ZZZ × 555   作:びぎなぁ

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五章が終わったら不定期更新になるかも?


彼の名は

 

 

 

 

 

 

工房のスピーカーから凛とした声が鳴り響く。声の主は雅。朱鳶にとって、彼女は学生時代の同期であり友人でもある。

 

そんな彼女と思わぬ場所で再会したため、朱鳶は目を丸くした。

 

 

「雅、どういう事なの? タクミくんが連れ去られたって……」

 

『詳しく説明する』

 

 

雅はヴィジョンの件の裏にはブリンガーがいる事、そして郊外でのパールマンを巡った出来事について説明をした。

 

それを聞いた朱鳶は──

 

 

「……ブリンガー、長官が……?」

 

 

信じられない、といった表情をする。

 

それも当然だろう。かつて朱鳶は幼い頃、ホロウ災害に巻き込まれたところをブリンガーに助けられた事がある。

 

故に、彼女はブリンガーの事を心から尊敬していた。

 

しかし今、そのブリンガーがヴィジョンの重大犯罪に関わっている事を聞いた。

 

リンを信じるか、ブリンガーを信じるか。

 

タクミの命の危機もある。朱鳶は表情を歪め、悩んだ末にリンにこう言った。

 

 

「……分かりました。私はリンちゃんと、雅の経験と能力を信じます」

 

「! 朱鳶さん!」

 

「ただし、あくまで今日いっぱいです。証拠を集める時間としては十分なはずですから。私も、独自で調査を続けていきます」

 

「……ありがとう」

 

「ならば我は引き続きビデオ屋で目を光らせておくとしよう」

 

「お願いします、先輩。それでは」

 

 

朱鳶はそう言ってビデオ屋の扉を開ける。しかしその後に再びリンの方を向く。

 

 

「……リンちゃん。もう一つ、お願いがあります」

 

「?」

 

「タクミくんの事、絶対助けてあげてくださいね」

 

「……! うん、もちろん!」

 

 

リンの返事に朱鳶は頷いた後、今度こそビデオ屋を後にした。

 

彼女を見送ったアキラとリンはH.D.Dの準備をすませ、イアスをバレエツインズへと連れていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして少しした後、バレエツインズのホロウエリアに入った六課とイアス。

 

リンはイアスとの感覚同期を完了させた。

 

 

「──あ、プロキシ様がオンラインになったようです。こちらの声は聞こえますか? 朱鳶治安官の方は大丈夫でしょうか?」

 

「朱鳶さんなら、私達の情報の裏を取るために治安局に向かったよ」

 

「それでは、タクミくんとパールマンの救出に向かいましょう。ガイド、よろしくお願いします」

 

「マスター。交差分析の結果、パールマンと思しき生体反応がこのバレエツインズのホロウエリア内で検出されました」

 

「ん? パールマンだけ? タクミくんはここには居ないって事?」

 

「……それに関しては、行ってみなきゃ分からないかも。皆、早く行こう!」

 

 

こうして六課とプロキシはバレエツインズ内の奥へと進んで行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────……っ」

 

 

閉じていた瞼が開かれる。

 

タクミは暗がりの中、目を覚まし起き上がった。身体を起き上がらせ、辺りを見回す。

 

 

「……ここは」

 

 

薄暗い部屋の中、タクミは自分がベッドの上にいる事に気が付いた。

 

さらに体には包帯が巻かれており、誰かが応急処置をしたのだと分かる。

 

タクミは自分に何が起こったのかを思い出そうとする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……?」

 

 

しかし、何も思い出せない。

 

まるで自分の頭にモヤがかかったように、記憶が曖昧となっていた。

 

そんな時、部屋の扉が開かれる。

 

 

「お、目ぇ覚めたか」

 

「……!!」

 

 

タクミは扉を開けた人物の姿を見て驚愕する。

 

そこには、恐らく彼を助けたであろうデルタが立っていた。

 

 

「安心しろ。追手はもういないし、お前が戦ってた白いヤツもいない」

 

「……貴方は」

 

「ん? ああ、この姿じゃ分からないよな」

 

 

デルタはデルタフォンを取り外し、変身を解除する。

 

 

 

 

 

 

「!」

 

「久しぶりだな、タクミ。ホロウ災害の時以来、だな」

 

 

デルタの正体。

 

それは、かつてタクミにファイズドライバーを託し、彼をホロウ災害から助け出した青年だったのだ。

 

しかし、記憶を失っている今のタクミにとって、目の前にいる青年が誰なのかが分からなかった。

 

 

「あ、あの……」

 

「? もしかして俺の顔忘れたか?」

 

「い……いや、それもあるんですけど……『タクミ』って、()のことですか?」

 

「…………何だと?」

 

 

彼の言葉を聞いた青年は表情を険しくし、考え込む。

 

 

「……まさか」

 

「えっと……その……貴方は、誰なんですか?」

 

「…………そうだな。忘れたんなら、自己紹介しよう」

 

 

青年はタクミに自分の名を名乗る。

 

 

「俺はホロウレイダーをやってる────」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「乾巧だ」

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