とりあえず術式で何とかしようとする宿儺モドキ 作:This メェン!
本気を出したセルポ星人って怖い。
続かないので初投稿です。
鹿紫雲一。
生得術式である幻獣琥珀により全身を電気へと変換し、宿儺に完全受肉の手札を切らせた傑物だ。鹿紫雲一が放った電磁砲は触れるもの全てを蒸発させる。
乾いた空気、ピリつくような電撃の感覚。
__
鳥の声が響く。甲高い奇妙な、鳥の__
「__まさか」
迫るファントムキャットに相対していた宿儺。転移する間もない全方位への解を放とうとするが、しかしそれは背後から差し込んだ蒼白い光によって阻害される。
宿儺が振り向いた先。
そこには羽が雷で形作られた巨大な鷹と、雷の槍が迫った光景だった。回避しようにももう遅い。
この雷の化身のような巨大な鷹は通称サンダーバード。インディアンに信仰されており、1960年代にUMAとしてアメリカのワシントン州にて度々目撃されている。体長は5mあり、雷を操り狩りを行う。
ファントムキャットの動きは囮だった。転移能力と近接戦闘で注意を引きつけ、不可視の斬撃による攻撃を利用することで病院の外に滞空する仲間の攻撃の通り道を作る。
「く、くく」
電撃が身体を貫通し、そのまま廃病院を貫いた。一瞬奈木病院の生きていた電灯が全て起動し、そして破裂。
予想外の電撃による攻撃。それにより一時的に宿儺の肉体は硬直し__
「にゃおん」
そしてその隙をファントムキャットが見逃すわけもない。
雷の槍が宿儺の全身を貫いた直後、転移により現れ鋭利な爪で宿儺の腕を斬り落とした。ぼとりと落ちた腕に目もくれず、目を妖しく輝かせて更なる痛手を追わせようと首に牙を突き立て__
何かに止められたように噛み付く寸前で転移する。
「捌__逃げたか。逃げ足の早いやつだ」
対象を斬り裂くのに最善最適の斬撃を放つ、捌。
しかしそれは発動前に避けられてしまった。捌の発動条件は領域内を除いて触れること。触れられる前に逃げられてしまえば捌は発動しない。
反転術式によりじゅくじゅくと膨れ上がるように腕が再生する。宿儺にとって呪力ある限り心臓すらも代替可能なものでしかない。
「__?」
たらり。
鼻から垂れたのは血。咳き込むように血を吐き出した宿儺。
何が起こっている? 電撃による後遺症か? しかし反転術式で1度治したはず。ならばなぜ、
__
舞い落ちる埃。先程から常に立ち込めるように、薄く。建物が崩れた影響によるものだと宿儺は考えていた。
冷風が流れ込む風通しの良い場所で、埃が滞空しているだと?
「__毒か!」
「キィ!」
それに気付いた瞬間、宿儺の"掌"に反応する二つの存在。ひとつはファントムキャット。もうひとつは__
顔が蛾の羽の模様の、2mを越える体格を持った謎の人型だった。羽が生えており、闇に紛れ無音の高速にて宿儺に迫る。
背後から迫った謎の人型の殴打を受け止め、捌を放とうとするが正面からもファントムキャットが牙を突き立てようとする。
宿儺は己の立つ廊下の床を踏み砕き、落下しつつ体勢を崩した人型を殴り、捌にて三枚に下ろし__内部から大量の煙が吹き出した。
蛾のような謎の人型はモスマン。赤く光る二対の離れた目を持つ。勿論UMAである。こいつも同じく1960年代、アメリカのウェストヴァージニア州にて発見された。時速160kmで逃走した女性の車両に軽々と追い付いていたという報告があり、その飛行能力は底知れない。
今回に限っては毒ガス兵器として利用されたようだ。
宿儺は吸い込んでしまった毒ガスによって全身の臓器が活動を止めようとするのを呪力にて動かす。意識が朦朧としているが、一向に落ちる気配はない。
「驚きました。まさか対巨大敵性宇宙海賊用の麻酔薬を吸い込んでも尚意識があるとは」
ファントムキャットと共に暗がりから現れたのは四角い男__セルポ星人だ。
「我々はあなたのデータを収集し、解析、対処するために多くの資金を投入しました。宇宙派遣のビリビリくんにマッハ・レディーガガ、危険な宇宙猫のテレポーターの3体を同時に相手しても尚善戦していたのは驚愕の力です」
上空に滞空している宇宙船による観測と演算のサポートによるバックアップを受け、3体による連携攻撃にてようやくダメージが与えられるほどの怪物。
ファントムキャットの額に付いていた黄金の瞳は宇宙船と接続しており、観測可能な大気から演算された不可視の斬撃の予測を写し出していた。
「あなたの不可視の斬撃を直接観測することはできませんでしたが、それならば観測可能なものから観測不可能な部分を浮き彫りにすればいい」
それ以外の全部が見えてるなら、見えないものも見えてるのと一緒だ。どこぞの天与の暴君が言いそうなセリフだが、それをセルポ星人は己の科学力のみで成し遂げた。
「おっと。少し口が滑りましたね。あなたの未知の生体エネルギーは実に魅力的です。では早速、あなたの"
近付くセルポ星人。
「ケヒッ……存外やるな。宇宙人とやら。まさかこの俺をここまで追い詰めるとは」
宿儺は感心していた。緻密に練られた計画。行き届いた連携。可能な限りの対抗を施してきたセルポ星人。
今の毒に犯された俺では勝てん。
だから倣うとしよう。
「解」
「まさか! まだあの斬撃を放てるというのですか! ……?」
斬撃は放たれず、セルポ星人は警戒する。
否。斬撃は放たれなかったわけではない。宿儺の解は確かに放たれた。
では、どこに?
「かはっ……」
大量の血を吐き出す宿儺。
宿儺は生涯忘れぬと誓った現代最強にして、常識破りの五条悟に倣っていた。
即ち、脳破壊を反転術式で無理やり治すという外法。
予め脳内を反転術式による正の呪力で満たし、脳を自らに放った解にて破壊した直後に再生。これにより脳を犯していた毒の大部分を吐き出し、一時的にクリアな状態に戻る。
「__認めよう。お前たちは弱者でありながら俺を追い詰めた。最後は呪術の最奥にて葬ってやる」
「なに!? まだ動けるんですか! ビリビリくん! マッハ! テレポーター! 男の人を止めてください! ボーナスあげま__「領域展開」それは、何です?」
"すごいゾーン"を使おうにも残りの私たちはこの凄い男の人と一緒に来ていた女の人に付きっきり。
詰み、ですか。
セルポ星人は呼び掛けに答えず逃げる日雇いに憤慨しながら、その言葉を聞いた。
「伏魔御廚子」
綾瀬桃に付けた呪力の細工によって距離を把握。何故かその位置が上空にあることを確認して、遠慮なく宿儺は斬撃の極致を顕現させた。
絶え間なく浴びせられ続けられる斬撃の嵐にセルポ星人は愚か奈木病院は塵と化した。
この戦いで特典が馴染み、転生特典:両面宿儺の機能が開放されたみたいですね。たかが4本、されど4本。
あと日雇いの御三方は最後あっ、これ勝てねぇ。と動物の直感を働かせて逃げました。
続きません。