計り知れないことである。

 

 故に、進捗をフラットへ(たず)ねたい。

 

 しかし、様子を見るのが無理ならば声をかければいい、とは彼は考えていない。それはフラットの作業を邪魔することに繋がる行為だと理解しているためだ。

 

 彼自身は認めたがらないだろうが、彼はフラットを高く評価している。その類稀な才能(センス)を。

 

 そんな彼が軽口を叩くでもなく、真剣そのものの表情で空に指を走らせている。声をかけることなど出来よう筈もない。また、そもそも────、

 

 

(──こっちも声を張り上げるような余裕はないんだ!)

 

 

 夜となり、ロボの攻撃は苛烈さを増していく。

 

 パターンは大きく分けて三つ。

 

 一つは、前脚を大きく振りかぶって放たれる攻撃。"ひっかき"と呼べば可愛いものだが、実態は刃物を取り付けた棍棒で思いっきり殴られるのと大差ない。

 

 二つは、突進。体長3メートル以上、体重は300キログラムを優に超える。強く地面を蹴って繰り出されるそれは、放出された魔力を組み合わさり、ダンプカーが突っ込んでくるようなものだ。

 

 三つは、噛みつき。岩をも噛み砕く巨大な顎。獣性魔術によって昇華されたスヴィンの肉体だが、それでもまともに噛まれれば命に関わる。胴であれば真っ二つ。頭ならば即死だ。

 

 胸の奥から焦燥感が溢れ出てくるのをスヴィンは自覚する。

 

 噛みつき以外ならばまだ幾分くらう余裕のあるスヴィンだが、それはイコールノーダメージというわけではない。攻撃を食らった脇腹を筆頭に、腕や足の傷が悲鳴を上げる。

 

 流れる血潮。失われる魔力。ジリジリと限界(リミット)が近づいてくる。

 

 

(……くそっ!)

 

 

 ──そんな焦りゆえか。スヴィンはある些細な見落としをしていた。

 

 

「────ル・シアンくんッ!!」

 

 

 彼がその見落としに気づいたのは、フラットの声が上がってからだった。

 

 

「──────なッ!?」

 

 

 がくり と幻狼(スヴィン)の足元が沈む。

 

 ぐらり と彼は前のめりに倒れる。

 

 にやり と大狼(ロボ)の口元が歪む。

 

 

(魔術!? いや違う! もっと簡単な、それこそこれはトリックですらない!)

 

 

 切り取られた景色。高速化した思考。

 

 雨によってできた水溜まり。そこに深い穴が空いていたのだ。雨によるものと、ロボが泥を巻き上げたことで底が見えなくなっていた。

 

 当然、こうまで争っているのだからこの場所には多くの穴が空いている。スヴィンにとってもそれは想定内であり、足元には注意を払っていた。

 

 想定外だったのは、穴があったことではなく、その深さ。

 

 30センチメートルはある。

 

 つまり、意図的に作られた穴ということ。

 

 何度も何度も踏み締めて、そしてそれほどの穴があることを悟らせないような巧妙な立ち回り。伏せるようにして身体を深く沈め、自身の脚がどこまで地面に食い込んでいるかを隠していたのだ。

 

 倒れ込むスヴィンに向かって、ロボは口を大きく開く。さながらそれは大鎌を振りかぶる死神の如く。

 

 フラットは間に合わない。当然バイロンや、瀕死の襲撃者たちも。

 

 

(──────これは死んだ)

 

 

 スヴィンにとっても、もはやどうにかできるものではなかった。

 

 気の遠くなるような一瞬。彼はとある少女を思い浮かべながら、後悔を抱いて死を受け入れた。

 

 大狼の牙が、幻狼の首を噛み砕かんとする。

 

 

猛れ(ガッシュアウト)

 

 

 男の声とともに、雷鳴が轟いた────。

 

 古来、東洋──とくに中国においては、雷とは竜であった。地面から立ち昇る竜巻と同じく、()()()()()()()()()()こそは、竜の姿であるとされたのだ。

 

 雷鳴と共に現れたソレも、まさしく竜であった。

 

 顎を開きスヴィンを喰らわんとする狼を、雷の竜がさらに大きな顎で呑み込んだのだ。

 

 

!』

 

 

 予想外の攻撃を受け、ロボが吠える。

 

 竜はそのまま唸りを上げ、何本もの木々を薙ぎ倒しながら、狼を森の奥へと吹き飛ばした。

 

 

「──まったく。何やら様子が変だから来てみれば、なんだこの状況は? まるで意味がわからない」

 

 

 男が不愉快そうに声を上げる。

 

 聞き馴染みのない声に、スヴィンとフラットは揃ってそちらへ顔を向けた。知っている顔であった。なにしろ、彼らの講師──ロード・エルメロイⅡ世から直々に調べるように言われていた男だったからだ。

 

 褐色の肌。黄土色の髪。

 

 不機嫌そうに眉間にシワを寄せているが、それは彼らの先生のものとは違って親しみを覚えるようなものではない。

 

 ──アトラム・ガリアスタ。

 

 中東に居を構える、代償魔術を主に扱う魔術師の家系。その当主。執念深く、血の気も多い。()()()()()()()()()()()()で、ここイゼルマと最後まで争った男。

 

 そして、32名の精鋭と天候魔術を用いてイゼルマを襲撃した張本人である。

 

 

「……申し訳、ありません。大量の、はあ……、ブラックドックを、引き連れたあの狼が────」

 

「いい。聞き苦しい。あれくらいなら遠くからでも見えたさ」

 

 

 息も絶え絶え、全身を血で汚した襲撃者のひとりがアトラムへと事情を説明しようと試みる。が、アトラムはそれを遮る。彼はすでに事態を把握していた。それも当然のこと。あれほどの数の黒犬が現れる異常事態である。

 

 そうでなければ態々スヴィンを助けるような真似はしない。

 

 黒犬達もといロボが、イゼルマ側ではない第三者によるものだと分かっていたからこそ、予定外の勢力の排除を優先したのだ。

 

 

「バイロン卿」

 

 

 スヴィンを一瞥してから、アトラムはバイロンへと話しかける。

 

 

「今、僕はそこにいる彼を助けました。まさに狼に喰われんとする彼を。──ですから、対価をいただきたい」

 

「……対価?」

 

 

 バイロンの疑問に、アトラムは「ええ」と答え、言葉を続ける。

 

 

「恩着せがましいとお思いになられるかもしれませんが、……命を助けたんだ。彼はまだ若い。それに優秀だ。品位には欠けるが、それでも失うには惜しい魔術師だ。

 そんな彼の命を救ったのです。対価のひとつやふたつ要求してもいいでしょう」

 

 

 演劇じみた大袈裟な動きを交えてアトラムは主張する。下卑た笑みを隠そうともせず、恩を盾にバイロンへと謝礼を要求する。

 

 

「さて、こちらが望むものはひとつ。例の呪体、私どもに譲ってはいただけまいか」

 

 

 アトラムの要求。それはイゼルマとオークションで争い、そして競り落とされた『呪体』の譲渡だった。もともとそのために攻め込んだのだが、状況を見てこれ幸いと要求したのである。

 

 大義名分。いざ後に責められたとしてもイゼルマの不義理を理由のひとつにできる。とはいえ、あってないようなものではあるが。

 

 

「申し訳ないが、それは出来かねる」

 

 

 バイロンが毅然と答える。

 

 

「ほう?」

 

「この者たちは客人の、弟子だそうだ。対価を要求すべきは私ではない」

 

「……なるほど」

 

 

 スヴィン、フラット、そしてバイロン、と交互に視線を向けるアトラム。ふむ、と少し考えるような素振りを見せ、そしてやがて口を開いた。

 

 

「いや、関係ないね。そこの小僧が死ねば、次はバイロン卿、あなたがあの狼に殺されていた。直接的ではないが、やはり僕はあなたの命の恩人のようです」

 

「……それは詭弁だ」

 

「いいえ、事実を述べているに過ぎませんよ。さあ、呪体を渡してもらいましょうか」

 

 

 一歩、アトラムはバイロンへとにじり寄る。

 

 バイロンの額を雨ではない別の液体がつたった。アトラムは小さな壺のようなものを握りしめ、また一歩とバイロンへと近づく。

 

 そんな折、

 

 

「──解析完了(ゲームオーバー)

 

 

 フラットの指が止まり、呪文が紡がれる。

 

 

「魔力経路(パス)を切った! 反撃開始だ、ル・シアンくん!」

 

「──。……ああ! 今度こそ任せろ」

 

 

 フラットの言葉を受け、スヴィンは満身創痍の身体を奮い立たせる。四肢に力を込め、目をこらし、耳をすませ、森の奥をじっと睨む。

 

 そんな二人をアトラムは見やり、そして失笑する。彼には、何もない暗闇に構える二人の姿がひどく滑稽に見えていた。

 

 

「おいおい。あの雷撃は僕の最大出力のものだ。不意打ちであれを食らって生きてるわけが────」

 

 

 "生きているわけがない"

 

 そう言おうとして、言えなかった。

 

 魔力で『強化』した彼の目が、暗闇を悠然と歩き向かってくる大狼の姿を捉えたからだ。

 

 勇猛に輝いていた毛皮は見る影もない。黒く焦げつき、今も炭が煙っている。しかし、言ってしまえばそれだけ。

 

 肉も骨も無事だ。

 

 殺意と高揚感を呑み込み、ロボは魔術師たちを見据える。

 

 

「……さては、ただの使い魔ではないな?」

 

 

 ギラついた狼の眼を見て、アトラムも意識を切り替える。

 

 自慢の原始電池を用いた雷撃を受けてもなんともないその姿に動揺したが、それも一瞬のこと。すぐさま冷静に状況を把握する。

 

 『魔術師』にとって必ずしも必要な才ではないが、こと戦闘において、アトラムは一流といっても過言ではない判断力を携えていた。

 

 彼の魔力回路が駆動する。それに合わせるように彼の部下も術式を整える。

 

 同じくして、スヴィンとフラットもありったけの魔力を回していた。

 

 バイロンも、イゼルマの土地を守るため、霊脈とチャンネルを合わせて魔術を練る。

 

 奇妙なことだが、その瞬間だけは、相容れない三者がひとつの敵を討つために団結していた。

 

 

 

 

 

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