そしてこの小説のストーリーの大まかな流れも固まりました。頑張っていきたいですね。
これからちょっと忙しくなるので、暫く投稿頻度が落ちると思います。
「セリカが行方不明になった。」
遊真がホテルに帰宅した際、そう先生から連絡が入った。急いでアビドス高校へ行き対策委員会室の扉を開けると、セリカを除いた対策委員会のメンバー全員と先生が集まっていた。
「悪い、待たせたな。」
「いや、こっちもちょうどセリカの位置が分かったところだ。」
先生がタブレット端末を遊真に見せた。
「場所は砂漠化が進んでいる市街地の端。住民がいなくなりカタカタヘルメット団の拠点になったエリアだ。」
「なるほど、またカタカタヘルメット団の仕業か。昨日あれだけやったってのに、懲りない奴らだな。」
「あいつら人数だけは立派だからねー。拠点の一つを潰したくらいじゃ止まらないんだろうね。」
「とにかく、急いでセリカちゃんを助けに行きましょう!」
「うん、もちろん。」
「倉庫にバギーがあります!皆さんは校門の前で待っていてください!」
誘拐されたセリカを救出するため、一行は砂漠へと向かった。
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「敵影、補足しました!…トラックが一、戦車が四!」
「あのトラックからセリカの携帯の反応がある!間違いない、あの中だ!」
一行の視線の先には戦車四台がトラックを取り囲むように四方に展開し、それぞれの方向から守るように走行していた。トラックの前後左右に配置された戦車は、均等な間隔を保ちながら動き、一台のトラックをまるで縦のように囲んでいた。
「シロコ、ミサイルでトラック前方の戦車を攻撃!」
「ん、了解。」
シロコがカバンからドローンを飛ばす。
「ターゲット設定完了、発射。」
ドローンからミサイルが発射され、トラックの前を走る戦車に直撃した。戦車の装甲が相当硬いのか撃破とはいかなかったものの、爆発の衝撃で横転した。後方を走るトラックや戦車は、突然の奇襲に急停止する。戦車は砲塔をこちらに向け、トラックからは数人のヘルメット団が下りて来た。
「ホシノ、シロコ、ノノミの三人は歩兵の相手とセリカの救出!遊真は敵戦車の破壊を!」
『了解!』
四人は一斉にバギーから飛び降りる。アビドス生徒の三人はトラックから降りて来たヘルメット団に駆け出して行った。
「『弾』印」
その後方から遊真が凄まじいスピードで飛び出し、戦車に跳び蹴りを放った。強烈な破砕音が響くと共に戦車が横転する。遊真はその反動で高く宙を舞った。
「『強』印・二重」
無事な戦車は残り二台。その片方の真上に「強」と文字が入った赤い印が現れる。
「せーーーーーのっ!!!」
ドッガアァァァァン!!!
装甲の薄い砲塔上面に遊真の拳が突き刺さる。砲塔は紙のように潰れ、同時に戦車は爆発した。
「うへー、あんなことまで出来るんだー。」
「でも、遊真に注意が集まってこっちはやりやすい。」
「このまま全員、お仕置きですよ~☆」
瞬く間にトラックから降りた団員を次々と殲滅していく三人。一方遊真は残った戦車の側面にレプリカを回り込ませた。
『『鎖』印』
二人が出した印──戦車と遊真の手元から鎖が射出され、互いに連結した。
「『強』印・七重」
今度は遊真の背面から印が浮き上がる。遊真は鎖をがっしりと掴み、その場で勢いよく体を一回転させた。
「せーーーーーのっ!!!」
遠心力によって戦車が地面から浮き、鎖と戦車が大きく弧を描く。途中で連結を外すと戦車は勢いよく空中を飛んで行った。重々しく回転しながら一直線に跳んでいった先で廃ビルに激突し、まるで廃墟の一部となったかのように沈黙した。
周りに敵がいなくなったことを確認する。そして、セリカを救出して何やら揶揄っている様子のアビドス生徒たちに先生。顔を真っ赤にしながら目に涙を浮かべ、相変わらず素直になれないものの元気そうなセリカを見て、遊真は静かに口を開いた。
「よし、任務完了。」
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夜の高層オフィスビル。その一室は薄暗い照明に照らされ、外の街灯が窓から僅かに光を差し込んでいる。無機質なデスクに座るのは、全身を機械の体で構成された人物。このキヴォトスでは珍しくない、人型二足歩行のロボットだ。
「…格下のチンピラごときでは、あの程度が限界か。主力戦車まで送り出したというのに、あのザマとは。…目には目を、生徒には生徒を…か。専門家に依頼するとしよう。」
男の声は低く落ち着いたトーンで、どこか冷徹さが滲んでいた。無骨な金属の手で端末を持ち、連絡を入れる。何度かコール音が鳴った後、相手と通信がつながった。
「はい、どんなことでも解決します。便利屋68です。」
「仕事を頼みたい、便利屋。」
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セリカの救出に成功した一行は、対策委員会の教室に帰還していた。教室についた途端、緊張の糸が切れたのかセリカはぱたりと倒れてしまった。シロコが保健室に連れていき、残った全員もセリカに大事がなかったことに安堵した。
「…皆さん、これを見てください。」
先ほどからずっとタブレットと睨めっこをしていたアヤネが、ふと声を上げて皆に画面を見せる。
「先ほどの戦闘で回収した戦車ですが…キヴォトスでは使用が禁止されている違法機種でした。もう少し調べる必要はありますが、ヘルメット団は自分たちでは入手できない武器を保有しているそうです。」
「この部品の流通ルートを分析すれば、ヘルメット団の裏にいる存在を探し出せますね!」
「はい。ただのチンピラが、なぜここまで執拗に私たちの学校を狙っているのかも、明らかになるかもしれません。」
「分かった。じっくり調べてみよっかー。」
「そしたら、私はセリカのお見舞いに行こうかな。」
「おれも帰る前に保健室に寄るよ。」
先生と遊真は教室を出て保健室へ行った。扉を開くと、ベッドですやすやと眠るセリカと、付きっ切りで看病をしているシロコがいた。シロコから「特に大きなけがはない。多分疲れただけ。」とセリカの状態を聞かされると、二人はセリカの無事に再び安堵した。先生はそのまま保健室に残り、遊真は学校を出て再び砂漠へと向かった。
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先生は目を覚ましたセリカと暫くの間二人きりで保健室に佇んでいた。セリカが無事で本当に良かったこと、昨日や今日のことで、先生たちにまだちゃんとお礼を言ってなかったことなど、いくつかの会話を交わしていた。
「じゃあ…また明日ね!せ…先生。」
「また明日。気を付けて帰ってね、セリカ。」
動けるようになったセリカは改めて先生にお礼を言って先に帰宅していった。その後、先生もアビドス市街地に位置するホテルへと帰宅し、いくつかの書類仕事をこなしてからベッドに入る。目を瞑ってようやく眠りにつこうとしたその時、「ピロン」とスマホから通知音が鳴った。気怠そうに体を起き上がらせスマホを開くと、遊真からモモトークで連絡が入っていた。
やぶんおそくにしつれいします。
電話だとめいわくだと思ったのでモモトークにしました。
なぜか丁寧な言葉遣いで書かれているそのメールの内容は、意外にも深刻な報告だった。ヘルメット団のアジトが何者かによって壊滅させられていた、という情報だ。
犯人は恐らくヘルメット団のバックにいた人物。そいつがヘルメット団に見切りをつけ、他の誰かを雇い、最初の仕事としてヘルメット団の後始末を依頼した。というのが遊真の考えだった。アジトは派手に破壊されている他、多数の爆破痕が残っており、犯人は相当な危険人物だと思われる。そのため明日会議を開いて対策を立てるべき、と丁寧な物言いとは裏腹に切迫した状況が文面から伝わってきた。
「ヘルメット団の件にカタが付いたかと思えば、今度はそれ以上の危険人物かあ…。」
眉間を抑えて大きく息を吐く。借金への具体的な対策を講じる間もなく次から次へと他の問題が舞い込んでくる。この状況を解決するためにも、一刻も早くアビドスを狙う真の黒幕を見つけなければ、と強く決心する。
しかし、現時点では情報が少なすぎるため特にできることもない。アヤネの調査が一刻でも早く終わることを願っていると、ふとベッドの横に備え付けてあるデジタル時計が目に入る。
「遊真、一体いつ寝てるんだ…?」
時刻は既に深夜の二時を過ぎていた。調査のお礼と早く寝るよう返信を送り、再びベッドに戻った。
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ヘルメット団を壊滅させた連中への対策に関しては、レプリカを学校中に配置して不審な点がないかを常にチェックさせる、というものだった。
アジトでの戦闘が外まで広がっていなかったことから、敵は恐らく少数精鋭であるということや、爆弾で派手な破壊を行っていた、などの情報までは分かっていた。しかし、人数に関しては傭兵を雇うなりでいくらでも変わる上、爆破以外のアプローチを掛けてくる可能性も考えられる。
そのような無数のパターンを考えていてはキリがない。しかし、アビドスの敵なら校舎を必ず狙ってくる。ならば常に校舎やその周りに不審な点がないかをチェックし続けることが、現状出来うる限りの対策である、というのが遊真の考えであった。
そのため、現在のアビドス校舎は大量のちびレプリカが監視カメラのように配置されている。ふよふよと浮いている黒い豆粒が至る所を監視しているのは少々不気味な光景で、セリカやアヤネなど、内心少々落ち着かない生徒もいた。しかし、頼もしい存在であるのも事実であるため、ここはぐっとこらえることにした。
「…それでは、アビドス対策委員会の定例会議を始めます。本日は先生や空閑さんにもお越しいただいたので、いつもよりまじめな議論になると思うのですが…。」
「は~い☆」
「もちろん。」
「何よ、いつもは不真面目みたいじゃない…。」
「うへ、よろしくねー、先生、遊真君。」
「うん、よろしく。」
「よろしくお願いします。」
具体的な対策を講じたところで、アビドス対策委員会の部室では定例会議が開かれた。司会を務めるアヤネが場を仕切り、借金返済計画を議題とした会議がスタートした。
「はい!はい!」
「い、一年の黒見さん。お願いします。」
アヤネが言い切る前に、元気よくセリカが挙手をする。その勢いのまま跳ぶように立ち上がると、バン!と机を叩いた。
「まず、対策委員会の会計担当としては、現在わが校の財政状況は破産の寸前としか言いようがないわ!毎月利子の支払いだけで精一杯!これまで通り、指名手配犯を捕まえたり、苦情を解決したり、ボランティアするだけじゃ限界があるわ!何かこう、でっかく一発狙わないと!」
「でっかく…って、例えば?」
アヤネの疑問にセリカの耳がピコンと動くと、待ってましたと言わんばかりに、カバンの中から色鮮やかな紙を取り出した。
「これこれ!街で配ってたチラシ!」
セリカが突き出したチラシに全員の注目が集まる。チラシには「ゲルマニウム麦飯石ブレスレットであなたも一攫千金!!」と大きく書かれていた。
「この間、街で声を掛けられて、説明会に連れて行ってもらったの。運気を上げるゲルマニウムブレスレットってのを売ってるんだって!これを周りの3人に売れば──」
「却下―。」
「セリカちゃん…」
「それ、マルチ商法だよ…。」
「ん、儲かるわけがない。」
「大体、ただの石で運がよくなるわけがないな。」
「セリカちゃん、騙されちゃいましたね。可愛いです☆」
怒涛の否定と同情にさらされながら、セリカはようやく自分が騙されていることに気づいた。何もかもが崩れ落ちるような感覚に襲われ、力が抜けて椅子にへたり込む。
「そ、そんなぁ…せっかくお昼抜いてためたお金で買ったのに…。」
「大丈夫ですよセリカちゃん。私がご馳走しますから、お昼一緒に食べましょう?」
「ぐすっ…ノノミせんぱぁい…。」
母親のように優しく頭を撫でて慰めるノノミに泣きつくセリカ。普段学校のためを思い色々と頑張っている姿を知っているだけに、一行は居た堪れない気持ちになる。
「その業者はこっちが処理しておくから、次からは気を付けるんだよ。」
ニコニコと笑いながらシッテムの箱を取り出す先生、その業者は明日には摘発されているだろう。自業自得である。アヤネは苦笑いを浮かべ、次の意見を求めた。
「えっと…それでは、他に意見のある方はいますか?」
「はい!はい!」
「えっと…はい、三年の小鳥遊委員長。ちょっと嫌な予感がしますが…。」
「うむうむ、えっへん!」
懐疑的な視線を送るアヤネを気にも留めず、ホシノは胸を張って答える。
「我が校の一番の問題は、全校生徒がここにいる数人だけってことなんだよねー。全校生徒の数=学校の力、生徒の数を増やせば毎月のお金だけでもかなりの金額になるはずー。」
「たしかにその通りですが…でもどうやって…?」
「簡単だよー。他校のスクールバスを拉致ればオッケー!」
「つ、つまりバスジャック!?」
「いいね、敵の戦力も削ぎつつ、こっちの戦力を増やせる。」
「ターゲットはトリニティ?それともゲヘナ?ミレニアム?」
「き、却下です却下―!」
「無理やり拉致された生徒が素直にいうことを聞くとは思えないし、他の学校の治安組織が黙ってないだろうね…。」
「うへ~やっぱりそうだよねー?」
ホシノの意見にノリノリで食いつく遊真とシロコに、アヤネは必死に叫んで二人を止めた。その後先生の意見によってようやく二人は渋々と引き下がった。
「私にいい考えがある。」
「…はい、二年の砂狼シロコさん…。」
アヤネの顔が思わず歪む。ただでさえ真面目に進行できていないこの会議において、この学校で最もぶっ飛んだ発想や行動を起こすシロコがまともな案を出してくれるとは思えなかった。
「銀行を襲うの。」
「はいっ!?」
「銀行強盗だって!?」
「確実かつ簡単な方法。ターゲットも選定済み。市街地にある第一中央銀行。金庫の位置、警備員の同線、現金輸送車の走行ルートは事前に把握しておいたから。それと、皆にはこれを。」
そう言いカバンの中から取り出したのは、額に数字のワッペンが縫い付けられた6枚の目出し帽。ピンク、青、緑、赤、黄色、白。生徒と遊真の色をイメージさせる覆面を皆にそれぞれ配っていった。
「いつの間にこんなものまで…。」
「うわー、これ、シロコちゃんの手作りー?」
「おお、これなら誰にも顔がバレない。」
「わあ、見てください、レスラーみたいです!」
ノリノリでノノミと遊真が覆面を被っている。ご丁寧に、ノノミの覆面には丸めた髪を出す穴が開けられていた。
「いやー、いいねぇ、人生一発で決めないと。ねえ、セリカちゃん?」
「そんなわけあるか!!却下!却下―!!」
「そっ、そうです!犯罪はいけません!」
シロコが覆面を外す。頬を膨らませ、あからさまに不服な目でアヤネをじっと見ていた。
「シロコもみんなも、とりあえず犯罪や詐欺から離れようか…。何かクリーンな意見はないのかい?」
「あのー!はい!次は私が!」
「はい…二年の十六夜ノノミさん…。」
「はい!私の案は犯罪でも詐欺でもない、クリーンで確実な方法です!ズバリ…スクールアイドルです!!」
「いいね!それでいこ──「却下。」──うぇ?」
ノノミの提案に全力で賛成しようとする先生。しかし、言い切る前にホシノよって食い気味に却下された。
「あら…これも駄目なんですか?六人のアイドルグループ、いいと思ったのですが…。」
「なんで?ホシノ先輩なら、特定のマニアに大ウケしそうなのに。」
「うへーこんな貧相な体が好きとか言っちゃう輩なんて、人間としてダメっしょー。ないわー、ないない。」
「…そういえば六人って、君たち以外にメンバーがいるのかい?」
先生がそう聞くと、満面の笑みでノノミが遊真の方をじっと見た。何かを察したのか他のメンバーは二人から目を逸らす。遊真はそもそも「アイドル」を知らないため、ノノミが自分に何をさせようとしているのかを全く理解できずに首を傾げた。
「あのう…議論がなかなか進まないんですけど、そろそろ結論を…。」
「それは先生に任せちゃおうー。先生、この中だとどれがいい?」
「アイドルでお願いします☆」
謎のポーズを決めるノノミ。
「……」
無言で覆面を被るシロコ。
「バスジャックがいいと思うんだけどなあ。」
3と口を突き出して両手を首の後ろで組む遊真。先生は一瞬だけ考えるようなそぶりを見せ──
「みんなでアイドルグループを結成しよう!私がプロデューサーになる!」
──ほぼノータイムでアイドルを選んだ。
「ほ、本気ですか!?」
「流石先生!早速衣装や会場のチェックに行きましょう☆」
「ほ、ホントにこれでいいの?ていうか、先生の趣味だから選んだんじゃないの!?」
「否定はしないけど、だからって他二つは選べないからね。」
「アイドル…アイドルとは…?」
「遊真ならたぶん大丈夫。じゃあアヤネ、これで決まりだね。」
シロコに同意を求められたアヤネだったが、下を向いてプルプルと震えている。
「いいわけないじゃないですかぁ!!」
その後めちゃくちゃ説教された。対策委員会の皆にはいつもふざけた意見ばかり出すことに、先生と遊真には悪ノリばかりで真面目に議論を進めてくれないことに。怒り心頭に発したアヤネを落ち着かせるのに、相当な時間と労力がかかった。
先生と空閑、二人を空気にさせないようにするのがむずいなとずっと思っています。
原作の空閑って家で何してるんでしょうね。
ワートリ原作では争奪戦の時に「自宅に戻っている」と言われてはいたのですが、レプリカとお話したり、学校の勉強をしたりしているのでしょうか。
キヴォトスでは深夜外出に対して条例違反などはたぶんない
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生徒じゃなくてシャーレに雇われた傭兵
なので、本作品の空閑は基本ずっとお外をうろついているイメージです。
荷物を置いたりする以外で自宅に帰ることがないため、拠点はすっからかんだと思います。