戦闘訓練が終わった日の深夜。
村紗はとある情報筋から気になる情報を入手していた。
それは雄英を襲撃する計画が練られているというもの。
ヒーロー免許は取得している村紗だがそれはあくまでも特例措置によるものであり言わば『裏』の世界で働くのを円滑に進める為に公安が作成した書類だ。
公式的には他学生と一緒で仮免取得すらまだの状況で通しているのでUSJ内で大っぴらに殺傷を行う訳にはいかない。
そう思案に耽っていると、鎖が擦れ合い、やけに甲高いキィキィとした金属音が村紗の鼓膜を突き刺す。
そちらへと振り返ると……地下室の天井から吊り下げられている身体中が血塗れのヒーローがいた。
「すまないすまない、考え事をしていてね……それで何処まで話した?」
ドライヤーを口に突っ込まれているそのヒーローはモゴモゴとした、文字通りに渇いた叫びを上げながら何かを叫んでいる。
しかしドライヤーの駆動音と絶え間なく送られる熱風が喉を焼き声を潰すが無視して気になっていた本のページを捲り続ける。
5分後、ドライヤーを外して再度問いかける。
「すまないね、私もこんな事したくないんだよ……だけど仕事じゃそうも言ってられないだろう?」
言葉だけ聞けば罪悪感に塗れているものだが無表情でページを捲り続ける村紗にはそのような様子はない、求めた答えを言わないヒーローの口に再度ドライヤーをあてがう。
長編小説を読了し終わるとようやくヒーローが何かを語ろうとする。
しかし、それを手で制しながら村紗は冷酷な眼差しと氷よりも冷たい声音で語る。
「……聞きたい事は全て知っている、故に君に残された道は1つだ……分かるだろう? 自分がヒーローを語り過去に何をしたか、その事を思い出してみれば……」
指折り数えて村紗は汚職をしまくっていた眼前のヒーローの罪を唱える。
「まず略取誘拐だろ? 監禁、人身売買、臓器売買、違法薬物の密輸入、強盗殺人に共謀罪、それに不同意性交等罪……数え上げればキリがないが……まだ聞き足りないというのなら事細かに語るのもいいだろう」
吊り下げられている男の頸動脈に手を触れて、次の瞬間……動脈を深く切る。
噴水の様に血飛沫が溢れ出し床を血に染めていく。
10数秒もすれば失血死で動かなくなった……。
完全に死んだのを確認してから処理を行い……公安に提出する書類を作成する村紗。
回ってくる仕事は激減したものの0では無い。
カタカタとキーボードを叩きながらPCの画面と睨めっこを続ける。
「なんだってこんな面倒くさいことを……はぁ……」
1人ごちる村紗の言葉は誰にも聞かれること無く消えていった。