暴れん坊小町   作:クライングフリーマン

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「チエちゃん、いつ警視正になるやろうなあ。芸者になってもエエ別嬪やから、いつか別嬪の警視総監が産まれるかも知れんなあ。」代子は、車椅子を押している小雪に言った。


32.オムツ

========== この物語はあくまでもフィクションです =========

============== 主な登場人物 ================

戸部(神代)チエ・・・京都府警警視。東山署勤務だが、京都市各所に出没する。戸部は亡き母の旧姓、詰まり、通称。

神代宗佑警視正・・・京都府警東山署署長。チエの父。

茂原太助・・・東山署生活安全課警部補。

小雪(嵐山小雪)・・・チエの小学校同級生。舞妓を経て、芸者をしている。

船越栄二・・・東山署副署長。チエを「お嬢」と呼んでいる。

白鳥純一郎・・・チエの許嫁。京都府警勤務の巡査。実は、大前田警視正の息子。母の旧姓を名乗っている。

楠田幸子・・・チエの相棒の巡査。

島代子(しまたいこ)・・・芸者ネットワーク代表。元芸者元プログラマー。小雪の先輩らしいが、小雪以外には、本名は知られていない。また、本部の住所も極秘である。

飽くまでも、私的組織だが、警察にはチエを通じて協力している。可能なのは、情報提供だけである。

 

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※京都には、京都伝統伎芸振興財団(通称『おおきに財団』)と京都花街組合連合会という組織が円山公園の近くにある。両者は、芸者さん舞妓さんの『芸術振興』の為にある。オフィシャルサイトも存在する。

現在、京都花街組合連合会に加盟している花街として、祇園甲部、宮川町、先斗町、上七軒、祇園東の5つの花街があり、総称して五花街と呼んでいる。 鴨川の東側、四条通の南側から五条通までの花街。

※この物語に登場する『芸者ネットワーク』とは、架空の組織であり、外国人観光客急増に伴って犯罪が増加、自衛の為に立ち上げた、情報組織である。

リーダーは、『代表』と呼ばれる、芸者経験のある、元プログラマーの通称島代子(しまたいこ)である。本部の場所は、小雪しか知らないが、『中継所』と呼ばれる拠点が数十カ所あり、商店や寺社と常に情報交換している。

 

午後1時。芸者ネットワーク本部。

「ねえさん、ほんまに助かりますわあ。チエちゃんも感謝を伝えてなあ、って言うてました。」

「チエちゃん、いつ警視正になるやろうなあ。芸者になってもエエ別嬪やから、いつか別嬪の警視総監が産まれるかも知れんなあ。」代子は、車椅子を押している小雪に言った。

代子は、事故で、芸者を捨てたのだ。

午後1時。東山署。会議室。

「へっくし!!」

大きなくしゃみに、「お嬢、鬼の霍乱でっか。後でよう効く漢方薬あげるわ。」と、副署長が言った。

「おおきに。たのんます。」と、チエは返事をした。

「ほんなら、議会が反対してるんですか?これだけ事件解決に寄与してるのに。」と、いつもは頭が堅い捜査一課長が言った。

「いつまでも、『タレコミ』モードではなあ。ホットライン引ければ助かるのに。」と、署長の神代は、口を窄めて同意した。

「あの口の大きい府議でしょ。あいつ、嫌い。揚げ足取りばっかりして議事進行妨害ばっかりしてるし。」

珍しく、茂原も同意した。

チエのスマホが鳴動した。芸者ネットワークだ。これが困るのだ。

『民間』に頼りっぱなしだと言う者もいる。

京都府警は、警視庁や大阪府警とは違うのだ。

皆、チエの動向に注目した。

「比叡山の麓で不法投棄です。京都側。」

比叡山は、言わずと知れた天台宗の本山で、京都府と滋賀県に跨がっている。

「よし、出動!!」

チエが出て行こうとすると、いつの間に用意したのか、漢方薬の風邪薬と、水の入ったコップを副署長が、チエに渡した。

「ありがとう、船越のオッチャン。」船越副署長は、チエのオムツを替えたことがある位チエと親密だ。

 

午後2時半。比叡山麓。

重機を使って、『元メガソーラー』の残骸を積み上げている現場に到着したチエ。

「くらあああ。誰に断って作業してんねん!!」

「ガラの悪いねえちゃんやな。区役所の許可執ってるやんか。」

「ふうん。ばらさん、あれ。」

「ほいよ。」茂原は、差し出した書類をスキャナーで読み取り、コピーを排出した。

「ようでけた『偽もん』やなあ。ちょっと『署まで同行して』頂きましょか。」

茂原は、簡単に手錠をかけた。

区役所や市役所の書類には、コピー禁止になるように細工がある。

コピーした書類には『コピー』と隠し文字が浮き上がるのだ。

『日本人なら』大抵は知っていることだ。

午後4時。東山署。取り調べ室外。自販機前。

白鳥と茂原が話している。

「また、ネットの闇バイト、ですか。」

「ああ。面倒くさい世の中になったなあ。人殺ししても被疑者が『5年』刑務所に入るだけやなんて思いこむとかなあ。」

悲鳴が聞こえた。誰も何も反応しない。いつものことだ。

弁護士がやって来た。

テレビで名を売った、自称『国際弁護士』。自分は、外国人の案件も扱うから『国際弁護士』だと言っているだけである。

「接見したいんですが・・・。」

「ウチは銭湯と違いますよ。」

「いや。被疑者と・・・。何です、あの悲鳴は?」

数分悲鳴が聞こえていたが、静かになった。

茂原がオムツを持って入って行った。

弁護士も入ろうとしたが、白鳥は『オムツ替え』の時間が終ってからの方がいいですよ。」と、言った。

やがて、チエが出てきた。

「どうだったの?」「吐いた。モグリの産廃業者の下請け。ギャラがいいらしい。この男前さんは?」

「失礼しました。署を間違えたようだ。下鴨署だったかも知れない。」

弁護士はそう言うと、そそくさと出て行った。

「あいつ、チビったな。」「なんで判るの?」

「今、オムツ返して貰ってる奴と同じ臭いがする。いこ。」

チエに遅れてついて行きながら、「僕もオムツするようになるのかな?」と白鳥は呟いた。

―完―

 

 




このエピソードは、既に他のサイトで公開した作品ですが、よろしければ、お読み下さい。
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