午後4時31分に転生した   作:わんたん麺ブラスター


オリジナル:現代/ノンジャンル
タグ:転生
そのまんま。プロットみたいな感じ。

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 なんかせっかく書いたのに勿体ないな、と思ったので投稿。


午後4時31分に転生した

 

 

「えっ、なんだよこれ」

 

「動けない。怖い……」

 

「誰か」

 

 ブツリ。

 

 

「誰でもいいから……」

 

 ブツリ。

 

 

「ああ……!」

 

 ブツリ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここはどこかの廃屋で、俺はそこにある時計か。意識を保つのにも、時間制限がある。はあ……」

 

「誰か、来ないかなあ……」

 

 

「……ぅぅ……」

 

 

「──人?」

 

「おおーい!」

 

 

「! っ」

 

 

「あ、待って! 待ってくれええ」

(……なんで、あんな小さい子がここに?)

 

 ブツリ。

 

 

 

「うっ……うっ……」

 

「──っ!」

(待て待て。落ち着いて話せ、俺)

 

「君、どうしたの?」

 

「ひっ!?」

 

「ちょ、待って! 逃げないで、話させて! お願い!」

 

「だ、だれ……? どこにいるの……?」

 

「俺──じゃなくって、僕のことかな? 目の前の時計だよっ!」

(人と喋れてる! 何年ぶりか分からんが、喋れてる! 嬉しい!)

 

「え……? ほんとうに……?」

 

「本当本当! それでさ、君はなんで……あ」

(今日はそろそろで切れるな)

 

「ごめん、今日はもう無理だ」

 

「?」

 

「……その、もしよければ、明日も、こ」

 

 ブツリ。

 

 

 

「──うわっ!?」

 

「あわっ!?」

 

「お、おー、昨日ぶり、かな?」

 

「は、はい」

 

「……ちょ、調子は?」

 

「え? あ、まあまあ、です」

 

「……えーっと」

(なに話そう。なにを──そうだ)

 

「君のお名前は?」

 

「……マミ」

 

 

 ブツリ。

 

 ブツリ。

 

 ブツリ。

 

 

「──が──でさあ」

 

「へえ……!」

 

「それで……あっ、そういえばさ」

 

「君はどうしてここに来てたの?」

 

 

 

 

 

「……それは」

 

「あ……いや、答えたくなければいい。全然いい。大丈夫問題無いバッチグー」

 

「……とけいさんになら、話しても、いいです」

 

「……そ、そう? ありがとう」

 

 

 

 ブツリ。

 

 ブツリ。

 

 ブツリ。

 

 

「──そうか。つらかったね」

 

「……はい。おかあさんも、同じくらすのひとも、わたしを……うう」

 

「……あーっ! 泣くな、泣くな! そ、そうだっ」

 

「ぐすっ……?」

 

「つらかったら、またここに来て、僕に話してくれ!」

 

「君の気持もいくらか晴れるだろうし、僕──いや、俺も君と話せて楽しい。winnwinだろ?」

 

「……」

 

「ど、どうした? 具合悪い?」

 

「……うぃんうぃんって、なに?」

 

「そっ」

 

 ブツリ。

 

「昨日のうぃんうぃんってなに?」

 

「……っちかーい……」

 

 ブツリ。

 

 ブツリ。

 

 ブツリ。

 

 

「それでね、ミヤちゃんが」

 

「うんうん」

 

 

 ブツリ。

 

 ブツリ。

 

 ブツリ。

 

 

「今日! テストが百点だった!!」

 

「うおおお! 頑張ったな! きっと俺の教え方が上手かったんだ!!」

 

「それは違う。一日一分だし」

 

「はい」

 

 

 ブツリ。

 

 ブツリ。

 

 ブツリ。

 

 

「うっ……うわあああっ……!」

 

「……大丈夫」

 

「ひぐっ、うう……!」

 

「きっと、いつかは上手くいく。だから、大丈夫」

 

 

 ブツリ。

 

 ブツリ。

 

 ブツリ。

 

 

「俺って午後4時31分しか存在できないっぽい」

 

「ええ……気持ち悪い数字……それって自分で確認できんの?」

 

「うん。ええっと、今は……あっもう32ふッ」

 

 

 ブツリ。

 

 ブツリ。

 

 ブツリ。

 

 

「じ、実は……」

 

「おう」

 

「気になる子ができて……」

 

「えっ!!!!????」

 

 

 ブツリ。

 

 ブツリ。

 

 ブツリ。

 

 

「昨日のデート報告!」

 

「待ってました! どうだった? 甘酸っぱいエピソード聞かせやがれ!」

 

「いいでしょう。昨日は、なんと──」

 

「おお……」

 

「───めっちゃ楽しかった!」

 

「それだけか!」

 

 

 ブツリ。

 

 ブツリ。

 

 ブツリ。

 

 

「私に子どもが生まれたらなんて名前にしよう……」

 

「気が早過ぎない?」

 

 

 ブツリ。

 

 ブツリ。

 

 ブツリ。

 

 

「明日から家族と旅行なんだー!」

 

「おっ、もうか。恋人と友達も交えて一週間だっけ……とにかく楽しんできな」

 

 

 ブツリ。

 

 ブツリ。

 

 ブツリ。

 

 

「あれは……重機、か?」

 

(この家の解体か? 体験したことがないが、時計の俺は巻き込まれるんじゃないか?

 俺は、もう一度死ぬのか? 嫌だ。それは嫌だ。

 

 でも、避けられないのなら、せめて)

 

 ブツリ。

 

 

 

 

 

 

「──時計さん! 時計さん!」

 

(この声は……)

 

「あぁ、なんで、こんなときに、私は……!」

 

(旅行……たのしかった? あぁもう、時間がない)

 

(……なぁ、俺を転生させた神がいるなら、少しだけ、あと一分だけ、この子と普通に喋れる時間を……)

 

 4時31分。

 

 ブツリ───停止。

 

「──ぁ」

 

「っ! 時計さん!?」

 

(なにかしゃべれ)

 

「時計さん……!」

 

(なにかしゃべれよ、おれ)

 

「──あー、大丈夫大丈夫、俺は、大丈夫」

 

「だ、大丈夫って、ほとんど壊れて……」

 

「あぁ、うん、多分、俺に残された時間は一分だけだ」

 

「一分、って、そんな……」

 

(大丈夫。君はもう、大丈夫。

 だから、泣かないで)

 

「……いつもと同じだよ。毎日一分、いつもそうだっただろ?」

 

「……」

 

 

「旅行は……どうだった?」

 

「たの、しかった……」

 

「はは……確か、デートのときもそうだったよな」

 

「う、うん……それで、それでね!」

 

 

 

「──って、ミヤちゃんが」

 

「そうか……!」

 

 

「私の……その、恋人とも、いろいろ」

 

「そ、そうか……」

 

 

「お母さんも、笑ってた」

 

「そ、うか……」

 

 

「だから……」

 

「……」

 

 

「今までありがとう、時計さん」

 

 

(……こちらこそ)

 

 ブツリ。

 

 

 

 ◇

 

 

 

「きゃー!」

 

「あーっ! ユミ! こらっ、走らないのぉ!」

 

「あはは、マミ、ユミもまだ子供なんだから──」

 

「そんなに言うならユミの相手してよ!!」

 

「わ、分かった。ごめんって!」

 

 

 

「あはははっ! ゆみ、はやーい!」

 

「あ、なにこれ、とけい?」

 

「おもいし、きたない……」

 

 

「あ、君! 俺のこと分かる?」

 

 

「え? あれ? いま、うしろの方から……?」

 

「そうそう、後ろの、上の方を見てみな」

 

「……ただのとけいじゃん」

 

「そう、その時計が俺なんだ。といっても、今覚醒したばっかだけど」

 

「えーっ、うそーっ」

 

「嘘じゃないって。……ぇ、ちょっと、その時計は?」

 

「ん? これ? ママのだいじなものなんだって」

 

「へー……もしかして、マミって名前かな?」

 

「そう! なんでわかるの!?」

 

「さあ? なんでだろうね。そうだな……一つ教えてくれるかな?」

 

 

「君の名前は?」

 


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