我等!無敵ノ大和帝国学園ナリ!   作:三俣

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第二章の前に閑話休題


皇ミコトと狐坂ワカモ

<とある建物の屋上にて……>

 

ビル風が吹く真夜中、軍服少女と和服少女がそこに居る。特に敵対しているわけでもないが親密な間柄というわけでもない。ただ夜風に当たっているだけというわけでもない。不思議な空気が流れていた。

 

「あら、何の用です? 怪物」

 

「おいおい、いきなり構えるなよ暴走機関車ちゃん。今日も一段と可愛いじゃない」

 

前言撤回、とても敵対的な空気が流れていた。ただ、ワカモは銃を構えているのに対しミコトは手をあげているだけ。愛刀や愛銃は持っているが、ミコトは一切敵対する意思を見せていなかった。それはそれとして煽りはする。

 

「……その減らず口、今すぐ黙らせてあげましょうか?」

 

「あー! 悪かったよ。別に敵対する気ないから。その銃下ろしてくれよ。な? ステイステイよ」

 

「……」

 

ワカモはシリアスな様子だったが、ミコトのおちゃらけた態度を見て冷めたのか銃を下ろし、戦闘態勢を解いた。

 

「はぁ……。ほんっっっっっっっと、あなたのそういう所が気に入りませんわ」

 

「いきなり罵倒!? ひどいなぁ、これでも学園トップの人間なのに」

 

「で、今日は何用で来やがったのです? 仲間にはならないとあれ程……」

 

「違う違う! 今日はお前に渡したい物があって来ただけだよ」

 

こいつはいきなり何を言い出すんだ? とワカモは訝しんだ。このちゃらんぽらんが私に会いに来るときは勧誘のお誘いだけ。それに今日は別に誕生日というわけでもない。どういう風の吹き回しなのか。

 

「……」

 

「そんな怪しむ顔で見ないでくれよ~ちゃんとした物だって~」

 

ミコトはそう言いながら背中に背負っていたプレゼントを取り出し、ワカモに渡した。大きさは七十センチぐらいか、持ってみると若干の重みを感じた。

 

「……これは?」

 

「特注の大和刀だよ」

 

「大和刀……」

 

大和刀、その名のとおり大和帝国学園で作られている刀だ。現在確認されているのは大和師団長に十本、大和の大臣・総統に四本、ミレニアム・アビドス・ゲヘナ・トリニティにそれぞれ一本ずつ、計十八刀が確認されている。ワカモの刀を含めると計十九本しか存在していない幻の武具だ。

 

「私がこんな贈り物でなびくとでも?」

 

「別にそんなんじゃないさ。好感度上げて学園に勧誘しようとかそんなんじゃない。ただ、送りたかっただけじゃダメか?」

 

ワカモは見抜いた。こいつ嘘をついてる。ただし、前者の発言は本心だ。嘘をついているのは後者のほう、何か企んでいる。

 

「私に嘘をつくとは良い度胸してますわね?」

 

「……ばれちゃったか~」

 

その時、ミコトの雰囲気はがらっと変わった。ちゃらんぽらんな様子ではない、大学校の統治者、政治モードだ。ミコトは説明し始めた。

 

「大和刀は頑丈な私達でも斬られると痛みとか感じるだろう?」

 

「……」

 

経緯は省くが、ワカモはこいつに切られた経験がある。そのときの痛みは酷く、不愉快な痛みだった。それだけではない、切られた腕は数日間全ての感覚が無くなっていた。あるはずなのに無い感覚に陥るといえば良いのか。ともかく、それが大和刀で斬られると言うことだ。

 

こいつ(大和刀)は所有者の神秘によって性質が変化する。例えば山本イソなら力の性質、栗木ミチなら守の性質って感じだ」

 

守の性質を取り入れた大和刀を使用すれば防御力を大幅に引き上げることができ、力の性質を取り入れた大和刀は文字通り攻撃力のステータスが大幅に引き上げることができる。

 

「大抵のところは力・守・速の3つの性質で分かれるものなんだが……()()()()()

 

ワカモはこいつが何をしたいのか理解した。

 

「わたくしがその()()だから渡した。と」

 

「せいか~い! 花丸だ。どんな性質か試してみたくてね。どうだ? 別にもらったところでお前に不利益は何も無いはずだが?」

 

ただ、ミコトはワカモがどんな生徒か性格か理解できてなかった。そんなに素直なら七囚人なんて呼ばれていない。

 

「当然、返品いたしますわ」

 

「……ほう?」

 

「わたくし、プレゼントを貰うのは()()()()と決めておりますの。それに……」

 

「?」

 

「ただ貰うよりも、奪い取るほうが何倍も楽しいですもの」

 

ミコトの表情はなぜか笑っていた。断られたのにだ。流石はワカモ、私が最初に苦戦した女だ。そんなとこだろうか。

 

「……そうか、ならば奪ってみろ。いつでも何処でもお前の挑戦を待っているぞ」

 

強い夜風が吹いたとき、その場にいた2人の少女は姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(来たる日の儀式に備えなければ)




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