はぐれ近界民の青春記録   作:Gペペロンチーノ

7 / 18
空閑の印、『響』印の存在を今まで忘れていました。

使う機会があれば頑張って使わせます。今回は出ません。


便利屋68との出会い

「いやぁー、悪かったってば、アヤネちゃーん。ラーメン奢ってあげるからさ、怒らないで、ねっ?」

 

「怒ってません…。」

 

アヤネはもごもごとラーメンを食べながら不機嫌そうに返事する。どうにかアヤネを落ち着かせた一行は柴関ラーメンに訪れていた。

 

「はい、お口拭いて。よくできましたねー☆」

 

「赤ちゃんじゃありませんからっ。」

 

「アヤネ、チャーシューもっと食べる?」

 

「味玉もあげるよ。」

 

「ふぁい。」

 

まるでペットに餌付けするように、次々とアヤネの鉢にトッピングが追加されていく。その様子をバイトの制服を着たセリカはあきれながら見ていた。

 

ガララッ

 

しかし、店の引き戸が開かれる音に気づくと笑顔で接客に当たる。

 

「いらっしゃいませ!何名様ですか?」

 

「あ、あの…ここで一番安いメニューって、お、おいくらですか?」

 

「一番安いのですか?それなら580円の柴関ラーメンです!看板メニューで、美味しいですよ!」

 

「あ、ありがとうございます!」

 

紫髪に軍帽を被った少女は、ぺこりとお辞儀をして店の外に出て行った。セリカは頭上に疑問符を浮かべていると、再び引き戸が開くとともに紫髪の少女を含めた四人が入って来た。

 

「えへへっ、やっと見つかった、600円以下のメニュー!」

 

天真爛漫で幼い雰囲気とは裏腹に、小柄な白髪の少女が身の丈ほどもある巨大な機関銃と大きなカバンを持っている。

 

「ふふふ。ほら、何事にも解決策はあるのよ。全部想定内だわ。」

 

後頭部に角を生やし、スナイパーライフルを持った赤髪の少女が余裕のある笑みを浮かべている。しかし、どこかホッとしているように見えなくもない。

 

「そ、そうでしたか、流石社長、何でもご存じですね…。」

 

ショットガンを抱えた軍帽の少女がスナイパーの人を「社長」と呼び、崇拝の目を向けている。

 

「はあ…。」

 

白と黒の髪を持つ少女は黒いパーカーを着ており、ホルダーにはハンドガンが挿してある。彼女は大きくため息をついた。

 

「四名様ですか?お席にご案内しますね。」

 

セリカが案内しようとすると、マシンガンの人が首を横に振る。

 

「ん-ん、どうせ一杯しか頼まないし大丈夫。」

 

「一杯だけ…?でも…どうせならごゆっくりお席へどうぞ。今は暇な時間なので、空いてる席も多いですし。」

 

「おー、親切な店員さんだね!ありがとう、それじゃあ言葉に甘えて。あ、わがままのついでに、箸は四膳でよろしく。優しいバイトちゃん。」

 

「えっ?四膳ですか?ま、まさか一杯を四人で分け合うつもり?」

 

セリカが思わず口にすると、ショットガンの人がブルブルと体を震わせて何度も頭を下げた。

 

「ご、ご、ごめんなさいっ。貧乏ですみません!!お金がなくてすみません!!」

 

「あ、い、いや…!その、別にそう謝らなくても…。」

 

「いいえ!お金がないのは首がないのも同じ!生きる資格なんてないんです!虫けらにも劣る存在なのです!虫けら以下ですみません…!」

 

「はあ…ちょっと声デカいよ、ハルカ。周りに迷惑…。」

 

急に情緒不安定になったショットガンの人に対し、ハンドガンの人が冷静に諫める。すると、セリカが目を大きく見開いて、紫髪の手を握った。

 

「そんな!お金がないのは罪じゃないよ!」

 

「へ?…はい!?」

 

「お金は天下の回りものって言うし、そもそもまだ学生なんでしょ!?それでも、小銭をかき集めて食べに来てくれたんでしょ?そういうのが大事なんだよ!」

 

セリカは「ちょっと待ってて!」と言い残して厨房へ駆け出していった。

 

「…なんか、妙な勘違いをされてるみたいだけど?」

 

四人が席に座ってからそう時間も経たない内に、厨房からセリカが現れた。お盆に一つの鉢が乗せられているが、どうにも様子がおかしい。

 

「はい、お待たせいたしました!熱いのでお気をつけて!」

 

ダン!

 

大きな音を立てて机の中央に置かれたラーメンは、一人分というには明らかに量が多い。麵は鉢から山のように盛り上がり、その周りには様々なトッピングが乗っている。

 

「なっ、なによこれ!?」

 

「ひぇっ、ラーメン超大盛じゃん!」

 

「ざっと十人前はあるね…。」

 

「こ、これはオーダーミスなのでは?こんなの食べるお金、ありませんよう…。」

 

「いやいや、これで合ってますって。580円の柴関ラーメン並!ですよね、大将?」

 

「ああ、ちょっと手元が狂って量が増えちまったんだ。気にしないでくれ。」

 

「大将もああいってるんだから、遠慮しないで!それじゃ、ごゆっくりどうぞー!」

 

そう言ってセリカはテーブルを離れた。呆気にとられる便利屋の4人だったが、やがて箸を伸ばしてそれぞれの小皿に分け始める。

 

『いただきます!!』

 

空腹だったのか、アツアツの湯気が上がっているにもかかわらず一気に麺を啜る。その瞬間、四人の目が大きく開き、瞳がキラリと光った。

 

「お、おいしいっ!」

 

「なかなかイケるじゃん?こんな辺鄙な場所なのに、このクオリティなんて。」

 

「でしょう、でしょう?美味しいでしょう?」

 

隣の席から対策委員会の皆が集まってきた。真ん中に立つノノミが笑顔で聞くと、便利屋の四人はもぐもぐと食べながら頷く。

 

「ここのラーメンは本当に最高なんです。遠くからわざわざくるお客さんもいるんですよ。」

 

「ええ、わかるわ。色んなところで色んなのを食べてきたけど、このレベルのラーメンはなかなかお目にかかれないもの。」

 

「えへへ…私たち、ここの常連なんです。他の学校の皆さんに食べていただけるなんて、なんか嬉しいです…。」

 

「その制服、ゲヘナ?遠くから来たんだね。」

 

「私、こういう光景を見たことがあります。一杯のラーメン、でしたっけ…。」

 

「うへ~、それは一杯のかけそばじゃなかったっけ?」

 

楽しく会話を弾ませる一方で、カヨコは対策委員会をじっと見ている。ふと、制服についている制服と生徒証に視線が留まった。

 

「…ムツキ、連中の格好。」「どうしたの…って、なるほどねー?」

 

少し遅れてムツキも同様のことに気づく。一方で、リーダーであるはずのスナイパーの人はそんなことも露知らず、五人と楽しく会話を弾ませていた。

 

「社長は気づいてないみたいだけど…言うべき?」

 

「…面白いから放っておこ!」

 

マシンガンの人は、「くふふっ」といたずらっぽく笑った。

 

「そういえば、あんたらはどうしてここまで来たの?」

 

アビドス生徒達とスナイパーの人が話を弾ませている所に遊真が静かに入ってきた。

 

「あら、あなたは…?。」

 

「あ、どうも初めまして。わたくし、空閑遊真という者です。」

 

「初めまして、私は便利屋68の社長─陸八魔アルよ。珍しいわね、キヴォトスに男の子だなんて。」

 

社長を自称するアルは物珍しそうに遊真を見ている。そして、向かい側の席に座っているマシンガンの人を手で指し示して紹介した。

 

「こっちが室長の浅黄ムツキ。」

 

「どもどもー、初めまして!」

 

「あっちが課長の鬼方カヨコ。」

 

「…初めまして。」

 

「最後に、こちらが平社員の伊草ハルカよ。」

 

「はは、はっ、初めまして!」

 

「私たちはクライアントからの依頼があってここに来たのよ。」

 

「ほう、お仕事ですか。遠いところをわざわざごくろうさまです。」

 

「うふふ、随分と礼儀正しい子なのね。あなた達の学校の子?」

 

「いやーうちの学校に男子はいないよー。」

 

「遊真はシャーレから派遣された。それに、これでも十四歳だよ。」

 

「………!」

 

向かいの席で話を聞いていたカヨコの目が鋭くなる。その様子に気づいたムツキがカヨコに顔を近づけ、小声で話しかけた。

 

「今度はどうしたの?」「あいつ、最近噂の…。」「あ、ほんとだ。」「はあ…あの噂、デマだといいんだけど…。」

 

過去一番の大きなため息を吐くカヨコ。そんな部下の様子に相変わらず気づくことはなく、アルは楽しそうに会話を弾ませていた。

 

~~~~~~~~~~

 

「それじゃあ、気を付けてね!」

 

「お仕事、上手くいきますように!」

 

「あははっ!了解!あなた達も学校の復興、頑張ってね!私も応援してるから!じゃあね!」

 

アルが笑顔で対策委員会達に手を振り、彼女たちとは逆方向に歩き出した。久しぶりの満足な食事、便利屋以外の人との楽しい会話。お互いの健闘を称えあったことで、アルの足取りはとても軽やかだった。

 

「ふう…いい人たちだったわね。」

 

そんな様子に苦々しい表情を見せるカヨコと、面白そうにニヤニヤと笑うムツキ。暫く歩いて店が見えなくなるほど離れた段階で、カヨコが口を開いた。

 

「社長。…あの子たちの制服、気づいた?」

 

「え?制服?何が?」

 

「アドビスだよ、あいつら。」

 

ムツキの言葉にアルの足がピタリと止まる。

 

アビドスといえば今回の依頼のターゲット。あの子たちがアビドス。つまり──今回のターゲットが彼女たち。

 

「なななな、なっ、何ですってーーーーーーー!!!!???」

 

アルが白目をむいて絶叫した。ムツキは抱腹絶倒し、カヨコはため息をつく。ハルカはアルと同様にあの五人がターゲットだと気づいていなかったため、三人の様子にオロオロしている。

 

「う、うそでしょ…あの子たちが?アビドスだなんて…。う、うう…なんて運命のいたずらかしら…。」

 

「何してんの、アルちゃん。仕事するよ?」

 

「バイトの皆が命令を待ってる。」

 

「本当に…?私、今から…あの子たちを…。」

 

「あはは、心優しいアルちゃんに、この状況はちょっとキツいねー。でも、「情け無用」「お金さえもらえればなんでもやります」がうちのモットーでしょ?今更何を悩んでるの?」

 

「そ、そうだけど…」

 

「(これ、完全に参ってるね…。)」

 

カヨコの思っている通り、アルの精神はすでに折れかかっている。口ではどれだけ悪を名乗っていても、アルの根幹にあるのは完全なる善─つまり、彼女は根がいい子ちゃんなのだ。

 

「こ、このままじゃダメよ、アル!一企業の長として、このままじゃ!」

 

首を強く振って迷いを振り払う決心を固め、部下に号令を下す。

 

「行くわよ!バイトを集めて!」

 

~~~~~~~~~~

 

「ああ…とうとう着いてしまったのね…。」

 

「もーアルちゃん。ここからが本番なんだからシャキッとしてよ。」

 

「が、頑張りましょう、アル様。」

 

アビドス高校の校舎が視界に入ると、アルは肩をがっくりと落とした。柴関ラーメンで受けた恩を仇で返すこと、子供を無理やり誘拐しなければならないこと──彼女はこれからしなければならないことを思い、完全に意気消沈していた。

 

傭兵を連れた便利屋の一行はとうとう校舎の前に到着する。アルが渋々突撃の命令を下そうとしていると、カヨコがポツリと呟いた。

 

「…おかしい。」

 

「おかしいって?カヨコちゃん。」

 

「これだけの人数で纏まって接近したのに一切反応がない。普通ならもっと早い段階で気づかれて、迎撃があってもおかしくないはず。」

 

「誰も校舎にいないんじゃない?」

 

「いや、あいつらはラーメン屋から校舎の方に向かってた。万が一誰も居ないとしても、ここまで接近したなら多少の動きはあるはずなんだけど──。」

 

ドォォォォン!!!

 

「ふぎゅっ!?」

 

突如、空から黒い影がすさまじい勢いで落下してきた。アルは反射的に銃身でガードしたものの、衝撃を受け流せずに地面に叩きつけられる。潰れたカエルのような声を上げながら、強烈な衝撃波が周囲に広がり、砂が勢いよく舞い上がった。

 

「アアアアル様!?」

 

「ッ!!やっぱり罠か──」

 

ドドドドーーーン!!!

 

視界が遮られた便利屋と傭兵の耳に、何かが飛翔してくる音が響いた。直後、足元で爆発が起こる。間一髪で便利屋の全員は後ろに跳び避けたが、雇われた傭兵たちは爆発をモロに食らってしまう。

 

「ナイスだよーシロコちゃん!」

 

校門の無造作に置かれたバリケードから、アビドス生徒たちが飛び出してきた。

 

「遊真とセリカは便利屋の足止めを!他の皆は残った傭兵を倒して!」

 

『了解!』

 

アビドスの不意打ちを受け、傭兵たちは混乱して連携が乱れていたが、便利屋はすぐに立て直して四人だけで隊列を整える。

 

「あちゃー。せっかくお昼を犠牲に雇った傭兵たち、ほとんどやられちゃったね。」

 

「社長、大丈夫?」

 

「え、ええ。この程度の奇襲、想定の範囲内よ?」

 

「流石ですアル様!!!」

 

態勢を立て直した便利屋はアビドスの迎撃に向かう。その瞬間、先陣を切るハルカにセリカの狙撃が命中した。

 

「うっ」

 

「よし、命中!」

 

校舎の窓でセリカはガッツポーズをした。一方、頭部に弾丸を食らったハルカは思わず後方にのけぞる。便利屋の足が止まった瞬間、カヨコは自身の背後で何かが動くのを感じ取った。

 

「『強』印・二重!」

 

遊真が右拳でストレートを放ち、続けて後ろ回し蹴りを繰り出す。最初の一撃は避けたものの、二撃目が肩に当たり、カヨコは地面に押さえつけられた。追撃のために遊真が左腕を振り上げると、ハルカが正面から突進してきた。

 

「死んで下さい死んで下さい死んで下さい!」

 

「ちょ、ちょっと何で止まらないのよ!?」

 

セリカの銃撃を背中に受けながらも、ハルカは怯むことなく遊真にショットガンを放っている。遊真は『盾』印でハルカからの弾丸を防御していたが、アルからの狙撃が飛んで来たことでカヨコから距離を取った。

 

「あ、そこ危ないよー?」

 

ドドドン!!

 

遊真の跳んだ先にはムツキがばらまいた地雷が仕掛けられていた。咄嗟に『盾』印を足元に展開して防御するも、ハルカ、ムツキ、アルの三人から集中砲火を食らう。一方カヨコは地面に倒れながらもハンドガンを構えるが、セリカの銃撃によって動きを封じられた。

 

「『弾』印!」

 

遊真は空中に跳びあがって逃れたものの、弾丸が顔や腕を掠める。トリオン体であるため血は流れないが、代わりにトリオンが煙のように漏れ出していく。

 

「流石に一筋縄じゃ行かないな。」

 

『個々の力が強いのもそうだが、四人の連携が抜群に良い。ゲヘナの風紀委員が手こずるのも納得だ。』

 

「でも、やりたいことはこれで整った。」

 

宙を跳ぶ遊真に、アルが照準を定めた。

 

「『鎖』印・二重!」

 

アルのスナイパーライフルと遊真の手元から鎖が伸び、瞬時に連結された。遊真は狙撃の直前に鎖で銃身をズラし、弾道を大きく逸らした。

 

「『強』印・二重」

 

直後、アルの体が宙に浮き、遊真の方に勢いよく引っ張られていった。

 

「えぇぇぇぇぇーーーー!?」

 

絶叫するアルに、遊真の容赦ない蹴りが突き刺さる。アルは水ヨーヨーのように跳ね返り、そのまま頭から地面へ勢いよく突っ込んでいく。

 

「ア、アル様ああああああ!?」

 

ドッカーーーーン!!!

 

突っ込んだ先にはハルカが待ち構えていた。彼女はアルを受け止めようとしたものの、高速で突っ込んでくるアルを受け止めきれず、二人は衝突してしまう。

 

「アル!ハルカ!」

 

「うわぁ…いたそー。」

 

白目をむいて気絶するアルとハルカ。そこに残った傭兵を全て片付けたアビドス生徒たちが増援にやってきた。

 

キーンコーンカーンコーン

 

同時に午後五時を告げるチャイムが鳴り響いた。

 

「…定時だ。みんな、帰るわよ」

 

「ふ―…ひどい目にあった…。」

 

「帰りに蕎麦屋でも寄ってく?」

 

「今日はラーメンの気分だなー。」

 

チャイムの音を聞いた瞬間、倒れていた傭兵たちがスッと立ち上がって一斉に帰り始めた。

 

「………私たちも撤退するよ。」

 

「うん、アルちゃんもハルカちゃんも、完全に伸びちゃってるし。」

 

カヨコはアルを、ムツキはハルカを脇に抱えると、ぴゅーんと風のように去っていった。

 

「行っちゃいましたね…。」

 

「うへ~逃げ足早いね、あの子たち。」

 

「便利屋68および全敵兵力の撤退を確認。皆さん、お疲れ様でした。」

 

「アヤネもお疲れ。さあ、帰ろうか。」

 

便利屋68を退けた一行は、そのまま校舎へ帰っていった。

 




今回からChatGPTに添削してもらうことにしました。文章に違和感などはないでしょうか。

台本は全部自分で書いていますので、パクリなどは一切ないはずです。

ちなみに、本作品は全て一話ごとに書き終えたらそのまま投稿しています。

全部ライブ感やその場のノリで台本を書いているせいで、設定に齟齬が生じたり、先生が情緒不安定になったりと様々な弊害が出ています。

気になる点があればコメントで指摘や質問など、いつでもお待ちしております。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。