キャプテン・ムラサのヒーローアカデミア   作:紅葉紫苑

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特別な指令

「……えぇ、はい……わっかりました、ではその様に……はい、失礼します」

 

 純白のセーラー服に付着した返り血を残念そうに見ながらその少女は片手に持ったスマホを弄り通話を終了させる。

 

「あぁごめんよ……全く煩い上司でさ、こっちが仕事中のを知ってて、で……何処まで話したっけ? あぁ、君の命は今日までで明日はないよって事を話したんだっけ」

 

 その相手は氷で形作られた手枷と足枷で椅子に縛り付けた状態であり……体内から何か鋭利な物で切り刻まれていた。

 呻き声しかあげることが出来ないその男を暫し見た後……必要な情報は全て聞き出したのを確認してから四肢と首を男の体内から切断して完全に殺すと、スマホを取り出して電話を繋ぐ。

 

「あぁはいはい……じゃ、後処理よろしくね」

 

 既に時刻は午前3時を回っており12月の下旬であるこの時期は凄まじく寒い……迎えを待ちながら悴む手を擦り温めていると天空より羽根がヒラリと落ちてくる。

 それを摘み上げて眼前に舞い降りた先輩に対してため息を吐く。

 

「……先輩、可愛い後輩に仕事押し付けて自分は焼き鳥屋で美味しい物食べてましたよね? 私も連れてってくださいよ〜……寒いし、疲れたし……結局碌な情報持ってなかったし……朝から何も食べてないし‼︎」

 

 頬を膨らませて先輩の肩を掴み、力強くぶんぶんと振り回して、今し方人を殺した事などどうでもいいかの様に語る。

 

「先輩‼︎ そこら辺のお店で何処でも良いから奢って‼︎」

 

 ネオンが煌めくBARや居酒屋をビシッと指差してそう叫ぶ。

 ……肉食獣の様な眼差しを向けて愛しの先輩に擦り寄るが先輩はそれよりも速くその翼をはためかせて空へと飛翔すると諭す様に語ってきた、羽根の何枚かを後輩に向けながら。

 

「いやいやいや……もう深夜だからね? 後輩ちゃん未成年でしょ? 15歳だっけ? 未成年はこの時間入れる店ないよ? てか先ずはその服に着いた返り血落とさないと……俺以外のヒーローに見られたらどーするよ」

 

 尤もなご意見故に……村紗水蜜は考える。

 そうして、名案が浮かんだと言わんばかりに手をポンっと叩いて叫ぶ。

 

「そんなの消すに決まってるじゃないですか? そんな事よりも名案が浮かびました‼︎ 今から2人で無人カウンターのラブホテル行きましょう‼︎ あそこならシャワーも浴びれてコンビニで買ったご飯と、今なら先輩が私も食べれます‼︎ そして私が先輩と一緒に(・・・)、一つになれます‼︎ さぁ先輩‼︎ 私と‼︎ 今すぐに‼︎ ホテルへGO‼︎」

 

 手をバッと広げて私も食べてと、そう叫ぶが先輩から齎された言葉は当然ながら拒絶だった。

 

「行くわけないでしょ‼︎ 何が名案だよ‼︎ 未成年淫行なんて不祥事……ヒーロー生命どころか人生終わるわ‼︎ ていうか何処で覚えたそんな言葉⁉︎ はぁ……迎え来たんだからとっととそれ乗って帰りなさい後輩ちゃん、後はやっとくから」

 

 そう告げるホークス。

 ホークスがそう告げた丁度のタイミングでリムジンが到着し招かれる。

 

「むー……諦めませんからね‼︎ 先輩‼︎ 私はこの処女を先輩に……ウグッ」

 

 とんでもない事を宣いかけた後輩の口を塞ぐ様に先んじて差し向けられていた羽根が舞い無理やり閉ざされた後輩ちゃんの口はモゴモゴと動くばかりであった。

 

 服に付着した剛翼の羽根に引っ張られてリムジンの方へと投げ込まれるとリムジンはドアを閉じて出発する。

 ヒーロー公安委員会本部へと。

 

 車内に用意された軽食を摘み空腹を紛らわせると車内に用意されている着替えを手に取り返り血の着いた服から着替えながらリムジンの運転手へと語る。

 

「……深夜業務なんてあなたもツイてないわね、ごめんなさいね」

 

 そう語るも運転手は抑揚のない声音で語る。

 

「いえ、それが仕事ですので……もうそろそろ着きます」

 

 そう告げられた5分後、リムジンは公安委員会本部へと到着し扉が開かれる。

 ゆっくりとした足取りで車から降りてヒーロー公安委員会本部へと入る。

 

 目的の部屋へと移動したその少女はコンコンっと扉をノックして中に居る人間から入室の許可を得ると扉を開いて部屋の中へと入る。

 用意された椅子に座り今回の件の報告を淡々と行う少女。

 

「以上の件から……ハーパーとヴィンセントの両名は一般人を唆して(ヴィラン)に仕立て上げていました、それと違法薬物も所持していたので……駆除対象として駆除しました……以上が口頭での報告となります、後程報告書を提出しますので詳細はそちらを……」

 

 機械的に、義務的に告げ……いつもの様に退出しようとしたが公安委員会委員長は少女を呼び止める。

 

「あぁ少し待って貰えるかしら? 新しい指令よ……貴女にしか出来ない特別指令」

 

 特別指令と言われてもそれが良かった事など一度もない、大概は少女の見てくれを利用した色仕掛けか、絶世の美女と賛美されている美貌を駆使した潜入調査だ、どちらにせよ碌な物じゃない。

 退出間際にそう呼び止められた少女はゲンナリしながら振り返り委員長に対してとても、とても大きい溜め息を吐きながら聴こえないように小声で呟く。

 

「……クソババァ

 

 そう呟くも委員長にはしっかりと聴こえていた様で威圧的な笑みを浮かべたまま語りかけてきた。

 

「クソババァとは酷いわ、そんな事よりも詳細よ……スクリーンを見て頂戴」

 

 聴かれていた……と溜め息を吐いてスクリーンへと眼を移す。

 スクリーンには『極秘』と赤い判子が押された自身のプロフィールが。

 

 氏名・村紗水蜜。

 個性・水の三態を操り支配する個性。

 年齢・15歳。

 性別・女。

 経歴・犯罪組織お抱えの殺し屋、現在ヒーロー公安委員会直属ヒーロー。

 

『ヒーロー公安委員会直属ヒーロー、特例によりヒーロー免許取得済み』

 

 ……見慣れた自身のプロフィール。

 

 これが何だと言うのか。

 

「見たわね? 貴女のプロフィールよ……それで本題なんだけど貴女には雄英に行ってもらうわ……オールマイトが雄英に教師として赴任するというのが確定したの……最高峰の学舎で学びを受けてくるついでに一生に一度しかない青春を謳歌してきなさい、それが今回、私から貴女に対する命令よ……人生で1度しかない高校3年間、精一杯楽しんできなさい、こちらからの業務に関しては可能な限り貴女に振り分けるのを停止しました、口座には仕送りとして毎月60万が入ります……緊急の際はいつもの様に……では、話はこれで終わりです」

 

 




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