本当の姿を見ることが出来るメガネをかけたら、関わっていた人達が人間じゃなく病んでいた件 リメイク版 作:かいさんたらこ
「人の本当の姿が見えるメガネ?」
いつもと同じ帰り道を通っていると、ローブを身に纏っている婆さんがいた怪しげな露店を見つけた。興味本位で近づいて話を聞いて見ると、変な言葉が婆さんの口から飛び出してきた。
「そうじゃ。」
この婆さんは何を言っているんだ?
「本当の姿もなにも、人間の姿が本当の姿だろ?」
「そのほかにもいるのじゃよ。狐が化けていたり、わしらで言うところの神様や神話生物とかも、いるのじゃよ。」
いやいや!狐が人に化けるなんてそんな伝説上の話でしょ?それに神様とか神話生物とかそんなの現実にいないでしょ。
そんな風に若干呆れ気味に話を聞いていると、
「その他にも、その化けている生物の名前まで見ることが出来るのじゃよ。」
・・・・・・・・・・・・でもやっぱり、そういうのは御伽話だとしても憧れるよな。うーむ・・・・良し5000円以下なら買おう。
「分かった、買おう。何円だ?」
「1000円じゃよ。」
メガネにしたら大分安いな。
「ほらよ。」
財布から1000円を出して婆さんに差し出した。
「くっくっくっ毎度あり。」
婆さんから例のメガネを受け取った。
先程メガネを買って行った子供を見ながら、店じまいを始めた。
「ふぅ・・・・全く慣れない喋り方はするもんじゃないや。」
一見老婆のような姿をしていた女性がいつの間にか20代の女性のように変貌していた。
「でもまぁ目的の物は渡せたし、これであの子が周りの異常さに気付いてくれたらなぁ。」
女性はタバコを咥えながら一息ついた。
「またいつか会う事になると思うし、その時には気づいていることを願うしかないか。」
「メガネを使っていたら・・・・・・・・いつか私の正体も分かると思うからね。」
そういうと、まるで最初から何も無かったかのように女性は消えた。地面に落ちたタバコの吸い殻だけが、彼女がそこにいたことを証明していた。
家に帰り、自分の部屋に着いてベットの上に座って、早速買ったメガネをじっくり見てからかけてみた。
「これ度が入ってないな。」
いわゆる伊達メガネか。まぁ・・・・イメチェン程度に考えれば良いか。
「つけてみても変わりはないか。」
いやまぁ誰もいないしな。それに、神とか神話生物とか居るわけないしな。強いて言えば狐が化けてるのが・・・・いやそれも現実的じゃないな。
『お兄ちゃん!ご飯できたよ!』
一階から火燐の呼ぶ声が聞こえてきた。
「あぁ、分かった!すぐ行く。」
さて、妹の火燐が作ってくれた料理を食べに行くか。・・・・あ、一応メガネも持っていくか。
部屋の扉を開けて階段を降り居間に向かった。
居間の扉を開けると、エプロン姿の火燐が料理を並べていた。
「あっ!お兄ちゃん!早く食べよ!」
「分かった。」
いつもながら可愛い。・・・・あれ?
「どうした?指に絆創膏貼っているけど?」
「あぁ、それはちょっと包丁で切っちゃっただけだから。少し痛いけど大丈夫だよ。」
少し心配だな。
「それじゃ食べようか。」
「うん!」
いやぁ、妹の手料理は美味い!なんかちょっと鉄の味がするような。・・・・まぁいいか!
いや待て、鉄?なんかまぁいいかで済ましてるけど、今日の夕食はレバニラ炒めだけど、鉄の味なんてするか?
それになんか気分が変な感じになっていくような・・・・。
・・・・ん?治った?もしかして気のせいだったか?
「「ご馳走様でした」」
「それじゃあ、洗ってるから休んで良いよ。」
「あぁ、ありがとな。」
手伝いたいけど、何故か手伝わせてくれないんだよなぁ。
・・・・そういえば、あのメガネかけて見るか。ま、妹が何かに化けてるとは到底思えないけどな。
ポッケに入れていたメガネを取り出し、楽観的にメガネをつけて、妹のことを見た。
「は?」
小さな声で呟いた。いや、呟いたというより、声にならない声が出たとかそんな感じだった。
そこには、いつも可愛い妹の姿はなく、太陽のように燃え盛っている所に足?のような触手?のようなものが生えていた。
名前は・・・・クトゥグア
嘘じゃねぇよな。何だよクトゥグアって・・・・。聞いた事も見た事もないぞ・・・・。
聞いたことも見た事もない生物を間近で見る事に対する恐怖で動けなかった。
少し時間が経ち、やっと動ける余裕が出てきて一回メガネを外してみた。するといつもの可愛い妹がいた。
それでもう一回かけてみればさっきの化け物のような姿があった。
「俺、風呂に入ってくる。」
「ん?今日は早いね。」
「あぁ、ちょっと眠くてな。」
「分かった!お風呂は沸いてるから入ってきて良いよ!」
「いつもありがとな。」
「これぐらいならお安い御用だよ!」
その言葉を背に、火燐から逃げるように風呂場に行った。
湯船に浸かって色々考えてみた。
「あの姿はなんだったんだ?この世の生物とは思えないような、見てるだけで精神が削れていくような姿をしていた・・・・。」
あの婆さんが言っているのが本当だった場合、妹の本当の姿はあの生物ということになる。でもいつからだ?
火燐がアイツに成り代わっているのか、それともアイツが火燐に成り代わっていたのか・・・・。
・・・・ダメだ。考えれば考えるほど、頭がおかしくなってくる気がする。頭痛というより、精神が崩壊するような・・・・そんな感覚に陥っていた。
一方その頃
「ふふ〜ん。お兄ちゃんは料理に血を入れたの気づいてくれたかな〜。」
部屋のベッドに転がって、天井に張り巡らせたお兄ちゃんの写真を眺めながら、今日あった出来事を振り返った。
「はぁ〜・・・・いつ見てもお兄ちゃんはカッコいいなぁ〜。」
恍惚とした笑みを浮かべながら、昔を思い出していた。
私がまだフォーマルハウトに住んでた頃、地球の方向からふと“何か”を感じて意識を飛ばして見ると妊娠している女性・・・・今の人間形態の私の母親がいた。
その“何か”はその女の胎内に居た。その人間の胎児を見た時、意識が、直感が、私の本能に訴えかけてきた。
《この母体から産まれてくる子供を番にしろ》
流石に私がそのまま出てきてしまったら、母体はともかく中にいる胎児を焼き殺してしまうかもしれない・・・・それだけは耐えられない。だから人間に成った。
「ま、産まれてきたお兄ちゃんは可愛くて、愛しくて・・・・だから狙う奴も多いけど、最後にお兄ちゃんを手に入れるのは私だからね。」
そして、手に入れた後は眷属にして一緒に永遠の時をフォーマルハウトで過ごそうかなぁ。人間に呼び出されても無視か、生ける漆黒の炎でも向かわせておけば大丈夫でしょ。
そんな事を妄想していると、階段を上がってくる音が聞こえてきた。
「あ、お兄ちゃんお風呂から上がったんだ。」
そういえば、今日の夕食の後のお兄ちゃん変だったな。まるで私を見て怯えているかのような・・・・。
「まさか、私のアノ姿がバレたとか?・・・・ま、そんなわけないよね。・・・・・でも、もしバレている事が分かったら、記憶を少し改竄する必要があるよね。」
少女は無垢な笑みを浮かべていた。
「せっかく改竄するんだったら、許嫁とか良さそうだよね。そして、眠ってる間に既成事実を作ったり・・・・えへへ楽しみだなぁ。」
全身に火を纏いながら、少女は自身の兄に歪んだ愛をぶつけていた。
お久しぶりです。自分で読んでてダメだコレってなってリメイクしました。最低でもリメイク前の16話までは頑張りたいと思っています。