廃人がダンまち世界に行くのは間違っている   作:沸騰

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ヘスティア頑張る

——side ヘスティア——

 

 ドレスを仕立ててもらったボクはお願いだからタクシーを使ってくれとせがむロミアス君の思いに応えて馬車を捕まえてガネーシャの所へ向かった。

 

「それにしてもこのドレスは凄いなぁ……着ても全然疲れない、どころか逆に凄い動きやすいや。彼、本当になんでも出来るなぁ」

 

 ボクは宝石が輝く美しいドレスを身に纏ってちょっと鼻歌を歌ってる。確かエンチャント強化したから少しは動きやすいって言ってたっけ?最初見た時はあまりの美しさに呼吸を止めたほどだけど着てみると本当に動きやすい。まあ素材を見ていたボクからするとコレが壊れたら一体何万ヴァリスの損害になるのか考えたくも無いけど……ロミアス君はこのくらいならいつでもって言ってたしちょっとくらい着飾っても大丈夫だよね?

 

 ロミアス君。ベル君は深い空の色って言ってけど、ボクには深い海の色に見える髪に翠玉(エメラルド)の輝きを持つ瞳を持った。まるでかの美の女神が男性になったような美男子。その正体は異世界の英雄だって言うんだから衝撃だ。神になって数億年経つけどこれほど驚いたのははじめてかもしれない。

 ロミアス君の異常性は幾つもあるけど、どうやら彼は【神殺し(ゴッドスレイヤー)】らしい。彼が祈った時に来た神……あの最上級の神格を持ったクミロミなどのイルヴァ7大神なる者たちは殺せていないだろう。人間だし、恐らく殺した神というのも低級の神……でも神を殺した事に違いは無いだろうから彼の存在は、主に強さは僕が隠し通さなきゃいけない事だ。

 正直ベル君の【憧憬一途(リアリス・フレーゼ)】よりもよっぽど隠さなきゃいけない事だと理解している。

 

(バレちゃ不味い。絶対に不味い)

 

 もし他の神にロミアス君が見つかったら……そもそもあれだけの美男子だ。そこら辺を歩いても神が目をつけるだろう。主に女神が。もしロミアス君の存在が明るみになったら……娯楽と刺激に飢えている神々(馬鹿共)は彼にちょっかいを掛けるようになる。低級の神を殺せるであろう彼をだ……ひぃぃぃ……ボクは想像するだけで怖いぜ。

 

 尚一方、酒場で他の神や冒険者たちに絶技を披露するロミアスであった。ヘスティアの気遣いが無に帰した瞬間である。

 

 *ベイベー!!*

 

 ベイベーじゃ無いが?

 

 

 夜。紅く染まった夕焼けに帷が降りるようにせっかちな1等星が顔を出して見えるようになってきた頃。ヘスティアは【ガネーシャ・ファミリア】の拠点に着いた。

 

「相変わらずここを潜るのか……」

 

 【ガネーシャ・ファミリア】の本拠は数多のオラリオ内の建物の中でも一際異彩を放っている。ボクでもこんな事が無ければ行きたく無いと思うし、【ガネーシャ・ファミリア】の子供達には合掌を送るよ。

 

 象の頭を持つ筋骨隆々の巨人が身晒せと言ったふうに胸を張ってだだっ広い敷地のど真ん中で胡座をかいて座っている。大きさは大体30M(メドル)くらいはある。これを作らされた職人のことを考えるとさしもの僕も涙を流すよ。

 そう。この無駄に出来が良い巨大なオブジェこそ【ガネーシャ・ファミリア】の本拠であり、今日の『神の宴』の会場である『アイアム・ガネーシャ』だ。建設費は聞いた限りじゃファミリアの経営を揺るがしたと聞いている。

 更に嫌なのが出入り口がこの像の股間部分にあるんだ。ボクは目を瞑って入るよ。

 

『ガネーシャさんマジですかこれ』

『ガネーシャさん何やってんすか』

『ガネーシャさんマジパネェっす』

 

 ボクと同じようにあのオブジェクトに入る時に笑いながら入る美丈夫達。彼らは全員が全員神だ。今日の宴の来賓達である。

 『神の宴』とは、下界にそれぞれ降りた神達が顔を合わせるために設けた会合……同窓会の様なものだ。どの神がいつ行うかなんて決まりは全くなく、自由奔放に騒ぎたい奴が宴を企画してそれに便乗したい奴が参加する。

 

『本日はよく集まってくれた!俺が!ガネーシャ!である!』

 

 いつもの自己紹介から始まるガネーシャの話。そもそもお前がガネーシャじゃ無ければ誰がガネーシャなんだと言わんばかりの話であるが。どうやら話はさわりの来てくれたことへの感謝から3日後に始まるフィリア祭についての話になっている。

 ボクたちのファミリアじゃあ協力も何も無いなぁと思っているとガネーシャがとんでもないことを口走った。

 普段のボクだったらここのタダ飯をタッパに詰めたりしたんだろうけど……ボクはもうそんな事はしないのさ!何故ならロミアス君が料理を作ってくれるからね!またあの肉団子を食べたいなぁ……と、いけないいけない。ここに来た目的はへファイストスを探すためだったんだ。急がなきゃと足を動かしているとガネーシャが少し真剣な声色になった。

 

『ところで!先日オラリオを騒がせた光の柱事件であるが——』

 

 親友を探す足を止める程の情報だった。

 

(い、いや……あの時ボク達はロミアス君の空間転移で誰にも見られていないはずだ……大丈夫、大丈夫……)

 

『当日の昼あたりにクミロミと言う知らぬ神のファミリアを騙る不審者が現れてな!その不審者を解放した後に光の柱が出た事からその不審者が怪しいのでは?とガネーシャは思い付いたわけだ!そう!俺が!ガネーシャだ!!』

 

 くそう!なんでこんな時にだけ優秀なんだコイツは!ま、不味いぜ?ロミアス君の顔は特徴的だ。【ガネーシャ・ファミリア】の眷属に見られていたなら恐らく見つかるのは時間の問題——!!

 

『これが!その不審者の写しだ!俺は——』

 

 終わった——いや、ここで終わらせてどうする!?ボクはあの子の親なんだぞ。どうにかして議論をずらさないと!

 

「な、なあガネーシャ?光の柱が現れたって言うけど誰が送還されたんだ?」

『むぅ!?む?ヘスティア……か?うむ!それは分かっていない!なのでその不審者に直接何があったかを聞く事にする!』

「じゃ、じゃあそこまで必死に探さなくても良いんじゃ無いかい?神の送還じゃ無いなら何かスキルの暴発とかが考えられるじゃないか」

『うむ!それもそうだ!しかーし!もしもの可能性があるため捜索は続ける!ガネーシャはがんばる!』

 

 頑なだ!打つてなしかと思っていたが、ふとドレスの裾に紙が入っている事に気がつく。

 ええい!焦ってるのに何処かで巻き込んだのか!?そう思い引き抜くと文字が書いてあった。

 

『神ヘスティアへ

あの光の柱は再現できるのでもし疑われても大丈夫ですよ。恐らく姿写しが出回ると思うので変に誤魔化す方が目立ちます。うちの子のスキルだと言ってくだされば神の前で再現するので安心してください』

 

 ろ、ロミアス君……!そう言う事じゃ無いんだよ!君に注目が集まるのが不味いんだ!そもそもロミアス君だとバレても君がやって無いですって言えば良いんだよ。ボクら嘘がわかるんだし!ボクも証言する。それよりも、ロミアス君が色んな神々に狙われるのが……!

 

「待つんだ神ガネーシャ!」

『むむ?どうしたのだヘスティア』

「その事について話がしたい!」

 

 こうなったらガネーシャだけに押し留める!ガネーシャなら変なこともしないだろうし、他の神にまでは行かない!筈……

 

 一方その頃ロミアスは酒の勢いで神々を連れて騒ぎ回っていた。

 

『ロミアスさんすげええええ!指でダイヤモンド切った!』

『最高っす!ロミアスさん一生ついていくっす!』

 

 何をやっているんだお前は。

 

 

「ふむ!ではそのロミアスと言う青年が光の柱をスキルで起こしてしまったと言うことか」

「ああ、青い髪で緑の瞳の美男子だろう?」

「うむ!そう子供達からは聞いている!」

 

 なんとかガネーシャと二人になって説明する事が出来た。と言うかボクが表舞台に立った時の『あれ誰?』とか『乳でっか』とか言ったやつは許さない……むむむむ!!!

 

「成程!では明日にでも確認してもらう事にしよう!ヘスティアもその子供に伝えておいてくれ!」

「ああ、もう行ってもいいかい?実はへファイストスを探しているんだよ」

「うむ!」

 

 ふう、これで最低限に抑える事が出来たとヘスティアは溜め息を吐く。なお、ロミアスの名は広まるばかりである。それも神と人間がごっちゃになって悪ふざけと嘘みたいな真実が混ざり合い僕の作った最高の人間(マジカル・モンスター)となるのだがそれは別の話。

 

 「何やってたのよ、あんた……」

 

 肩の荷が降りたと腕をクルクルしていると後ろから脱力したような声が投げかけられる。振り向くと燃えるような赤い髪と真紅のドレスを纏い、シャープな顔立ちのいわゆるイケメン美人。だがそんな美貌の中でも目に惹くのが右目の大きな眼帯だろう。そう、ボクの親友で今日ここに来た真の目的。

 

「へファイストス!!」

「久しぶり、ヘスティア。元気そうで何よりよ。……さて」

 

 久しぶりにあったへファイストスに破顔していると何故か彼女は真顔で僕に詰め寄ってくる。

 

「な、なんだい?今もボクはちゃんとジャガ丸君のお店で働いているぜ?」

「あんた、その服どっから盗ってきたの?」

「は、はぁあ!?待つんだへファイストス!何か誤解が生まれている!」

 

 大きな声を出した事で注目されてしまい神達の目に止まってしまう。

 

『あれ、へファイストスの隣にいる神誰?』

『いや、あのロリ巨乳……まさか神ヘスティアか?』

『まだ生きてたんだロリ巨乳』

『なんだあのドレス?もしかして天界から引っ張ってきた?』

 

 自分が馬鹿にされるのは目に見えていたのでちょっかいを出されるまでは無視を決め込むつもりだったが、アイツらひどく無いかい?ちょっと合わなかっただけでアイツ誰?とかいっちゃうんだぜ。

 

「私はあんたのそう言うところは信じてたのに……」

「だから落ち着けってへファイストス!!絶対に何かすれ違いがある!」

 

 が、ガチだ。ガチでへファイストスが怒ってる〜!?ただ弁明しているとコツコツと靴を鳴らす楚々とした音が、へファイストスの後ろからついてきた。

 

「ふふ……相変わらず仲がいいのね」

「えっ……?フ、フレイヤっ?」

 

 ヘスティアの前に現れたのは、容姿が優れている神々の中でも群を抜いて優れた女神だった。一本一本が目視でわかるほどシルクのように滑らかな銀糸のような髪と真珠を思わせる見たものの脳裏を焼き、一生脳に残るほど美しい瞳。生地一枚に閉じ込められた充分な容量を誇る形の良い胸と黄金律を溶かして人型にしたような完璧なプロポーションを持ち男神は勿論の事、同性である女神さえも頬を赤らめさせる色気を持っている。

 美の女神、いや美に魅入られた女神フレイヤだった。

 

「な、なんで君がここに……」

「ああ、すぐそこで会ったのよ。久しぶりーって話していたら、じゃあ一緒に回りましょうって流れに」

「か、軽いよへファイストス……」

「お邪魔だったかしら?ヘスティア」

「そう言うわけじゃないけど……」

 

 他の神々よりも1段上の美貌を持つ『美の神』と呼ばれる見目麗しいうちの一人であるフレイヤは他の『美の神』同様に食えない性格をしている。これも、他の神が霞んでしまうくらいには。程度はあれどあまり関わりたくないと言うのが率直な感想であった。

 

「ボクは君のこと、苦手なんだ」

「うふふ、貴方のそういうところ、私は好きよ?」

 

 ボクの言葉でも全く答えないようで妖艶に笑うフレイヤ、傷ついたようでもなく本当に愉快そうに笑ってくるのがやっぱり得体の知れない感じでどうにも苦手だ。

 

「おーい!ファーイたーん、フレイヤー、ドチビー!!」

「……もっとも、君なんか目じゃないほどずうっっっっと大っ嫌いな奴が、ボクにはいるんだけどねっ!」

「あら、それは穏やかじゃないわね」

 

 何が面白いのか品よく微笑むフレイヤから視線を切って回転すると、大きく手を振りながらこちらに歩み寄ってくる女神がいた。朱色の髪と朱色の瞳を持った上から下まで細身の顔立ちは整っているやつ。

 

「ロキ〜何しにきたんだよ君は!」

「なんや、理由がなきゃ来ちゃあかんのか?『今宵は宴やっ!』てノリやろ?寧ろ理由を探す方が無粋っちゅうもんや。はーこれだから空気読めんドチビは」

「な、なにおぅ!?」

 

 すごい顔になったヘスティアが突っかかろうとしたところをへファイストスが止める。

 

「それで、ヘスティア?あなたのそれは何かしら?」

「あら、そう。それ私も気になっていたのよ。ヘスティアそれは何?」

「ドチビ、お前無理しすぎやろ……何億借金したんや?と言うかそれ天界のもんちゃうやろな?」

 

 3人の女神がまるで裁判のようにボクに詰め寄ってくる。

 

「さっきも言ってるけどなんの話なんだい?言っておくけどボクは何も盗んだりなんてしてないし借金もしてないよ?」

「……そのドレスよ」

「ドレス……?これがかい?」

「そう。美の神()が単純な美しさで一瞬目に止めてしまったくらいよ。実は最初ヘスティアだって気が付かなかったもの」

 

 フレイヤに美しいと言われるとこちらも嬉しくなってしまう。成程、他の神がボクのことを見ても誰かわからなかったのはそう言うところもあるのか。気分を良くしたボクはつい口が軽くなってしまった。

 

「ええ、そうかい?ロミアス君すごいものを作ってくれたなぁ」

「アホ!糸の神(モイラ)んとこ巻き込んだんか!?そうでなくともレベル5クラスのマスター・テイラーが魂込めた作品やろ。すごいもん程度やないで。ドチビは天界でも篭りっきりで技術に関して詳しくないかもしれんけどな」

 

 ロミアス君なんてものを作ってるんだい!?ロミアス君が仕立て上げてくれた時の想いが蘇る。

 

『うーん……』

 

 ロミアス君がドレスを吊るして全体をくるりと見て唸っている。こうして集中している所を見ると本当に綺麗な顔をしている。確かハーレムを築いて10人子供がいると言っていたけど、そんな複雑な環境でも彼が微笑むだけで家族を維持することなど簡単なように思えてくる。

 ただ処女神である自分の眷属が不修多羅(ふしだら)と考えると少し面白く無い部分もある。誠実そうな子だと思うんだけど、まあイルヴァと言うところでは重婚が当たり前のようだしボクが何言っても仕方がない。

 

『どうだい?ボクとしてはほつれたりしてる所を治してくれるだけでいいんだが……』

『神ヘスティア。これドレスではありませんね。ちょっとフォーマルな普段着です』

『うっ……』

『となると、ちょっと布が欲しいか……せっかくだし宝石を使ったり金糸にしよう。腐るほどあるし』

 

 ロミアス君がうんうん唸っているがバックパックに手を入れると様々な宝石や金属を置いて吟味しているようだ。

 

『よし、なんか面白くなってきたな。どこまでできるか試してみるか。まずは天使の涙と世界樹の樹液と聖なる草で糸ができるか——』

『ロミアス君?なんか物騒な名前が聞こえたんだけど……』

『大丈夫です。俺の錬金術スキルと宝石細工スキルと大工スキルも99999で⦅トバルカイン⦆なので大抵のものは作れます』

『うん、ボク君の技術は疑ってないんだけどね?』

『うーん……一応風化槌振っとくか』

 

 ロミアス君はドンっと人の頭くらいはある大きさの金を出したりダイヤモンドをああでもないこうでもないと選定していたりしたが。急に作りますと言ってボクが瞬きをするまもなくボロボロだった服がまるで置き換わったかのように美しいドレスになったのでびっくりした。

 その後はダイヤがいっぱい入ったネックレスを渡されそうになって流石にそこまで着飾れないよと断って別れたんだけど……

 

「あわわわわ……こ、これそんなに凄いものなのかい?ボクも凄いなぁって思ってたんだけど」

 

 あの時はロミアス君がパパッと作ってくれたし眷属からの贈り物ということで価値についてあまり考えてなかったんだけど……いやボク!これ天界でもなかなかお目にかかれない程の服じゃないか!!何をやっているんだボクは!?美しさに見惚れて直ぐに着たから気が付いていなかった!そうだ!彼は料理も比喩抜きに神クラスに上手いんだった!

 

「で、さっきロミアスって言ってたけど……ヘスティア?話を聞かせてくれるかしら?」

「へファイストス……こわいこわいこわい……」

「あんたあの白髪で赤い目のヒューマンが眷属になったからこれからは頑張るって話してなかった!?」

 

 く、ロキもフレイヤもいるんだぞ!?絶対に100億パーセント何かしてくるに決まっている!こうなったら!

 

「へファイストス!一緒に来てくれ!」

「は?ちょっとヘスティア!?」

 

 逃亡!それしかない!このドレスを着ていると何故か足が軽いしへファイストスの腕を掴んでも軽く感じた。

 

「あら、逃げられちゃった」

「なんやあのドチビ……くぅ〜ドレスも着れない貧乏神って笑ってやろ思っとったのに!!」

「それにしてもロミアス、ね……」

「お?なんや知っとるんか?」

「ええ、こちらが一方的にだけど……これは、少し考えないとダメね。ロキ、私はもう帰るわ」

 

 コトリと持っていたグラスをテーブルの上に置いて髪を翻す。

 

「なんや、もうええのか?」

「ええ、確認したい事は聞けたし……」

「ほーん、まあドチビの眷属に何しようが勝手やが……火遊びでうちに火の粉を振り撒くんは堪忍な?」

 

 糸目がちな瞳を薄く開いてフレイヤを見るロキ。わかっているわと微笑んで美の神は振り返らずに宴から去っていった。

 

 

 

「それで?そのドレスは何処から手に入れたの?」

 

 上手くへファイストスを連れてバルコニー的な所に逃げ出したヘスティアは周りをおかしな挙動で見て誰も見ていない事を確認しホッと息を吐く。

 

「へファイストス、信じてくれないかもしれないんだけど。これはボクの新しい眷属の子が作ってくれたものなんだ」

「はぁ?それが?」

 

 嘘つくならもっとマトモな嘘つきなさいよって目でヘスティアを見るへファイストス。しかしヘスティアもそうとしか言いようが無いのだ。彼の生い立ちを話す事は出来ないので何とか親友に納得してもらおうと色々な言葉を紡ぐが、やはりダメ!何度言っても分かってもらえない!

 

「あのね、ヘスティア。生産系ファミリアって他の生産系の【ファミリア】とも関わってるの。そして私はそれが作れるような眷属は知らないし、【ファミリア】が出来て1ヶ月にも満たない貴方の所でそんな神業を持つ新人が現れるとも思えないの」

「くぅ〜!逆の立場ならボクもそう思ってるから反論しづらい〜!本当に規格外なんだよ彼!スキルが9万いってるとか、自分はとばるかいん?とかって言ってて!」

「《トバルカイン》?」

 

 あっやべ。ヘスティアはそう思った。

 

 色々あったがとある条件付きでヘスティアは目的を達成した。目的というのはベル・クラネルに1級品の武器を作って欲しい事。作るのはいいがちゃんと料金はいただくし手伝ってもらうと言われてヘスティアの缶詰生活が幕を開けるのであった。

 

 

 

——side ロミアス——

 

 やり過ぎたかな……俺の前では精魂尽き果てて広場で息をしていないクラネル君の姿があった。

 HPは満タンだな。ヨシ!

 

「し、死にましたか?僕……」

「うーんまだギリ生きてるねぇ……どう?」

「天国でお爺ちゃんが手を振ってました……」

 

 まあ今夜の修行で分かったことがある。みねうちは最高のスキルだぜ!コレからもドンドン活用しような!

 真っ赤に染まった草木を見ながら俺はニッコリ笑った。

 

「ロミアスさん、僕はどうですか?今日で結構強くなったと思うんですけど」

「うん……クラネル君が本気で俺に教えを乞うてくれたからこっちも真剣に話すけど、短剣が……あまりにも下手……」

「ぐぅう……そうですよね、もうちょっと頑張ってみます」

 

 先ほど見たペットフォンでのステータス。正直主能力は良い。異常ではあるが正常だ。上がり幅エグいけどクミロミ祝福飯食ってるしスペンスウィードティー飲んでるからそんなもんだろう。問題はスキルだ。ありえない。いや、ガチでありえない。短剣44?スキルレベルだけで言うならストーリークリアしててもおかしく無いスキルレベルだぞ。

 

 いくつかの仮説がある。あの【憧憬一途(リアリス・フレーゼ)】と言うスキル。あれの効果がイルヴァの方の強化にも繋がっているのでは?と。しかも上昇値は500%より恐らく上だろう。冷静に考えてカスタムアイテムかよっつー能力なんだが、なら……俺は数多のペット育成を思い浮かべる。サンドバッグに吊るして延々と魔力の集積を打っていたり下落祝福下落を投げ続けたり炎召喚をすくつで行いそいつら捕まえて自宅で見切り上げに使ったり……まあ最終的にクミロミに改宗させて豊穣祭するかならくのプリンで良いやってなるんだが……どれも出来ないのでとりあえず戦術99999ある俺がクラネル君をボコボコにして見切り上げて短剣も養わせようと言うお得で優しいコンセプトになったのだ。

 

 閑話休題。つまりそんなスキルあるならスキル99999いけんじゃね?と俺の中の天使が囁いたのだ。BP振りでは13800くらいからスキルが一切上がらなくなるため俺が育てたペットのスキルは実は弱い。俺はクラネル君をちょっと頑張らせてどうにか最強の短剣使いにしてみたくなってしまった。なので今の短剣術程度で上手いなどと言ってられないのである。

 

「頑張れクラネル君。君は、英雄になれる!」

 

 とりあえずヒロアカをパクってそれっぽい事をいっておいた。




《ヘスティアのドレス》
それは神器品のドレスだ
それはダイヤで作られている
それはDVを30上昇させ、PVを29上昇させる
それは魅了を40上げる
それは筋力を15上げる
それは混乱を無効にする
それは睡眠を無効にする
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