本好きの魔女、闇の帝王を読書仲間にする。 作:bookworm
ルシウス・マルフォイは、机の上に並べられた手紙の束を見て、静かに眉を寄せた。
手紙そのものは美しい。封蝋も乱れなく、文字も読みやすい。差出人も明確だ。
問題は中身である。
一本目はドラコから。
二本目はフェルディナンドからの報告。
三本目はローゼマイン本人から。
ルシウスは、まず一番信用していないものを後回しにした。
すなわち、マインからの手紙である。
あの子の手紙は、便箋の数だけは立派だが、肝心の学校生活については驚くほど役に立たない。
最近届いたものに至っては、開けてみれば丸々三枚にわたって本の感想だった。
授業はどうか。
体調はどうか。
寮生活に問題はないか。
そういった保護者として当然知りたい事柄には一切触れず、
「新しく読んだ歴史書は後半の史料解釈が荒く、著者の先入観が気になる」
だの、
「薬学入門は入門と銘打つには語彙が不親切だ」
だの、
「図書室の蔵書配置には改善の余地が多い」
だの。
感想文である。
ほぼ読書感想文である。
しかも妙に辛口だ。誰に似たのか。
「ルシウス」
向かいに座っていたナルシッサが、静かに呼びかけた。
「その顔は、また役に立たない手紙が届いたのね」
「役に立たないというのは正確ではない」
ルシウスは紙を置いた。
「本に対する評価としてはかなり精度が高い。だが私は今、娘が学校で何をしているかを知りたいのであって、薬学書の編集方針について意見を求めているわけではない」
「今回は何だったの?」
「閲覧禁止の棚の本が気になる、だそうだ」
ナルシッサが目を閉じた。
「まあ」 「“まあ”で済ませるな。便箋二枚半にわたって“なぜ禁書ほど分類が粗いのか”が綴られていたぞ」
「元気そうではあるわね」
「元気なのは問題ではない。方向性だ」
その時、暖炉の火が揺れた。
セブルス・スネイプの顔が炎の向こうに現れる。
『始まっていたか』
「始まっていたとも」
ルシウスは組んだ指を解かずに応じた。
「セブルス。今日は忙しいところすまないな。私はすでに頭痛がしている。無駄な皮肉は控えろ」
『善処しよう』
その時点で信用できなかった。
ナルシッサが机上の手紙を整えた。
「ではマインについて最初から確認しましょう。入学時のことから」
ルシウスは短く頷いた。
こういう時、ナルシッサは実に頼りになる。情報を整理し、感情を脇へ寄せ、必要な順に並べる。あの子がなぜあそこまで本に執着するのかは理解しがたいが、少なくとも家族会議においてナルシッサは極めて有能だった。
「まず組み分けです」
ナルシッサがそう言うと、ルシウスはゆっくり息を吐いた。
「……あれは、正直ほっとした」
『珍しいな、君が素直にそう言うのは』
「事実だからだ」
ルシウスは顔をしかめたまま言った。
「レイブンクローにでも入れられた日にはどうなることかと思った。あの子に本と自由だけ与えたら、誰の目も届かないところまで行くだろう」
「スリザリンなら目が届くものね」
「少なくともドラコがいる」
それが大きい。
もちろん、ドラコに妹の監視役まで背負わせたいわけではない。ないが、結果としてそうならざるを得ないのが現実だ。
セブルスが低い声で言った。
『本人も、スリザリンでずいぶん安心していたようだ。“本好きの扱いが比較的丁寧そう”だそうだ』
「基準がずれている」
「でも、あの子にとっては大事なことでしょう」
ナルシッサは落ち着いてそう言った。
そこがまた否定しにくい。
「次」
ルシウスが言うと、ナルシッサはドラコの最初の手紙を開いた。
「授業でフリットウィック先生を吹き飛ばした件」
ルシウスは目を閉じた。
「……あれは何だったんだ」
『浮遊呪文の制御不足だ』
セブルスが淡々と答える。
『羽を浮かせるはずが、出力が過剰だった。結果として、羽ではなくフリットウィック先生ごと飛んだ』
「なぜ羽ではなく教師が飛ぶ」
『私に聞くな』
「聞きたいのはこっちだ」
ナルシッサは手紙を読みながら小さく首を振った。
「ドラコの表現によると、“妹は本人なりに軽くやったつもりらしいけど、先生が一緒に浮いた”そうよ」
「先生が一緒に浮いた、ではない」
ルシウスは低く訂正した。
「授業で教師を飛ばすな」
『もっとも、フリットウィックは大きく傷ついてはいない』
セブルスが補足する。
『むしろ少々興奮していた。“あの年齢であの魔力出力は驚異的だ”と』
「だから教育者は困る」
ナルシッサがそっとため息をついた。
「才能を褒められても、親としては素直に喜べる状況ではないのだけれど」
「その通りだ」
ルシウスは即答した。
「私は教師が宙を舞う話を聞かされて、“将来有望です”と喜ぶほど寛大ではない」
『その点については同意しよう』
セブルスにまで同意される時点で、やはり相当なのだろう。
「次」
ナルシッサは今度はフェルディナンドからの報告書を取り上げた。
こちらはドラコの手紙より遥かに整理されている。箇条書きで簡潔、かつ余計な感情が少ない。非常に読みやすい。読みやすいが、内容は読みたくない部類である。
「図書室前で倒れた件」
ルシウスは今度こそ机を軽く叩いた。
「なぜ図書室で倒れる」
『興奮だろうな』
スネイプが嫌なほど即答した。
『図書室に入った瞬間、蔵書量に感極まって魔力が乱れたらしい』
「意味が分からん」
『私もそう思った』
「フェルディナンドは?」
ナルシッサが問うと、セブルスは少しだけ口元を歪めた。
『“気づいたら倒れていた。図書室の前で大きな魔力反応が出たので慌てて運んだ”と。今度から自分が責任を持って同行すると書かれている』
ルシウスはしばらく言葉を失った。
「……本で倒れるな」
「そこなのね」
「そこだ」
本のために無理をするのは知っていた。
だが、図書室の前で感極まって昏倒するとは思わなかった。いや、少しは思っていたかもしれない。だから余計に頭が痛い。
「しかも」
ナルシッサが静かに手紙をめくる。
「閲覧禁止の棚の許可証をロックハート先生から入手していたそうよ」
部屋の空気が一段冷えた。
ルシウスがゆっくり顔を上げる。
「……何?」
『そのままの意味だ』
セブルスの声は心底不愉快そうだった。
『ロックハートが例によって気前よくサインをばらまいたらしい。マインは、それを確保して使おうとしていた』
「確保して、ではない」
ルシウスはこめかみを押さえた。
「なぜ教師がうちの娘にそういうものを与える」
『ロックハートだからだろう』
それ以上ないほど的確な答えだった。
腹立たしいが否定できない。
ナルシッサが目を伏せる。
「フェルディナンドがいてくれて良かったわ」
「そのとおりだな」
ルシウスは疲れた声で答えた。
「少なくとも、あの子一人で禁書棚の前に立たせるのは危険だ」
『本に対してだけ勇敢だからな』
「そこが問題なんだ」
「次」
ナルシッサが淡々と手紙をめくる。
ルシウスは嫌な予感しかしなかった。
「飛行訓練の件ね」
ルシウスの眉がぴくりと動いた。
「……飛行訓練」
『ああ』
セブルスが心底どうでもよさそうに答える。
『ドラコの報告によれば、“本人曰く、箒が飛んでいって戻ってこなかった”らしい』
しばし沈黙が落ちた。
ルシウスはゆっくりと言った。
「意味が分からん」
『私もそう思った』
「“乗れなかった”ではないのか?」
『違う。乗る前に箒が勢いよく上昇し、そのまま飛び去ったそうだ』
「なぜだ」
『本人は“たぶん嫌だったんだと思う”と』
「何が嫌だったんだ」
『知らん。私に箒の気持ちを聞くな』
ナルシッサが静かに目を伏せた。
「でも、大怪我はしていないのでしょう?」
『していない。していないが、常識は多少傷ついたな』
スネイプの返答に、ルシウスは深く息を吐いた。
「なぜうちの娘の周囲では、物まで自主判断を始めるんだ」
『教師を飛ばした次は箒か。順調だな』
「どこがだ」
ルシウスは即座に切り返した。
「次に何が飛ぶと思っている」
『君の平穏ではないか』
実に腹立たしい男である。
ナルシッサは小さく首を振った。
「ローゼマイン自身は、あまり気にしていないのね」
「“読書に支障はありませんでした”と追記がある」
ルシウスがそう言って便箋を机に置くと、部屋は再び静かになった。
「……あの子の優先順位は、本当にぶれないのだな」 『そこだけは一貫している』
スネイプのその評価が、慰めになるのかならないのか、ルシウスには判断がつかなかった。
「次」
ナルシッサが新しい手紙を持ち上げた。
ルシウスは嫌な予感しかしなかった。最近はもう、予感が外れる方が珍しい。
「グレンジャー嬢の件ね」
ルシウスが片眉を上げる。
「グレンジャー?」
『ああ』
スネイプが、わずかに顔をしかめた。
『ドラコが、いつもの調子で余計なことを言った件だ』
「“いつもの調子で余計なこと”では範囲が広すぎるな」
ルシウスが低く言うと、ナルシッサは手紙を見ながら静かに補足した。
「どうやらドラコが、ハーマイオニー・グレンジャーを“穢れた血”と呼んだそうよ」
短い沈黙が落ちた。
ルシウスは組んでいた指をほどいた。
「……それで?」
ナルシッサが目線を上げる。
「ローゼマインが怒ったそうよ」
「当然だな」
ルシウスは即答した。
暖炉の向こうで、セブルスが一瞬だけ目を細める。
『そこは即答するんだな』
「家の中で言う分には構わない。ああいう言葉を外で軽々しく使うなとは前から言っている」
言っているのだ。
少なくとも父としては言っている。
息子がどこまで聞いているかは別問題である。
「いえ、グレンジャー嬢は本好きの先輩らしいわ。だから怒ったみたい」
「……人前でその言葉を使ったからではないのか。まあ、マインのことだ。続けろ」
ナルシッサは淡々と続けた。
「それでマインは咄嗟に“ナメクジくらえ”をドラコに撃ったらしいの」
「……なるほど」
ルシウスは目を閉じた。
「なるほど、ではないわよ」
ナルシッサの声音は穏やかだったが、内容は穏やかではなかった。
「あなた、今少し納得したでしょう」
「した」
ルシウスは認めた。
「怒るところまでは理解できる。理解できるが、兄に呪文を撃つな」
『しかも呪文の選択が最悪だ』
セブルスが即座に言った。
『ドラコが大量のナメクジを吐き始め、グラウンドがひどいことになったらしい』
「グラウンドで?」
『ああ。外だったのが不幸中の幸いだな。屋内ならもっと悲惨だった』
ルシウスは短く息を吐いた。
「それで、どう収拾した」
『スコージファイだ』
セブルスが心底うんざりしたように答える。
『問題は出力だな』
「嫌な予感しかしない」
『正しい予感だ。呪文は成功した。成功したが、規模が少々大きすぎた』
「少々、とは?」
『ドラコの表現では、“グラウンドに巨大な水流が発生して、ナメクジも僕も周囲もまとめて流されかけた”そうだ』
ルシウスは数秒黙った。
「……意味が分からん」
ナルシッサが静かに読み上げる。
「“ナメクジは一応流れましたが、代わりに巨大な水流が発生し、グラウンド一帯が大惨事になりました。妹は『きれいになった』と言っていましたが、きれいの定義を見直すべきです”」
暖炉がぱちりと鳴る。
ルシウスは天井を見た。
セブルスはあからさまに顔をしかめている。
ナルシッサだけが、目を閉じて静かに息をついた。
「マインらしいと言えば、らしいのだけれど」
「よくない意味でな」
ルシウスは即答した。
「なぜこう、問題を一段階で止められないんだ。兄妹喧嘩で終わるはずのものが、なぜナメクジと水流になる」
『魔力が多いからだろう』
「便利な説明だな」
『便利というより事実だ』
セブルスは容赦なく言った。
『本人はおそらく、“吐かせたものを流しただけ”の認識だ』
「認識を改めさせろ」
ルシウスは深く息を吐いた。
「ドラコは無事なんだろうな」
「手紙が届いているから、命に別状はないわ」
ナルシッサが答える。
それは確かにそうだが、安心材料としては少し弱い。
「ドラコは何と書いている」
「そうね」
ナルシッサは便箋を見て、少しだけ口元をゆるめた。
「“妹はハーマイオニー・グレンジャーが侮辱されたことに本気で怒っていました。その点については分からなくもありませんが、だからといって僕をナメクジと水流で処理しないでほしいです”」
『処理』
セブルスが低く繰り返した。
『ドラコもだいぶ疲れているな』
「当然だ」
ルシウスは断言した。
「私でも疲れる」
少しの沈黙の後、ナルシッサが静かに言った。
「でも、マインが怒った理由は、少し安心するわね」 「何がだ」
「あの子はちゃんと自分の知り合いに言われた侮辱に怒れるのだもの」
「怒り方に問題がありすぎる」
ルシウスはすぐに言い返した。
「怒るのはいい。手段がひどい」
『それについては全面的に同意する』
セブルスが淡々と頷く。
『ただ、マルフォイ嬢がグレンジャーに肩入れしたのは興味深いな』
「興味深がるな。教師なら止めろ」
『止めている。普段はスリザリン生にここまで減点はしない。だが、君の娘は止めても妙な方向へ滑る』
実にその通りだった。
「……こういう時ばかりは、自分が理事の席にいて良かったと心から思う」
「マインのために?」
ナルシッサの問いに、ルシウスは一瞬だけ黙った。
「娘の周囲で起きる厄介ごとが、学校側の“善処します”で片づくなら苦労しない。あの子は悪意なく問題の中心に近づく。ならば、こちらにも口を出せる立場が必要だ」
そこで彼は、わずかに眉を寄せた。
「少なくとも、何か大変なことが起きたときに対処できるだけでもないよりはましだ」
ルシウスは最後に、マイン本人からの手紙を持ち上げた。
「そしてこれだ」
便箋を広げる。
「近況報告は最初の三行だけ。“元気です。寮の蔵書は思ったより整理されていません。図書室は素晴らしいです”」
『最後の一文に本音が集約されているな』
「その後は丸々読書感想文だ」
ルシウスは読み上げた。
「“ロックハート先生の著作は事実確認の甘さが気になります。けれど一部には読みやすい比喩もあり、宣伝文句のつけ方は参考になるかもしれません”」
ナルシッサが口元を押さえた。
セブルスは露骨に嫌な顔をした。
『あの男の本をそんな角度で読む一年生は初めて見た』
「しかも続きがある」
ルシウスはさらに便箋をめくる。
「“閲覧禁止の棚の許可証があるのに中に入れないのは納得がいきません。お父さまからもフェルディナンド先輩に伝えてください。改善が必要です”」
暖炉がぱちりと鳴る。セブルスが苦い顔をしていた。
ナルシッサが、静かに言った。
「……フェルディナンドがいてくれて良かったわ」
「そのとおりだな」
ルシウスは疲れた声で答えた。
「今あの子に必要なのは制止役だ」
ナルシッサが小さく微笑む。
「でも、あなた。クリスマスには結局、あの子に本を送ったのでしょう?」
「大量には送っていない」
ルシウスはすぐに訂正した。
「最初、あの子は“必要な本が少しあります”と書いてきた。最終的に十一冊並んでいた」
『“少し”の限度を知らんな』
セブルスが即座に切り捨てる。腹立たしいが正しい。
「だから本そのものではなく、古書目録を送った」
「目録?」
「ああ。本を十冊与えれば十冊で済まない。関連書を欲しがり、比較し、続巻を請求する。だが目録なら、知識にはなる。想像もできる。しかも実物ほど危険ではない」
ナルシッサが目を細めた。
「あなたなりに考えたのね」
「合理的な判断だ」
『悪趣味とも言うがな』
ルシウスは無視した。
「返事は?」
「来ているわ」
ナルシッサは別の便箋を持ち上げ、読み上げた。
「“目録ありがとうございます。最高です。知らない版や初版本の情報が多く、非常に有意義でした。特に十七世紀の薬草書コレクション欄は危険です。欲しくなります”」
セブルスが眉をひそめる。
『危険の意味が普通と違うな』
「知っている」
ルシウスは低く答えた。
ナルシッサは続きを見て、少しだけ笑った。
「“将来的な購入計画を立てるため、もし可能であれば来年度分も送ってください”」
『止まっていないな』
「止まっていないな」
ルシウスは額を押さえた。
「だが、少なくとも今年は実物を十一冊買わされずに済んだ」
『勝利条件が低すぎる』
「現実的と言え」
しばらく、暖炉の火が静かに揺れた。
ルシウスは椅子の背にもたれ、天井を見た。
「……教師を飛ばし、図書室前で倒れ、箒を逃がし、兄にナメクジを吐かせ、最後はグラウンドを水浸しにする。そのくせ手紙には読書感想文しか書かず、禁書棚に文句をつけ、目録を送れば次年度分まで請求する」
「ええ」
「どうしてこんなに平穏から遠いのだ」
セブルスの声が返る。
『君の娘だからだろう』
「正確ではないわ」
ナルシッサがやわらかく訂正した。
「あの子は、平穏を壊したいわけではないもの。ただ、本を読みたいだけよ」
「その結果がこれだぞ」
「ええ」
「少しは否定しろ」
「事実ですもの」
ルシウスは深く息を吐いた。
実に腹立たしいことに、否定のしようがなかった。
机の端に置かれていた未開封の小さな封筒が、ひらりと床へ落ちた。
ナルシッサが拾い上げる。封蝋はローゼマインのものだった。
「まだあったのね」
ナルシッサが封を切り、中を見て、少しだけ黙った。
「今度は何だ」
ルシウスが疲れた声で問うと、ナルシッサは便箋を見つめたまま、静かに読み上げた。
「“追伸。もし可能であれば、次は書見台も欲しいです。今の環境では、同時に開ける本が足りません”」
ルシウスはゆっくりと目を閉じた。
「……もう寝よう」
その声には、怒りより先に疲労があった。
暖炉の向こうで、セブルスが低く鼻を鳴らす。
『賢明な判断だ』
ナルシッサは小さく笑い、便箋をきちんと畳んだ。
「……思っていたより、倒れた回数は少なかったな」
ナルシッサが静かに頷く。
「ええ。健康で何よりですわ」
「基準がおかしいぞ」
「あなたも少し安心したでしょう?」
ルシウスは反論しかけてやめた。
少なくとも、娘は今日も本を読み、教師に呆れられ、兄を怒らせ、手紙まで寄越せるくらいには元気らしい。
そのこと自体は、たしかに悪い報せではなかった。
たぶんホグワーツのどこかで、娘は今日も元気に厄介ごとの近くで本を読んでいる。
その事実が、安心材料なのか頭痛の種なのか、もはや自分でも分からなかった。
ただ一つ確かなのは──
マルフォイ家の平穏は、しばらく戻りそうになかった。
①ということは分かりますよね?