ZZZ × 555   作:びぎなぁ

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列車へ

 

 

 

 

デッドエンドホロウ内部。

 

 

「おお、凄い……!直接ホロウの中と通信できるプロキシなんて初めてだぞ!どうりでニコが新エリー都最強のプロキシって言うわけだ!」

 

 

ふと、猫又はタクミの方を見る。

 

タクミはホロウへ入るや否や、持っていたアタッシュケースを開き、そしてベルトを装着した。

 

不思議に思ったのか、猫又が聞いた。

 

 

「タクミ、何してんの?」

 

「何って……変身すんだよ」

 

「変身?何に?」

 

「ファイズに決まってんだろ」

 

 

そう言うとタクミはファイズフォンを取り出し、コードを入力する。

 

 

[5・5・5][Standing by…]

 

「変身!」

 

[Complete]

 

 

バックル部分にフォンをセットする。瞬く間にタクミの体は赤い光に包まれ、ファイズへと変身した。

 

猫又が驚きの声をあげる。

 

 

「──にゃ!?あんたがファイズだったのか!?」

 

「さっきからそう言ってんじゃねーか……ニコから俺の事聞いてねーのか?」

 

「ニコからは『パエトーン専属の凄腕エージェント』としか聞いてなかったから……まさかあんたの事だとは思わなくて」

 

「……アイツ俺の事買いかぶりすぎじゃね?」

 

「二人とも、準備は出来たね。それじゃあ列車を止める計画について、要点をおさらいするよ」

 

 

今回の目標は爆薬を積んだヴィジョンの無人列車。

自動運転モードの列車はコンピュータが操作している。

 

目的地は制御室。そこへ行き、列車の進路をトンネル方面へ変更する。

 

その後、列車はトンネルへ入り減速する。その隙に猫又がボンプを列車の上と投げる。

 

ボンプ……もといプロキシは列車のメンテナンスハッチから運転室に行き、列車を止める。

 

以上が今回の作戦だ。ちなみにファイズは今回も戦闘員である。

 

ボンプからアキラの声がする。

 

 

「デッドエンドブッチャーの具体的な位置はまだ分からない。三人とも、気をつけてくれ──それじゃあ行動開始だ。グッドラック!」

 

「よし!早く列車の進路を変えに行くぞ!」

 

 

Fairyが演算したルートを使い、三人は制御室へと向かおうとした。

 

その時、大きな音ともに、地面が大きく揺れ動いた。

 

 

「……っ、今のはなんだ?」

 

「ホロウエリアの活性が変化している……皆、注意してくれ」

 

「この異変で列車が遅れてくれるといいけ──」

 

 

ズゥゥウン……

 

 

再び地面が激しく揺れた。先程よりも激しい揺れだ。

 

間違いない。デッドエンドブッチャーだ。

 

 

「警告!極めて危険な個体を検出、直ちに回避してください」

 

「うわあ!ビリーが言ってた化け物だ!」

 

 

急いで物陰へと隠れる。

 

この大きな揺れはデッドエンドブッチャーの足音なのだろう。

 

その足音は、デッドエンドブッチャーが遠ざかると共に小さくなっていった。

 

 

「……あれが例のデッドエンドブッチャーって奴か……どうりでヴィジョンがしくじるはずだ」

 

「要警戒エーテリアス……凄い迫力……」

 

「……まあ、ファイズならデッドエンドブッチャーぐらい楽勝でしょ?」

 

「猫又、お前な……過信しすぎだっつーの」

 

「でも邪兎屋の皆、口を揃えて『デッドエンドブッチャーにも勝てる』って言ってたぞ?」

 

「……」

 

「だ、大丈夫だよファイズ!今回の目標はデッドエンドブッチャーを倒す事じゃないから!」

 

 

……なるべくあのデカブツに出くわさないよう祈ろう。

 

そう思いながらファイズ達は制御室へと向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

制御室へ向かう道中。遠くで再び音が聞こえた。

 

 

「今の音は……?もしかして、またデッドエンドブッチャーか?」

 

「いや、おそらく列車が来たんだろう」

 

 

もうじき無人列車がやってくる。早く制御室へ向かわないと間に合わなくなってしまう。

 

 

「早く制御室へ急ごう!」

 

 

そう言って猫又は先を急ぐ……しかし。

 

三人の目の前には廃棄された車両があり、行く手を塞いでいた。

 

 

「この電車は一体……プロキシ、あたしたち道を間違えてない?」

 

「この道で正しいよ、猫又。見た感じ、この車両は外的な力で破壊されてる。おそらくエーテリアスが投げた物だろう」

 

 

どのエーテリアスが投げたのかは、言うまでもない。

 

 

「うにゃっ!恐ろしい馬鹿力だぞ……」

 

「次の目的地は車両の向こう側だけど……何とかしていけそう?」

 

「あたしだけなら、ギリギリ下をくぐっていけるかもしれないけど……ボンプを連れてくのは無理。ファイズは──聞くまでもないな……」

 

「流石にな」

 

 

さらに車両の周りは地盤沈下による穴が点在しているため、迂闊に回り込む事もできない。

 

 

「……でもさ、ファイズならコレ壊せるんじゃない?」

 

「……あのなプロキシ。確かに壁ぐらいなら壊せるかもしれないけどよ、こんなデカい車両を壊すのはいくらなんでも無理だっての」

 

「「……」」

 

「……」

 

「「…………」」

 

「……分かったよやるよ!やりゃあ良いんだろ!?派手にぶっ壊してやるよこんなもん!」

 

 

ファイズは半ばヤケクソ気味にベルトの左腰にあるファイズショットを取り出し、ミッションメモリーを装填。右拳に装着する。

 

 

[Ready]

 

 

そしてそのままファイズフォンのENTERを押した。

 

 

[Exceed Charge]

 

 

フォトンブラッドがスーツのフォトンストリームを経由し、右拳のファイズショットへチャージされる。

 

ファイズは構えの姿勢を取り、思い切り──

 

 

「わわっ!?ま、待ってください!」

 

「!?」

 

 

──殴ろうとしたところで、車両の向こう側から少女の声が聞こえ、ファイズは動きを止めた。

 

 

「んにゃっ!?今、誰か喋った……?まさか、電車が!?しかも可愛い女の子の声だったぞ!」

 

「ええっ?」

 

「電車さん!あたしたち急いでるの!ちょっとだけでいいから、そこをどいてくれない?」

 

「猫又、あんたね……向こう側に誰かいるんでしょ」

 

「あの……皆様はホロウ調査協会の調査員様ですか?」

 

 

電車の少女は質問をする。

 

 

「待って。あたしたちが協会の人間かどうかより、まずは電車さんから名乗るのが業界のルールだぞ」

 

「え?そ、そうなんですか?ごめんなさい、そのようなルールを……存じ上げておりませんでした──えっと、私はカリン、家事代行会社の従業員です」

 

 

電車の少女はカリンという名前らしい。

 

 

「星座は双子座、血液型はRh-、好きな事はお掃除です。市民ナンバーは──」

 

「そ、そんなに細かく紹介してくれなくても……それで、カリンちゃんはどうしてここに?」

 

 

カリンはどうやら、デッドエンドブッチャーを避けようとした際、他の従業員とはぐれてしまったらしい。

 

 

「私はキャロットデータを所持していなくて……調査員のお三方なら、きっとホロウから脱出するルートをご存知ですよね?」

 

 

猫又とタクミは顔を見合わせる。

 

 

「……ホロウで迷った一般人か……」

 

「プロキシ、どうする?カリンって子、助けてあげるか?」

 

「助けたくても、まず向こう側へ行けないとどうにもならない……それが無理なら今すぐ迂回して別のルートへ行かないと、計画の時間に間に合わなくなる」

 

 

先程やろうとしてたようにファイズが車両を壊すという手もあるが、向こう側にカリンがいる以上怪我をさせてしまう恐れもある。

 

 

「あ、あの!勝手に聞き耳を立てちゃってすみません!」

 

「?」

 

「も、もし私が皆さんを車両のこちら側までお招きできれば……そのまま調査員様について行ってもよろしい、ということでしょうか?」

 

「……にゃ?あたしたちがそっち側に行く方法があるの?」

 

「だ、大体そんな感じです!ちょっとだけお待ちください!すぐ済みますので!」

 

 

カリンの言う通り、二人は待つことにした。しかし、どうやって道を開けるのだろうか。

 

 

「……下から来るのか?」

 

 

すると突然、何かを駆動させるような音が大きく響き渡った。

 

 

「にょわあ!ヤな音だ……」

 

 

こういう音に弱い猫又は思わず耳を塞ぐ。しばらくした後、音は鎮まった。

 

 

「……あの子、向こうで何して──」

 

 

ファイズが扉へ近づく。しかしその瞬間、高速回転する刃が電車のドアを突き破った。

 

 

「うおおおおっ!?」

 

「気を付けて!」

 

「いやあっ!?」

 

 

ファイズは瞬時に飛び退く。チェーンソーは縦、横、斜めと扉を切り裂いていく。

 

 

「ねねね猫又!プロキシ!ああああんまりくっつくな!」

 

「そそそそんな事言われても!!」

 

 

このチェーンソーを使っているのは恐らくカリンだろう。ということは、実は恐ろしい殺人鬼なのでは無いだろうか。

 

兄以上にホラー映画に対する耐性がないタクミは、内心ビビり散らかしていた。

 

そして、チェーンソーにより無理やりこじ開けられる。

 

扉が倒れ、砂埃が辺りに舞う。中から出てきたのは──

 

 

「んしょ……うん、破れてない──あ!お……お待たせいたしました!初めまして!」

 

 

──メイド姿の少女、カリンだった。

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