武器はデカければデカいほど良い、美少女が持てばより良い   作:デカい眼鏡

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斧をを作ろう!とびきりの力を込めて。

 王様との初対面をなんとか終え、今は会議室の端でひっそりと座っていた。

 

 「(みんな何を話しているんだろうか。)」

 

 王に与えてもらった仕事に「謹んでお受けいたします。」とキメた感じで言ったが、特に会議に出て発言できほどの能力のある人間でもないので、鍛冶師としての意見を求められた時に答えるくらいのものだ。

 

 慌ただしい会議室。机の右と左では違う話し合いが行われ、それを中心の王の周りの人達がまとめ上げる。学者と思われる老体の方や、恐らく大貴族であろう佇まいの人など国のトップが様々な問題に頭を悩ませながらなんとか知識を絞り出そうとしている。

 

「(しかし、大事になるのは予算に人員か。限られた国では中々に厳しい。)」

 

 予算は緊急時であり、魔石で代用がある程度効くものなのでなんとかなるだろうが、人員は簡単には生まれてこない。軍人は基本的に貴族が中心であり、冒険者は一般人の中でも一部の才能があるものだけ。龍との戦える人材などまずいない。

 

「(数がいればいいと言う話でもなさそうだが。)」

 

 武器がデカく、魔法でドンパチするのでそもそも軍で戦うというのに不向きな世界だ、数が居ても味方を攻撃する危険性が上がる。

 

「あのタロー様。いいですか?」

「どうしました?」

 

 ケルカさんに呼ばれ、慌てて彼女の方へと移動する。

 

「とりあえず、最初に向かうブリッドについてですが、メルーラさんと私との三人での行動になる予定となりました。メルーラさんが基本的に案内を、私は交渉兼護衛としての役割といった感じです。」

「はい。でも三人って少なくないんですか?」

「かなりの長旅が予想されますから。途中の魔物との遭遇具合もわかりません。食料の事など考えて減らせる人数は減らします。」

 

 なるほど、前世でゲームをする時はよく疑問だったが、こういう事情があるもんなのか。

 

「わかりました。とりあえず、僕はそれの準備ということで。」

「はい、それなんですが。」

「おう、武器の依頼だ!」

 

 ケルカさんが言い終わる前にメルーラさんが後ろから肩を組みながら言ってきた。

 

「ていうか、お前のとこにはそれが目的で行ったんだよ。」

 

 それはそうだった。ただそれを不満げに言うのはケルカさんへの当てつけだろうか。

 

「私への文句ですか。」

「ん?いや!ごめん、別にそんなつもりなかった!」

 

 当てつけを言うような性格の人ではなかった。そういえば基本いい人ではあるんだろう。仕事はしてるみたいだし、なんというか自分に正直な人だった。

 

「それで依頼というのは?」

「ああ、斧だ。前のやつはもうガタが来てよー、丈夫なの頼むぜ。」

「えぇ、それはどのような斧で?」

「別に斧は斧だ。魔物だろうが大木でも、なんでも切れるやつだ。」

 

 それは、なんというか難しい依頼だ。道具としての斧と戦斧は完全に同じわけではない。シンプル故に細かく様々な分類ができるものである。

 

「とりあえず、見せるか?同じ感じのがいい。」

「わかりました。」

「あのここでは出さないでくださいね。」

 

 釘を刺すケルカさんにメルーラさんは明らかに魔法で出そうとした手を背中に隠す。

 

「おうおう、わかってるぞ。タローよ、中庭にでも行こう。」

「えっと、わかりました。」

 

 絶対にこの人はわかっていなかったと思う。

 

 

 

 中庭にいくと、早速メルーラさんは今まで使っていた斧を出してくれた。斧というよりハルバードと言われるものだろうか。

 大きさは4mを余裕で越えようかというほど。刃となる部分も斧にしてはかなりの比率だ。

 

「しかし、この壊れ方は随分と変わった壊れ方ですね。」

「ああ、旅だと色々とな。」

 

 大体は攻撃の当たる部分から壊れていくものなのだが、その斧は全体的に壊れるというより使われた形跡がある。

 

「外にでるとな、邪魔な木とか岩とか壊したり、武器としての使い方もすることになるから。こいつには悪い事したかな。」

 

 いつもの勢いのある話し方とは違う、古くからの知り合いに話すような落ち着いた雰囲気。この武器は彼女にとって大事なものだったんだろう。

 

「道具は、使われて初めて仕事になるんですよ。ここまで仕えたのはあなたの手入れがよかったからでしょう。悪いなんて思わなくてもいいです。」

「……おう、そうだな!」

 

 職人としても、こうして大事に使われた武器には尊敬する。そしてそれ以上のものを作らなければという使命感も溢れてくる。

 

「とりあえず、これを参考にしたものを作ればいいですか。」

「ああ、よろしく頼むぞ。」

 

 話はすぐにまとまった。すぐに作成に取り掛かりたいというとすぐに鍛冶場まで戻された。

 旅に出るまではまだ時間はある。その成功のためにも精一杯のものを作らなければならない。

 

 鍛冶場の扉を開ける。久しぶりに集中してこの場所に帰ってきたように思える。最近は一人でいるとついつい龍のことを考えてしまい、なかなか作業にも性が出ることがなかった。

 

「やるか。」

 

 だがもうすでにこれからの事は決まった。王様と話したことで、覚悟というものもできた気がする。これなら最高の物を作れるように思える。

 

「とりあえず、まずは魔石からだな。」

 

 武器の最重要たる魔石、これについては国の方から用意されていた。

 

「にしても、すごいな。」

 

 用意された魔石はケルカさんの時と並ぶ魔石である。こんなに大きく純度の高い魔石を続けて使うことはなかなかない。

 

「王の方針で備えは結構あるんです。というよりいっぱいあっても流通させずらいものなので。」

 

 とケルカさんは言っていた。あの王様はやはり侮れない人だ。

 というか、自分はこの国を甘く見ていたかもしれない。このクソデカい世界で国の繁栄に成功したんだ、多少はそういった備えがあるものか。これならこれからの武器の作成にも期待できる。

 

「とりあえず、始めるとするか。」

 

 最近は鍛冶とは違う場所にいたが、やはり本職である仕事が一番落ち着く。

 作業を始めるといつも以上に叩くべきがわかるような気がしてくる。ハンマーを持つ腕はひとつひとつの汗を感じられるほど集中できていた。

 

 魔石を叩く、その間ふと龍との会話を思い出す。

 

 「君より技術を持つものはいたが、君と同じことをできたやつは知らないよ。」

 

 ケルカさんに作った二振りの刀。自分は特別複雑なことをしたつもりはなかったが、あれほどの龍が自分の技術を初めて見たように言っていた。

 

「(もしかして、魔石の加工には何かまだ知らない知識があるのだろうか)」

 

 国でも有数の父のもとで修行をしてきた自分には、魔石の加工に関してはかなりの自信があった。

 しかし、間違えなく人知を超えるあの存在が、技術について今のこの国にあるもの以上のものがあると確かに確信を持っていた。

 

「(叩き方が違う?それとも魔法の問題か?)」

 

 腕を置く。こんな余計な思考がある時に作業を進める気のはならない。

 自分は力加減が上手いという自負はある。そしてそれを最大限活かしたのがあの刀である。ではそこに何かのヒントがあるのだろうか。

 

「(やったことは、両方の方なの純度の調整。できるだけ同質に作った。)」

 

 純度の調整は自分ほど細かくできないが他の鍛冶師でも多少はできはずだ。

 

「やはり力のコントロールか。ん?」

「(魔法は魔力を充ててコントロールする下地が明確であることは基本だ。)」

 

 王様が魔法の話の時そんなことを言っていた。

 

「つまり、明確化すればいい?」

 

 魔石に魔力を流す。魔石が反応して輝きを放ちはじめる。

 

「(光っているのは魔石の魔力の部分。つまり不十分となる石の部分は光っていない。)」

 

 魔石はつまり魔力と石の混合物である。

 

「(例えば魔力の部分に強化の魔法をかける。)」

 

 身体強化と同じ魔法。正確には身体ではないはずの魔石であるが何故かできるような気がした。

 タローは魔法の知識についてかなり疎い。だがタローほど魔法を器用に扱える鍛冶師はこの国にはいない。

 

「強化できている?少し純度が高くなった気もする。」

 

 先ほどよりも眩く光出す魔石。明らかに変わったと言っていいだろう。そして魔力の部分だけを強化できているという明確な確信がある。

 もしこれを調整しながら武器を作ればどうなるのであろうか。

 

 心臓が高鳴る。世界を変えられるような、何も我慢できない未知の探求。おもむろにハンマーを持ち上げる。万能感に口角が上がってくる。

 

 寝ずに武器を作り続けた。何日たったかわからなくなったころ。武器を完成させたような気がした。

 気づけば床に突っ伏していた。そして目の前には、あの可憐な美女であるケルカさんと、ワイルドなメルーラさんがいた。

 

「(夢だろうか?)」

「タローさん。」

 

 ケルカさんは確かに自分の事を様付けで呼んでいたと思う。やはり夢なのだろうかと首をかしげる。

 

「おい?」

「えっ?」

「起きましたか。」

 

 冷たい声。普段は見せぬほど目を細めるその顔は、何を表すのかは明白であった。

 

「まずは、あなたは魔法というものについてどれほど知っているのですか。」

「まあ、鍛冶に関すること……なら?」

 

 もう一度言おう、 タローは魔法の知識についてかなり疎い。

 

 しかし、それは父親のような鬼の存在感を放つケルカにする言い訳には足りない言葉であった。

 

 




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