とりあえず術式で何とかしようとする宿儺モドキ   作:This メェン!

3 / 9


3話目にて出たの原作キャラ1体ってマ?

続きません。


呪いの王、霊媒師にスカウトされる。

 

 

 

 宿儺は小腹が空いていた。軽く脚売りと遊び、運動をしたからである。幸い宿儺は心臓の代わりを呪力操作のみで行えるほどの術師であり、それは他の臓器であっても例外ではない。

 

 胃や消化器に反転術式による正の呪力を注ぎ込み、活性化させることなど呪いの王には朝飯前ほどに容易いことだ。

 

 食べたいときに腹を空かせる。数ヶ月程度なら飲まず食わずでも平然と生きていける宿儺ならではの食事だ。

 

 熱々に湯気を出すたこ焼きを口の中に入れ、鰹節とソースの香りを堪能しつつ味を楽しむ。コリコリとしたタコの食感がこのたこ焼き屋はしっかりと仕入れをしていることを如実に伝える。

 

 

「美味いか?」

「なかなかだ。このたこ焼きに免じて此度のお前の不敬は許してやろう」

 

 

 夜の街。

 

 宿儺は斜面の階段に腰掛け、己の趣味を楽しみながら隣に立つ女__星子と名乗った巫女を流し見る。

 

 珍妙な頭だ。呪術が蔓延っていた前の世界でも見ないようなハジけた頭髪。これがファッションとやらか? 

 

「見たところ16歳かそこらだろう。もっと食え。話はそれからでいい」

「……変わった人間だな。お前の変わり身の早さは驚愕に値する」

「ぶっちゃけここの土地神が勝てねぇなら、ワシに勝てるわけもねぇからな」

 

 しゅぼっ。

 

 星子はライターを取り出し、煙草に火を付けてゆっくりと吸う。星子は満天の星を眺めながら、この青年と出会った瞬間を思い返していた。

 

 

__初めに感じたのは、圧倒的な存在感。存在を気取ることすら気に触ってしまいそうで、気が気じゃなかった感覚。霊媒師としての出張で電市にふらりと出掛けて、星子はこんな化け物に出会ってしまった。

 

 脳裏に響いた土地神の慌てる様子。普段全くと言っていいほど変化がないのが土地神から力を借りるにあたって普通なのだが、今回ばかりは話が違った。

 

 全力で気を遣えと命令が飛んできたのだ。そうしなければ我もお前も塵芥と化す。アレには決して手を出すな。

 

 土地神の弱気な様子に驚きつつ、こいつならばやりかねん。そう納得してしまうほどの迫力だった。

 

 

「礼だ。3つ質問を許そう」

「ならまずはひとつ。名前は何だ」

「……知らん。呼び名なら両面宿儺と呼ばれていた」

「おうおう、こりゃとんでもねぇビッグネームじゃねぇかよ。毒龍退治の英雄様だな」

「単なる通り名だ。本物は別に居ただろうな」

 

 ほん。

 

 星子はわかったような、わからなかったような声を漏らして軽く頷いた。

 

「ふたつめ。お前は人間か?」

「そうだ。心臓を無くした程度では死なんがな」

「マジかよすげーな!」

 

 俺を畏れている割には態度が気安いな。この女。

 

 宿儺は星子の態度に奇妙な感覚を覚えつつ、残り僅かとなったたこ焼きを口の中に放り込んだ。

 

「じゃあみっつめ。宿儺ほどのやべーやつが居るってんなら、ワシら霊媒師の中でも速攻連絡が行くはずだ。だが実際誰にも見つかってねぇ。その種は何だ?」

「俺はこの世に生まれ落ちて数時間だからな」

「……なるほどな。異世界エレベーターだの、きさらぎ駅だの、そういう違う世界からやってくるやつも最近は割かし居る。宿儺もその口だろうな」

「そうか」

 

 

 宿儺はたこ焼きの入っていたパックを放り投げ塵にすると立ち上がり、また夜の街に消えようとする。

 

 

「待て」

「なんだ」

「つまり今お前は金もなく家もなく衣もねぇ、素寒貧ってわけだ」

「……そこまで殺されたかったか。よい、今楽に__」

「待て待て。ワシの家に来い。お前みてぇな馬鹿げた存在にうろうろされると土地神様が怯えて仕方ねぇ」

 

 その提案に、宿儺の動きが止まる。

 

「俺を御するか、女」

「そう大層なこたしねーよ。さっきも言ったが神様に勝てねぇならワシも勝てねぇ。これはギブアンドテイクだ」

 

 無表情の宿儺と、無表情の星子。

 

 互いに歴戦が故に、感情の動きが見えない。

 

「霊媒師仲間にもワシみてぇに神様の力を借りるやつが居るが、お前は少し強すぎる。神様が怯えてちゃ商売が成り立たねぇ」

「だから家に来いと? ……呆れた度胸だ。その強すぎる存在を身近に置けばいつ殺されるかわからんぞ」

「そんときゃそんときだ。何よりガキが腹を空かせるのは良くねぇ。それはダメだ」

 

 深く煙草の煙を吸い込み、そして吐き出した星子。その言い分に昔を思い出した宿儺。異形が故に迫害され、食えるものもなく住む家もなく、ただ暴虐を耐えていた幼少の記憶。

 

 今となってはただの記憶だが、確かにその経験は宿儺という存在の土台となっている。

 

「……良い。お前の提案に乗ってやる」

「なら良かったぜ。ワシん家はここから三駅離れたところにある。ちと遠いが歩くぞ。この時間じゃ電車も走ってねぇからな」

 

 あのときこの女のような存在が居たら、と願うようなくだらん真似はしない。だが、その在り方を好ましく思ったのは事実だ。

 

 煙をくゆらせ、歩く星子についていく宿儺。

 

 何かと居候に縁があるな。

 

 

 

 

 

 

 

 







気付いたら床で寝てました。いたい。


3話来ねぇかなぁ〜!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。