キャプテン・ムラサのヒーローアカデミア   作:紅葉紫苑

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半年間もほったらかしにして大変お待たせしました


個性把握テスト

 試験から1週間後。

 村紗は自宅の郵便受けを覗くと1枚の封書が入っているのを確認した。

 家の中へと戻り雄英高校からの封書であり封蝋を砕いて開封すると中に入っていたのは掌サイズの小型の映像投影機。

 電源を入れると映像が投影された。

 雄英教師……村紗は記憶の中にあるヒーローの情報と照らし合わせて映像の相手はイレイザーヘッドだと判断。

 ……懐かしい顔だ、彼を殺す依頼も過去に幾つか散見された。

 イレイザーヘッド、本名相澤消太の個性である抹消の利用価値以上に疎ましく思う者達が多かった。

 尤も……村紗からして見ればたかだか個性が使えなくなった程度で戦闘行為そのものが継続できない三流、四流以下のゴミから入る依頼など金額の多寡を抜きにしても受ける気は更々無かったのだが。

 個性は確かに便利だがそれにかまけて、自身の肉体を一切鍛えずに、個性のみに戦闘行為を依存するなど愚の骨頂であり……村紗や村紗と同等のレベルの殺し屋やホークスやナガンからしてみれば有り得ないし意味が分からない事である。

 現にホークスやナガン、村紗は個性無しでも戦える様に徹底して叩き込まれている。

 個性はあくまで人体の延長線上にある物だと認識している。

 殺し屋が自分の個性が通じなくなったり使えない程度で依頼を放棄するか? 否だろう。

 上澄みの更に上澄みである超一流達は多少の計算違いすらも計算に入れて行動する。

 少し話が逸れた。

 

 映像に意識を向けると合格であるとの言葉。

 既に公安経由で必要な書類などは送付済み、必要な物品も全て取り揃えている為にここから村紗が何かするという事は無い。

 あとは入学日までひたすら訓練とコンチネンタルホテルの往復くらいだろう。

 そうして色々と考え事の末に思考の海に溺れているとテレビドアホンが鳴り現実に引き戻される村紗。

 テレビドアホンを見るとホークス、ナガン、そしてリーパーの姿が。

 ドアを開けて3人を招き入れる村紗。

 

「おはようございます……どうされました? 珍しい顔ぶれで」

 

 この3人は仕事で絡む事はあってもプライベートで絡む事はほぼ無い。

 少なくとも村紗はそう思っているしホークス先輩やナガン先輩もそうだろう……リーパーに至っては公安委員会に睨まれていると風の噂で聞いた。

 

「愛弟子の合格祝いにな、ホークスも私もこの日の為に仕事を巻きに巻いて……ってそんな話はどーでも良いんだよ、村紗、合格おめでとう」

 

 1番年長者のナガン先輩が代表して1番に祝辞を。

 その次にホークス先輩が口を開く。

 

「後輩ちゃん……合格おめでとう、実りある3年間に……なんか堅苦しいな、まっ青春を楽しんでくれっ、若者の特権だ」

 

 そして最後にリーパーが口を開く。

 

「おめでとう、水蜜……本当に素晴らしい……という訳で君の高校入学を祝うパーティーを開催する」

 

 既に色々と手配していたのか3人からプレゼントを手渡される。

 丁寧にラッピングされたそれらを重量や大きさで中身を理解しつつ唐突な出来事に笑みを浮かべながら御礼を言う村紗。

 

「わ……わぁ、とても嬉しいです、玄関で立ち話も何ですからどうぞ上がってください……ちょっとだけとっ散らかってますが、こちらです」

 

 居間に3人を通すと即座に再度インターホンが鳴り響く。

 3人は来たかっという表情でありナガン先輩が受け取りに行ったのは寿司、しかもそこいらの店でなく銀座の超高級店……ていうかその店って出張寿司屋はやってなかった筈じゃ……あっ、ナガン先輩が裏から手を回したんですね。

 更にインターホンが鳴り今度はリーパーが対応し……連れてきたのは米国が誇る最高級のブリスケット職人でありブリスケットだけで5000億ドル稼ぐ店の店長……この人の事は名前だけ知っているが予約だけでも50年先まで埋まってたはず。

 あっ、こちらもリーパーが裏から手を回したんですね。

 村紗の好きな物はこの3人には筒抜けである。

 

「祝賀会には寿司も欲しいし肉も欲しいよねっていうのは村紗から聞いてたからね……こっちの権限で出来うる限りの手を使って最高の店を抑えておいた」

 

 そう語るリーパーとナガン先輩。

 そうして……現在時刻10時丁度。

 祝賀パーティーはスタートする。

 和やかな雰囲気の中……プレゼントが再度贈られる。

 どうやら先程のだけでは無かったらしい。

 プレゼントを贈られ笑みを浮かべる村紗。

 そうして……パーティーは23時まで続いた。

 夜も更けてきた為に3人は帰ろうとしたものの村紗のお願いもあり宿泊する事となり……4人で色々な話をして楽しみつつ就寝となった。

 


 

 翌朝、3人が撤収した後でプレゼントを開封すると……ナガン先輩からはお揃いのネックレスと狙撃に関してのナガン先輩直筆の本。

 本に至ってはプレミアが付いておりとても珍しい物になっている、そして3つ目は最高級のジンジャーエール*1のボトル……。

 ホークス先輩からは同様にホークス直筆プレミア本1冊とホークス先輩とお揃いの戦闘用サングラス、そして最高級のジンジャーエールのボトルが1本。

 リーパーからは仕事で使える様にと世界各地のコンチネンタルホテルの最高の部屋へのチケット、そしてそれに付随して金貨15万枚を贈与したと言う書類。

 そして3つ目は先の2人と同様に最高級ジンジャーエールのボトル。

 素晴らしいプレゼントを貰ったと喜ぶ村紗。

 1週間後には入学式を控えているので気分が上がる。

 そうして……時が経つのは速いもので1週間はすぐに経過していった。

 


 

 入学初日。

 制服に袖を通して……身支度を整えると自宅から徒歩で雄英へと向かう村紗。

 一応7:00には学校に到着する予定である。

 村紗の教室は1-A……扉を開けると未だ速すぎたのは誰も居ない。

 席順を確認して座っていると暫くして2人目のクラスメイトが登場した。

 八百万家のご令嬢か……。

 

「おはようございます、私は八百万百と申します……ヒーローを志した者同士、そしてクラスメイトとして……仲良くしてくれると嬉しいですわ」

 

 丁寧にそう告げてきた八百万百。

 村紗も席から立ち上がって深々とお辞儀をして告げる。

 

「これはどうもご丁寧に……私は村紗水蜜と申します、こちらこそ宜しくお願いします、一緒に頑張っていきましょう」

 

 そうして……軽い世間話から専門的な話題にまで多様な会話を繰り広げる八百万百と村紗水蜜。

 他のクラスメイト達も全員集まって来ており現在時刻は8時25分……。

 カリキュラム通りならばそろそろ入学式の時間だが。

 入学式やガイダンスなどはどうなるのかなどと言う話題に花を咲かせているといつの間にやら教室出入り口に居た寝袋に入った男性が語りかけてきた。

 

「お友達ごっこしたいなら他所へ行け」

 

 初日という事もあり初対面の人間が多い中自己紹介や入試の内容で話が盛り上がる中……冷たい声音でそう告げられた。

 喧騒の中で鋭く響くその声音に一瞬で静まり返るクラス。

 その人は寝袋から出てソレを見て語る。

 

「はい、君達が静かになるまで10秒かかりました、担任の相澤消太だ、さて各自の机の中に体操服が入ってるからそれに着替えてグラウンドに集合」

 

 唐突にそう告げられてクラス中が一気にどよめきたつ。

 しかし……まぁ担任にそう言われれば従うより他は無い。

 まぁ村紗にも思う所が無いわけでも無い……一応。

 入学式は⁉︎ ガイダンス説明は⁉︎ そんな心の叫びも虚しく着替える為にゾロゾロと更衣室へと向かう一同。

 女子更衣室に入り着替える村紗達。

 村紗の鍛え上げられた肉体美、しかしプロポーションを絶対に崩さない様にと作られた身体を見て更衣室内の女性陣全員から歓声が上がる。

 スラリと伸びているしなやかな手足、無駄な肉の一切が削ぎ落とされた腹部……臀部や胸部も完成形と言って過言では無いほどに美しい。

 サラリと脚まで伸ばしている黒髪は艶々としておりブラックオパールの如き美しさを誇っていた。

 

 グラウンドへと到着すると相澤先生が語る。

 

 

「個性把握テストぉ⁉︎」

 

 村紗以外のクラスメイト達がオウム返しをするが相澤先生は気にも止めずに喋り続ける。

 

「あぁ、お前らも中学の頃にやっただろう? ソフトボール投げ、立ち幅跳び、50m走、持久走、握力測定、反復横跳び、上体起こし、長座体前屈……村紗……中学の時ソフトボール投げ何メートルだった?」

 

 唐突に名前を呼ばれつつ薄らと残る記憶を遡り語る村紗。

 

「確か……79mでした」

 

 その記録を聞き相澤先生が語る、

 

「よしっ、なら個性使ってやってみろ、その円から出なきゃ何しても構わん」

 

 そう告げられた故に……久しぶりに手加減抜きで個性を行使する。

 ボールに水を纏わせて撃ち込む角度をキッチリ計算に入れて砲撃としてボールを撃ち込むと凄まじい砲撃の音と共に衝撃波を発生させながらボールは遥か彼方まで吹き飛んでいった。

 相澤先生が無言で手元のタブレット端末の記録画面を生徒達に見える様にすると一気に湧き立つ。

 何故ならば……記録には59kmと表示されていた。

 途中でボールが燃え尽きでもしたのかその程度しか飛ばなかったのは激しく憤慨だが。

 本来ならキッチリ500km吹き飛ばす予定だった筈なのだが……耐久力を計算に入れていなかった。

 そして、クラスメイトの誰かしらが面白そうと告げる。

 まぁ個性を行使できる環境下でもなければ個性は基本行使厳禁……フラストレーションは溜まるゆえに……思い切り個性が使えると言うのは面白いものだ。

 しかし、相澤先生はそれが何かに触った様で真剣な表情で語ってきた。

 

 

「……面白そう……か、ヒーローになる為の3年間をそんな腹づもりで過ごす気でいるのかい? よしっ……トータル成績最下位の者は見込み無しと判断して除籍処分としよう」

 

 そう語る相澤先生の言葉にクラスメイト達は一気にどよめきたつ。

 最下位除籍とは理不尽との言葉に相澤先生は経験でもしたのかこう返してきた。

 

「自然災害、大事故……身勝手な(ヴィラン)達……いつどこから来るかも分からない厄災……世界は理不尽に塗れている、そういうのを覆してこそのヒーロー……これからの3年間、雄英高校は全力で君達に苦難を与え続ける……『Plus Ultra』さ、全力で乗り越えてこい……さて、デモンストレーションは終わり、ここからが本番だ」

 

 第1種目、50m走。

 村紗は位置についたと同時に自身の個性を行使し……自身の脚に水を纏わせて推進力として速度を高める。

 記録・2秒ジャスト。

 

 第2種目、握力。

 村紗は自身の手に水を纏わせてから握力測定器を握るとバキイッと鈍い音と共に握力測定器だった物の残骸が村紗の手に握られていた。

 相澤はため息を吐きながら記録を『測定不可』にしたのはいうまでも無い。

 

 第3種目、立ち幅跳び。

 空気中の水を身体に纏わせて浮遊……。

 3分ほどして相澤先生より問いかけられる、いつまで行使可能かと。

 それに対して答えるは『いつまででも』……記録が∞になったのは言うまでもない。

 

 第4種目、反復横跳び。

 背中に水で出来た羽根を維持したまま浮遊状態で行い2694回。

 

 第5種目、持久走。

 水で形作られた羽根を維持して飛翔……八百万百のバイク、轟凍火さんの氷結の滑走と競り合う同率1位。

 

 第6種目、上体起こし。

 元々身体がとても柔らかい村紗肉体の純粋なスペックのみで挑む。

 記録は217回。

 

 第7種目、長座体前屈。

 こちらは特にどうと言う事もなく普通の記録で終わる。

 

 これで全種目終了して結果が発表された。

 

 村紗水蜜、1位。

*1
1本2500万は下らない最高級品




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